彦根西高校の公開授業研で参観した5クラスの授業から、子どもたちのための学校改革とは、授業改革そのものであると感じたことを、改めて紹介させてください。
 
まず、聞き合う関係づくりを大事にしようと、どの先生も意識しておられるのを感じました。つまり、先生自身が生徒の発言(つぶやきも含めて)を切らずに受けとめて、つなげていこうという姿勢で授業に臨んでおられるなあと感じたのです。                                                             
そして、発言している生徒の顔から視線をはずさない先生たちでした。言いかえるなら、生徒が発言している時、生徒に背を向けて板書する先生はいなかったということです。                                                                          
ですから、どの先生の表情も生徒を見る視線が険しくなく、温かいまなざしで柔らかかったのが印象的です。これなら、生徒たちも友だちの発言に耳を傾けたくなるでしょうし、生徒自身も安心して発言しやすくなるでしょう。                                    
当然、先生たちの声も、しっとりとしていて、聞きやすかったです。何と表現すればいいか・・決して早口ではなく、大声でもなく、自然に生徒へ語りかけておられました。隣の教室からも、教師の怒鳴り声が聞こえてこない学校と言えばいいのでしょうか。


(佐藤学先生は、『子どもの発言の時、授業者はまず、周りの子どもたちに目を向けて、それから発言している子の目を見て、その視線を決してはずさないようにすると、徐々に聞ける子が増える・・』と書いておられます)


それらを毎日積み重ねることで(決して平坦な道のりではなかったはず)                                                                 
「先生、ここどうするの?」
「先生、これ、なんて読むの?」
と質問することを自然にできる生徒たちと、それを決してバカにしない教室の空気が生まれていました。そんな空気感を、彦根西高校では教職員みんなで育ててこられたのでしょう。授業の内容に、生徒たちの気持ちが向かっていることを、肌で感じました。


次は、グループ学習を、うまいこと取り入れておられたことです。高校生でも1グループ4人以下でした。たいていなら個人作業でやらせてしまいがちなプリント・ワークなどの作業を、グループ学習の形でさせておられました。これが、佐藤先生の言う『個人作業の共同化』ということなのでしょう。グループで机を向かい合わせますが、目的は話し合いではなく、個人作業をしながら、困ったら聞き合うことだと感じました。
「これ、なんて読むん?」
「これ、どういう意味?」
「ここどうするん?」
と、漢字の読み方、言葉の意味、問題文の解き方などを、同じグループの仲間へ自然体で聞きながら、生徒たちは個人作業を進めていました。(関係のないおしゃべりに流されることなく)ただし、どの先生も、机間支援をこまめにしておられました。


佐藤学先生は、「学び合い、グループ学習、おしゃべりの克服」について、次のように述べておられます。
『学び合いと、教え合う関係は、全く違います。
できた人、教えてあげて」これが教え合う関係です
わからない人、聞くんだよ」これが学び合う関係です
教え合う関係は、「なぜ教えてくれないの」という受け身の姿勢をつくります。                                                       
自分で支援・助言・アドバイスを求める子を育てましょう。
よい方法は、「写してもいいよ」と言ってあげることです。
心配する先生もいるでしょうが、大丈夫です。
わからない時には周囲の子に聞くようになります。
これが学び合いの始まりです。』


『男女混合4人グループ。
グループ学習は、仲よしグループで組まないようにします。
グループ学習は、学びから逃げたい子も参加せざるを得ません。
4人だと、うまくつながれ、5人以上だと、お客さんになる子、離れる子が出ます。男子と女子の仲がいい状態をつくれば、いろんな問題を越えて、励まし合ってくれます。                                                                         
よく考えている女子を、ややぬけた男子が上手に支えます。
逆に幼稚な男子を、しっかりした女子が支えます。』


『おしゃべりが多い教室は、まず先生がおしゃべりです。無駄なことを話さないことです。教師はどこまで行くかという着地点を考えないことです。目の前の子どもの発言・気持ちに無頓着になるからです。                                                                                         
創造的な教師は、どこまで行くかは考えず、始まりを大切にします。どの子も、始まりは取り組んでいるので、そこで簡潔に課題を出しましょう。』                                                           


私は、5クラスを次々と参観したので、肝心の「ジャンプのある学び」については、見るチャンスがありませんでした。ですから、コメントできません。                                     
佐藤学先生は「ジャンプのある学び」について、次のようにも説明しておられます。


