『教育フォーラム「いじめ」への取り組み』(明治図書)の紹介
第1巻『教育にとって「いじめ」とは何か』
第2巻『「いじめ」に学校はどう取り組むか』
第3巻『「いじめ」と教師の意識変革の課題』
第4巻『「いじめ」指導のテキスト教材の開発』
坂本昇一聖徳大学教授・編(当時:文部省「いじめ対策緊急会議」主査)


かつて、市内の小中学校生徒指導主任会の研修で、大阪府高槻市の小学校教諭だった園田雅春先生を招いて話をお聞きする機会がありました。その時、園田先生が話された印象的な実践例の載っているのが、第4巻でした。すぐに買って、職場で紹介したのを覚えています。あいまいな記憶ですが、園田先生は、今はたしか大阪教育大学教授で附属小校長をなさっているような気がします。1996年刊行の本ですが、第4巻の小学校「あの3週間」、中学校「何度までなら許されるか」などは、今でも充分に使える教材だと思います。


さて、その 第4巻『「いじめ」指導のテキスト教材の開発』は、今も手元にあります。みなさんも本書を直接読まれることをオススメします。
目次から、その概要を紹介したいと思います。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの次が「テキスト教材の開発」です。


Ⅳ小学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発


1小学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発
①教師は何をなすべきか ②「いじめ」の授業の分類                                        
③「いじめ」の授業教材例④「いじめ」の授業:新授業案

                                        
絵本『わたしのいもうと』を滑走路に
①グルグルと循環する「いじめ」②《つられ現象》が正義をつぶす                                                  
③教材と事実を結びつける授業 ④正義の組織化が緊急課題

                                          
3いじめのテキスト「あの3週間」
①はじめに②いじめ指導テキスト「あの3週間」③授業の構想④授業記録


Ⅴ中学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発


1身近な事例をテキストにしての道徳の授業
①帰りの会での出来事
◎授業資料「何度までなら許されるのか」


②クオリティー・サークルによるいじめ問題の解決
◎授業資料「アドバイスをください」


2『私たちは、自分と同じように相手を大切にしながら、自主性をもって生きなければ』
①本テキストA~Cの満たすべき条件とねらい
②テキストA:「人間関係を深めるグループ・エンカウンターの方法」を基にして                                   
③テキストB:「アメリカの小学校の児童規則(私の願い)」を基にして                                        
④テキストC:「いじめられている君へ」を基にして


目次ⅣとⅤの紹介は、以上です。本書を直接読まれることをオススメします。絵本『わたしのいもうと』は、いじめ防止の一助になる切実な内容でした。学校で数冊購入してもらい、各クラスで読み聞かせをしてもらったような記憶があります。作り話ではなく、実話であることが、子どもたちの心をゆさぶる、と書いてありました。


絵本『わたしのいもうと』の実践例ものっていました。


説明:この話は、作者の松谷みよ子さんがもらった手紙を元にした、本当のお話です。


問い1:お医者さんに診られるまで、何日もの間、妹はどうして誰にも言わなかったのでしょう?


問い2:転校してきた妹と同じクラスになった子らは、妹のことをどう覚えているでしょうか?


問い3:妹は、クラスの子らのことを、どう覚えているでしょう?


問い4:あなたが妹と同じクラスなら、何ができますか?


この授業に対して、こういう発問はいらない!絵本を読み聞かせ、感じたことを書かせて、それを交流するだけで、子どもたちの心は揺さぶられる、それほどズッシリくる絵本教材だという意見ものっていました。


私には、小学校「あの3週間」、中学校「何度までなら許されるか」が、自分なりに授業をイメージしやすい教材だと言えます。もちろん、このような教材も、クラスの実態に合わせたタイムリーな活用が大切でしょう。


小学校あの3週間」はおおよそ次のような話でした。
『級友を無視しようと言い始めた「私」が、しばらくたつと、立場が逆になり、3週間、クラスの女子から無視される輪が広がり、母にも先生にも言えず、頭痛など身体症状も出始め、隣のクラスの幼なじみに打ち明けたところ、幼なじみの説得により2人で先生に話した。』
というプリントを、担任が範読した後の主発問。
問い1:このケースをどう思いますか。


