2011年(平成23年)11月25日(金)は、愛知県小牧市立米野小学校の公開授業を参観させていただきました。米野小学校は「学びの共同体」の実践校で、取り組んで6年目と伺いました。学年5クラス・全校児童数900名を越える大規模校です。今回は、時間の都合で、3校時(下学年)45分と、4校時(上学年)の最初15分だけの参観になりました。5教科の公開授業のうち、国語(物語文)の教室を観せてもらいました。


国語:授業(2、3、4年生)の教師と子どもたち


3校時、まず、2年生の「三枚のおふだ」の教室に入りました。前時の場面の音読の後、子どもたちのイスと同じ高さのイスに座っている先生が、ゆっくりと静かに、                                                 
「ギシギシギシ、グツグツグツ・・・ヤマンバ、うれしかったよね」                                                              
と前時のふり返りを確かめられると、子どもたちは口々に、                                            
「うれしかった」
と反応しました。そして、すぐ本時の音読です。セリフの読み方ですが、とても心を込めて音読していました。ここまでで5分でした。そして、各自がワークシートに書き込みを始めたので、また、後半を観せてもらうことにして、教室を出ました。


次に、3年生の「三年とうげ」の教室に入りました。それまで、子どもと同じ高さの目線の位置に座っていた先生が立って、机間支援を始められました。子どもたちは、4人グループで話し合い始めたからです。5分もたたないうちに、先生が、                                                                   
さあ、どんなことを話し合ったのか、聞かせてくれる?」                                                                
と言われ、挙手(「ハイハイ」と言う子はいない)した子どもを指名されました。全てが聞き取れたわけではありませんが、子どもたちの発言はおおよそ次のようなものでした。
「48ページの△△のところで・・・」
「◎◎さんと同じ所で、意見はちがって・・・」
「◎◎ちゃんのに似ていて・・・」
「△△のところだけど・・・」
「◎◎さんが言ってたんだけど・・・」
この子が途中で言えなくなると、先生がちょこっと助け船を出しました。                                                         
「◎◎さん、何て言ってたの?」
そして、先生がようやく言いました。
「『しばらく』って、そういう意味なんやね。前の場面とつなげてくれたね」                                                         
その後、「三年とうげ」の話の中に出てくる「言い伝え」と、主人公トリトルが言った言葉についても、先生から、
「そこ、みんなで相談してみて」
と言われた後の子どもたちは、
「言い伝えは、注意をしてるみたい」
「トリトルの言葉は、注意を、いいことに変えてる」
「トリトルは、注意を、裏返してる」
「ちょっとちがって、トリトルのは、注意の、続きっぽいやつ・・・」                                                             
と、「言い伝え」とトリトルの言葉のちがいを、自分の言葉で話し合っていました。友だちの発言を実によく聴いて、それを受けた発言をする3年生でした。そろそろ、2年生「三枚のおふだ」の教室へ戻ることにしました。


2年生の教室では、「三枚のおふだ」で、便所に行くふりをして逃げようとする小僧と、それを阻止しようと、あれこれ講じるヤマンバのやりとりを話し合っているところでした。どの子もいっしょうけんめい説明しようとし、それをみんながいっしょうけんめい聴こうとしていました。先生が、
このヤマンバは親切なの?」
と問いかけた時は、各グループで子どもたちが顔を寄せ合って真剣に相談している空気に教室がつつまれていました。そして、1人の子が、
「小僧にばれてるって、ヤマンバは気づいてない」
と言うと、
「わかった」
と数人がつぶやきました。そして、別の子が、
「◎◎さんの聞いて、わかったんだけど、ヤマンバは油断して・・・」                                                           
と言うと、
「わかった」
と多くの子が口々に反応しました。このように、1人の発言が周囲にひびき、次の子の発言につながっていく、そんな2年生の教室でした。最後の音読は、多くの子が読みたがりましたが、先生に、
「誰のを聞きたい?」
と問われると、
「◎◎くんの」
と言える2年生でもありました。


4校時、4年生の「ごんぎつね」の教室に入りました。音読は役割読み(3人)でした。どの子も読みたそうにしていました。その後の1人読みは、気持ちを込めて、情感たっぷりに読んでいる声が教室に響いていました。先生の問いかけが印象的でした。
みんなに聴いてほしいことある?」
お互いに聴き合うことができているからこそ、言える問いですよね。子どもたちは、                                                     
「『つまらないな』のところで・・・」
「今、◎◎さんが言ったんだけど・・・」
「それ、△△と書いてあるので・・・」
「△ページにもあるんだけど・・・」
と、聴いてほしい意見の羅列ではなく、発言がつながっていました。当然、発言している子の顔を自然な感じで見ている子どもたちでした。そんな前向きで意欲的な4年生の教室に、もっといたかったのですが、電車の時間があるので、米野小学校を後にしました。


