小学校の1~2年生が好むお話です。私も大好きなお話です。3~6年生には、朝自習の視写教材に使わせてもらいました。平仮名の文を見ながら、知っている漢字を使って書くというスタイルなら、何年生でも使える朝自習視写教材になります。5~10分ほどで、どの子も仕上げられる程度に分割して視写させたのを覚えています。学年によって、たしか12~16回分ぐらいに区切ったでしょうか。


【あめだま      にいみなんきち】


 はるの あたたかい ひのこと、わたしぶねに

ふたりの ちいさな こどもを つれた

おんなの たびびとが のりました。

 ふねが でようと すると、

「おうい、ちょっと まってくれ」

と、どての むこうから てを ふりながら

さむらいが ひとり はしってきて、

ふねに とびこみました。

 ふねは でました。

さむらいは ふねの まんなかに、

どっかと すわっていました。

ぽかぽか あたたかいので、

そのうちにいねむりを はじめました。

 くろい ひげを はやして、

つよそうな さむらいが、

こっくりこっくり するので

こどもたちは、おかしくて 

ふふふと わらいました。

おかあさんは、くちに ゆびを あてて、

「だまっておいで。」

と いいました。

さむらいが おこっては たいへん だからです。

こどもたちは だまりました。

 しばらく すると、ひとりの こどもが、

「かあちゃん、あめだま ちょうだい。」

と、てを さしだしました。

すると、もう ひとりの こどもも、

「かあちゃん、あたしにも。」

と いいました。

 おかあさんは、ふところから

かみの ふくろをとりだしました。

ところが、あめだまは もう ひとつしか

ありませんでした。

「あたしに ちょうだい。」

「あたしに ちょうだい。」

ふたりの こどもは、

りょうほうから せがみました。

あめだまは ひとつしかないので、

おかあさんはこまって しまいました。

「いいこ だから まって おいで。

むこうへ ついたら かって あげるからね。」
といってきかせても、  

こどもたちは

「ちょうだいよう」

と だだを こねました。

いねむりを していたはずの さむらいは、

ぱっちり めを あけて、

こどもたちが せがむのを みていました。

おかあさんは おどろきました。

いねむりの じゃまを されたので、

この さむらいは おこって いるのに

ちがいないと おもいました。

「おとなしく しておいで」と

おかあさんは こどもたちを なだめました。

けれど、こどもたちは ききませんでした。

すると、さむらいが、

すらりと かたなを ぬいて、

おかあさんと こどもたちの まえに

やって きました。

おかあさんは まっさおに なって、

こどもたちを かばいました。

いねむりの じゃまを した こどもたちを、

さむらいが きりころすと おもったのです。

「あめだまを だせ。」

と、さむらいは いいました。

おかあさんは、おそるおそる

あめだまを さしだしました。

 さむらいは、それを ふねの へりに のせ、

かたなでぽちんと ふたつに わりました。
そして、

「そうれ。」

と、ふたりの こどもにわけて やりました。

それから、また もとのところに かえって、

こっくりこっくり ねむりはじめました。

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by takaboo-54p125 | 2013-12-07 05:01 | お話・リズム遊び・室内ゲーム