『ジャンプのある学びをするための、グループ活動はどこで入れるか、どこで終わるかが大事です。学びが成立している間は続けます。それは、子どもたちが夢中になっている時です。それがなくなれば、終わります。
どんなに優れた教師でも、一斉授業ではすべての子に学ばせるのは不可能です。三分の一は聞いていません。すべての子どもが学びに参加できるためにグループにします。隣のグループ同士は、できるだけ机を離します。 
ジャンプのある学びをどうつくるか、ということですが、                               
教えたい内容が易しすぎると、子どもたちは夢中になれません。ジャンプのある学びを目指すのなら、課題を難しくした方がよいでしょう。』


以上です。彦根西高校の先生にあれこれ聞くことはできなかったので、次回、チャンスがあれば教師の負担軽減策などについても聞いてみようと思いました。


「聴き合う学び」を学校ぐるみで取り入れるということは、「高1の中学4年生化を防ぐ(ほんまの高校生にジャンプするための)授業」であり、「中1の、小学7年生化を防ぐ(ほんまの中学生にジャンプするための)授業」であり、「小学校の小プロブレムや学級崩壊を防ぎ、学級全員で学べる授業改革」「柔らかな雰囲気で包まれ、安心感に満ち、しっとりとした空気感の教室」 「その結果として、問題行動が減り、不登校が減り、しなやかな特別支援教育も展開できる、そんな学校改革」であるという確かな手応えを感じていると、ある実践校(中学校)の先生から直接お聞きしました。


そのためには、教師の負担軽減策の同時導入が、必須条件です。授業改革のための教材研究をする時間を、確保するためです。これも断行しないと、この「学び」の授業改革・学校改革には、なかなか届きません。それに誰でも、自分の目で確かめ納得して、初めて前向きに取り組めます。まずは、近隣の公開授業研の授業を参観してみることことをおすすめします。「百聞は一見にしかず」ですから。


ただし、「学びの共同体」「協同的な学び」「聴き合う学び」とは無関係ですが、「学び合い~~~~~」(技術で持つのはせいぜい10分だと私は思いますが)と称した団体もありますので、混同されませぬよう、お気をつけください。


関連ページ

「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑤『教師の話し方・聴き方:ことばが届く、つながりが生まれる』(石井順治氏の基本「ケア」の心)

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898388/




by takaboo-54p125 | 2011-08-20 06:24 | 保育・教育

今年の「お盆休み」は、机に向かう時間の多い「お盆」になりました。                                                                                                                
春学期(前期)試験が8月12日(8月5日に小論文)、成績提出締め切りが1週間後、「ねじりはちまき」で成績つけをしました。                                                
その勢いで、教員免許状講習で受講された先生方に書いていただいた文を、読みました。
まず、260人分を一気に読んでしまいました。
先生方の保育・教育現場がいかに厳しい状況か、どの文にも、にじみ出ていて、日頃のご苦労がひしひしと伝わってきたからです。                                              
これは、ていねいに読み返さなあかんと思ったら、丸1日かかってしまいました。私は「先手を打つ生徒指導」と言いましたが、受講された方がこんな表現をされていました。「花を咲かせるには種をまくこと。種をまかなければ花は咲かない」 先生方が実践していきたいと(もう実践しているのも含めて)具体的に書いてくださった「花を咲かせる種」を、多かったものから順に紹介させてください。


50人以上の方が、
◎「キラッと見つけ」作戦を、書いてくださいました。                                                                    
担任していない子のキラッと輝く姿を見かけたら、その場でほめて、メモして、職員室の担任の机上に置き、セロテープで止める、担任はそのメモを帰りの会などで紹介して再度ほめる、連絡帳にも書くと、家で親もほめる、という作戦です。めったにほめてもらうことのない子が、その日、3人からほめてもらえることができるのです。この作戦は、校長・園長先生、教頭先生、教務主任、養護教諭など、担任以外の先生方が、「呼び水」として、最初1ヶ月程がんばって継続してくださると、学校・園全体の先生方に浸透して広がっていきます。


30人以上の方が、
◎スモールステップを与えて、ほめること、                                                                       
◎学び合い、つなげることを、書いてくださいました。                                               
説明不足でしたので補足しますと、「学び合い」とは、わからない時は「ここどうするの?」とグループ内で聞き合う習慣をつけることで、質問されていないのに早くできた子が教えるという「教え合い」とは、目的が根本的に全く違う、当然、結果も・・と佐藤学先生は述べておられます。