今回、参観したのは、2,3,4年生の3クラスでしたが、共通していたことがいくつもあります。


例えば、どの教室も柔らかでしっとりした空気に包まれ、参観者の私も居心地がよかったこと。どの学年も、子どもたちの表情がステキでした。


また、どの子も学習の中身に気持ちが向いているので、私語がなかったこと。授業中に廊下を歩いている時、各学年、どの教室も落ち着いた雰囲気なのでびっくりしました(学年5クラスの大規模校です)。もちろん、教師が怒鳴って統制する気配は皆無でした。


さらに、友だちの発言を聴こうとするので、45分間、集中力が持続していたこと。下学年ほど、子どもって、授業にたいくつしてくると、頭がゆらゆら動き出すものですが、そういう子がいないので驚きました。新幹線に乗って行った甲斐がありました。米野小学校の先生方、ありがとうございました。


米野小学校の基本的な考え(子どもとどう向き合うか)


そんな学校づくりをされている米野小学校の、先生方が一致して心がけておられることを、まとめてある資料(冊子)がいただけました。「ともに学び合い つなぎ合う 授業の創造 —聴くこと つなぐことを大切にして—」という冊子でした。「『学び合う学び』の基本的な考え」「研究当初の取り組み」とも書いてありました。その中でも、とりわけ、どの学校でも、どの教室でも、すぐに取り組みたい「聴くこと」の具体的な実践を紹介させてください。


「ともに学び合い つなぎ合う 授業の創造 —聴くこと つなぐことを大切にして—」
『学び合う学び』の基本的な考え(研究当初の取り組み)                                 
1,「ともに学び合う授業」とは
2,教師主導の一斉授業との決別
そこには、見えてきたものとして、教師の姿が3つ書いてありました。                          
●「学ばせる」のではなく教え込もうとする気持ちが強く、一人一人の子どもを大切にしていない教師の姿。
●自分の意図する発言にすぐに飛びつく教師の姿。
●自分の計画した指導過程通りに進めようと、子どもの疑問やつぶやきに耳を傾けない教師の姿。
3,ともに学び合う授業の創造
4,聴くこと
そこには、【聴くこと】「日常の中で子ども・教師が意識すること」が13個、書いてありました。


◎まず、教師が一人一人の子どもの声に耳をすます。
◎ていねいに聴く。(教師も子どもも急がない。矢継ぎ早に指名しない。子どもの意見に飛びつかない)
◎相手を受け入れる。
◎どの子のどんな発言も大切に受けとめる。
◎小さなつぶやき、予想外の発言にもしっかり耳を傾ける大切さに気づく。  
◎「まちがい」や「わからない」を大切にする。
◎多様な意見から複雑な「つながり」を見つけ出す。               
◎互いの共通点・相違点から何かを発見しようとする。              
◎意欲を持続させようとする工夫をする。(4人グループ ペア 音読)     
◎いつでも、誰かが話を聴いてくれるという雰囲気をつくる。            
◎テンションを上げすぎず、静かに聴く。
◎話し合いだけが「学び合い」ではないことを理解して子どもたちの活動を見守る。
◎生活の全てが、「学び合い」であるという認識に立った指導を心がける。


さらに、【聴くこと】「授業の中で特に教師が気をつけること」が6つ書いてありました。


◎子どもたちが話し合う場面で教師も子どもと同じ目線で話が聴けるよう、いすに座ることも必要。
◎子どもたちが話し合う姿をひたすら見守ることも必要。           
◎板書・不必要なリボイス(くり返し)で子どもたち同士のつながりを切ってしまうこともあるので注意。
◎自分で発言する喜びよりも、聴く喜びを感じさせ、自然な対話活動が生まれるよう、友だちに向かって静かにゆっくり話すようにさせる。                   
◎用意した意見を言い合う時間を減らし、ゆっくり聴き合いながら話し合う時間を増やす。
◎「他者から学ぶ」謙虚な気持ちを大切にし、教師自身も一人一人の子どもを尊重することを忘れない。


5,つなぐこと
6,ともに学び合う場面づくり
7,質の高い授業をめざした教師の学び合い
8,授業を見る視点・協議の視点
9,研究の成果と課題
8,では、学び合いにふさわしくない言葉が5つ書いてありました。


