次の話は、大阪の河部先生が素話として滋賀の子どもたちにしてくださったお話です。セリフが多いお話です。


【やぎさんふとってデンガラドンのドン】


 あるところに、3びきのやぎの子どもがいました。
それはそれは、仲のいい、とってもかしこい兄弟でした。

 一番下の弟やぎは、やっと角(つの)が出たばかり。
ひづめもまだ小さくて歩くたびに、
コチコチトン、コチコチトン。
だから名前も、コチコチトン。

 真ん中のやぎの角は、かわいい三日月さま。
ひづめの音は少し大きくて、歩くたびに、
カタカタトン、カタカタトン。
だから名前も、カタカタトン。

 一番上の兄さんやぎは体も大きくてすごいもの。
二本の角はヌッとはえ、
先はするどくとんがっていて、まるでやりのよう。
足のひづめも大きく、かたくて石のよう。
歩くたびに、
ダーヂヅーデドーン、ダーヂヅーデドーン。
だから名前も、ダーヂヅーデドーン。

 ある日のことです。
コチ「兄ちゃん兄ちゃん、
   ぼく、うんとうんと太って、
   大きなやぎになりたいな」
カタ「兄ちゃん、ぼくもうんとうんと
   太って兄ちゃんみたいな
   大きなやぎになりたいよ。
   何かいい方法はないかなあ?」
ダヂ「あるともあるとも。あそこを見てごらん。
   向こうの山の青いこと。
   おいしい草がたくさん生えたんだよ。
   あの山へ行って
   おなかいっぱい食べたら大きくなるよ。
   コチコチトンもカタカタトンも、
   兄さんみたいに歩くたびにダヂヅデドンさ」

 そこで、3匹のやぎは山へ出かけて行きました。
コチコチトン、コチコチトン。
カタカタトン、カタカタトン。
ダーヂヅーデドーン、ダーヂヅーデドーン。
ところが、山へ行く途中に谷がありました。
谷には橋がかかっていました。
ダヂ「この橋の下には
   トロルという鬼が住んでいるんだよ。
   そのトロルの怖いこと怖いこと。
   目玉はギロギロ光って皿のように大きく、
   口はカバより大きくて、
   するどい牙(きば)は刀(かたな)のよう。
   いつも橋の下で待っていて、橋を通る
   生き物をつかまえて食べてしまうんだよ」
コチ「えー。兄ちゃん、怖いよ。どうしよう」
カタ「トロルに食べられたら、困るねぇ」
ダヂ「そうだね。食べられないようにするには、
   どうしたらいいかなあ」
3匹のやぎは、角を合わせて相談しました。
ダヂ「そうだ、いいことを考えた。
   トロルは食いしん坊で、いばりん坊だから、
   コチコチトンは、
   『トロルさん、
    ぼくみたいな
    弱虫で小さいやぎはおいしくないよ。
    あとからもっとおいしくて強い
    カタカタトンが来るよ』
    と言えば、きっとトロルは
   『なに?おまえより
    おいしくて強いやぎが来るんだって?
    よし、それならおまえのような
    まずくて弱虫のやぎは
    さっさと行ってしまえ』と言ってくれるよ。
   カタカタトンも同じように、
   『トロルさん、
    ぼくみたいな小さなやぎはおいしくないよ。
    あとからもっとおいしくて強い
    ダヂヅデドンが来るよ』
    と言えば、きっとトロルは
   『なに?おまえより
    おいしくて強いやぎが来るんだって?
    よし、それならおまえのような
    まずくて小さなやぎは
    さっさと行ってしまえ』と言ってくれるよ。」

まず、初めに橋を渡るのはコチコチトンです。
コチ:コチコチトン・・(様子をうかがって)コチコチトン・・。
トロル「だあれだぁ!
    おれ様の橋をコチコチトンと渡るやつはぁ!」
コチ「ぼ、ぼくだよ。小さな小さなやぎのコチコチトンだよ。
   あんまり小さいから、向こうの山へ行って、
   うんと太ってくるんだよ」
トロル「えーい、つべこべ言うな。
    おまえをパクリとひとのみにしてやる」
コチ「トロルさん、
   ぼくみたいな小さいやぎはおいしくないよ。
   あとからぼくよりおいしくて強い
   カタカタトンが来るよ」
トロル「なに?おまえより
    おいしくて強いやぎが来るんだって?
    よし、それならおまえのような
    まずくて弱虫のやぎは
    さっさと行ってしまえ」
コチ:コチコチトン、コチコチトン。
   コチコチトン、コチコチトン。

次に橋を渡るのは真ん中のやぎのカタカタトンです。
カタ:カタカタトン・・(様子をうかがって)カタカタトン・・
トロル「だあれだぁ!
    おれ様の橋をカタカタトンと渡るやつはぁ!」
カタ「ぼ、ぼくです。
   ぼくは真ん中のやぎのカタカタトンです。
   まだまだ小さいから、向こうの山へ行って、
   うんと太ってくるんです」
トロル「えーい、つべこべ言うな。
    おまえをパクリとひとのみにしてやる」
カタ「トロルさん、
   ぼくみたいな小さいやぎはおいしくないよ。
   あとからもっとおいしくて強い
   ダヂヅデドンが来るよ」
トロル「なに?おまえより
    おいしくて強いやぎが来るんだって?
    よし、それならおまえのような
    まずくて弱虫のやぎは
    さっさと行ってしまえ」
カタ:カタカタトン、カタカタトン。
   カタカタトン、カタカタトン。