20人以上の方が、
◎保護者連携で初期対応「始めの4歩」を大事にしたいこと、                                                            
◎安心感のある語りかけ・クラスづくりを進めたいこと、                                                                   
◎ペア学習・グループ学習を、効果的に取り入れたいことを、書いてくださいました。ペア・トーク、ペア・ワークと表現されている先生もおられました。                                                                       
グループ学習も、初めのとりかかりは、担任のフォローが欠かせません。じゃないと「学び合い」が成立しないからです。


10人以上の方が、
◎子どもを怒鳴って統制せず、柔らかい言葉がけをしたいこと、                                                            
◎聴き合う雰囲気づくり・習慣づくりをしたいこと、                                                                    
◎気になる子の「輝く点」も職員間で共有したいことを、書いてくださいました。気になる子の「気になる点」の共有だけでは、その子を丸ごと、とらえたことにはなりません。


10人近くの方が、
◎うまく言えない子(トラブル)の思いを、その場で代弁する、                                                            
◎うまく言えない子(授業中)の発言を切り捨てずにつなぐ、                                                              
◎気になる欠席に担任直筆の手紙(何度も読み返せる)を書く、                                                         
◎授業中「できたか?」より「困っていることはないか?」と聞く、                                                          
◎「あんたと一緒に勉強したいんや」担任の思いをぶつける、                                                              
◎「失敗は成功の元」をクラスみんなで共有体験させる、     


◎「先生、そんな言い方しないで」と思われないようにしたい、                                                           
◎職場の負担軽減が切実な課題であることなどを、書いてくださいました。                                                     
とりわけ、養護教諭の仕事は、年々超激務になり限界をはるかに超えている事実を、職場の全員が理解し、同僚として協力することなしでは、やっていけないところまできている過酷な現実を、痛感しました。お疲れのところ、いっぱい書いてくださって、ありがとうございました。個別には、もっとたくさんの内容がありました。                 


260名の先生方から、私のほうが力をもらったような気持ちです。                                                        
最後に、こんなステキなひと言を書いていた方がおられたので、紹介いたします。


「子どもたちの中であたたかな言葉がいっぱいになるように」                                                         
「子どものそばで気持ちを手渡すような言葉がけをしたいです」 


まだまだ厳しい残暑が続きます。                                       
どうか、ご自身の健康第一を最優先してください。                                             
そうであって初めて、仕事も続けられるのですから。


【明日から、学期始めから、全教職員でできること】


この記事を見て、私の講義内容を問い合わせるEメールが時々きます。それなら、このブログのページにのせてしまえばいいか、ということで、概要ですけどのせちゃいます。


明日から、学期始めからできる「信頼関係づくり」】


あちこちの記事で紹介した具体策(じゃあ明日から、学期始めから、いったい何から始めたらいいのか)を、このブログのページ、



イジメをなくす教室の雰囲気づくり【安心感あふれる教室に変える手立て①②③④】

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898386/



イジメが起きないクラスの空気をつくる【担任のしなやかな役割4月~3月】

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898387/


に、いろんなページから集めて、まとめてみました。公開授業研で参観した授業(研究授業以外の各授業)や、「クラスを何とかしたい」という実践などから、これはどの学校(小中高)でも取り入れることができたらいいなあ、と実感したことです。


よかったらご覧ください。子どもたちが安心し、先生や仲間を信頼し、生き生きと過ごせる、そんな学校であり続けるため、教師集団の、ぶれてはいけない根幹であることは確かなのです。だから、あえて重複してしまうのを承知で紹介し直していること、何卒ご理解ください。

関連記事
教員免許状更新講習(次年度受講希望者の方々へ)講習修了確認の手続きに免許状写しor免許状授与証明書写しが必要→手順
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898517/


by takaboo-54p125 | 2011-08-14 05:26 | 親・保育士・教師の研修・講習

先日、8月1日の教員免許更新講習(必修)を受講された先生方の中で、滋賀県内からも、遠くは山形県からも、当ブログのEメールを通じて、受講されたご感想やご質問など、メッセージを送ってくださり、ありがとうございます。印象深いメッセージをいただいたので、ひとつ紹介させてください。


