教師が力ずくで押さえつけたり、強引にねじ伏せたりすると、イジメは教師の見えない所で、見つかりにくいように、言い逃れができるように、巧妙になっていきます。なめられたら増長するという理由から、威圧的な態度の担任で、一時的におさまったかに見えても、次の年に必ず反動がきます。


ですから、まず、先生たちは絶対に守ってくれるんだ、という存在感を取り戻し、学校の信頼感を回復するためにも、次の①②③④を、全教師で取り組んでみてはどうでしょうか。最初は相当しんどいと思いますが、きっと、全校の子どもたちの心に届く時は来ます。そんな小中高が全国に少なからずあるからです。小規模校でも、大規模校でも。それを校内研=校区研で取り組めたらなあ、と思います。


①子どもたちと向き合う時、安心感を伝える基本線


私たち教師は、よく次のような言い方を、ついつい子どもたちにしてしまいます。                                                     
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」などです。どちらも、子どもには、イメージしにくい言葉なのです。年令が小さいほど、どうしていいかわからない、あいまいな言葉だと言えます。ですから、大声で、「しっかりして」「ちゃんとして」「うるさい」「まだか」「はやく」「おそい」などと、どなるより『できて当然のこと』でも(今の時代には、↓これらが必要)


みんな、すわろうね・・・おっ、早くすわれたね」             
教科書の何ページを開けてね・・うん、開けたね」            
シーッ!お話するのをやめようね・・静かになったね」       
A君のお話を聞いてあげよ‥聞いてもらえるとうれしいよね」       
Bさんの意見、聞いてあげよ‥Bさんの気持ちわかるよね」      
先生のお話を聞いてね・・聞いてくれてありがとうね」           
みんな2列に並んでね‥すごく早く並べた。気持ちいいな」(いずれも笑顔で)                                                
と、その場面に応じて、子どもに、こうしてほしいという具体的な言い方で、子どもたちがイメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん、子どもたちが受けとめてくれたら、必ず子どもの目を見て具体的にほめることも忘れてはいけませんよね。(継続すると、しかる〔注意する〕回数が徐々に減りますよ)                                                          
そして、何よりも、教師が笑顔でいると教室に「安心できる空気」「心地よい雰囲気」が広がっていきます。それは即、子どもたちの心に伝わります。(楽しい空気は人から人へ伝染するのです)


また、「ダメ!」「やめい!」「あかん!」「何してんの!」「さっき言ったやろ!」などと言ってしまう、否定的な指示語も、緊急時以外は、やさしく、しっとりと、                                                     
どうしたの?」「何があったの?」「この頃、どうや・・?」
こういう時は、△△すると、うまくいくよ
そういう時は、先に△△してみようね」というふうに、心配の中身、ダメの中身を、具体的に伝えるほうが、元気のない子も、失敗した子も、素直に受け入れやすい言葉がけです。


授業中、できるだけ減らしたい教師の言葉(大声、どなり声、命令する声)
「こらっ!」「静かに!」「わかった人?」「できた人?」「他にない?」「発表して」


授業中、できるだけ増やしたい教師の言葉(やわらかい声、大きくない声、ゆったりした声)


困っていることはないか?」「まだ書き終わってない人、言って」(できた人?と聞くより、苦手な子どもも安心できます)                           


先生にも聴かせてほしいな」「先生も聴きたいなあ」(わかった人?と聞くより、自信のない子どもが発言しやすい聞き方です)                                                             
クラスのみんなに聴いてほしいこと、ないかぁ?」(発表して!と言うより、発言を迷っている子どもも言いたくなる聞き方です)                                                        
グループで話し合って、気づいたこと、聴かせて」(班のまとめより、個人の気づき=学びを聴いてみましょう)                                                            
わからない所は、隣の人、前後の人に聞いてごらん」(困ったら遠慮せず「教えて」と言える教室・子どもに育てたいので)                                       
わかりにくかったら、周りの人と相談してね」(聞かれたら気軽に教えてあげる教室の空気もつくりたいので)                                                                        
A君の意見は、みんなが考えつかなかったものやね」(たとえ的外れな発言でも決して切り捨てないことです)                           


Bさんの言いたいのは、たぶんこうだと言える人、いるかな?」(子どもが発言につまって、言えなくなってしまった時、切り捨てて、他にない?と聞かずに)                                     
C君の言いたいことの続きがうかんだ人、いるかな?」(子どもが上手に言えず、モゴモゴ発言・単語発言をした時、切り捨てて、他にない?と聞かずに)


② 子どもたちの表情が輝いている学校の共通点


教師主導の一斉授業から見えてきた姿聞く耳を持たない教師)】  


×教え込もうとする気持ちが強く、子どもの声を大切にしない姿。                                                          
×自分の意図する子どもの発言にばかり、すぐに飛びつく教師の姿。                                                           
×指導案どおりに進めようと、子どもの疑問やつぶやきを切り捨てる教師の姿。


教師が子どもの話を聞けるようになると、教師の話を聞ける子どもが育つ


各教室で、各担任が、これまでの習慣「ハンドサイン」「聞く態度・聞く姿勢の指導」「声の大きさ1,2,3」という形式的な指導をやめて、「聴き合う学び」を導入するにつれて、子どもたちも安心して学ぶ姿へ変容していく学校を見せてもらいました。


学校ぐるみで、全教師が意識的に取り組んでおられました            


◎子どもを「こらっ」と怒鳴って統制しない。(どの教師の声も柔らかさを)                                                         
◎「わかった人?」「できた人?」を言わず「困っていることはない?」                                                            
◎子どもにも「わからへん」「ここ、どうするの?」と周囲に聞く習慣を。                                                
◎グループ学習を取り入れ、お互いに聴き合う活動を大切に。(最大4人男女混合班)                                                    
◎教室に「聴き合う空気感」を生み出す、教師が促す言葉がけを。                                                  
◎担任全員が年1回は授業公開をし、学んだことを1人1発言以上。                                                   
◎教師は「無理、ダメ、できない」というマイナス思考発言を連発しない。                                               
◎授業中は、子ども同士の「つながり」「交わり」「戻し」の役割に徹する。                                              
◎机間支援ではヘルプシーキング(支援行動)をする。(ひざも汚れるはずです。机間巡視は戦前の言葉です)                                                                       
◎どのクラスも、朝読書を取り入れている。(もちろん中学校でも高校でも)
◎話し合う机の配置はコの字型にする。(発言する子の表情をお互いに見られるように) 


聴くこと「日常の中で子ども・教師が意識したいこと」を大事に     


◎まず、教師が1人ひとりの子どもの声に、いつも耳をすます。                                                           
◎ていねいに聴く(急がない。次々と指名しない。意見に飛びつかない)                                                                    
◎どの子の、どんな発言も、大切に受けとめる。
◎小さなつぶやき、予想外の発言にも耳を傾ける大切さに気づく。                                                
◎子どもの「まちがい」や「わからない」ということを出発点にする。                                                              
◎多様な意見から、大事な「つながり」を見つけ出す。                                                                    
◎互いの意見の共通点・相違点から、「気づき」を発見しようとする。                                                          
◎意欲を持続させようとする工夫をする。(4人で相談 ペアでも 音読を多く)                                                    
◎いつでも誰かが話を聴いてくれるという、教室の空気感をつくる。                                           
◎教師自身がテンションを上げすぎず、静かに聴くお手本を見せる。                                                  
◎話し合いだけが学び合いではなく、教え合いは学び合いではない。                                                           
◎生活の全てが、「聴き合う学び」であるという認識に立った支援・指導を心がける。


聴くこと「授業の中で特に教師が気をつけること」を大事に     


◎話し合う場面で教師も子どもと同じ目線で聴けるよう、いすに座る。                                            
◎板書・不必要なリボイスで子ども同士のつながりを切ることあり。                                             
◎用意した意見を言い合う時間より、聴き合いながら話し合う時間を。                                             
◎「学ぶ」謙虚な気持ちで、教師自身も個人を尊重することを忘れない。                                                      
◎自分で発言する喜びよりも、聴く喜びを感じさせ、自然な対話活動が生まれるように、友だちに向かって静かにゆっくり話すようにさせる。


子どもの学びをさまたげてしまう教師の言葉


(過敏な子は耳をふさぎ落ち着いて座っていられなくなり、挙手した子から「ちぇっ」「先に言われてしまった」と言われる、そんな「ハイハイ発言」を増やしてしまう教師の言葉です。それは、子ども同士の発言をつながないから、言いっぱなしになってしまい、聴き合うことができにくくなり、結果として伝え合う関係づくりができなくなります。こうして、いじめの起きやすい温床が生まれることにつながるのです)                           


×「他にない?」(直前の発言を切り捨て、羅列の意見発表会にしてしまう)                                                        
×「なぜ」「どうして」(物語文教材では理屈っぽくなり、本文を読み味わえなくなる)                                                        
×「わかった人?」(こう言われると、子どもは「わからない」と言えなくなる)                                                         
×「さん、はい」(一斉にそろえることを指示→個々のリズムを大切にしよう)                                                              
×「発表してください」(聴くことが忘れられる→聴き合おうと意識させたい)


以上は、他県の小学校でいただいた資料を元にしていますが、保幼や中高養でも、充分活用できる内容ですし、応用して採り入れている学校・園も少なくありません。                                
かつて、私は恥ずかしながら、すぐ「他にない?」「わかった人」「できた人」「発表して」と言っていました。(反省です)。まず【子どもの声に耳を傾ける】姿勢でいたいと、つくづく我が身を省みております。【教師に聴いてもらえる心地よさ】を体感した子どもは、きっと教師の話も聴いてくれることでしょう。


忘れてはならないのは、授業づくりを核にした学校づくりに成功している所は、必ず最初は、いじめ問題や人間関係のトラブルを解決するため、授業づくりを通して、子どもが互いにケアし合い学び合える温かい集団に育てていくという共通目標の元で、協同的な学びの取り組みを始めておられます。そして、聴くことを大事にしながら「荒れ」「くずれ」「いじめ」を克服した結果、後から「学力向上」もついて来た、という学校がほとんどなのです。職員室でも、研究会でも、子どもの固有名詞が自然に飛び交います。当然、報告連絡相談をする空気にあふれた教師集団になっているのです。もちろん、教師の個性が発揮された授業が展開される学校にもなります。


逆に、学校に組織力(報告連絡相談をする空気感)がない場合、子どもの要求で余計な物を持参OKすることが、物わかりのいい担任だと自分勝手な判断をする教師や、引き継ぎ・申し合わせを無視した自己流で、担任以外の指導が入らない学級王国づくりをしてしまう教師が出現してしまいます。いずれも教師の個性を発揮することを完ぺきに勘違いし、周囲のクラス・学年は大混乱になります。


こうして、私なりに得心したことをふり返ってみると、組織力のある学校の先生方がチャレンジされていることは、小手先の授業のノウハウやマニュアルではなく、子どもたちの声に耳をすましながら、「子どもたちとの信頼関係を授業の中で構築しよう」とされているのではないか、ということでした。                                                              
聴き合う関係づくり」によってこそ実現する「対話し合えるコミュニケーション力の育成」であるとも言えます。そして、教師と子どもの間に生まれた信頼関係は、授業(教室)の空気として、「子ども同士の信頼関係」をも、引き出していくのだ、ということがひしひしと伝わってきました。


③ 気になる子こそ「頼り」にして、自尊感情を高めたい


☆子ども一人ひとりの自尊感情・自己肯定感・自己評価を高めるかかわり方を、毎日大切にしたいものです。
あなたがこの教室にいてくれてうれしいよ
きみが今日、来てくれたことがうれしいで
をベースにして、日々、子どもが自分は大事な存在だと思ってもらっているんだと感じられるようなメッセージを語りかけることを、毎日くり返します。


☆スモールステップを与えて、ほめることを意識的に取り組んでみましょう。                                
「○○を手伝って」「○○をしてごらん」「○○をやってみようよ」→やりきらせる→「助かったわぁ」「よくやったね」の積み重ねによって、子どもの中に、自信と意欲が芽生えてきます。


☆その子が本来持っている力を出したくなるような工夫をしましょう。
・朝の出会いを大切に。笑顔ですてきな「Aさんおはよう」を。                                                   
・子どもと共に掃除・昼食・遊びをしながら、気軽な世間話を。                                 
・教師の失敗談・ズッコケ経験話を明るく語ってあげよう。                                     
・子どもと共に野菜や花を育てる活動を、毎日少しずつ楽しもう。


・気になる子にこそ、何かを頼んで、必ず「B君ありがとう」を、その都度言おう。                                                    
・帰りの会、日記の返事、連絡帳、電話、退勤時のちょこっと訪宅などで、その日、その子のキラリと光る姿を、本人や保護者へ、具体的に伝える労力を惜しまない。「足を運べば誠意が伝わる。電話で済ませば誤解が伝わる


④ 「聴き合う力」と「伝え合う力」を育てるためには


静岡県浜松市の「あすなろ幼稚園」の坂本園長先生が、幼児期に培っておきたい力として、「コミュニケーション能力が育つ」ことについて、次のように述べておられます。
『子どもを本当に好きになれる先生になりたいと、日々子どもから学ぼうとする体験を積んでいる先生ならば、子どもへの言葉がけの質がちがいます。そうすると、園の子どもは、先生から本当の「やさしさ」を感じます。「自分をちゃんと受け入れてくれる!」そんな安心感があるからこそ、「友だちをちゃんと受け入れられる」という高いコミュニケーション能力が、育っていきます。                                           
☆先生に信じてもらえるからこそ、自分を信じることができる。                                                       
☆先生に好きになってもらえるからこそ、自分を好きになれる。                                                       
☆自分を大切にすることができるからこそ、友だちを大切にすることができる。
                                               