●「他に・・・」〈前の意見をつながりのないものにする〉


●「なぜ」「どうして」〈国語の場合は理屈っぽくなり、本文を読み味わえない〉


●「わかったか」〈「わからない」「困った」が学びの基本〉


●「発表してください」〈聴くことが忘れられる→聴き合おう、考えようと意識させる〉       


●「さん、はい」〈一斉にそろえることをさす→一人一人のリズムを大切にする〉


以上です。私は恥ずかしながら、すぐ子どもたちに「他にない?」「わかった人?」「発表して」などと言っていたことを思い出しました。かつて「ハイハイ発言」の「意見発表会」のような、見た目は活発そうな国語の授業をして自己満足していた自分が、恥ずかしい気持ちです。


【つなぐこと】


どの学校でも、どの学級でも、すぐに取り組みたい「つなぐこと」については、6つ書いてありました。
5,つなぐこと
(前略)私たち教師が気をつけなければならないのは、発言をしている子どもに気をとられて、発言を聴いている子どもたちがどのような状態にあるかを見逃している時があるということである。研究を進める中で、私たち教師は、活発に発言する子どもたちに授業の展開を頼ってしまっていることが多くあることに気づいた。(後略)


「子どもと子ども 考えと考え 子どもと教材をつなぐ」


◎教師が子どもたちの多様な考えや活動のからみ合いを瞬間的に見極める力を磨く。


◎子どもたちが考えを共有できるようにする。
・教師が子どもたちの学びに寄り添う。
・子どもたちから学ぶつもりで、同じ目線で授業に臨む。
・教材の本質にせまり、教材との出会いを大切にする。
・「うなずき」、「つぶやき」から考えを広げ、それをつなげていく。


◎国語の授業では、本文に戻しながら、つなげる。
・子どもたちの考えがまとまらなかったり、本文から外れていくような状況になったりした時は、音読などをして本文に戻し、考えを確認しながら、つなげていく。     
・本文に戻ることによって、子どもたちは自分たちで今までの意見をつなげたり深めたりして、ねらいに迫っていくことができる。


◎音読を多く取り入れる。
・本文につなげるとともに、新たな気づきを生んだり、場面を進めたりする。
・読み味わうことにつながる。
・読み取ったことを音読で表現する。


◎友だちの意見を真剣に受けとめ、自分の考えと、すり合わせる。                                      
・じっくりと友だちの意見を聴いて、そこに自分の考えを加えながら発言する。
・考えを再構築しながら発言する習慣を身につけさせる。


◎考えをつなぎ、学びを深めるために、グループ活動を有効に使う。                                   
・全体の中では、自分の思っていることをうまく、他の意見とつなぎ合わせることができなくても、グループの中ではそれができる子どももいる。
・そういった子どもの意見をグループの誰かが補ってくれることにより、偏りが減り、つながりに幅ができるようになる。
・グループの中でお互いの考えを聴き合い学び合うことを通して、温かい仲間づくりができる


以上、「聴くこと」「つなぐこと」について、「子どもたちの学びの姿をとらえ、確かな教材研究の上に立ち、学びの価値を知らせ、安心して学べる空間をつくり出す」米野小学校における基本的なこと(国語)の紹介でした。これらは、H19年度から心がけておられる研究当初の取り組みと書いてありましたから、6年目の今は、さらに深めておられることと思います。


「温かい仲間づくり(学級づくり)」とは、何より「授業づくり」があってこそしかも、まず教師が聴くことを大事にしてこそ、さらに、子どもの意見をつないでいってこそ、それも、学校ぐるみで全学級が取り組んでこそ、到達できるということが、実際に米野小学校の各教室を観て、心底「なるほど!」と実感したことです。


来年度もチャンスがあれば、また米野小学校の公開授業を、今度は1年生と5・6年生の授業を観に行きたいと思っています。滋賀県の小学校の先生方にも、自信を持ってオススメしたい公開授業研(3・4校時:全学年公開)でした。


それらを幼稚園の先生方に紹介したところ、園長先生から、


『今までなら「できた?」「わかった?」と聞いていたのを、「困っていることはないか?」と問いかけるようにしてみたところ、子どもたちの反応に変容が見られ、いろいろ答えてきたと報告してくれる担任がいたり、別のクラスでは、「言いたい人」ではなく、「お友だちに聞いてほしいことはないか?」と問いかけたら、「うんていができるようになった」など、次々と子どもからの発言が聞かれた・・』というお手紙をいただきました。


関連ページ


「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑫【協同的な学び】はすでに日本からアジア各国の学校へ広がっていた(現在進行形)+アメリカ合衆国からのアドバイス

