私は、自分の授業スタイルや、子どもとの向き合い方を、ワンパターンじゃなくて柔軟にしたい、自分の知らない「引き出し」をできる限り増やしたい(融通のきかないのが私の弱点だから)というのが若い頃からずっと思っていたことでした。そのわりに、人間性を磨けていないので、手に入れようと思っていたほどの「引き出し」の数は、今、ありませんが・・・。


まずは、最初の臨時講師の時は年休をとって、三重県へ公開授業研に行きました。臨時講師に、県外への単独(郡市の主任会ではない)出張旅費は出ませんので、自腹を切ってでも行きたかったからです。たしか冬で雪が積もってきたので、国道1号線の鈴鹿峠の手前の土山(甲賀市)で、タイヤチェーンを巻いたのを覚えています。もちろん、公開授業を参観して、こんな授業をできるようになりたいと思いました。


その後、県外研修へは、3年に1度のペースで、行かせてもらえました。どこの郡市の主任会でも同様だったと思います。学校独自で、県外研に教職員を順番に行かせている学校もあります。私が行ったのは、静岡県、愛知県、三重県、富山県、石川県、福井県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県などです。愛知県の公開授業研と、石川県の研究大会は自費参加しました。静岡県は1週間、朝8時から夕方5時までびっしりでした。それ以外は、日帰りか、夕方出発の1泊2日でした。


やっぱり、愛知県のが、こんな授業もできるようになりたい公開授業でした。そして、石川県のが、谷川俊太郎さんの詩の音読や、竹内俊晴さんの「声を届ける」レッスンを受けてよかったと、心底思えました。どちらも、自分の発想にはなかったもので、カルチャー・ショックでした。


つまり、私の場合、自腹を切った自費参加の研修ばかり、強く印象に残りました。それ以降の私の教師生活にとって、極めて大きな影響を受けたと言えます。


そして、久しく行っていませんでしたが、昨年は、静岡県と大阪府の幼稚園に行き、県内の高校の公開授業を参観することができました。そして、どの学校の、どの先生も、取り入れたらいいなあと、心底、思いました。


欲の出た今年は、県内の保育園の保育参観と、県内の中学校と高校の公開授業と、私本来の土俵であった念願の小学校へは、愛知県の小学校の公開授業を参観することができました。こうして、今年は「協同的な学び(聴き合う学び)」の実践校である小学校・中学校(いずれも大規模校)の授業を、参観するチャンスに恵まれました。


小中高の参加者の先生方としゃべっていて共通していると感じたことがありました。それは、授業中の私語をなくしたい、授業を成立させたい、どの子も安心して学べる学級づくりをしたい、いじめなどの問題行動をなくしたい、不登校をなくしたい、多様な発達障害に対応したい、などでした。こういう切実な現状を背負って参加しておられる先生方がほとんどでした。それらの願いに応えてくれる取り組みこそ、学校ぐるみで挑戦することだと強く思いました。


先生方は日々お忙しいことと思いますが、それでも自らの発想の転換になると思って、ぜひとも時間を捻出して、公開授業を観に行かれることを、おすすめします。私は、できるだけ全学年授業公開の学校へ行くことを心がけています。全学年の普段着の授業からは、研究授業とはまた違う多様なことが学べるからです。自分の凝り固まっていた子どもとの向き合い方を、しなやかにするビッグ・チャンスになるのではないでしょうか。


授業が変わり、クラスの子どもたちが変容するのは、まず、教師自身が、子どもへの向き合い方(聴き方・話し方)に、発想の転換をはかること以外にはないということが、そして、それは学校ぐるみでチャレンジすることでしか、たどり着けないことが、ここ2年間、実践校(小・中・高)の授業を参観して、つくづく感じたことです。



by takaboo-54p125 | 2011-12-24 05:55 | 親・保育士・教師の研修・講習

 教室はまちがうところだ  まきた・しんじ


「教室はまちがうところだ…
(この1行で始まる約70行という長い詩です)
(授業で黙っている子の思いを代弁をしてくれる詩だと言えます)
(黙っている子に共感しつつ、発言することを応援する詩でもあります)
(子どもたちの勇気と優しさを後押ししてくれる詩だと言えるでしょう)
(次の1行が、約70行の詩のしめくくりです)

…そんな教室 つくろうやあ」


同タイトルの絵本(蒔田晋治:作・子どもの未来社)は、詩と挿絵がハーモニーを奏でています。1985年まで静岡県の小中学校教員をされていたそうです。長いので、まず担任が音読する時に、子どもたちには各自の好きなところ(いくつでもOK)に印(マーカー)をつけてもらいました。それから、みんなでいっしょに音読しました。この絵本を購入して改めて思います・・・本書を直接読まれることをオススメします。敬称略

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by takaboo-54p125 | 2011-12-04 05:11 |

2011年(平成23年)11月25日(金)は、愛知県小牧市立米野小学校の公開授業を参観させていただきました。米野小学校は「協同的な学び(聴き合う学び)」の実践校で、取り組んで6年目と伺いました。学年5クラス・全校児童数900名を越える大規模校です。今回は、時間の都合で、3校時(下学年)45分と、4校時(上学年)の最初15分だけの参観になりました。5教科の公開授業のうち、国語(物語文)の教室を観せてもらいました。