さあ、最後に橋を渡るのは、
一番大きいダヂヅデドンです。
ダヂ:ダーヂヅーデドーン、
   ダーヂヅーデドーン。
トロル「おっ、こいつはでかくて強そうだ。
    これなら食べがいがあるぞ」
   「だあれだぁ!
    おれ様の橋をダヂヅデドンと渡るやつはぁ!」
ダヂ「おお、トロルか。おれだおれだ。
   一番大きなやぎのダヂヅデドンだ」
トロル「おう、待っていたぞ。
    おまえをひとのみにしてやる」
ダヂ「ようし、かかってこい。
   おれの2本のでっかい角で
   おまえの目玉をグサーッとさし、
   石よりかたい4つのひづめで
   おまえの骨をダーヂヅーデドドドーンと
   こなごなにふみつぶしてやる」
トロル「なんだとー」
ダヂ「えーいっ!グサッ」
トロル「ギャー、目がー」
ダヂ「それっ、ダーヂ、ヅーデ、ドドドドドドーン」
トロル:ドッボーン。
コチとカタ「やったあ。兄ちゃん、すごい」

 こうしてダヂヅデドンはトロルをやっつけて、
谷へ放り込んでしまいました。
コチコチトン、コチコチトン。
カタカタトン、カタカタトン。
ダーヂヅーデドーン、ダーヂヅーデドーン。
3匹は無事に山へ登って行きました。
コチ「兄ちゃん、この草、おいしいね。モグモグ」
カタ「おいしいね。こんなにいっぱい食べちゃったよ」
ダヂ「コチコチトンもカタカタトンも、
   いっぱい食べたなあ」

 3びきのやぎは、
おいしい草をたくさんたくさん食べたので、
よく太ってころころになり、帰って行きました。
あんまり大きく太ったので、
橋を渡って帰る時のひづめの音もすごいもの。
ゴヂゴヂドン、ゴヂゴヂドン。
ガダガダドン、ガダガダドン。
デンガラドンガラダヂヅデドン。
はい、これで
山へ行って太ってきたやぎさんのお話は、
おしまいです。

関連ページ
子どもは素話・読み聞かせが大好き「やぎさんふとってデンガラドンのドン」「あめだま」「あとかくしの雪」「白い足あと」「たべられたヤマンバ」「定ちゃんの手紙」「たぬきの糸車」「スイミー」「三年峠」
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898104/


by takaboo-54p125 | 2013-12-14 05:03 | お話・リズム遊び・室内ゲーム

小学校の1~2年生が好むお話です。私も大好きなお話です。3~6年生には、朝自習の視写教材に使わせてもらいました。平仮名の文を見ながら、知っている漢字を使って書くというスタイルなら、何年生でも使える朝自習視写教材になります。5~10分ほどで、どの子も仕上げられる程度に分割して視写させたのを覚えています。学年によって、たしか12~16回分ぐらいに区切ったでしょうか。


【あめだま      にいみなんきち】


はるの あたたかい ひのこと、わたしぶねに


ふたりの ちいさな こどもを つれた


おんなの たびびとが のりました。


 ふねが でようと すると、


「おうい、ちょっと まってくれ」


と、どての むこうから てを ふりながら


さむらいが ひとり はしってきて、


ふねに とびこみました。


ふねは でました。


さむらいは ふねの まんなかに、


どっかと すわっていました。


ぽかぽか あたたかいので、


そのうちにいねむりを はじめました。


 くろい ひげを はやして、


つよそうな さむらいが、


こっくりこっくり するので


こどもたちは、おかしくて 


ふふふと わらいました。


おかあさんは、くちに ゆびを あてて、


「だまっておいで。」


と いいました。


さむらいが おこっては たいへん だからです。


こどもたちは だまりました。


 しばらく すると、ひとりの こどもが、


「かあちゃん、あめだま ちょうだい。」


と、てを さしだしました。


 すると、もう ひとりの こどもも、


「かあちゃん、あたしにも。」


と いいました。


 おかあさんは、ふところから


かみの ふくろをとりだしました。


ところが、あめだまは もう ひとつしか


ありませんでした。


「あたしに ちょうだい。」


「あたしに ちょうだい。」


 ふたりの こどもは、


りょうほうから せがみました。


あめだまは ひとつしかないので、


おかあさんはこまって しまいました。


「いいこ だから まって おいで。


むこうへ ついたら かって あげるからね。」  


といってきかせても、


こどもたちは


「ちょうだいよう」


と だだを こねました。


いねむりを していたはずの さむらいは、


ぱっちり めを あけて、


こどもたちが せがむのを みていました。


おかあさんは おどろきました。


いねむりの じゃまを されたので、


この さむらいは おこって いるのに


ちがいないと おもいました。


「おとなしく しておいで」と


おかあさんは こどもたちを なだめました。


けれど、こどもたちは ききませんでした。


すると、さむらいが、


すらりと かたなを ぬいて、


おかあさんと こどもたちの まえに


やって きました。


おかあさんは まっさおに なって、


こどもたちを かばいました。


いねむりの じゃまを した こどもたちを、


さむらいが きりころすと おもったのです。


「あめだまを だせ。」


と、さむらいは いいました。


おかあさんは、おそるおそる


あめだまを さしだしました。


 さむらいは、それを ふねの へりに のせ、


かたなでぽちんと ふたつに わりました。


 そして、


「そうれ。」


と、ふたりの こどもにわけて やりました。


それから、また もとのところに かえって、


こっくりこっくり ねむりはじめました。

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by takaboo-54p125 | 2013-12-07 05:01 | お話・リズム遊び・室内ゲーム