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898193/




by takaboo-54p125 | 2011-12-25 05:33 | 保育・教育

私は、自分の授業スタイルや、子どもとの向き合い方を、ワンパターンじゃなくて柔軟にしたい、自分の知らない「引き出し」をできる限り増やしたい(融通のきかないのが私の弱点だから)というのが若い頃からずっと思っていたことでした。そのわりに、人間性を磨けていないので、手に入れようと思っていたほどの「引き出し」の数は、今、ありませんが・・・。


まずは、最初の臨時講師の時は年休をとって、三重県へ公開授業研に行きました。臨時講師に、県外への単独(郡市の主任会ではない)出張旅費は出ませんので、自腹を切ってでも行きたかったからです。たしか冬で雪が積もってきたので、国道1号線の鈴鹿峠の手前の土山(甲賀市)で、タイヤチェーンを巻いたのを覚えています。もちろん、公開授業を参観して、こんな授業をできるようになりたいと思いました。


その後、県外研修へは、3年に1度のペースで、行かせてもらえました。どこの郡市の主任会でも同様だったと思います。学校独自で、県外研に教職員を順番に行かせている学校もあります。私が行ったのは、静岡県、愛知県、三重県、富山県、石川県、福井県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県などです。愛知県の公開授業研と、石川県の研究大会は自費参加しました。静岡県は1週間、朝8時から夕方5時までびっしりでした。それ以外は、日帰りか、夕方出発の1泊2日でした。


やっぱり、愛知県のが、こんな授業もできるようになりたい公開授業でした。そして、石川県のが、谷川俊太郎さんの詩の音読や、竹内俊晴さんの「声を届ける」レッスンを受けてよかったと、心底思えました。どちらも、自分の発想にはなかったもので、カルチャー・ショックでした。


つまり、私の場合、自腹を切った自費参加の研修ばかり、強く印象に残りました。それ以降の私の教師生活にとって、極めて大きな影響を受けたと言えます。


そして、久しく行っていませんでしたが、昨年は、静岡県と大阪府の幼稚園に行き、県内の高校の公開授業を参観することができました。そして、どの学校の、どの先生も、取り入れたらいいなあと、心底、思いました。


欲の出た今年は、県内の保育園の保育参観と、県内の中学校と高校の公開授業と、私本来の土俵であった念願の小学校へは、愛知県の小学校の公開授業を参観することができました。こうして、今年は「協同的な学び合い(聴き合う学び)」の実践校である小学校・中学校(いずれも大規模校)の授業を、参観するチャンスに恵まれました。


小中高の参加者の先生方としゃべっていて共通していると感じたことがありました。それは、授業中の私語をなくしたい、授業を成立させたい、どの子も安心して学べる学級づくりをしたい、いじめなどの問題行動をなくしたい、不登校をなくしたい、多様な発達障害に対応したい、などでした。こういう切実な現状を背負って参加しておられる先生方がほとんどでした。それらの願いに応えてくれる取り組みこそ、学校ぐるみで挑戦することだと強く思いました。


先生方は日々お忙しいことと思いますが、それでも自らの発想の転換になると思って、ぜひとも時間を捻出して、公開授業を観に行かれることを、おすすめします。私は、できるだけ全学年授業公開の学校へ行くことを心がけています。全学年の普段着の授業からは、研究授業とはまた違う多様なことが学べるからです。自分の凝り固まっていた子どもとの向き合い方を、しなやかにするビッグ・チャンスになるのではないでしょうか。


授業が変わり、クラスの子どもたちが変容するのは、まず、教師自身が、子どもへの向き合い方(聴き方・話し方)に、発想の転換をはかること以外にはないということが、そして、それは学校ぐるみでチャレンジすることでしか、たどり着けないことが、ここ2年間、実践校(小・中・高)の授業を参観して、つくづく感じたことです。


関連ページ
「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑪小学校のチャレンジ【愛知県の小学校】温かい仲間づくり【教室に「ケア」の心を】授業づくり【具体的な「聴き合う学び」とは】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898325/


by takaboo-54p125 | 2011-12-24 05:55 | 親・保育士・教師の研修・講習

つくば言語技術教室の三森(さんもり)ゆりかさんは、著書「言語技術教育の体系と指導内容(明治図書)の中で、ドイツの教科書と比較しながら、次のように指摘しておられます。


『英語がうまく話せるようになりたかったら、外国人といろいろな話ができるようになりたかったら、まず日本語で話し方や書き方の技術を磨かなくてはいけない。そして何よりも物を考える訓練をしなければならない。なぜなら、外国語の基礎になるのは、あなたたちの母国語である日本語なのだ』