このテーマで、常に子どもの姿を話し合い、園の先生方に実践してもらっています。』と。これは、学校でも同じであるはずです。


☆子どもたちの「ひとみ」が輝くような、活動の導入をひと工夫しましょう。                                                      
今日はね、こんなことをやるよ」と表情豊かに語りかけます。                                                              
A君、教科書とノート開けてね」→「早いやん」                                              
Bさん、こっち見てね」→「うれしいな」と、普通できそうなことでも、ほめ言葉をかけながらです。(石の上にも3ヶ月です)                                                                      
考えさせたい所は、意識的に間(ま)をとります。(時間も気になりますが、笑顔で待てるのも教育です)


☆子ども一人ひとりの、その時その時の気持ちを、まず受けとめることから、かかわることを、基本としましょう。
「○○がくやしかったんやね」「○○がつらかったんやね」                                    
と教師が代わりに言ってくれ、自分の気持ちをわかってもらえたと感じた時、子どもは、そんな教師の語りかけには、耳をかたむけるようになります。思いを聞いてくれない先生の話を、子どもが聞くはずありません。


☆自分も人も大切にするための最小限のルールは、そのつど、伝えましょう。                       
ここまではOK」「これ以上はダメ」という、ぶれない一貫した姿勢を、その子には、                                                           
きみが大切だから言うよ」「自分を大事にしてほしいから言うよ」                                       
A君一人に言っているんじゃない。きみたち全員に言っているんだよ」                                               
と、周囲のみんなにも、言いそえながら伝えて、自分は関係ない、他人事という空気をなくし、教室の仲間意識を高めます。


☆何故この子はこんな言動をするのだろう、何がこの子をそうさせるのだろうということを語り合い、今のこの子をどう観るのかを保育士・教師集団で共有しながら関わりましょう。子どもの課題を、担任一人で抱え込んで悩まないことです。もっと同僚(同じ職場の仲間)を頼りにする勇気を持ちましょう。


☆「失敗は成功の元」を、クラスみんなに共有させましょう。                                       
失敗(手をあげて、指名されたのに、言えなかった)しても、
えらいね
とほめ、
緊張するもんなぁ
と、その子の気持ちに共感し、
なぁ、みんな
とクラスのみんなにも声をかけ、同意を求めます。


もはや、時代遅れの化石となってしまった、不信を生むだけの古い生徒指導(校則・規律重視、共感・自主性軽視)の例をいくつか挙げてみます。                                                                            ×「生徒に生徒を見張らせる生活点検(生徒の人間関係をズタズタに)


×点検の点数化による班・クラス評価(連帯責任?江戸時代じゃないのに五人組?)


×指導という名の威圧的支配(圧力をかけ続けられた子どもの2極化)


×子どもを怒鳴って統制する授業の導入(高飛車で上から目線だと、学びを拒否する子を増やす)


×生徒にベル着させても自分は平気で遅れてくる教師(教師自らが謙虚さのお手本を)


×校則を改正する気のない教師集団(生徒と共に学校づくりをしてほしい)


×問答無用の抜き打ち検査(そこには生徒と教師の信頼は生まれない)」


などを、キッパリと捨て去っている学校は荒れてなく、各教室の子どもたちの表情にも、温かい安心感が広がっていました。


こういう古い生徒指導にしがみついていると、教室が、学校が、子どもたちにとって、ストレスを受けまくる場になってしまいます。そういう現実に、みなさんの学校では、何人の同僚が気づいていますか?ご自身が気づいておられないなら、子どもたちの表情から何か感じませんか?あれっと思ったら、まず、


どうしたんや?」「困っていることはないんか?」と言葉をかけ、子どもの声に耳を傾けてみることをオススメします。私たち教師の、子どもの人権をいとおしむ人間力(体をはって子どもを守る気概)が問われています。そこでは、正しいことを伝える、教師からの一方通行では、信頼関係はつくれないと言えるでしょう。さあ、ギスギスした空気を温かな安心できる空気に変えるための、勇気ある「始めの1歩」を踏み出すために、職場で仲間を最低3人集めて、協同実践・共同提案してみてはどうでしょうか。(ほんまは、全教師が一致結束して始めることが大事なのですが)


例えば、子どもたちを絵本の読み聞かせに集中させたかったら、


「みんな、(絵本が)見えるか?」と聞くのではなく、


「(絵本が)見えてへん子は、いないかなぁ?」と聞くだけで、子どもの反応がちがう(みんなが絵本のほうを見てくれる)と、保育のスペシャリストの方がテレビ番組で言っておられましたが、子どもに何を問いかけるか、という点で、私も同感です。


まずは、次の2つの☆について、自分をふり返ってみませんか。教師の基本に戻る「ふり返り:2項目」という意味で・・。


子どもを『ほめる』ということは、子どもを評価するということではありません。子どものがんばり、成長を見つけて、教師の喜びを伝えていくということです。


子どもを『しかる』ということは、子どもに腹を立てるということではありません。子どもが、自分も他人も大切にできるように、1つずつ、教えていくということです。


以上、「荒れ」「くずれ」「いじめ」をなくすためのベースは、学校ぐるみ(全クラス)で授業そのものに発想の転換をはかることしかなく、その事例を集めてみました。問題行動への個別対応だけでは、「荒れ」「くずれ」「いじめ」が起こりやすい教室の空気・ムードを変えることは、なかなかできないからです。


出発点は、子どもの声・つぶやきに耳をすまし、耳を傾け、最後まで聴くことを、全教師がさぼらず、やりきることではないでしょうか!それに共感したり、ふむふむと言ったり、「困ったねえ」と言いつつ、「よく言ってくれたね。うれしかった。先生は絶対に応援するし・・」などと返しながら、次の日にも、その翌日にも、声かけを惜しまないことです。


その分、研究紀要の原稿をわざわざつくるのを廃止したり、研究授業の指導案は、あっても略案にしたりするなど、学校全体で、間接的な仕事の負担軽減を工夫して、子どもに直接関われる時間を確保しておられる学校が増えつつあります。そういう学校の先生方が子どもを観る視線は温かく、対応はしなやかでした。いずれも、①②③④を心がけながら、協同的な聴き合う学びの授業にチャレンジされている学校で起こっている事実です。「いじめ」や「不登校」が起こりやすい「荒れ」「くずれ」がなくなり、子どもたちの表情に「安心感」「学ぶ意欲」が、子ども同士に「おだやかな信頼関係」が満ちあふれていました。私は、それを、愛知県・三重県・滋賀県の小中高6校で、目の当たりにし、目からウロコだったのです。


説教・指導・反省文のくり返しと、もぐらたたきに終始していたら、イジメをなくすことはできません。そういう意味では、学期始めこそ、「授業改革」(クラスの人間関係づくり:まず、子どもと教師。そして、子どもと子ども)を核にした「学校づくり」の再構築(困っているクラスには、担任以外の教師たちもどんどん授業者として教室に入る方法をとっている小学校もあります)にとりかかる最大のチャンスではないでしょうか(学期途中でも、気づいた時がスタートだと思うのですが、いかがでしょう)。 


以上、他の記事と、いっぱい重複していますが、学級崩壊やいじめ問題を防ぎ、不登校を減らすために、これらを取り入れている先生方が、確かな手応えを感じておられる具体策の紹介でした。



次のイラストは、子どもたちの日記帳(おもて表紙の裏側)に貼らせたイラストです。子どもたちは、何を書こうか・・と困った時は、このイラストをじーっと見て、思い出したように書き始めました。そんな「きっかけ」になるイラストでした。石井順治先生に教えてもらったイラストに手を加えたものです。オススメです。どうぞ、このアイデア、ご活用ください。

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by takaboo-54p125 | 2017-04-30 05:25 | 保育・教育

この記事は、どちらかと言うと、小中学校をイメージした内容が多いので、保育園・幼稚園の先生方には、次の2記事のほうがフィットするのではないかと思います。


幼児の心を育てる「信頼関係づくり」の保育を保育園も幼稚園も進めましょう

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幼小連携:保育園・幼稚園がめざす「理念」を、保護者も納得してから入園してもらうことの意味【園と家庭が手を結べるため】

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担任が意識したい(できる)こと・・・10か条


1,担任が笑顔で「おはよう」と言うと、子どもも元気が出ます。
2,担任が楽しそうに歌うと、子どもも歌うのが楽しくなります。
3,担任が遊ぶのを楽しむと、子どもも遊ぶのが楽しくなります。
4,担任が「うんうん」とうなずくと、子どもも満足できます。
5,担任が気持ちに共感してやると、子どももうれしくなります。
6,担任が「困ってるの?」と聞くと、子どももしゃべります。
7,担任が「えらいねぇ」とほめると、子どももやる気が出ます。
8,担任が「大丈夫だよ」と支えると、子どもも自信を持てます。
9,担任が共に心から喜ぶと、子どもの喜びも2倍になります。
10担任がどっしりしていると、子どももなぜか安心できます。


①子どもの心に伝わる教師の言葉(子どもと向き合う時、はずせない基本線)


私たち保育士・教師は、よく次のような言い方を、ついつい、子どもたちにしてしまいます。
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
などです。子どもたちには、イメージしにくい言葉なのです。年令が小さいほど、どうしていいかわからない、あいまいな言葉だと言えます。ですから、大声で、「しっかりして」「ちゃんとして」「うるさい」「まだか」「はやく」「おそい」などと怒鳴るより、『できて当然のこと』でも(今の時代の子どもたちにはどうしても、これらが必要なのでしょう↓)、


みんな、すわろうね~おっ、早くすわれたね」(以下、いずれも笑顔で)                                                       
教科書の何ページを開けてね~うん、みんなが開けたね」                                                             
シーッ!お話するのをやめようね~静かになったね」                             
A君のお話を聞いてあげよ~聞いてもらえるとうれしいね」                     
Bさんの意見、聞いてあげよ~Bさんの気持ちわかってきたね」                              
先生のお話を聞いてね~聞いてくれてありがとうね」                                                      
みんな2列に並んでね~すごく早く並べたねぇ。気持ちいいな」                                                             
と、その場面に応じて、子どもにしてほしい具体的な言い方で、子どもたちがイメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん、子どもたちが受けとめてくれたら、必ず目を見て具体的にほめることも忘れてはいけませんよね(継続すると、しかる〔注意する〕回数が徐々に減ります)。                                                          
保育者・教師が笑顔でいるとクラス・教室に「楽しい空気」「心地よい雰囲気」を広げます。それは即、子どもに伝わります(学び合う楽しさは伝染するということです)。


また、「ダメ!」「やめい!」「あかん!」「何してんの!」「さっき言ったやろ!」などと言ってしまう、否定的な指示語も、緊急を要する時以外は、やさしく、しっとりと、                                                             
どうしたの?」「何かあったの?」→(やりとり)→「どうしたい?」
こういう時は、Aをすると、うまくいくと思うよ。どう思う?」
そういう時は、先にBかCをしてみるといいと思うよ。どう思う?」というふうに、ダメの中身を、具体的に伝えるほうが、子どもも素直に受け入れやすい言葉がけです(可能なら、複数提案して自己決定を促します)。


▲授業中、できるだけ減らしたい教師の言葉(大声、どなり声、命令する声)
「こらっ!」「静かに!」「わかった人?」「できた人?」「他にない?」「発表して」 


◎授業中、できるだけ増やしたい教師の言葉(柔らかな、大きくない、ゆっくりした声)           


困っていることはないか?」(できた人?と聞くより、子どもはうれしいし、安心できます)                                                         
先生にも聴かせてほしいな」(わかった人?と聞くより、子どもが発言しやすい聞き方です)                                             
みんなに聴いてほしいこと、ないか?」(発表して!と言うより、子どもも言いたくなる聞き方です)                                                        
グループで話し合って、気づいたこと、聴かせて」(班のまとめより、個人の気づきを聴きます)                                                            
わからない所は、隣の人に聞いてごらん」(困ったら遠慮せず「教えて」と言える教室・子どもに育てたいので)                                       
わかりにくかったら、周りの人と相談して」(聞かれたら気軽に教えてあげる教室の空気もつくりたいので)                                                                        
「C君の意見は、みんなが考えつかなかったものやね」(たとえ的外れな発言でも)                              
「D君の言いたいことの続きがうかんだ人、いるかな?」(モゴモゴ発言の時に、[他にない?]と切り捨てない)
「Eさんの言いたいのは、たぶんこうだと言える人、いるかな?」(小声のボソボソ発言や、発言につまった時に、[他にない?]と切り捨てない) 


② 子どもたちの表情が生き生きしている学校・園(保幼小中高養)の共通点


教師の負担軽減を、学校ぐるみで工夫・実現されていました         


全教職員が集まる会議を減らす(全体会議を月1回にする工夫)                                             
研究紀要の冊子を作らない(原稿を書く労力を授業づくりへ)                                            
園内研・校内研で指導案(細案)を配らない(本時の略案程度)