3校時、まず、2年生の「三枚のおふだ」の教室に入りました。前時の場面の音読の後、子どもたちのイスと同じ高さのイスに座っている先生が、ゆっくりと静かに、


ギシギシギシ、グツグツグツ・・・ヤマンバ、うれしかったよね


と前時のふり返りを確かめられると、子どもたちは口々に、


うれしかった


と反応しました。そして、すぐ本時の音読です。セリフの読み方ですが、とても心を込めて音読していました。ここまでで5分でした。そして、各自がワークシートに書き込みを始めたので、また、後半を観せてもらうことにして、教室を出ました。


次に、3年生の「三年とうげ」の教室に入りました。それまで、子どもと同じ高さの目線の位置に座っていた先生が立って、机間支援を始められました。子どもたちは、4人グループで話し合い始めたからです。5分もたたないうちに、先生が、                                          「さあ、どんなことを話し合ったのか、聞かせてくれる?」


と言われ、挙手(「ハイハイ」と言う子はいない)した子どもを指名されました。全てが聞き取れたわけではありませんが、子どもたちの発言はおおよそ次のようなものでした。
48ページの△△のところで・・・
◎◎さんと同じ所で、意見はちがって・・・
◎◎ちゃんのに似ていて・・・
△△のところだけど・・・
◎◎さんが言ってたんだけど・・・
この子が途中で言えなくなると、先生がちょこっと助け船を出しました。 


◎◎さん、何て言ってたの?」


そして、先生がようやく言いました。
『しばらく』って、そういう意味なんやね。前の場面とつなげてくれたね」                                                      
その後、「三年とうげ」の話の中に出てくる「言い伝え」と、主人公トリトルが言った言葉についても、先生から、
そこ、みんなで相談してみて
と言われた後の子どもたちは、
言い伝えは、注意をしてるみたい
トリトルの言葉は、注意を、いいことに変えてる
トリトルは、注意を、裏返してる
ちょっとちがって、トリトルのは、注意の、続きっぽいやつ・・・


と、「言い伝え」とトリトルの言葉のちがいを、自分の言葉で話し合っていました。友だちの発言を実によく聴いて、それを受けた発言をする3年生でした。そろそろ、2年生「三枚のおふだ」の教室へ戻ることにしました。


2年生の教室では、「三枚のおふだ」で、便所に行くふりをして逃げようとする小僧と、それを阻止しようと、あれこれ講じるヤマンバのやりとりを話し合っているところでした。どの子もいっしょうけんめい説明しようとし、それをみんながいっしょうけんめい聴こうとしていました。先生が、
このヤマンバは親切なの?」
と問いかけた時は、各グループで子どもたちが顔を寄せ合って真剣に相談している空気に教室がつつまれていました。そして、1人の子が、
小僧にばれてるって、ヤマンバは気づいてない
と言うと、
わかった
と数人がつぶやきました。そして、別の子が、
「◎◎さんの聞いて、わかったんだけど、ヤマンバは油断して・・・」                   と言うと、
わかった
と多くの子が口々に反応しました。このように、1人の発言が周囲にひびき、次の子の発言につながっていく、そんな2年生の教室でした。最後の音読は、多くの子が読みたがりましたが、先生に、
誰のを聞きたい?」
と問われると、
「◎◎くんの
と言える2年生でもありました。


4校時、4年生の「ごんぎつね」の教室に入りました。音読は役割読み(3人)でした。どの子も読みたそうにしていました。その後の1人読みは、気持ちを込めて、情感たっぷりに読んでいる声が教室に響いていました。先生の問いかけが印象的でした。
みんなに聴いてほしいことある?」
お互いに聴き合うことができているからこそ、言える問いですよね。子どもたちは、


『つまらないな』のところで・・・


今、◎◎さんが言ったんだけど・・・


それ、△△と書いてあるので・・・


△ページにもあるんだけど・・・


と、聴いてほしい意見の羅列ではなく、発言がつながっていました。当然、発言している子の顔を自然な感じで見ている子どもたちでした。そんな前向きで意欲的な4年生の教室に、もっといたかったのですが、電車の時間があるので、米野小学校を後にしました。


今回、参観したのは、2,3,4年生の3クラスでしたが、共通していたことがいくつもあります。例えば、どの教室も柔らかでしっとりした空気に包まれ、参観者の私も居心地がよかったこと。どの学年も、子どもたちの表情がステキでした。


また、どの子も学習の中身に気持ちが向いているので、私語がなかったこと。授業中に廊下を歩いている時、各学年、どの教室も落ち着いた雰囲気なのでびっくりしました(学年5クラスの大規模校です)。もちろん、教師が怒鳴って統制する気配は皆無でした。


さらに、友だちの発言を聴こうとするので、45分間、集中力が持続していたこと。下学年ほど、子どもって、授業にたいくつしてくると、頭がゆらゆら動き出すものですが、そういう子がいないので驚きました。新幹線に乗って行った甲斐がありました。小牧市立米野小学校の先生方、ありがとうございました。



by takaboo-54p125 | 2011-12-03 05:19 | 親・保育士・教師の研修・講習