『未来にむけて日本の子どもたちは、2種類の日本語を習得する必要がある。1つは、日本人同士の中で円満な人間関係を保持するために使用する日本語(「美しい日本語」)であり、もう1つは、国際社会に対応する言語(英語)を習得するための土台となる日本語・・「翻訳できる日本語」ということである。私が子どもたちに教えたいのは、「美しい日本語」と「翻訳できる日本語」をいかに調和させるかということである』


『日本人のこうした主語抜き発言について、作家の井上ひさし氏が次のように語っている。「主語をできるだけ使わずにすます日本語が、主体性抜きの行動をとらせているのかもしれませんし、言語が思考や行動を決定するというのはその通りですね」(朝日新聞H5年1月1日【言葉と時代】加藤周一氏と井上ひさし氏の対談より)』


本書の、ごく一部だけを抜粋しました。三森さんは、日本語教育を、国語教育というより、母国語教育他の言語との比較対象の中で行われる)として、とらえておられます。教材として、問答ゲーム、ショウ・アンド・テル、再話、短文づくりなどが、のっていました。私には、なかった発想で新鮮でしたので、紹介いたしました。




by takaboo-54p125 | 2011-12-18 05:15 |

2011年11月25日(金)に愛知県小牧市立米野小学校の公開授業研究会へ参加した時、配布してくださった冊子に書いてあることを、先週に続けて、今日も紹介します。どの学校でも、どの学級でも、すぐに取り組みたい「つなぐこと」についてです。6つ書いてありました。


5,つなぐこと
(前略)私たち教師が気をつけなければならないのは、発言をしている子どもに気をとられて、発言を聴いている子どもたちがどのような状態にあるかを見逃している時があるということである。研究を進める中で、私たち教師は、活発に発言する子どもたちに授業の展開を頼ってしまっていることが多くあることに気づいた。(後略)


子どもと子ども 考えと考え 子どもと教材をつなぐ


◎教師が子どもたちの多様な考えや活動のからみ合いを瞬間的に見極める力を磨く。


◎子どもたちが考えを共有できるようにする。
・教師が子どもたちの学びに寄り添う。
・子どもたちから学ぶつもりで、同じ目線で授業に臨む。
・教材の本質にせまり、教材との出会いを大切にする。
・「うなずき」、「つぶやき」から考えを広げ、それをつなげていく。


◎国語の授業では、本文に戻しながら、つなげる。
・子どもたちの考えがまとまらなかったり、本文から外れていくような状況になったりした時は、音読などをして本文に戻し、考えを確認しながら、つなげていく。                                     
・本文に戻ることによって、子どもたちは自分たちで今までの意見をつなげたり深めたりして、ねらいに迫っていくことができる。


◎音読を多く取り入れる。
・本文につなげるとともに、新たな気づきを生んだり、場面を進めたりする。                                                                                    
・読み味わうことにつながる。
・読み取ったことを音読で表現する。


◎友だちの意見を真剣に受けとめ、自分の考えと、すり合わせる。                                                                                   
・じっくりと友だちの意見を聴いて、そこに自分の考えを加えながら発言する。                                    
・考えを再構築しながら発言する習慣を身につけさせる。


◎考えをつなぎ、学びを深めるために、グループ活動を有効に使う。                                                                              
・全体の中では、自分の思っていることをうまく、他の意見とつなぎ合わせることができなくても、グループの中ではそれができる子どももいる。
・そういった子どもの意見をグループの誰かが補ってくれることにより、偏りが減り、つながりに幅ができるようになる。
・グループの中でお互いの考えを聴き合い学び合うことを通して、温かい仲間づくりができる


以上、「つなぐこと」について、「子どもたちの学びの姿をとらえ、確かな教材研究の上に立ち、学びの価値を知らせ、安心して学べる空間をつくり出す」米野小学校がH19年度から心がけておられる基本的なこと(国語)の紹介でした。


温かい仲間づくり(学級づくり)」とは、先週、先々週の記事も含めて、何より、「聴くこと」「つなぐこと」を大切にした授業づくりがあってこそ、ということが、実際に米野小学校の各教室を参観して、なるほど!と実感したことです。


関連記事・ページ
小牧市立米野小学校(愛知県)「聴くこと」の実践=温かい仲間づくり
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898322/

「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑪小学校のチャレンジ【愛知県の小学校】温かい仲間づくり【教室に「ケア」の心を】授業づくり【具体的な「聴き合う学び」とは】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898325/ 


by takaboo-54p125 | 2011-12-17 05:19 | 保育・教育

2011年11月25日(金)に愛知県小牧市立米野小学校の公開授業研究会へ参加した時、配布してくださった資料に、「ともに学び合い つなぎ合う 授業の創造 —聴くこと つなぐことを大切にして—」という冊子がありました。「『学び合う学び』の基本的な考え」「研究当初の取り組み」とも書いてありました。その中でも、とりわけ、どの学校でも、どの教室でも、すぐに取り組みたい「聴くこと」の具体的実践を紹介させてください。