【教師主導の一斉授業から見えてきた教師の姿(聞く耳を持たない教師の姿)】      


×教え込もうとする気持ちが強く、子どもの声を大切にしていない教師の姿。                                                  
×自分の意図する子どもの発言にばかり、すぐに飛びつく教師の姿。                                                                
×指導案どおりに進めようと、子どもの疑問やつぶやきを切り捨てる教師の姿。


教師が子どもの話を聞けるようになると、教師の話を聞ける子どもが育ちます


各教室で、各担任が、これまでの習慣「ハンドサイン」「聞く態度・聞く姿勢」「声の大きさ1,2,3」という形式的な指導をやめて、「聴き合う学び」を導入するにつれて、子どもたちも安心して学ぶ姿へ変容してきました。その根底に流れているのは、「聴く教師の元で、聴く子どもは育つ」ということです。


学校ぐるみで、全教師が意識的に取り組んでおられました                


教室の机の配置(話し合う時)はコの字型にする(発言する子の表情を見られるように)                                                     
子どもを「こらっ」と怒鳴って統制しない(どの教師の声も柔らかさを)                                                         
「わかった人?」「できた人?」を言わず「困っていることはない?」                                                            
子どもにも「わからへん」「ここ、どうするの?」と周囲の子に聞く習慣を                                                
グループ学習を取り入れ、聴き合う活動を大切に(最大4人男女混合班)                                                    
教室に「聴き合う空気感」を生み出すため、教師が促す言葉がけを続けよう                                                  
全員が年1回は授業公開をし、各自が学んだことを1人1発言以上                                                   
どの教師も「無理、ダメ、できない」というマイナス思考発言を連発しない                                               
授業中は、子どもと子どもの「つながり」「交わり」「戻し」の役割に徹しよう                                              
どのクラスも、朝読書を取り入れている(もちろん中学校・高校でも)
机間支援では支援行動をする(ひざも汚れるはず。あちこちの小中高の公開授業研の授業を観ていると、机間巡視は戦前の言葉、机間指導は昭和の頃の言葉に聞こえてきます)                                                                       


聴くこと「日頃から子ども・教師が意識したいこと」を大事に              


まず、教師が1人ひとりの子どもの声に、いつも耳をすます                                                           
ていねいに聴く(急がない。矢継ぎ早に指名しない。意見に飛びつかない)                                                                 
どの子のどんな発言も大切に受けとめる

小さなつぶやき、予想外の発言にもしっかり耳を傾ける習慣を                                                
子どもの「まちがい」や「わからない」ということを出発点に                                                              
多様な意見から、大事な「つながり」を見つけ出す                                                                    
互いの意見の共通点・相違点から、何らかの「気づき」を発見しよう                                                               
意欲を持続させようとする工夫をする(4人で相談 ペアでも 音読を多く)                                                      
いつでも誰かが話を聴いてくれるという、教室の雰囲気をつくる                                           
教師自身が大声を上げすぎず、静かに聴くお手本を見せる                                                  
話し合いだけが「聴き合う学び」ではなく、「教え合い」は「聴き合う学び」ではない                                                           
生活の全てが、「聴き合う学び」であるという認識に立った支援・指導を


聴くこと「授業の中で特に教師が意識すること」を大事に             


話し合う場面で教師も子どもと同じ目線で話が聴けるよう、いすに座ろう                                            
板書・不必要なリボイスで、子ども同士のつながりを切ることあり(要注意)                                             
用意した意見を言い合う時間より、聴き合いながら話し合う時間を増やそう                                             
「学ぶ」謙虚な気持ちで、教師自身も1人ひとりを尊重することを忘れないようにしよう                                                     
自分で発言する喜びより、聴く喜びを感じさせ、自然な対話が生まれるためにも、友だちに向かって静かにゆっくり話すようにさせたい


子どもの学びをさまたげてしまう教師の言葉


過敏な子は耳をふさぎ落ち着いて座っていられなくなり、挙手した子から「ちぇっ」「先に言われてしまった」と言われる、そんな「ハイハイ発言」を増やしてしまう教師の言葉を次に挙げてみます。その言葉は、子ども同士の発言をつながないから、言いっぱなしになってしまい、聴き合うことができにくくなり、結果として伝え合う関係づくりができなくなります。こうして、いじめの起きやすい温床が生まれることにつながるのです。                        


×「他にない?」(直前の発言を切り捨て、羅列的な意見発表会になってしまう)                                                                
×「なぜ」「どうして」(物語文では理屈っぽくなり、本文を読み味わえない)                                                        
×「わかった人?」「できた人?」(こう言われると、子どもは「わからない」「できてない」と言えなくなる)                                                        
×「さん、はい」(一斉にそろえることより、個々のリズムを大切にしよう)                                                              
×「発表してください」(聴くことが忘れられる→聴き合おうと意識させたい)


以上は、他県の小学校でいただいた資料を元にしていますが、保幼や中高養でも、充分活用できる内容ですし、応用して採り入れている学校・園もあります。                                                          
かつて、私は恥ずかしながら、すぐ「他にない?」「わかった人」「できた人」「発表して」と言っていました(反省です)。


困っていることはないか?」「先生にも聴かせてほしいな」「みんなに聴いてほしいことあるか?」「グループで話し合って気づいたことを聴かせて」を基本にしつつ、まず【子どもの声に耳を傾ける】姿勢でいたいと、つくづく我が身を省みております。【保育者・教師に聴いてもらえる心地よさ】を体感した子どもは、きっと保育者・教師の話も聴いてくれることでしょう。


市内の全小中学校で授業改革に取り組まれた、茨城県の中学校の校長先生は当時、こう述べておられます。


『できる子が教えて、できない子だけが底上げされるのでは困ると言う人がいます。でも、それは違うと自信を持って言えます。実は(グループ内で聞かれて)教えている生徒たちの伸びのほうが大きいのです。できる生徒たちにとっても高い課題をやることで学力が伸びますし、もう1つは人に教えることで、自分の知識が整理されたり、定着したり、伝える時に論理性が伸びたり、あらゆる力が伸びるのです。』と。また、


『できない子どもは教えてという言葉が言えずに押し黙ってしまいます。だから授業中にすごく苦しい思いをしているんですよ。でも生徒同士が互いに学べるような環境をつくってあげれば、教えてと言えるようになります。教えてもらうのを待っている子どもは、社会に出ても指示を待つ人間になってしまいます。しかし、教えてと言える子どもならば、社会に出てから誰かに依存しながらも、人とうまく人間関係をつくり、自立して生きていく力を持った人間に育っていくでしょう。』とも。


忘れてはならないのは、最初から「学力向上」だけをねらって取り組むと、必ず失敗に終わるということです。授業づくりを核にした学校づくりに成功している所は、必ず最初は、いじめ問題や人間関係のトラブルを解決するため、授業づくりを通して、子どもが互いにケアし合い学び合える温かい集団に育てていくという共通目標の元で、協同的な学びの取り組みを始めておられます。そして、聴くことを大事にしながら「荒れ」や「くずれ」を克服した結果、後から「学力向上」もついて来た、という学校がほとんどなのです。職員室でも、研究会でも、子どもの固有名詞が自然に飛び交います。当然、報告連絡相談をする空気にあふれた教師集団になっているのです。教師の個性が発揮された授業が展開される学校になります。


逆に、学校に組織力(報告連絡相談をする空気)がない場合、子どもの要求で余計な物を持参OKすることが、物わかりのいい担任だと自分勝手な判断をする教師や、引き継ぎ・申し合わせを無視した自己流で、担任以外の指導が入らない学級王国づくりをしてしまう教師が出現してしまいます。いずれも教師の個性を発揮することを完ぺきに勘違いし、周囲のクラス・学年は大混乱になります。


こうして、私なりに得心したことをふり返ってみると、組織力のある学校・園の先生方がチャレンジされていることは、小手先の保育・授業のノウハウやマニュアルではなく、子どもたちの声に耳をすましながら、「子どもたちとの信頼関係を保育・授業の中で構築しよう」とされているのではないか、ということでした。                                                              
聴き合う関係づくり」によってこそ実現する「対話し合えるコミュニケーション力の育成」であるとも言えます。そして、保育者・教師と子どもの間に生まれた信頼関係は、保育・授業(教室)の空気として、「子ども同士の信頼関係」をも、引き出していくのだ、ということがひしひしと伝わってきました。


③ クラスの子どもを「頼り」にすることで、子どもの自尊感情は高まります


日本理化学工業と言えば、チョークを作っている工場で、知的障害者を積極的に雇用している会社ですが、大山泰弘会長の著書には次のようなことが書いてあります。
「人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の四つです。働くことによって愛以外の3つの幸せが得られます」と。
これがクラスなら、「担任に愛されること」「担任にほめられること」「担任の役に立つこと」「担任から必要とされること」が子どもたちの幸せです。担任+友だちなら、最高の幸せです。どうか、クラスの子どもたち1人ひとりを、今まで以上に、『頼り』にしてやりたいものです。とりわけ、気になる子どもや、目立たぬ子どもには、より意識的に、です。


子ども一人ひとりの自尊感情・自己肯定感・自己評価を高めるかかわり方を大切にしましょう。
あなたがこの教室にいてくれてうれしいよ
きみが今日、来てくれたことがうれしいで
をベースにして、日々、子どもが自分は大事な存在だと思ってもらっているんだと感じられるようなメッセージを語ることを、毎日くり返します。


スモール・ステップ(私は「ミニプチ・ステップ」と呼んでいます)を与えて、ほめることを意識的に取り組みましょう。                                
「Aを手伝って」「Bをするといいと思うけど、どう?」→子どもがやろうとする(ほんの少しでも意欲・努力・苦労の跡を決して見逃さず)→「助かったわぁ」「よくがんばったね」「ありがとう」など                                         
の積み重ねによって、子どもは「どうせ、ボク(私)なんか・・・」と思わなくなり、笑顔が増え、自分を好きになります。すると、子どもの心の中に、だんだん自信と意欲が芽生えてきます。


その子が本来持っている力(かくれて見えないけど、きっと内側にあるはずの力)を、出したくなるような工夫をしましょう。
朝の出会いを大切に。笑顔ですてきな「おはよう」を。                                                   
子どもと共に掃除・昼食・遊びをしながら、気軽な世間話を。                                 
教師の失敗談・ズッコケ経験話を明るく語ってあげよう。                                     
いっしょに野菜や花を育てる活動を、毎日少しずつ楽しもう。


気になる子にこそ、何かを頼んで少しでもやろうとしてくれたら、担任の感謝の気持ち「ありがとう」をその都度言おう。                                                               
帰りの会、日記の返事、連絡帳、電話、退勤時のちょこっと訪宅などで、その日、その子のキラリと光る姿を、本人や保護者へ、具体的に伝える労力を惜しまない(信頼の糸をつむぐ)。足を運べば誠意が伝わる。電話で済ませば誤解が伝わる


④ 子どものコミュニケーション能力が育つために、どうしても必要な教師の関わり方


静岡県浜松市の「あすなろ幼稚園」の坂本園長先生が、幼児期に培っておきたい力として「コミュニケーション能力が育つ」ことについて、次のように述べておられます。
『子どもを本当に好きになれる先生になりたいと、日々子どもから学ぼうとする体験を積んでいる先生ならば、子どもへの言葉がけの質がちがいます。そうすると、園の子どもは、先生から本当の「やさしさ」を感じます。「自分をちゃんと受け入れてくれる!」そんな安心感があるからこそ、「友だちをちゃんと受け入れられる」という高いコミュニケーション能力が、育っていきます。                                           
○先生に信じてもらえるからこそ、自分を信じることができる。                                                      
○先生に好きになってもらえるからこそ、自分を好きになることができる。                                                 
○自分を大切にすることができるからこそ、友だちを大切にすることができる。
                                              

このテーマで、常に子どもの姿を話し合い、園の先生方に実践してもらっています。』と。これは学校でも、子どもと先生の人間関係づくりの出発点として、同じではないでしょうか。


近年亡くなられた数学者の森毅(つよし)さんの印象的な、かみしめたい「ひと言」です([ ]は私の補足)。
学びは人間関係の中に成立します。」
正しさは伝わりません。[学ぶ]楽しさはうつります。」


子どもたちの「ひとみ」が輝くような活動の導入について、ひと工夫しましょう。                                                       
今日はね、こんなことをやるよ」と表情豊かに語りかけます。                                                              
「A君、教科書とノート開けてね」→「早いやん」                                              
「Bさん、こっち見てね」→「うれしいな」と、できそうなことでも、ほめ言葉をかけながらです(石の上にも3ヶ月)。                                                                                     
考えさせたい所は、意識的に間(ま)をとります。あせらないで、子どもが考えるのを笑顔で待つのも大事です。


子ども一人ひとりの、その時その時の気持ちを、まず受けとめることから関わることを、基本としましょう。
○○がくやしかったんやね」「○○がつらかったんやね」                                    
と保育者・教師が代わりに言ってくれ、自分の気持ちをわかってもらえたと感じた時、子どもは、そんな保育者・教師の語りかけには、耳をかたむけるようになります。自分の気持ちを聞いてくれない先生の話を、子どもが聞くはずありません(聴くお手本になることが出発点です)。


自分も人も大切にするための最小限のルールは、そのつど、具体的に伝えましょう。                       
ここまではOK」「これ以上はダメ」という姿勢を、その子には、                                                            
「Cきみが大切だから言うよ」「あなたが自分を大事にしてほしいから言うよ」                                       
「C君1人に言っているんじゃない。きみたち全員に言っているんだよ。自分のことだと思って聞いて」                                                     
と、周囲のみんなにも言いそえながら伝えて、自分は関係ない(他人事)という空気をなくし、教室の仲間意識を高めます。


何故この子はこんな言動をするのだろう、何がこの子をそうさせるのだろうということを語り合い、今のこの子をどう観るのかを教師集団で共有しながら関わりましょう。
子どもの課題を、担任一人で抱え込んで悩まないことです。
もっと同僚(職場の仲間)を頼りにする勇気を持ちましょう。


「失敗は成功の元」を、クラスみんなに共有させましょう。                                       
失敗(手をあげて、指名されたのに、言えなかった)しても、
えらいねとほめ、
緊張するもんなぁと、その子の気持ちに共感し、
なぁ、みんなとクラスのみんなにも声をかけます。


⑤ 授業づくりに「聴き合う学び」を採り入れると、結果として不登校も減ります


積極的な生徒指導(聴くことを大事にし、日々「ケアの心」を怠らない児童生徒支援)を、授業中にも採り入れましょう。


もはや、時代遅れの化石となった、不信を生むだけの古い生徒指導(校則・規律重視、共感・自主性軽視)


×生徒に生徒を見張らせる生活点検        (生徒の人間関係をズタズタに)


×点検の点数化による班・クラス評価       (連帯責任?江戸時代じゃないのに五人組?)