「『みんなで学ぶと楽しい』『みんなでいるとうれしい・・この気持ちを気づかせるのが教師の役割でしょうか。気づかせ上手な教師になりたいです。」説得力のあるメッセージです。この先生は、もう、そんな気づかせ上手な教師の域にたどり着こうとしておられるような気がします。


さて、別の先生からのEメールでの「赤ちゃん返り」に関するご質問についてですが、私などがお答えするよりも、ご専門の「こども発達支援ホームいわしろ」HPの方が、ズバリ的確に書いておられます。ちょこっと紹介させてください。上記のメッセージ『みんなで学ぶと楽しい』『みんなでいるとうれしい』の出発点になることでもあります。         


「赤ちゃん返り」とは?「こども発達支援ホームいわしろ」HPより


静岡県磐田市の「こども発達支援ホーム いわしろ」のホームページを読むと、井上園長先生は、「赤ちゃん返りは画期的な成長」「赤ちゃん返りは心の扉を開ける」と言っておられます。
そして、まず、赤ちゃんが育つ道すじには、親との「相互作用」が欠かせないと述べておられます。
その道すじを示す、タイトル+αだけ、それも抜粋しながら順番にのせてみます。


産声「オギャー」と泣いて、親に呼吸援助抱っこをされて泣きやむ「相互作用」


新生児期、親が抱っこした時の、アイコンタクトを通して起こる「相互作用」


1~2ヶ月の、欲求の泣きに、親が応えることで起こる「相互作用」


3~4ヶ月の、微笑み行動、はしゃぎ反応に、親が応えることで起こる「相互作用」


5~6ヶ月頃の、人見知りで、親とのふれあいを求め、親が応えることで起こる「相互作用」


7~8ヶ月頃の、なん語に、親が応えることで起こる「相互作用」


9~10ヶ月頃の、手遊び歌の時期、親との「グーパー」などを介して起こる「相互作用」


10~12ヶ月頃の、指さし行動に、親が応えることで起こる「相互作用」


1才代の探索行動、
2才代の模倣行動、
3才代のごっこ遊び、いずれも親や人との「相互作用」によって成長


「相互作用」は親子の心のキャッチボール


お手伝い作業は「相互作用」を深めるチャンス(1才代でも)


「赤ちゃん返り」は、子どもの方から「ボール」を投げかけてくるような「相互作用」


「赤ちゃん返り」は後退ではなく、画期的な成長として、「相互作用」を求めてくる


「赤ちゃん返り」は、親子で何かをすることで「相互作用」を深め、心の扉を開ける


以上、タイトル+αだけ紹介しました。それぞれの説明までは紹介しません。どのタイトルについても、下記HPにくわしい説明・事例がのっています。先日の教員免許状更新講習でチラッと紹介しましたが、下記HPが新しい記事を更新しておられていたので、お知らせしたくなりました。


「赤ちゃん返り」は、子どもが親に関わりを具体的に求めてくるわけですから、親はそれに喜んで応えてあげればよいのです。決して、ダメなこと、困ったこと、面倒なことだと思わないでください。ラッキー!チャンス!やり直せる!と思いましょう。「赤ちゃん返り」によって可能になる、親子の「相互作用」は、育児・子育て・療育・保育など、赤ちゃんが育つ道すじ、人間関係を構築する(人と豊かにコミュニケーションできる)、すべての基本だと、私も思うからです。


「こども発達支援ホーム いわしろ」HPを直接ご覧になることをおすすめします。

http://iwasiro.server-shared.com/




by takaboo-54p125 | 2011-08-06 05:00 | 育児・子育て

「幼小連携のカリキュラムづくりと実践事例」執筆:東京都中央区立有馬幼稚園・小学校、執筆監修:秋田喜代美(東京大学)小学館、を読んで、なるほど!と思ったことを抜き出して紹介します。


実践に必要な「3つのD」を、秋田喜代美先生は、大事な活動とされました。                                    
◎実践をデザインすること。
◎心・記録にとどめるドキュメンティション。
◎対話し、語り合うダイアログ。


そして、連携をデザインする原則として、秋田先生は、4つあげておられます。


◎互恵性・・一方向的関係・・どうにかしたい・・向き合いの関係だけではなく、並んだり、混ざり合ったりと多様な関係が生じるように・・「思いやりが育つ、やる気がおこる」・・小学生の学びが広がり、園児の遊びが広がるようにと、「知」の部分についても‥教師が・・相手の園児や小学生にも恵みがあるように考えるという心の働きも生まれて・・