「ともに学び合い つなぎ合う 授業の創造 —聴くこと つなぐことを大切にして—」
『学び合う学び』の基本的な考え(研究当初の取り組み)                                                                              
1,「ともに学び合う授業」とは
2,教師主導の一斉授業との決別
そこには、見えてきたものとして、教師の姿が3つ書いてありました。                          
●「学ばせる」のではなく教え込もうとする気持ちが強く、一人一人の子どもを大切にしていない教師の姿。
●自分の意図する発言にすぐに飛びつく教師の姿。
●自分の計画した指導過程通りに進めようと、子どもの疑問やつぶやきに耳を傾けない教師の姿。
3,ともに学び合う授業の創造
4,聴くこと
そこには、「日常の中で子ども・教師が意識すること」が13個、書いてありました。


◎まず、教師が一人一人の子どもの声に耳をすます。
◎ていねいに聴く。(教師も子どもも急がない。矢継ぎ早に指名しない。子どもの意見に飛びつかない)
◎相手を受け入れる。
◎どの子のどんな発言も大切に受けとめる。
◎小さなつぶやき、予想外の発言にもしっかり耳を傾ける大切さに気づく。                                        
◎「まちがい」や「わからない」を大切にする。
◎多様な意見から複雑な「つながり」を見つけ出す。                                            
◎互いの共通点・相違点から何かを発見しようとする。                                      
◎意欲を持続させようとする工夫をする。(4人グループ ペア 音読)                          
◎いつでも、誰かが話を聴いてくれるという雰囲気をつくる。                                                       
◎テンションを上げすぎず、静かに聴く。
◎話し合いだけが「学び合い」ではないことを理解して子どもたちの活動を見守る。
◎生活の全てが、「学び合い」であるという認識に立った指導を心がける。


さらに、「授業の中で特に教師が気をつけること」が6つ書いてありました。


◎子どもたちが話し合う場面で教師も子どもと同じ目線で話が聴けるよう、いすに座ることも必要。
◎子どもたちが話し合う姿をひたすら見守ることも必要。                                                                            
◎板書・不必要なリボイス(くり返し)で子どもたち同士のつながりを切ってしまうこともあるので注意。
◎自分で発言する喜びよりも、聴く喜びを感じさせ、自然な対話活動が生まれるよう、友だちに向かって静かにゆっくり話すようにさせる。                                                                                                
◎用意した意見を言い合う時間を減らし、ゆっくり聴き合いながら話し合う時間を増やす。
◎「他者から学ぶ」謙虚な気持ちを大切にし、教師自身も一人一人の子どもを尊重することを忘れない。


5,つなぐこと
6,ともに学び合う場面づくり
7,質の高い授業をめざした教師の学び合い
8,授業を見る視点・協議の視点
9,研究の成果と課題
8,では、学び合いにふさわしくない言葉が5つ書いてありました。


●「他に・・・」〈前の意見をつながりのないものにする〉
●「なぜ」「どうして」〈国語の場合は理屈っぽくなり、本文を読み味わえない〉                                                                                                   
●「わかったか」〈「わからない」「困った」が学びの基本〉
●「発表してください」〈聴くことが忘れられる→聴き合おう、考えようと意識させる〉                                                                                          
●「さん、はい」〈一斉にそろえることをさす→一人一人のリズムを大切にする〉


以上です。私は恥ずかしながら、すぐ子どもたちに「他にない?」「わかった人?」「発表して」などと言っていたことを思い出しました。かつて「ハイハイ発言」の「意見発表会」のような、見た目は活発そうな国語の授業をして自己満足していた自分が、恥ずかしい気持ちです。


関連記事
小牧市立米野小学校(愛知県)「つなぐこと」の実践=温かい仲間づくり
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by takaboo-54p125 | 2011-12-10 05:19 | 保育・教育