×指導という名の威圧的支配           (圧力をかけ続けられた子どもの2極化)


×子どもを怒鳴って統制する授業の導入      (高飛車で上から目線だと、学びを拒否する子を増やす)


×生徒にベル着させても自分は平気で遅れてくる教師(教師自らが謙虚さのお手本を)


×校則を改正する気のない教師集団        (生徒と共に学校づくりをしてほしい)


×問答無用の抜き打ち検査            (そこには生徒と教師の信頼は生まれない)


などは、キッパリと捨て去っている学校(全校教師集団)になると言いかえることもできます。


この古い生徒指導にしがみついていると、教室が、学校が、子どもたちにとって、ストレスを受けまくる場になってしまいます。そういう現実に、みなさんの学校では、何人の同僚が気づいていますか?ご自身が気づいておられないなら、子どもたちの表情から何か感じませんか?あれっと思ったら、まず、「どうしたんや?」「困っていることはないんか?」と言葉をかけ、子どもの声に耳を傾けてみることをオススメします。私たち教師の、子どもの人権をいとおしむ人間力が問われています。私もそう自ら戒めながら、学生に向き合っているつもりです。(実際にできているか、自信はありませんが)正しいことを伝える一方通行では、信頼関係はつくれないということだけは言えるでしょう。さあ、ギスギスした空気を温かな空気に変えるための、勇気ある「始めの1歩」を踏み出すために、職場で仲間を3人集めて、協同実践してみてはどうでしょうか。


例えば、子どもたちを絵本の読み聞かせに集中させたかったら、「みんな、(絵本が)見えるか?」と聞くのではなく、「(絵本が)見えてない子は、いないかな?」と聞くだけで、子どもの反応がちがう(みんなが絵本のほうを見てくれる)と、保育のスペシャリストの方がテレビ番組で言っておられましたが、子どもに何を問いかけるか、という点で、私も同感です。


県内の各学校の実践から


A、荒れを克服するため、全教師が、担当する授業の「始まりのチャイム」を、教室の中で聞くことを実践されている中学校もあります。始まりのチャイムで、さっと座る生徒が増えます。


B、「どの先生も、同じことを、同じ気持ちで言わはる


と子どもたちに思わせるために、日頃から「報告・連絡・相談」を絶やさないようにして、教師が組織的に連動して動く小学校・中学校もあります。それを子どもはちゃんと見ています。


C、担任していないクラスの子のキラッと輝く姿を見つけた教師が、メモに書いて職員室の担任の机上に置いておく「キラッと見つけ」の取り組みを、全教師が「学校ぐるみ」でしている小学校・中学校もあります。トイレ掃除など、その場で担任以外の教師からほめられた子どもが、後から教室で担任からもほめてもらえる、そんなステキな取り組みです。


D、「授業中は、どの教師が教室に入ってきてもよい」=授業中の教室に他の先生も来ることが、子どもたちにも当たり前になっている、という小学校・中学校・高校もあります。学級王国ではなく、全教師で全校の子どもを育てる雰囲気が生まれます。


E、班作り・給食で「好きな者同士のない」小学校、お楽しみ会の「おやつ持参のない」小学校、「色ペン・シャーペン」も会議で検討する小学校もあります(教師の対応がバラバラだと荒れます)。


面倒ですが、ABCDEをしていると、教師間の垣根(へんなプライド)が低くなります。なお、会議でABCDEを提案する時は、事前に最少で3人の仲間(提案1・賛成2)が必要になります。


そして、教室に「聴き合う空気」が浸透するにつれ、増えていく子どもの姿(聞く&答える)


「ここ、どうするの?」「これ、何と読むの?」「これ、どういう意味?」「ここ、わからへん」「ここ、教えて」など、こういう発言が飛び交う教室(学年・学校)をめざしましょう。


まずは、次の2つのについて、自分をふり返ってみませんか。保育士・保育者・教師・授業者・担任等の基本に戻る「ふり返り:2項目」という意味で・・。


子どもを『ほめる』ということは、子どもを評価することではありません。子どものがんばり(努力・苦労・工夫)・成長を見つけて伝え、教師自身のその喜びを伝えていくということです。               


子どもを『しかる』ということは、子どもに腹を立てる(怒りをぶつけ怒鳴る)ことではありません。子どもが、自分も他人も大切にできるように、1つずつ具体的に教えていくということです。


以上、[荒れ-くずれ-いじめ]をなくすためのベースは、学校ぐるみ(全学級)で授業そのものに発想の転換をはかることしかなく、その具体策を集めました。個別対応だけでは、[荒れ-くずれ-いじめ]が起こりやすい教室の空気を変えることは、なかなかできないからです(引き継ぎでは、[状況]より[対応]を引き継ぎましょう)。


関連ページ(記事)


協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑤『教師の話し方・聴き方:ことばが届く、つながりが生まれる』(石井順治氏の基本「ケア」の心)

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898388/


「パパママ育児①」今すぐ始められる【子育てのポイント1~10】『心育て・親育ち』のミニプチ・ステップ)

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by takaboo-54p125 | 2017-04-08 05:34 | 保育・教育

『担任の発想の転換がクラスの雰囲気を変えます』


担任が意識したい(できる)こと・・・10か条


1,担任が笑顔で「おはよう」と言うと、子どもも元気が出ます。
2,担任が楽しそうに歌うと、子どもも歌うのが楽しくなります。
3,担任が遊ぶのを楽しむと、子どもも遊ぶのが楽しくなります。
4,担任が「うんうん」とうなずくと、子どもも満足できます。
5,担任が気持ちに共感してやると、子どももうれしくなります。
6,担任が「困ってるの?」と聞くと、子どももしゃべります。
7,担任が「えらいねぇ」とほめると、子どももやる気が出ます。
8,担任が「大丈夫だよ」と支えると、子どもも自信を持てます。
9,担任が共に心から喜ぶと、子どもの喜びも2倍になります。
10担任がどっしりしていると、子どももなぜか安心できます。


「子どもと向き合う4月の教室」より
 
子どもの不安を安心に変える笑顔の働きかけを


子どもたちの不安を取り除く「とっておきの武器」はクラス担任の笑顔と元気です。そんなクラス担任から、
君たちに出会えてうれしいよ。早く君たちに会いたいなと思っていたで
と言ってもらったら、子どもたちには、最高にうれしい初日になるでしょう。


初日欠席の子には、出遅れてしまったという、大きな不安感・焦燥感を一刻も早く消してあげたいものです。初日に休んだ子には、少なくとも担任直筆のお手紙と電話を(初対面の子なら、足を運ぶことをためらわずに)、二日続けて休んだら、必ず足を運んで訪宅してあげたいですね。
担任の先生は、ぼく(わたし)のことを、ちゃんと心に留めていてくれるんだな
と思った子は、自分だけが取り残されたとは感じないでしょう。「欠席1日目の子には手紙を書き、電話をかける、欠席が2日続いた子には訪宅する」このことは、1年間を通して、クラス担任として大事にしたいことの一つではないでしょうか。


ガラガラッと教室のドアを開けて、クラス担任が元気いっぱい「おはよう」と言う時は、教室中に新鮮な風が吹き抜ける瞬間です。すぐに「おはよう」と返してくれる子、つぶやくようにモゴモゴって言う子、黙っている子、反応はさまざまです。しかし、全員の心に届かせようとクラス担任が意識した「おはよう」は、きっとどの子の心にも届いているのではないでしょうか。


毎日、ステキな朝の出会いを意識しましょう。そして、教壇の前に立って、朝のあいさつをする時は、まず一番後ろの両隅の子どもたちを見てから、一番前の両隅の子どもたちまで見ます。つまり、教室の子どもたち全員をサッと見渡してから、あいさつしましょう。お話をする時も同様に、教室という空間にいる全員の子どもを見渡してから、しゃべることで、教師の声の届き具合(どの子にもという意味)が違ってきます。子どもたちから視線をはずさないというか、常に子どもたちの顔を視野に入れながら語ります。そして、大事なところでは、一瞬の間(ま)を入れます。もちろん笑顔がいいですね。間延びしては逆効果ですが、一瞬の間は、子どもたちの聴く集中力を高めます。


先生はぼく(わたし)に声をかけてくれるかな


子どもたちのクラス担任への共通の願いは、担任の先生はぼく(わたし)の気持ちを受けとめてくれるかな、受けとめてほしいな、ということではないでしょうか。ぼく(わたし)に、いつ声をかけてくれはるかな、と待っている子も多いと思います。1日中、一度も声をかけてもらえない子がいたとしたら、どんなにさびしいことでしょう。と言うのは簡単ですが、クラス担任の仕事は山ほどあります。それでも、一日も早く子ども一人ひとりとの信頼関係を築きたかったら、朝の会から帰りの会までの間のどこかで、学級の子ども全員に声かけをするぞ、という心意気で臨みたいものです。


朝の健康観察でクラス担任が一番大切にしなければならないことは、子ども一人ひとりと目と目を合わせて「○○さん」と呼びかけることです。子どものまなざし、表情、仕草、返事、声の状態を、毎朝どの子にも目と目を合わせて健康観察するのを続けていると、
その子が心から元気に出席しているのか、
その子がイライラした心で出席しているのか、
その子が沈んだ心で仕方なく出席しているのか、
今日の気になる状況の子はこの子とあの子というふうに、一瞬で感じるようになります。そうなれば、その日、声かけを意識的にしてやらなあかん子がカウントできます。気になる子には、そっと声をかけます。それで、家で何かあったことを背負ったまま登校してきたことがわかれば、保護者への対応が必要か職員間で相談できます。朝の登校中や朝自習の時などにあった子ども同士のトラブルを引きずっていれば、話を聞いてあげて、対処することもできます。保育士・教師は忙しい仕事ですから、後手に回るより、先手必勝です。つまり、朝の健康観察こそ、積極的な生徒指導のシンプルな実践なのです。


大事にしたいのは、担任の声の柔らかさです。1人ひとりの子どもの名前を呼ぶ時、わが子をいつくしむように優しくよびかけることです。必ず目を見てあげ呼名をしましょう。そんな担任と目を合わせられない子がいても、しからないでください。心が落ち着かない状態で登校してきた子だという印です。反応を見ながら、再度呼びかけて目を合わせてくれたら、「うれしいな」と言ってあげてもいいのです。それでも、目が合わせられない子もいます。それなら、こちらから歩み寄って、その子と同じ視線の高さで(低学年ならひざをついて)名前を呼ぶと、案外、ちらっと目を一瞬合わせてくれるものです。ここまでしてやっているのに、なんて思ってはいけません。1人ひとりの心の状態を確かめているのですから、笑顔を忘れないでください。子どもが目を合わさないことには、必ず理由があるからです。長い目で見てあげましょう。


子どもが自分の先生だと実感できる瞬間


担任がただ黒板の前で語っているだけでは、「ぼく(わたし)の先生の話やで聞くぞ」と子どもたちが耳を傾けて聞こうとする関係には、なかなかたどりつけません。子どもらは聞いているふりをしているだけ(下手をしたらざわついているだけ)です。つまり、一緒に遊んでくれない先生って、子どもら(とりわけ小学校の下学年)には、ただの口うるさいおじさん、おばさんにしか映らない傾向は年々強くなっています。 子ども一人ひとりと、つながりのパイプ(信頼関係の土台)をつくれるかどうかは最初が肝心です。超忙しい4月の約3週間こそ、短時間でもふれ合える時間をつくりましょう。保育士の先生は、子どもと遊ぶのが教師より上手なので、感心します。