問い2:「私」が先生やお母さんに黙っていたのは、なぜでしょう。


問い3:反省しなければいけないのは「私」ですか。誰でしょう。 


問い4:あなたなら、この「私」のために何をしてあげられるか、書きましょう。


中学校何度までなら許されるか」はおおよそ次のような話でした。                                                  
『帰りの会で、先生が進路希望票を配布し、提出期限も説明した。A子さんが質問した。
「先生、この紙は、いつ持って来たらいいのですか」
教室は笑い声につつまれた。ふだんからA子さんは、話を聞き漏らすことが多いからだ。                                                  
男子が口々に言い始めた。
B「こら、何、言うてるねん。ちゃんと説明聞けやぁ」
C「ほんまや。どこに耳つけてるねん」                     
D「寝ぼけてんのかぁ。いっつも、同じ失敗してるやんけ」                                         
E「こんなアホには、つける薬なんか、あらへんでぇ」
教室には、また笑い声が響いた。A子さんは、笑って?ごまかした。』                                         
というプリントを、担任が範読した後の主発問。


問い1:B・C・D・Eの4人の発言で、誰の言葉までなら許されると思いますか。


問い2:もし自分がB・C・D・Eの順で言われたら、イヤなのは誰の言葉からですか。                                           
(問い1・問い2で、B・C・D・Eから選んで挙手させ、問い1・問い2で、挙手数の違いと理由に気づかせる。問い1と問い2の挙手数は一致せず、問い1には甘く、問い2にはシビアな結果が出るであろうと予測される)                                                                        
問い3:言われた人の耐える力にも大きな差があることがわかりましたか。あなたなら、A子さんに何と言ってあげたいですか。4人には何と言ってあげたいですか。それぞれ書いてみましょう。


どちらの事例の、お話も、発問も、多少ですけどアレンジして、変えてあります。


園や、学校の低学年の子どもたちに読み聞かせをする絵本なら、偕成社から内田麟太郎・作、降矢なな・絵の「ともだちや」シリーズが、子どもたちも友だちを大切にしたくなる絵本だと思います。「ともだちや」「ともだちくるかな」「あしたもともだち」「ごめんねともだち」「「ともだちひきとりや」「おれたち、ともだち」など、シリーズになっています。以前、私が小学校教員の頃、地元の学童で保護者向けの話を頼まれました。お茶だけという約束でしたが、菓子箱をくださいました。困りました(公務員でしたから)。それで、その金額に見合うものとして、この絵本シリーズを買いました。お返しに持って行ったら、この、きつねが主人公の絵本の内容は大好評でした。オススメの絵本です。小学校・上学年~中学校でも、読み聞かせに耐えうる絵本は、先ほどの「いじめ」指導のテキスト教材で紹介されていた「わたしのいもうと」が、心にズシンとくるので、内容を確かめてから活用されるといいでしょう。


ただ教師自身が、いじめのとらえ方で、勘違いしてはいけないことがあります。それは、いじめを受けている子が「つらく」「苦しく」「やめてほしい」と感じることは、総てイジメだということです。相手側が意図的なのはもちろん、おもしろ半分でも、何げない遊び感覚でも、全部イジメなのです。相手側(おそらく複数)の言いぶんに左右されず、その子を「守る」ことを最優先にします。「先生たちが絶対に守るからね」というメッセージ(非常事態宣言)を、必ず有言実行できる体制で、です。


by takaboo-54p125 | 2013-10-26 05:04 |

たち私たち教師は、よく次のような言い方を、ついつい、子どもたちにしてしまいます。
「しっかりしなさい」 「ちゃんとしなさい」
などです。子どもたちには、イメージしにくい言葉なのです。年令が小さいほど、どうしていいかわからない、あいまいな言葉だと言えます。ですから、大声で、「しっかりして」「ちゃんとして」「うるさい」「まだか」「はやく」「おそい」などと、どなるより『できて当然のこと』でも(今の時代の子どもには、↓これらが必要なのです)