朝から体調がすぐれず、授業中もフニャ~と元気のない子に聞くと「晩ご飯も、朝ご飯も食べてへんの・・」
 
2年生の担任の先生は、「これはあかん」と思い、中休みだったので、職員室へ連れて行きました。
そして、甘い砂糖湯を飲ましました。
他にも、朝ご飯が食べさせてもらえない子におにぎりを握ってきて、相談室で朝こっそり食べさせている1年生の先生もいたので、とっさにこういう行動をとったのです。
担任の先生は、その日の夜、家庭訪問をして、保護者の方に、日頃のその子のよい所を伝えて、日頃の保護者のご苦労をねぎらってから、
「何も食べてないと力が出なくて、勉強をするどころか、倒れてしまいます」
とお願いしました。
保護者も経済的に厳しい状況ですが、なんとかご飯だけでも食べさせることを約束してくださいました。
このように学校で砂糖湯を飲ましたり、おにぎりを食べさせることには、賛否両論あります。
ぜひ、じゃあどうするのかも含めて論議してください。
朝ご飯を食べてこない子の数は決して少なくないという現実が目の前にあります。


「これはどう考えても親の虐待やぞ」と感じた時は


担任の家に夜中の12時、電話がありました。クラスの子からです。電話の向こうで
「家から閉め出されたので・・」
と泣いています。担任は、場所を聞いて飛んで行きました(複数で対処すべき)。担任は自分より親への影響力が強い、その子の親戚の家を知っていました。そちらへ深夜の電話を詫びながら事情を話すと、そのお宅に「連れて来なさい」ということになりました。その親戚の方から親へ連絡を取り、すぐ迎えに来させて、話もしてもらい、その子を家へ連れて帰らせました。
1週間ほどすると、朝、その子が登校してきません。すぐに、担任は電話をしました。すると、お母さんが、
「お父さんが部屋に閉じ込めて、鍵をかけた」
と、おっしゃいました。担任は、教務主任にクラスをお願いして、すぐに数種類の工具を持って家に行きました(関係機関と連携すべき)。そして、お母さんの了解を取って、ドライバーで鍵そのものを取り外して、その子を学校へ連れて行きました。その日の夜、お父さんには、部屋に閉じ込めないことを約束してもらいました。このやり方にも賛否両論あると思います。
そして、通告しましたが、タイミングが遅すぎたと、担任は反省しました。校内のケース検討会は、もっと早くからしていましたが、「いざ鎌倉」の行動(これも単独行動で望ましくない)より先に、民生委員さんや、福祉行政や、こども家庭相談センターと連動しなければならないケースでした。

関連記事
「体罰は連鎖する」のを断ち切るために、学校の組織力のベクトルを180°転換しましょう(2013年3月追加)
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by takaboo-54p125 | 2011-12-04 05:11 | 保育・教育

2011年(平成23年)11月25日(金)は、愛知県小牧市立米野小学校の公開授業を参観させていただきました。米野小学校は「協同的な学び合い(聴き合う学び)」の実践校で、取り組んで6年目と伺いました。学年5クラス・全校児童数900名を越える大規模校です。今回は、時間の都合で、3校時(下学年)45分と、4校時(上学年)の最初15分だけの参観になりました。5教科の公開授業のうち、国語(物語文)の教室を観せてもらいました。


3校時、まず、2年生の「三枚のおふだ」の教室に入りました。前時の場面の音読の後、子どもたちのイスと同じ高さのイスに座っている先生が、ゆっくりと静かに、


ギシギシギシ、グツグツグツ・・・ヤマンバ、うれしかったよね


と前時のふり返りを確かめられると、子どもたちは口々に、


うれしかった


と反応しました。そして、すぐ本時の音読です。セリフの読み方ですが、とても心を込めて音読していました。ここまでで5分でした。そして、各自がワークシートに書き込みを始めたので、また、後半を観せてもらうことにして、教室を出ました。


次に、3年生の「三年とうげ」の教室に入りました。それまで、子どもと同じ高さの目線の位置に座っていた先生が立って、机間支援を始められました。子どもたちは、4人グループで話し合い始めたからです。5分もたたないうちに、先生が、                                          「さあ、どんなことを話し合ったのか、聞かせてくれる?」


と言われ、挙手(「ハイハイ」と言う子はいない)した子どもを指名されました。全てが聞き取れたわけではありませんが、子どもたちの発言はおおよそ次のようなものでした。
48ページの△△のところで・・・
◎◎さんと同じ所で、意見はちがって・・・
◎◎ちゃんのに似ていて・・・
△△のところだけど・・・
◎◎さんが言ってたんだけど・・・
この子が途中で言えなくなると、先生がちょこっと助け船を出しました。 


◎◎さん、何て言ってたの?」


そして、先生がようやく言いました。
『しばらく』って、そういう意味なんやね。前の場面とつなげてくれたね」                                                      
その後、「三年とうげ」の話の中に出てくる「言い伝え」と、主人公トリトルが言った言葉についても、先生から、
そこ、みんなで相談してみて
と言われた後の子どもたちは、
言い伝えは、注意をしてるみたい
トリトルの言葉は、注意を、いいことに変えてる
トリトルは、注意を、裏返してる
ちょっとちがって、トリトルのは、注意の、続きっぽいやつ・・・