忙しいけど、子どもたちといっしょに遊ぼう!
子どもらの中に飛び込んで、子どもらといっしょに遊ぶことを、ぜひともしてみましょう。自分の忙しさや疲れと相談しながら、自分の体力相応でよいと思います。5分でも、10分でも、とにかくいっしょに遊んでくれはる保育士・教師は、子どもたちには、あっという間にステキな先生・ぼくら(わたしら)の先生になってしまうから不思議です。時間が惜しいと思わず、ちょこっとやってみてください。そんな担任の話には、子どもたちは徐々に耳を傾けるようになります。


忙しいけど、子どもたちと共に掃除をしよう!
掃除の時間は遊び以上に、子どもと先生が何かをしながら言葉を交わし合えるという点で、より自然な雰囲気でコミュニケーションができる場です。
「A君、ここ、ほうきではいて」→「ありがとうな」
「Bさん、ここ、ぞうきんでふいて」→「上手やなぁ」

こうして担任もほうきではきながら、子どもらと共に机も運び、ぞうきんがけも指示します。そして、その都度、「ありがとうな」「がんばったなぁ」「助かったわぁ」「うれしいな」「よく工夫してくれたね」などを連発するのです。そうすると、はりきって掃除をする子、いっしょうけんめいする子がだんだんふえていきます。さぼりがちな子には、
「C君、この机いっしょに運んで」→「先生、助かったわぁ」
と、わざと指名して、いっしょにやって、ほめます。掃除の時間は、こういうスモールステップ(ちょっとがんばればできること)の指示を出しまくりましょう。そして、必ずほめるのです。掃除の時間を、ほめるための時間にするか、しかるための時間にするかの、分かれ道は、先生が子どもと共に掃除をするか、しないか、だと私は思うのですが・・。


子どものやる気を育てる先生の言葉とは


当番活動、係活動、給食当番、掃除など、各クラスがぼちぼち動き始めました。うまくいかないことも当然あります。となりの教室がてきぱきやっていると、自分のクラスも早く軌道に乗せたいと思うのが人情です。でも、あせりは禁物です。今は、結果を求める時期ではありません。畑仕事に例えれば、今は、水をまく時期だと、自分に言い聞かせましょう。水とは、担任が発信する『そのひと言』です。


働くことをいとわない子に、働くことが好きな子に
「だめやなぁ」「できてへんやん」「なにしてんの」「ほんまにやったんか」「こんなこともやれへんのか」「さっき言ったやろ」「どこ聞いてたんや」「去年、なにやってたんや」などの、否定的な言葉は禁句です。これらは、やっぱり言わないのが原則だと思います。
「ちょっと力をかして」→「ありがとうな」
「ちょっと助けて」→「ようやってくれたなぁ」
「ちょっと手伝って」→「うれしいわぁ」
「がんばってみぃ」→「がんばったんやなぁ」
「工夫してみぃ」→「よく考えたねぇ」

など、結果・出来映えを求めず(できて当たり前と思わず)、その仕事を通して、その子の心(やる気)を育てる言葉がけを日々したいですね。花の水やりが毎日欠かせないのと同じで、「スモールステップを子どもに与えて、取り組ませて、ほめる」のも、毎日続けることに意味があります。『心の水やり』と言ったらいいでしょうか。


さらに言うなら、「ごめんね」と言えるのが、ほんまもんの先生です。先生だって人間ですから、失敗もします。時間に遅れることもあります。失言もします。言い過ぎたり、決めつけてしまうこともあります。それは、たいてい忙しい時や、焦っている時や、疲れている時です。まず、そのことに、自分でハッと気づける先生でありたいものです。そして、子どもに
「先生がわるかった。ごめんな」
「先生、言い過ぎた。すまない」

と、あやまれる先生でありたいと思います。先生が自分の失敗・失言を率直にわびることで、子どもたちはあやまることの大切さを学びます。先生への信頼感も深まります。先生があやまることのお手本を見せることで、素直にゴメンが言える子を育てていくのかな・・。


「子どもと向き合う5月の教室」より


保育・学習の導入だけは保育士・教師間で交流しよう


ただでさえ忙しい職員室ですから、最低限、日々の授業の導入だけでも先生同士で交流しましょう。毎日の保育・授業の導入の善し悪し(出来・不出来)の積み重ねが、クラスづくりを左右します。子どもが食いついてくるような導入、子どもの瞳が輝くような導入を、日頃から学年や学年部の保育士・教師間で交流し、導入の『引き出し』をたくさん共有している先生集団になってほしいと思います。もちろん、あの手この手を使っても、なかなか保育・学習に集中できない子は、決して少なくありません。
「A君、こっち向いて」→「うれしいな。向いててや」
「Bさん、教科書出して。○ページ開けて」→「すばやいな」                              
「C君、ノートに書くんやで」→「ていねいに書いたね」

このような当たり前のことが出来ていない子どもらに、
こまめに指示を出して→ほめること』(豆つぶのようなスモールステップ)のくり返しを、4月から6月まであきらめずに粘り強く続けてみてください。勝手気ままに立ち歩く子どもらとのガマン比べになりますが、3か月やり通したらクラスはきっと落ち着きます。


後回しにしないTの声がCの心に届くと、Cは動き出す


学期始めは、子どもが担任を試す時期です。連休明けは名誉挽回のチャンスです。この時期になったら、クラス全員の顔と名前は覚えているわけですから、「Aくん、おはよう」「Bさん、おはよう」と、声をかける時には、本人の名前を呼ぶことを意識してみましょう。あいさつも、用事を頼む時も、どんな時でもです。名前を呼んでもらえるのは、うれしいものですから。


授業中、A君が泣き出しました。またか、と授業をそのまま続けたら見逃し三振。A君にどんなひと言をかけるかが勝負です。その言葉にA君がうなずけば、クラスのみんなの心も育つタイムリーヒットになるわけです。教室に温かな空気が流れます。休み時間、ノートの○つけに忙しい担任に、Bさんが何か訴えてきました。「後でね」は見逃し三振。その場でBさんの声に耳を傾けてあげたら、Bさんは安堵します。いつも自己主張の目立つBさんに対する担任の指示も、Bさんの心にだんだん入るようになってきます。子どもには、今、担任にどうしても聞いてほしい瞬間があるのです。


家からモヤモヤしたものを引きずって来ている子も、気持ちを切り替えて、校園での一日のスタートができる、そんな朝の出会い方を、各クラスでしてはるんやろなと思います。とは言うものの、いっぱい重いものを背負わざるを得ない状況の子ほど、新しいクラスの中で、自分の居場所をなかなか見つけられず、落ち着かないのではないでしょうか。


ですから、担任のお手伝いを頼むことで、心と心の結び目にするのです。そんな、気になる子には、担任がどしどしお手伝いをさせましょう。目的は二つです。一つは、その子をほめるためです。その子が手伝ってくれた内容以上に、その子が手伝おうと思ってくれた心を、「あなたの気持ちがとってもうれしい」とほめるためです。担任がほめる材料を与えて、やりきらせて、ほめる、この繰り返しを積み上げることで、
「どうせ、ぼく(わたし)なんか・・・」
という投げやりな気持ちは徐々に小さくなり、ささやかな自信がちょっとずつ生まれてきます。いわゆる、その子が自尊感情を取り戻すための支援の営みです。もう1つは、その子との関係づくりです。その子の心の糸をたぐり寄せるのです。                               
この先生は、ぼく(わたし)を認めてくれてはるんや
と感じ始めてくれるまで続けましょう。あきらめなかったら少しずつ心を開いてくれます。


トラブルはその子とつながれる絶好のチャンスだ


それでもトラブルは起こるものだと思っておきましょう。トラブルが起こったら、その子とつながれる糸口だと思いましょう。その子の言い分をウーンと聞いてあげます。
困ったねぇ」と言いながらも、安易に同調(他の子や他の先生への批判)はしません。あれこれ言い訳をするうちに、その子のさびしさ・かなしさ・くやしさをチラッと見せてくれます。それを逃さず、
「きみのくやしい気持ち、よーくわかったよ。ほんまにくやしかったんやね」                                           
「そうか、つらかったんやなぁ。腹が立ったんやなぁ」

と、その子の気持ちには共感し、代弁してあげたいものです。そういう担任のひと言があるか、ないかによって、その後の担任の指導(語りこみ)がその子の心の中まで届くかどうかが決まります。 
 
気持ちがギザギザ・トゲトゲしている子、すぐふてくされる子、すぐ反抗する子、すぐすねる子、いわゆる指導が入りにくい子がいるとします。この子はやりにくい子ではなく、実は、人一倍声をかけてほしいさびしい子、自分に自信が持てず不安いっぱいの子、人とうまくつき合うことの苦手な子だと思ってあげてください。わざと投げやりな態度をとったり、わざと先生をおこらすことを言います。本当は、かまってほしいんです。だから、あわてず・騒がず・どっしりと!です。


子どもに不快な不安感・緊張感を与えない先生は、まずは、何かをしながら気楽にしゃべりかけることです。いっしょに遊びながら、いっしょに給食を食べながら、いっしょに作業をしながらというのは、子どもが身構えず、安心して自分を出せます。最初は向かい合うより、横に並んでの方が安心する子もいます。これがベースです。子どもって、威圧感オーラの出てる先生には、警戒します。その土台を築きながら、いざという時、先生がどうしても伝えたいことは、必ず目と目を合わせて(目の高さも同じ位置で)、その子の心の奥に届けようと意識しながら語ります。その子の心を信じ、その子の誇りを傷つけずに、その子の目と心にしみ込むように語りかけてあげましょう。


先生は「子どもをわかってあげる」プロです


先生は子どもに「わからせてやる」プロだというのは勘違いですよ。子どもの、その時々の気持ちを謙虚に「わかってあげる」プロでありたいですね。しかし、ケースによって、先生もハタと困ったら、例えば保幼や小学校低学年のやんちゃ坊主なら、ひざの上に乗っけて、小学校中学年のわんぱく坊主なら、頭をなでてやりながら、
困ったねぇ
とつぶやきます。そのうちに、トラブった、その子の本音や、訳ありの事情が見えてきたら、
「つらかったんやね」
「がまんしてたんやね」
「くやしかったんやもんなぁ。そら、ムカつくわなぁ」

と、トラブルメーカーと呼ばれる子の気持ちを教師が代弁して言ってあげましょう。周りの子どもたちにも聞こえるように大きな声で言ってあげましょう。ただし、その必要があると感じた時だけです。あいづちを打つ子も出てきますよ。その子の興奮を鎮めるためにも、周囲の子にハッとさせる(自分らの言動がどうだったか気づかせる)ためにも、教室に悪者を1人もつくらないためにも有効です。


気持ちはわかったので、いよいよ、その子がやってしまったよくない言動をしかります。
先生は、ぼく(わたし)の気持ちだけはわかってくれはった
と実感できた子は、多少厳しくしかられても、自分の尊厳(プライド)を否定されたとは感じないので、
ぼく(わたし)のことを大事に思って、しかってくれてはる
と、先生の言葉が胸にストンと落ちるでしょう。『毅然とした態度をとる』ということは、これらを全部ひっくるめて言うのだ(子どもをまるごと受けとめることだ)と、理解していない先生が、学校・園に、もし1人でもいたら、「うーん、困ったねぇ」かな。


立ち直りへの支援こそ、子どもの自立への第1歩


学校・園でも家庭でも、知識にしろ技術(スキル)にしろ、子どもが獲得した量や正確さ、レベルの高さが最も評価されがちで、「ミスの少ない人間」を育てることに力が入る傾向にあります。過程(プロセス)が大切だと言うものの、結果・成果が全てというのが今の社会です。せめて校・園では、「失敗から立ち直ることの支援」に重点を置きたいですね。


「失敗は成功のもと」の体験を共有させることです。小学校低学年の国語の音読です。挙手したA君、硬くなり読めません。周りの子は
「早く」とせかします。先生は
手を挙げたの、えらいね。一人じゃ緊張するもんなぁ」とA君に微笑みながら
なあ、みんな」と周囲にも同意を求めました。周りの子も
「わたしも緊張するわぁ」「ぼくもや」と相づちを打ちました。温かい雰囲気になりました。これでほっと安心できたA君は、次の先生の問いに挙手して指名され、今度は大きな声で答えました。新卒3年目の先生でした(びっくり)。この先生は、A君が挙手した意欲を
えらいね」と認め、読めなかったことは
緊張するもんなぁ」と支えながら、
なあ、みんな」と周囲にも共有させて、再度A君を指名して自立をうながしたのです。


みんなの前でうまくしゃべれない子、みんなの前で話すのが苦手な子は、「うまく言えなかったら・・・」「笑われたら・・・」と思っています。過去にけなされたり、否定された経験があるのでしょう。学期前半は、そのこわばりをほぐしてあげる時期です。間違わない子は一人もいない、間違うことは賢くなるために大切、間違うことは勉強のよい材料等々、担任から日々具体的に発信します。ボソッと単語で発言したり、モゴモゴ言っちゃう子だって、気持ち(思い)はいっぱいあるはずです。だから、それをみんなに予想させて、その子の代弁をしてもらいます。
「○○君が言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」
「○○さんが言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかなぁ?」

というふうに、ボソボソ発言・モゴモゴ発言は、つまずきとして流すのではなく、みんなの発言をつないでいく貴重な出発点として評価してあげるとよいのではないでしょうか。こういう担任の姿が毎日毎時間見られるクラスでは、安心して発言しやすい空気が教室全体に生まれてきます。さらに、
「ちぇっ」「先に言われてしもうた」というつぶやきが減り、みんながお互いの発言を聞き合おうとするムードが教室中に広がってくるから、担任の『ひと言』って大きいですね。