みんな、すわろうね・・・おっ、早くすわれたね。かしこいなぁ」(笑顔で)                                 
教科書の何ページを開けてね・・・うん、開けたね。エライ」(笑顔で)                                         
シーッ!お話するのをやめようね・・・静かになったね。うれしいな」(笑顔で)                        
◎◎君のお話を聞いてあげよ・・・こんなに聞いてもらえるとうれしいね」(笑顔で)            
◎◎さんの意見、聞いてあげよ・・・◎◎さんの気持ちわかってきたね」(笑顔で)                          
先生のお話を聞いてね・・・聞いてくれてありがとうね」(笑顔で)                               
みんな2列に並んでね・・・すごく早く並べたねぇ。気持ちいいな」(笑顔で)

                            
と、その場面に応じて、子どもにしてほしい具体的な言い方で、子どもたちがイメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん、子どもたちが受けとめてくれたら、必ず目を見て具体的にほめることも忘れてはいけませんよね。(継続すると、しかる〔注意する〕回数が徐々に減ります)                                           
教師が笑顔でいると教室に「楽しい空気」「心地よい雰囲気」を広げます。それは即、子どもに伝わります。(楽しさは伝染するのです)


また、
「ダメ!」「やめい!」「あかん!」「何してんの!」「さっき言ったやろ!」などと言ってしまう、否定的な指示語も、緊急を要する時以外は、やさしく、しっとりと、        


どうしたん?」
こういう時は、△△すると、うまくいくよ
そういう時は、先に△△してみようね

というふうに、ダメの中身を、具体的に伝えるほうが、子どもも素直に受け入れやすい言葉がけです。


△できるだけ減らしたい教師の言葉(いつも大声、いつも怒鳴り声、いつも命令する声)


「こらっ!」「静かに!」「わかった人?」「できた人?」「他にない?」「発表して」                                                        


◎できるだけ増やしたい教師の言葉(やわらかな声、大きすぎない声、ゆっくりした声)


困っていることはないか?」(わかった人?できた人?より、子どもは聞いてもらえてうれしいし、安心して言える空気が生まれます)                                                             
先生にも聴かせてほしいな」(子どもが発言しやすい聞き方です)                                                             
みんなに聴いてほしいこと、ないか?」(子どもも言いたくなる聞き方です)                                                        
グループで話し合って、気づいたこと、聴かせて」(班のまとめより、個人の気づきを聴きましょう)                                                            
わからない所は、隣の人に聞いてごらん」(困ったら遠慮せず「教えて」と言える教室・子どもに育てたいので)                                       
わかりにくかったら、周りの人と相談して」(聞かれたら気軽に教えてあげる教室の空気もつくりたいので)                                                                        
○○君の意見は、みんなが考えつかなかったものやね」(たとえ的外れな発言でも)                              
○○さんの言いたいのは、たぶんこうだと言える人、いるかな?」(発言につまった時に)                                     
○○君の言いたいことの続きがうかんだ人、いるかな?」(モゴモゴ発言の時に)


あれこれ書きましたが、基本は、気になる子どもがいたら、「どうしたの?」と声をかけ、気持ちを聞いてあげてから、最後は「どうしたい?」と問いかけることを、日々、意識したいものです。教師に共感してもらえたところで、じゃあ、自分はどうしたいのかを、子ども自身が考えて自己決定できるようになってほしいからです。自立へ向けて自ら行動に移せるよう、その子の自立度に応じて支援「先生に助けてほしいことはないか?手伝ってほしいことはないか?一緒にしてほしいことはないか?」をしてあげるのが、教師の大事な役割ではないでしょうか。支援してほしい内容を決める主体も、子どもだということを忘れずに!

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by takaboo-54p125 | 2013-10-19 05:11 | 保育・教育