と、「言い伝え」とトリトルの言葉のちがいを、自分の言葉で話し合っていました。友だちの発言を実によく聴いて、それを受けた発言をする3年生でした。そろそろ、2年生「三枚のおふだ」の教室へ戻ることにしました。


2年生の教室では、「三枚のおふだ」で、便所に行くふりをして逃げようとする小僧と、それを阻止しようと、あれこれ講じるヤマンバのやりとりを話し合っているところでした。どの子もいっしょうけんめい説明しようとし、それをみんながいっしょうけんめい聴こうとしていました。先生が、
このヤマンバは親切なの?」
と問いかけた時は、各グループで子どもたちが顔を寄せ合って真剣に相談している空気に教室がつつまれていました。そして、1人の子が、
小僧にばれてるって、ヤマンバは気づいてない
と言うと、
わかった
と数人がつぶやきました。そして、別の子が、
「◎◎さんの聞いて、わかったんだけど、ヤマンバは油断して・・・」                   と言うと、
わかった
と多くの子が口々に反応しました。このように、1人の発言が周囲にひびき、次の子の発言につながっていく、そんな2年生の教室でした。最後の音読は、多くの子が読みたがりましたが、先生に、
誰のを聞きたい?」
と問われると、
「◎◎くんの
と言える2年生でもありました。


4校時、4年生の「ごんぎつね」の教室に入りました。音読は役割読み(3人)でした。どの子も読みたそうにしていました。その後の1人読みは、気持ちを込めて、情感たっぷりに読んでいる声が教室に響いていました。先生の問いかけが印象的でした。
みんなに聴いてほしいことある?」
お互いに聴き合うことができているからこそ、言える問いですよね。子どもたちは、


『つまらないな』のところで・・・


今、◎◎さんが言ったんだけど・・・


それ、△△と書いてあるので・・・


△ページにもあるんだけど・・・


と、聴いてほしい意見の羅列ではなく、発言がつながっていました。当然、発言している子の顔を自然な感じで見ている子どもたちでした。そんな前向きで意欲的な4年生の教室に、もっといたかったのですが、電車の時間があるので、米野小学校を後にしました。


今回、参観したのは、2,3,4年生の3クラスでしたが、共通していたことがいくつもあります。例えば、どの教室も柔らかでしっとりした空気に包まれ、参観者の私も居心地がよかったこと。どの学年も、子どもたちの表情がステキでした。


また、どの子も学習の中身に気持ちが向いているので、私語がなかったこと。授業中に廊下を歩いている時、各学年、どの教室も落ち着いた雰囲気なのでびっくりしました(学年5クラスの大規模校です)。もちろん、教師が怒鳴って統制する気配は皆無でした。


さらに、友だちの発言を聴こうとするので、45分間、集中力が持続していたこと。下学年ほど、子どもって、授業にたいくつしてくると、頭がゆらゆら動き出すものですが、そういう子がいないので驚きました。新幹線に乗って行った甲斐がありました。小牧市立米野小学校の先生方、ありがとうございました。


そんな学校づくりをされている米野小学校の、先生方が一致して心がけておられることを、まとめてある資料(冊子)がいただけました。大規模校の米野小学校で、どの学年の、どの教室も、落ち着いた授業が、聴き合える授業が、温かい雰囲気の授業が成立している理由は何なのか、垣間見た、その一端にふれてみたいと思います。


余談ですが、ある教室に入った瞬間、子どもたちに韓国からの参観者と間違われました。いつものクセなのですが、深々と一礼してから教室に入って来た人(私)が、顔を上げたら口ヒゲ・あごヒゲを生やしていたので、子どもたちの目には韓流ドラマの礼儀正しい宮廷の人とダブったのでしょうか。その真意はともかく、米野小学校の過去の公開授業研へは、韓国の教育関係者が訪れたことがあるようです。神奈川県の茅ヶ崎市立浜之郷小学校や、静岡県の富士市立岳陽中学校が、そうであったように、です。最後まで読んでくださり、カムサハムニダ(ありがとうございます)。

関連ページ
「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑪小学校のチャレンジ【愛知県の小学校】温かい仲間づくり【教室に「ケア」の心を】授業づくり【具体的な「聴き合う学び」とは】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898325/


by takaboo-54p125 | 2011-12-03 05:19 | 親・保育士・教師の研修・講習