「子どもと向き合う6月の教室」より


カリカリしている子は自分が責められてると感じやすい


トラブル発生、先生の第一声のトーンは高くなります。教室の緊張感が高まり、関係ない子も、びびります。
「こら、どうしたんや」「何やってんのや」「なんでやったんや」
いきなりこう言われると、火に油、プチッと切れてしまいます。大きなトラブルを起こした当事者の子は、まだカリカリ・プンプンしている状態ですから、なおさらです。
「ぼく(わたし)だけが責められている」「どうせ・・・」
と思い込み、よけい心を閉ざしてしまいます。だから、メッセージは短く伝えます。
「どうしたん?」「何かイヤなことがあったんか?」「誰にイヤなこと言われたんや?」
その子なりの言いぶんを言葉で語ってくれ始めたら、興奮の沸騰状態は、とりあえずストップできるといったところでしょうか。あとは、個別にじっくりと聞いてあげます。


「子どもと向き合う7月の教室」より


もしも、子どもが暴発してしまった時は


入り授業の後、教科書をビリビリ破り始めた子がいました。理科の入り授業が終わったので、担任が教室へ戻ると、A君(高学年)が理科の教科書をビリビリと破り始めていました。目はすわっていますが、涙もにじんでいます。
何かイヤなことを言われたんか?A君が教科書を破るなんて、よっぽどや」                                                                          
教科書を破っていることを頭ごなしにしかられず、優しく声をかけてもらって、A君は破る手を止め、涙をポロポロとこぼしました。そして、泣きながら理科の先生に言われたことをしゃべりました。A君に非があり、理科の先生に注意されたことがわかりました。その頃、友達関係で過敏な状態になっていたA君には、理科の先生の言葉は、一方的に責められているとしか受けとめられなかったのです。担任は、A君には、理科の先生がA君のことを心配して注意してくださったことを話しながら、三分の一ほど破れた教科書を預かりました。理科の先生には、A君の現状を伝えていなかったことをわびて,配慮をお願いしました。翌日の朝、登校して来たA君には、セロテープでベタベタに修理した教科書を手渡すと、A君はにっこりと受け取りました。
「先生、ありがとう。もう破らへん。大事に使うわぁ」


いきなり90点のテスト用紙を破り捨てた子がいました。算数のテスト返しの時間でした。順番に名前を呼びながらテストを返していきました。すると、B君(高学年)が突然テストをビリビリに破ってしまいました。B君の目は真っ赤です。あっという間の出来事です。B君のテストは90点でした。B君に訳を聞くと、
お母さんが100点とらな、おこらはるもん
と大きな声でわめきました。学級のみんなも聞いています。90点以下の子がほとんどです。担任は、わざとみんなの前でB君をしかりました。
B君が一所懸命がんばったことに値打ちがあるんや。結果が何点でも、また次がんばったらええんや。100点しか認めへんお母さんが間違ってはる。今日の夕方、家へ行って、先生がお母さんをしかったるさかい、もう泣かんとき
担任もでっかい声で一気に言ってから、クラスのみんなに言いました。                                                                        
みんなも、親にそんなこと言われたら、先生が親をしかったるさかいな。自分が一所 懸命がんばったテストや。破ったらあかんで。くやしかったら今度がんばったらええ
すると、B君も落ち着いたのか、破ったテストを拾い集めながら言いました。
「先生、お母さんを家まで、しかりに来んといて。破らへんて約束するさかい」                                                           
後日、お母さんには結果だけでなく努力した過程を認めたってほしいとお願いしました。


担任が「困った子やな」と思うと、ほめる瞬間を見逃す


いつも連絡帳なんかぜったいに書かないC君(低学年)は、なかなかじっとしていません。面倒な学習の時は走り回ります。教室の外へも逃げます。でも、教師が追いかけてくると、うれしそうな表情で逃げる子でした。テストの時は仕方なさそうに机にべったりダラ~ンと、うつ伏せになります。わからないから、教師につきっきりで世話をやいてほしいのです。昼休みは、友達と外で元気いっぱい遊べる子でした。お母さんが忙しくて、来ることができない参観日は、さびしそうな表情を見せるE君でした。発達検査が必要な子ではないのです。クラス全体も落ち着かず、立ち歩く子が数名います。担任の先生には、C君は「困った子」に思えてしまいました。C君と担任との間に細くてもいいから何かつながりが出来てきたらよかったのですが、なかなかきっかけがつかめませんでした。教務部からフリーの教師が交替で応援に入ることも増えてきました。


ある日のことです。帰りの会です。C君が、なんと連絡帳を書いているではありませんか。応援に入っている教務部の教師はびっくりして、思わずC君のそばへ行き、
C君、がんばって連絡帳を書いたんやね。先生うれしいわぁ
と、頭をなでてあげました。C君、とびっきりの笑顔です。応援の教師はすぐに、教卓の所で、別の子の連絡帳に保護者への伝言を書いていた担任に知らせに行きました。てっきり担任の先生もC君をほめてくださると思ったからです。担任の先生はC君のそばへ行きました。そして、声をかけました。
「C君、連絡帳書いてるの、めずらしいわね」
応援の教師はあ然として、絶句してしまいましたが、
先生、ほめたってください
とお願いしました。担任の先生は、
「かしこいね。やったら出来るやん」
としか言ってくれませんでした。C君は知らんぷりをしていました。この先生は、細い糸でもいいから、C君の心と自分の心のつながりをたぐり寄せる、絶好のチャンスを逃してしまったのです。応援に入った教師もフォローの仕方を間違えた、C君にすまないことをしたと反省しました。応援に入る教師は、とりわけ気になる「困ってる子」と担任の先生との信頼関係を、再構築するお手伝いをするのが役割だと思うのですが、この担任の先生は「困った子」のお守り役と勘違いされていることが、わかりました。


「子どもと向き合う9月の教室」より


たった一人でも取り残されない取り組みを


運動会や体育大会など、子ども全体を観察し、子ども全体に指示を出して、評価もすることが多くなる時期です。こういう時こそ、子ども一人ひとりの状態(気持ちの安定度)を見逃さないように、全職員で全員の子どもに(気になる子の共通理解も込みで)気をくばりたいものです。練習に気が乗らない子、転んでひざをすりむいた子、集合前に友だちからイヤなことをされた(言われた)子、前日欠席(見学)だったり、前日失敗したりして不安な子、集団で動くのが苦手な子、どうせ自分はダメだと投げやりになっている子などです。そんな子に、タイミングを逃さず、どんな思いに共感して安心させてあげるのか、どんな言葉をかけて励ますのか、その一瞬の判断こそ、担任の腕の見せ所です。担任として、同学年(同学年部)の先生としての真価が問われるところだっと言えるでしょう。


と言っても、決して難しいことではありません。全体指示のマイクを握っていない先生がアンテナをはり、子ども一人ひとりの表情をよーく見て、ハッと気づいた時、とっさにどう動くか、どう連携するか、どう声かけするか、ということだけなのです。見事に対処する学年部先生集団の姿を何度も見たことがありますが、それをじっと見ている学年全体の子どもたちに与えるプラス効果は測り知れません。逆の姿を見せたら、信頼を失います。


さらに、どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる、と子どもたちが感じてくれるように意識したいものです。 毎日の1時間1時間の練習を、子ども一人ひとりが意味のあるものだと実感できるための3つのポイントも、保育士・教師間でいつも確認し合いたいですね。


1つめは、教室を出る時に語るか、(←集合場所・時間と練習内容ではイマイチ)


2つめは、練習を始める前に何を語るか、


3つめは、練習が終わった後に何を語るか、でしょうね。


この時間は暑かったけど、がんばってよかったなと、どの子も思えるようにもっていくことの積み上げが、本番へ向かう子どもの意欲的な心を育てるのです。


運動会以外でも、子どもたちに、
「どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる」
と思わせることは、生徒指導上いちばん大事なことかも知れません。とりわけ、学習に必要のない物を持ってきてよいかどうかの○×は、全担任が一致結束すること
下校集合時刻を守らせることの徹底は、全担任が一人で勝手に例外をつくらないこと、これらがおろそか(見て見ぬふり)になると、担任の指示が入らないクラスが出てきます。


教室で発想の転換ができるのは、担任だけです


教室が授業中もざわつき落ち着きません。子ども同士もギクシャクしています。生活活のルールを乱す子も増えてきました。担任が情熱を持って、精一杯がんばっているのにです。これは、砂浜や雪道でタイヤがスリップして、アクセルを踏めば踏むほどタイヤが空回りするのと似ています。タイヤのスリップが学級の状況で、アクセルが担任の指導です。ギアをバックに入れてみたり、やさしくアクセルをそっと踏んでみて、タイヤをゆっくり回すと、脱出できる場合が多いです。ここには、アクセルを踏めば前進するはずだという常識からの、発想の転換があります。子どもたちには、教室でそんな発想の転換はできません。それをバッサリ「We Can Change」とできるのは、担任しかいないでしょう。


しかる場面や制止する場面が増えてきた時、「だめ」と言う声のトーンでがんがん指導するだけの、アクセル全開状態は、担任自身が疲労困ぱいになります。教室で担任が無理なくできる発想の転換って、どうすればよいのでしょう。それは、担任自身の姿勢を、『点検・追及から共感・支援へ』180度転換するしかありません。


発想の転換その1】担任(自分)の笑顔が減っていませんか。朝の出会いが勝負です。朝一番の担任が笑顔だと、子どもたちもホッとします。その日、担任の笑顔が多いと、子どもたちの笑顔も増えます。『教室に笑顔が広がる作戦』を練ってみましょう。朝の会が多少延びたっていいじゃないですか。心地よい時間と空間は、教室の空気をなごませ、ピリピリしている子どもの心から、トゲをぬきやすくしてくれるからです。この担任を支えるのが職員集団です。やれるのは二つ。一つは、この教室の前は素通りせずに中を通り抜け、良い所を見つけて担任に伝えること。もう一つは、放課後、担任と一緒に教室の掃き掃除をしてあげることを、毎日いろんな先生がすること。


発想の転換その2】子どもをほめるための声かけを、わざと増やしてみませんか。授業中も休み時間も、掃除や給食の時も、バンバンお手伝いを命じて、その都度ほめる、という徹底的な『なんでもかんでもお手伝い作戦』です。子どもがかわいく見えてきます。
うちのクラスの子が、些細なことでも良いことをしたのを見かけたら教えて
と他の先生方にもお願いして、B4の紙を八分の一に切っただけのメモ用紙を配ります。
メモは職員室の私の机上にセロテープで貼っておいて下さい


この先生方のメモも、ほめる材料になるのです。子どもには、うれしいサプライズです。


運動会・体育大会後、生活リズムを取り戻す


運動会や体育大会が終わると、子どもたちは気がぬけます。普段の校園生活のリズム・保育・授業のリズムになかなか戻れません。1間のうちでも要注意の時期です。とりあえず、次の三つの方法を校園全体でやってみませんか。


どの子も保育・授業の見通しを確実に持てる方法は、45分授業の流れを黒板の隅に板書するのです。例えば、小学校中学年の国語です。


①新出漢字
②漢字ドリル
③音読
④ことばの意味調べ
⑤早くできた人は読書か自由帳
というふうに、どの子も黒板を見れば、何度でも学習の流れを確認することができます。聞くことに集中するのが苦手な子にも喜ばれます。シンプルな方法ですが、学習のリズムや学習の習慣が、早く取り戻せます。もちろん漢字ドリルの何ページなのかも、音読の範囲も、意味調べをする言葉の数は何個なのかも、添え書きしておきます。


どのクラスも担任にほめてもらえるクラスになる方法はあります。リズムが取り戻せず、担任からしかられることの増える時期です。くずれるクラスを出さないために、全職員が少しずつ助け合う(負担はわずかな)ことで実現可能な方法です。この方法を取り入れながら学校の荒れを立て直した中学校も、県下に何校もあります。それは、簡単に言えば「よかった探し」「キラッと見つけ」です。職員室の数カ所にメモ用紙を積んでおきます。登下校、朝自習、休み時間、掃除、など、自分の担任じゃないクラスの子がよいことをしたり、ステキな姿を見せたりしたのを見かけた時は、メモに書いて職員室の担任の机上にセロテープで貼っておくだけです。名前を知らない子なら、ほめながらクラス名を聞きます。担任以外の人がほめる材料を提供するわけです。担任はそれを教室でほめます。担任にも担任以外にもダブルでほめられるのですから、効果抜群です。


「子どもと向き合う10月の教室」より


担任の仕事は超忙しすぎて、クラスの一人ひとりの
   子どもの心とじっくり向き合う時間がとれない!】


1人1分、40人なら40分で、一人ずつ個別に向き合う時間がとれる方法が一つだけあります。仕事を増やすようで心苦しいのですが、これこそ、全員の子どもとつながれる一番の近道なのです。慣れてきたら、1人30秒、40人20分でできます。帰りの会で子どもたちが「ひと言日記」を書く時間を5分間とり、担任が職員室か家でひと言ずつコメント(赤ペン)を書き、翌日の朝の会で返す、このくり返しです。1分間だけですが、どの子どもとも日記を通じて、真剣に向き合えます。


時間がないなら、帰りの会を5~10分早く始めたらよいだけです。やっておられない先生方は、今からでも、だまされたと思って、試してみてください。子どもが思ったことを1行でも書き、担任がそれに返事をひと言だけ書きます。書かない子もOKにして、白紙の日記にもコメントを書きます。担任に余力があれば、学級通信で友だちの日記(本人の了解済みのだけ)と担任のコメントを読み合います。


めんどうで地道な取り組みですが、継続すればするほど、全員の子どもとの信頼関係が確実に深まります。文章を書くのが下手で、日記なんて嫌がる子どもたちが、まずスタートラインです。一見つまらなそうな日記でも、その子の「心」が伝わってくる所に光を当ててやるコメント(短くほめる)をちょこっと書くことから出発します。これは「心」と「心」のキャッチボールです。「心」がないと、お互いにつまらなくて、面倒くさい労役になります。大事なのは「心」だから、よい文を求めず、説教なんか書かず、その子が書いた事実に即して、その子と対等に、その子に共感するコメントを心がけたいものです。まあ、直感です。その子のその日のステキな姿が浮かんだら、しめたものです。日記は指導じゃなく、担任がおもしろがり(心を動かすという意味で)、子どもも読んでもらえることをうれしく思う、そんな関係づくりではないでしょうか。短いラブレターなのかも知れません。


息の長い取り組みなので、無理はせず、週1回でもいいし、書かない子がいても、コメント(その日、その子の印象に残ったことを短くほめる)だけ書いてあげたら、そのうち子どもも書いてくるだろう、というぐらいの、のんびりした進め方でいいかなと思います。日記帳は、国語か作文ノートを裁断機で半分に切った大きさで充分でしょう。                                                                 
「うれしかった・楽しかった」「がんばった・はりきった」「びっくりした・感心した」「じっとよく見た・じっとよく聞いた」「うんと考えた・とても困った」「くやしかった・はらがたった」「はずかしかった・つらかった」「かなしかった・さびしかった」というテーマ一覧表を印刷して、表紙の裏に貼らせます。この記事の一番下で紹介しているのが、イラスト入り「何を書くか」のヒント、イチ押しです。


「子どもと向き合う11月の教室」より


先生の役割は、子どもに「問いかける」ことです。
「考えて答えを出す」のは先生ではなく、子どもです


子どもが、いつもとちがう様子です。どうすれば?教室で友だちに、からかわれたり、ちょっかいを出されたりした時、しょんぼりしたり、泣いたり、怒りをこらえたり、八つ当たりをしたり、逆ギレしたり、子どもは普段とは違う状態になります。例えば、そんな理由で荒れている子を見た時、いきなり、
「こらっ!」「何してんのや!」「やめろ!」
と声をかける先生って、保幼より、小中の方が多いですね。


「こらっ」というのは、目の前で荒れている行為について、「だめやろ」という答えだけを先生が勝手に決めつけてます。いつもと違う子どもの姿に「あれっ?」と感じた瞬間、先生はとっさに、                                                


「どうしたん?」何かいやなことがあったん?」


と、その子の気持ち(荒れている理由)を聞いてあげることが大切です。言いかえれば、『問いかける』のです。わけを言ってくれたら、


「よく言ってくれたね。ありがとうな」
「くやしかったのを、ぎりぎりまで、がまんしてたんやね

と、その子の気持ちを受けとめてあげたことを、その子に言葉で伝えます。そして、


「怒りの気持ちは心の中にためないで、言葉で体の外に出す(信頼できる誰かに聞いてもらう)ことが、自分自身のために大事なんだよ」


「先生が絶対守ってあげるからね


という心に響くメッセージを、その子の発達年令にぴったり合う言葉で伝えます。友だちをからかったり、意地悪をしている子を見た時も、
「こらっ」からは入りません。指導で大事なのは、した子が、された子のつらい気持ちに気づいてくれるかどうかです。つまり、心の底から、「わるいことをしたな。すまなかったな」と思い、二度と同じ過ちをくり返さないぞと思える子に育てるための指導だからです。


どうしたん?」から入り、どう声かけをするかは、瞬間的にどう感じ取れるかに、かかっています。頭で考えて、AかBか判断してからでは、対応が一瞬(ワンテンポ)遅れます。過去の経験から判断するのではなく、目の前にいる子どもの姿が出発点と思い、子どもに寄り添い始めると、だんだん感じ取れるようになってきます。


子どもを『監視カメラ目線』で見ていると、「こらっ」になります。ふだんから、子どもを『共感カメラ目線』で見ていると、「どうしたん?」と言いながら、瞬時に子どもの心を感じ取れる先生になれます。


「子どもと向き合う12月の教室」より


子どもの変容を願うなら、まず先生自身が変わること


クラスに、何度言っても、学習に集中できない子、友だちにちょっかいを出す子が複数いるとします。この指導が入りにくい段階から抜け出すにはT(先生)とC(子ども)一人ひとりの関係づくりから出直すことによってのみ、改善への第一歩が踏み出せます。Tの関わり方が変わらなければ、Cは変われません。『トラブル→しかる』くり返しの悪循環から抜け出すチャンスは、Tが意図的につくるしかありません。Tの姿勢が変わらなければ、どれだけ熱心に指導しているつもりでも、Cの心はどんどん離れていきます。Cには、『びびる時もあるけど、信頼できる先生』ではなく、ただの『こわいおっさん』『口うるさいおばさん』にしか見えなくなってしまうのです。


チャンスは、1日の中で、こんなにあるのです。朝が最大のチャンスです。
おはよう。元気か
と声をかけて教室で迎えて、頭をなでであげたりします。低学年はスキンシップも大切で、女の先生なら、抱っこしてあげたり、ひざの上に乗せてあげたりします。男の先生は、ハイタッチがいいでしょうね。
今朝も君に会えてうれしいよ
というメッセージが子どもの心に届くように、あれこれやるわけです。


給食も、チャンスです。各班で机を向かい合わせて食べるクラスがほとんどですから、今日は1班、明日は2班、明後日は3班・・・というふうに、先生も子どもたちのそばで食べることを続けます。好きな食べ物や、きらいな食べ物など、気楽なおしゃべりをしながら食べていると、子どもとの距離がじわじわとお互いに縮まります。


昼休みも、よいチャンスです。どれだけ忙しくても、せめて週1回は子どもの遊びの輪に入ってやってほしいなと思います。子どもたちも、それを願ってます。その願いがかなわないことがわかると、子どもたちはあきらめます。あきらめると、子どもたちは先生に期待しなくなります。期待しなくなると、子どもたちは先生の言うことも聞かなくなります。


毎日でなくてもいいし、せめて昼休みの半分・3分の1・4分の1(年令・体力に応じて)だけでも、なんとか時間をやりくりするのは、自分と子どもたちの関係づくりのためだと思いましょう。


プロ・スポーツでも、野球のイチロー選手やサッカー日本代表選手も、初心に戻って、基本を大切にします。先生の初心は子どもを好きになること、先生の基本は子どもと遊ぶこと(授業を成立させる土台の関係づくり)だということ、忘れたくないですね。子どもとの心の距離が一気に縮まります。


掃除の時間も、絶好のチャンスです。さぼっている子がいたら、ビッグチャンスです。
「何してんの!今、何の時間や思てるの!」
では、モグラたたきをしているだけです。今こそ『スモールステップを与えて、やりきらせて、ほめる』材料がいっぱいです。                               
「A君、いっしょに机を運ぼ!いっせーのーで」→「ありがとな」


「Bさん、ここ、ほうきではいてくれる」→「うれしいな」


「C君、Dさん、E君、雑巾がけ頼むわ」→「きれいやねぇ」


「F君、バケツの水かえてきて」→「先生、うれしいわぁ」


「さあ、みんなで机を運ぼう」→「みんなのおかげ、大助かりや」                                                     


という感じで、たった15分でほめてもらえる子は20人以上になります。こういう苦労は、花の水やり感覚です。


保幼や低学年における連絡帳の返事書きを、チャンスにしている先生もいます。その日の、子どものステキな姿をこまめに連絡帳に書いておられました。この子どもは、きっと家でもおうちの方からほめられ、親子で先生のステキなところの話もしているのだろうなと思います。先生が子どもをかわいく思え、好きになると、子どもも先生を好きになっていきます。これを意図的にしようとするのが、保育や教育の基本中の基本ではないでしょうか。


担任からのSOS「授業が成立しません!」】


これは、要因・状況がケース・バイ・ケースですから、原則だけ、全教職員の心がまえだけにしぼって、紹介したいと思います。今回は、小学校の中規模校で3年生以下の1学級からSOSという想定にします。5年生以上では、応援に入る教師が学級の子どもたちとの人間関係を築いてからでないと、担任も含めて教師への信頼回復への道筋がつけにくいからです。4年生がどちらなのかは微妙なところです。


授業の応援に入ってもらう担任の心得
担任は、応援に入ってもらう目的を、教室の空気を新鮮にしようと試みる担任への支援だと受けとめます。応援は「困った子」のお守り役だと勘違いすると、教室のザワザワは消えません。担任は応援教師と共に「掛け合い漫才」をするつもりで、授業を進めます。応援教師がボケ役、担任がツッコミ役です。打ち合わせはなし、ぶっつけ本番です。ア・ウンの呼吸です。担任が発問して、応援教師を指名します。応援教師はわざと間違えます。これがボケ役の大事なところです。子どもたちを「ちがーう」と学習に集中させるためです。


また、担任の位置からは見えない「子どものキラッと輝く姿」を発見した応援教師は、担任に合図を送ります。そくざに担任はどしどしほめます。そこで、担任の笑顔が増えてくると、子どもたちは徐々に安心感につつまれていきます。そうなると、邪魔をする子はだんだんと減っていきます。つまり、授業を柔軟かつどっしりと進めるため、応援教師の存在を生かすということです。


ベテランの先生ほど、「We Can Change」、今までの学級づくり&授業スタイルの変革に取り組む勇気を持ち、プライドを捨てることです。私も38才の時です。1度プライドを捨てました。目に見えることでは、係活動の常識を打ち破ることから180度変えました。今の私なら「できた人?」「わかった人?」という問いかけをやめます。そして、「困っている人は言って」という言葉がけを中心に授業を進めるスタイルに転換することに、チャレンジしてみたいと思います。担任から見て「困った子」が、「その子自身が困ってやる子」なんや、と思えるようになり、その子がかわいく思えてきたら、自分自身の向き合い方が「I Can Change」できた証拠です。私も1年かけて39才の時に、そう思えることがなんとかできました。多くの先生方に支えられて。


授業の応援に入る教師の心得
応援に入る目的は、担任の授業に集中する子を増やすためです。「困った子」を怒鳴るために入ると、永遠のもぐらたたきから抜け出せなくなります。見張り役だと勘違いすると、担任の手助けにはなりません。担任の発問に「はい」と挙手して「○○です」と間違った答えをわざと言うのもいいでしょう。子どもたちは「ちが~う」と反応し、挙手する子が増えます。こんな形で応援に入るのです。そして、普段は何もしようとしない子が、教科書を開いたり、ノートを書いたりした瞬間、担任に合図を送ります。その子を担任にほめてもらい、その子と担任の関係を再構築するためです。


ですから、あくまでも黒子に徹しながらも、教室に明るい子が1人増えたパフォーマンスの役割を応援教師は担います。集中していない子のそばに行って、そっとスモールステップを与えて、やらせて、そっとほめます。そして担任には合図を送って、「担任がその場で笑顔と大きな声でほめる」ように促すアシスタント・ディレクター役になりきるのです。担任と子どもがいい関係になるお手伝い、それが応援なのではないでしょうか。


授業の応援に入ることができない教師たちの心得
自分の教室へ行く時、その教室の中も、「おはよう」と、通り抜けます。ほめる材料が見つかればラッキーです。その場でほめて、後で担任にも、「A君が~していたので、ほめてやってください」とお願いします。フリーの教師は朝自習の時、その教室へ交替で行き、スモールステップ作戦をして、担任に、「Bさんが~してくれたので、ほめたってください」と伝えます。放課後は交替で、担任と一緒に教室の掃き掃除をします。授業の成立しない学級は、教室がゴミも机の配置も雑然となるものです。それを担任1人でしていると、孤独感を感じます。担任1人で背負わない学校でいてください。


全教師で子ども全員を育てるのが学校ですから、1人で抱え込まないことです。自分1人では対応できずに困った時は即、上司・同僚に、「助けてください」と言いましょう。それは、あなたのため=子どもたちのためなのです。


「子どもと向き合う1月の教室」より


緊急事態!群れてやりたい放題(指導が入らない)】


もう限界を超えました。一刻の猶予もありません。いじめ多発警報も発令状態です。大規模校以外は、短期間に他学年・全校に影響が出てくるので、中規模校の小学校を想定してみます。即、対策会議を開きます。ここまでは、すべての学校がします。組織力のある学校は、ここからが違います。


管理職を中心に動きのとれる教師すべて(教務主任、教務助任生徒指導、少人数加配教員、養護教諭など)総動員です。(他学年の担任まで加わった例もありますが)やりたい放題集団の子一人ひとりの個別(虐待など家庭の状況も含む)の課題と、その集団の中の力学関係の構図(やりたい放題集団と言っても、ガラスの人間関係です)を正確に把握します。その上で、教師とその子らとの相性も考慮して、どの教師がどの子に関わるかという担当を決めます。その子と信頼関係を構築して指導を入れていく担当です。


例えば、
A君にはB教頭、C君にはD教務主任、E君にはF教務助任、G君にはH少人数加配、Iさん(女子)にはJ養護教諭という感じです。J養護教諭は保健室を離れられないので、手紙の交換をJさんと続けます。K校長は、L担任がギリギリの所で踏ん張っている教室で、学級全体の支援をします。A君には保護者との連携(手をつなぐ)も必要なので、B教頭が家庭訪問もします。関わる教師は、子どもとの信頼関係を築くために、教科ごとで分担して入ります。当然、他学級・他学年の、通常の出授業・入り授業はすべて一時停止します。毎日、情報を交換・共有しながら、集団指導体制をとるわけです。どの教師も、子どもにスモールステップを与えて、やりきらせて、ほめることもします。


ここで、組織力のある学校と、組織力のない学校の差がはっきりと出ます。それは、通常の出授業・入り授業の一時停止に対する他学年の教師の反応です。組織力のある学校では、大変な時は、全教職員が少しずつ融通し合うことが通例になっているので、どの担任も空き時間がなくなることは、自分のできる協力の形だと受けとめます。全教職員も、その学級の子らのよい所を見かけたら、メモを担任の机上に置きます。


ところが、組織力のない学校では、入り授業の一時停止によって、自分の空き時間がなくなることに対して、他の学年の主任から注文がつきます。誰か代わりに入り授業をしてほしいと言います。学校が緊急事態なのに、自己中心的な主張を、当然の権利のごとく要求します。そういう学年に限って、たいてい教師集団はバラバラでした。それは、全校集団下校の時に、いつも全校の足を引っ張るという形で、よーくわかります。中学校では、どの教師も空き時間の方が大変だということを、同じ教師なのに、小学校の教師は知らないのでしょうか。組織力というのは、校長、教頭、教務、加配、各学年主任などの結束力で決まると自戒するほうがいいでしょう。


組織力◎の小学校は、どの学級も集団下校時刻を守れる
小学校では、不審者対応で、自由下校がなくなって何年もたちます。対応に学校間格差が出てきました。学校規模によって、学年下校にしている小学校と、複数学年下校にしている小学校とに分かれます。集合から出発までの時間が短くて済む学校には、共通することがあります。こういう小学校は、教室出発時刻を統一していること(早くても遅くてもいけない)、学校出発時刻にどの学級も遅れないように全担任が意識できていること、帰りの準備に手間取る学級は最終校時を早めに切り上げ、間に合うようにしていること、時間を守るということが、学校全体に浸透していること(担任が子どもより早く動く)、以上のことができているだけなのです。


原則として、すべての担任も、すべての学級も、このルールを守ろうと意識しているのです。たいしたものです。これこそ、教職員の意識レベルの高い、組織力のある小学校です。当然、危機管理能力も、学年づくりも、学級づくりも、困った時のヘルプの動きも迅速です。下校時刻を統一して守りきらせる、これをやりきる教師集団は、必ず柔軟で協力体制のある学校組織になっています。ぜひ、下校時刻を守る工夫を試みてみましょう。


組織力◎の中学校は、どの部活も完全下校時刻を守れる
中学校では、部活があります。学校規模に関係なく、部活終了時刻と完全下校時刻を生徒に守りきらせる教師集団の中学校は、生徒指導も組織的です。たった一つの部活でも、終了時刻を守らない部があれば、同僚から即、指摘を受けます。練習時間をオーバーする部活はありません。そして、全教師が一丸となって下校指導を一斉に進めています。時間がルーズになっている中学校では、たった一人の、ちょっとぐらいという顧問の意識の低さが、生徒たちに時間を守らなくてもよいという悪い見本になっています。顧問が終了時刻を守れなくて、どうして生徒に
「時間を守れ」と言えるでしょうか。生徒たちが、そんな口先だけの教師の言葉など聞くはずもありません。信用も失います。そして、生徒が崩れ始めます。生徒の信頼を得るには、教師が率先して学校生活のルールを守る手本を示すことです。


県内の中学校の中には、授業の始まりのチャイムは、どの教師も、今から授業をする教室の中で聞く。                                   
完全下校時刻を守らなかった部活は翌日の練習にペナルティーを課す。
下校指導には原則として全顧問が出る。
どの部活にも毎日、学校長か教頭か教務主任など、ローテーションで、見回る(どの部の生徒も必ずほめるため)。
以上のことを実践している中学校もあります。積極的な生徒指導としてです。自分の学校で、できそうな、もしくは、やらなければならない、積極的な生徒指導について、もし1つでもこれ!と思ってくださるのがあれば、ぜひ論議して、取り組んでみてください。つぶれてしまう教師を一人も出さないためでもあるからです。


給食「好きな者同士」は仲間はずれを助長する


ズバリ、担任の指導が入りにくくなってくると、子どもたちは「好きな者同士」で机を寄せ合う形の食べ方を要求してきます。そして、一部の子どもたちの声に押しきられて、月に1回だったのが週に1回と増やすことを担任がしぶしぶOKしてしまったら、必ずと言ってよいほど、教室の空気は好ましくない雰囲気が助長されていきます。上学年になるほど、起こりやすい現象とも言えます。もし、隣のクラスが週1回をやっていたら、担任はOKせざるを得なくなります。


こうなってからでは、管理職や教務が学年主任に指示を出すのも、時すでに遅し、という状況です。そうなる前に、学校に1クラスでも指導が入りにくいクラスがあるなら、少なくても学年部単位以上で、できれば職員会議で、給食の「好きな者同士」という形をとらない方向の論議が必要だと思います。自分のクラスさえよかったらよいという発想は、大人の教師なら捨てましょう。逆に言えば、大人になりきれていない教師は、その発想を捨てられないでしょう。ですから、「好きな者同士」をしてもよいのは、一人ぼっちになる子が本校には1人もいないと確信できる時だけだということを、抵抗する先生には問いかけてみてはどうですか。


指導が入りにくくなればなるほど、きっと担任の先生は「好きな者同士」という形をとりたくないはずです。それを1人で悩んでおられるかも知れないと思ってあげてください。クラスが安定しないと、この形は、ポツンと1人になる子が必ず出ます。かなしい子をつくってしまいます。それを防ぐのは、担任1人の指導では無理です。「全クラス、好きな者同士はしないんだよ」という教師集団の結束が、困っている担任の先生を応援することになると、私は思います。


給食を毎日しあわせな気分で食べる権利は、一部の子だけではなく、クラス全員の子に保障するのが大原則です。「どの先生も同じ思いで、同じことを言わはる」ということができるか、できないかなんて、たかが給食でそんなおおげさな、と軽く見ないほうがいいでしょう。給食は生活班が机を寄せ合って、そこに担任の先生もローテーションで一緒に食べるという形をくずさないことが、すごく大切なクラスもあるからです。そういうクラスが多いはずです。


実際、子どもが「好きな者同士」を要求し始めたら、不満の初期かなと受けとめて、係活動の発想を「すっごく楽しいオリジナル係活動にチェーンジ」(ウェブページでも紹介)に切り替えた取り組みをしたと、複数の小学校の先生からも聞きました。こういうのを柔軟な学級づくりと言うのでしょうね。


よけいな差し出口ですが、すごく困っているクラスには、給食(準備も含めて)を食べる教師を複数体制にしておられる小学校がほとんどだと聞きましたけど、先生方の学校ではどうなさっていますか。


「子どもと向き合う2月の教室」より                                            


修学旅行の「お小遣い0円」提案をした6年教師集団
4クラスの子どもたちの反応は
・・・】


5月下旬実施予定の修学旅行でしたので、春休みに検討してチャレンジしてみました。各担任が各クラスで朝の会、一斉に発表しました。
「先生たちは修学旅行を学習の場と考え、修学旅行のお小遣いは0円にしたいと思う」
「えーっ」「そんなん」「おかしいわぁ」
子どもたちからは、ブーイングの嵐です。そこで、各担任は言いました。
「きみらの気持ちはわかった。修学旅行実行委員会の子らがみんなの意見をまとめてや」
「まとめたら、小遣い持って行ってもええんか」
「先生らが納得できる理由を出してくれたらちゃんと考える。時間は3日間あげるさかい」
子どもたちの目つきが真剣になりました。実は、修学旅行実行委員会の子どもたちは、どのクラスも、お小遣いを率先してオーバーしそうなメンバーがそろっていたのです。先生たちは「チャンスだ」と思いました。さっそく修学旅行実行委員の子らは、朝の自習など先生たちのいない時間をねらって、クラス全員で相談を始めました。修学旅行には小遣いが必要な理由についてです。


そして、3日後、いよいよ第○回修学旅行実行委員会です。
「一生の思い出になるものを買いたい」
「修学旅行やで、家族にお土産を買いたいし、おばあちゃんにも絶対買ってきてあげたい」
「お姉ちゃんの時は、お土産を買ってきてくれはった」
「弟にお土産を買うてやりたいし、弟も楽しみにしてる」
なかなかよい意見を持ち寄ってくれました。先生は言いました。
「きみらの気持ちは充分わかった。家族思いで、やさしいやん。でもな、違反する子は?」
修学旅行実行委員の子らは、口をそろえて言いました。
「先生、ぼくらが自分のクラスで違反はせえへんぞって言うで、信じてえなぁ」
「よっしゃ、きみらを信じるでぇ。任せたで」


修学旅行実行委員の子らは自分のクラスで演説をしました。
「ぼくらも守るさかい、みんなも全員が決めた金額を守って修学旅行に行こうな」
金額についても、同様の手順で、子どもと先生で合意して決めました。当然、前年の金額を参考にして、翌年の子らのことも考えて決めました。結果としては前年どおりでした。


そして、修学旅行当日です。修学旅行実行委員の子らは胸を張って言いきりました。                                                                                          
「ぼくらが小遣いを守ってるんやで、全員守ってるで、先生、心配いらんで」
子どもらの目は、決してウソをついてない、きれいな目をしていました。そして、どの実行委員の子の顔も、ちょっぴり、誇らしげでした。


「子どもと向き合う3月の教室」より


卒業式前日準備は、5年生を全校の先生方で育てる日


組織的な学校は、このチャンスを逃しません。小学校なら5年生が、体育館から玄関・廊下・教室、校舎外まで分担して準備します。全校の先生方が分担して、5年生と共に前日準備をします。最初、5年生を全員集めた時に先生が何を語るか、分担場所で各先生が何を語るか、そして終わった時に分担場所の各先生がどのような言葉で5年生のがんばりをねぎらうのか、最後に5年生を集めて先生が全体評価として、どのようにねぎらうのかを大事にします。5年生が、「準備をがんばってよかったな!」明日から最高学年として「よーし、やるぞ」という気持ちになれるようなことを、どのように語るかで、明日からの5年生1人ひとりの動き(気持ち)が断然ちがってくるからです。                      


とりわけ、最後に評価をする先生を1人ではなく、多くの先生が評価の言葉を言う習慣になっている学校ほど、全員の先生で5年生を育てる大事な日という位置づけがなされています。たくさんの先生からほめられた子どもたちのモチベーションは当然アップします。中学校だと2年生になるのでしょうか。「はい、終わった。ご苦労さん」だけでは、もったいない!がんばった苦労をねぎらわれ、心からほめられた喜びが、やってよかったという充足感を生み、子どもたちの次の年への意欲につながり、最高学年への自覚を持つ第1歩になるという教育の原則をふまえ、具体的にほめることを、忙しさに紛れて、肝心な時に忘れてはいけません。卒業式の準備も、後片付けも、入学式の準備も、後片付けも、ワンチャンスだと言えるでしょう。


指導・説諭・反省文のくり返しと、もぐらたたきに終始していたら、イジメをなくすことはできません。そういう意味では、学期始めこそ、「授業改革」(クラスの人間関係づくり)を核にした「学校づくり」の再構築にとりかかる最大のチャンスなのです。学期始めもワンチャンスと受けとめ、学年部のチームワーク、全教職員のチームワークで、子どもたちと誠実に向き合いましょう。私も以前、5年担任の時に6年生が荒れた年は、職場全体が最も苦しい状況でしたが、そういう時だからこそ、全校の子どもたちのために、全職員で助け合いながら真正面から子どもたちに向き合いました。


子どもと向き合う4月~3月の教室」というサブタイトルは、こういう職員室だよりを月々に発行していたので、ブログ記事にする時にも使っただけです。ですから、どれをどの時期に活用しても、クラスの状況に応じて採り入れるのが望ましいでしょう。例えば、卒業式の部分も、運動会・体育大会・文化祭などの準備・後片付けに応用していただけたら、と思いますが、いかがでしょうか。

次のイラストは、子どもたちの日記帳(おもて表紙の裏側)に貼らせたイラストです。子どもたちは、何を書こうか・・と困った時は、このイラストをじーっと見て、思い出したように書き始めました。そんな「きっかけ」になるイラストでした。石井順治先生に教えてもらったイラストに手を加えたものです。オススメです。どうぞ、このアイデア、ご活用ください。

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イジメをなくす教室の雰囲気づくり【安心感あふれる教室に変える手立て①②③④】

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by takaboo-54p125 | 2017-04-01 06:04 | 保育・教育