◎継続性・・互恵性と表裏一体・・多様な関係が生まれ・・意図的・・自然発生的・・日常化を図るためには継続が必要・・ある行事を一緒に行うためにはいつごろから、どのように行っていけば、子どもたち同士のためによりよくなるだろうか・・


◎名づけ合う関係性・・顔が見える関係の重視、できるだけ名前をわかりあえる交流や、共に名前をつけていく交流・・「△△くん」と「□□ちゃん」がかかわり、楽しみ合える関係・・名札・・ペア・・握手・・お礼の手紙‥親密な関係を作り出すことを学ぶ・・名づけが生まれることで共有感覚・・


◎物語り性・・思わぬハプニングや失敗・・次の展開をもたらすことも・・物語りは特定の場面だけではなく、起承転結がある・・子どもや出来事の見方には完結はなく常に進行形・・


有馬幼稚園における、各年齢ごとの基本的な考え方がのっていました。
3才児  3才児にとっては初めて親元を離れ、幼稚園という集団生活に入り、園生活の仕方を知ったり、いろいろな行事に参加したりする。このことが、「くらし」「社会」「文化」との出会いと考える。幼稚園での生活に慣れてきた2学期後半からは、行事としての出会い、4才児、5才児からの刺激が受けられる機会を計画的に入れていく。また、小学生との自然なふれあいもできるようにしていく。                        
4才児  幼稚園の生活の中で、なりたい自分のモデルとなる5才児の姿を見ることで、身近な「くらし」「社会」「文化」との出会いができるようにしていく。園外でもいろいろな行事を通して、身近な地域社会との出会いを意図的に設ける。加えて、小学生との自然なふれあいができるようにし、小学生側から生活科や総合的な学習などで学んだことの発表や、かかわる相手としてのアプローチがあった場合には、積極的に取り入れていくようにする。
5才児  年長としての生活が軌道に乗り始める2学期から、なりたい自分のモデルとなる小学生や、地域の人(特に同じ地域に暮らす保育園児)と出会う機会を設けていく。また、その場だけの交流やイベント的な活動にとどまるのではなく、1つの出会いが次の出会いへつながっていくような流れを持つプロジェクト型の活動になるように、年度の初めから段階的に出会い方や深まりや広がりが持てるようにしていく。


「幼稚園でおさえること」として、有馬小学校の教師へのアンケート調査結果を、有馬幼稚園が集約された3点。
◎人への信頼関係の基盤を培う。
(先生と遊ぶ→友だちと遊ぶ)教師への信頼を出発点にして、仲間との関係をつくる
3才児においては、教師とのつながりが重要なポイントになっています。幼児が初めて家庭の外の社会である幼稚園へ行き、そこで教師に信頼感を抱くことは、人間関係の基盤を培うことにつながります。幼児は、教師に信頼感を抱き、安心して遊び、生活を広げていきます。その中で、自分の力を発揮して自信もつけていくのです。
4,5才児の友だち関係にかかわる内容(抜粋)
4才児 いっしょに遊びたい友だちと遊ぶ中で、自分の気持ちを言葉で伝えたり、友だちの言動や動きを感じ取ったりしながら、遊ぶ楽しさを感じる。
5才児 みんなでする活動に喜んで参加し、つながりを感じながら、相手を意識したり、友だちに対応したりする動きを楽しんだりする。グループの中で1人ひとりが持ち味を発揮し、お互いの持ち味を生かしながら、遊びを進めていく楽しさを味わう。クラスの中で1人ひとりが生かされる喜びを感じるようになり、どの幼児も満足感を味わいながら自信を持って行動する。
◎基本的な生活習慣を身につける。
(あいさつ、食事、排泄、衣服の始末、かたづけ、集団で話を聞く)
◎五感をゆさぶる、体のいろいろな機能を使って発達を促す。
(視・聴・臭・味・触の感覚を総動員)身体のいろいろな機能を使う


「つなげる」ことから生まれる3方向の「つながり」として、秋田先生は、小学校の多様な学年とのつながり、保育園とのつながり、幼稚園内での年長・年中・年少のつながり、を指摘されています。


また、幼小連携のもたらすものとして、次のように示唆しておられます。                                  
「連携は、大きく仕組まれた出来事だけではありません。・・つぶやく子どもがいます。そこから小学校への期待や質問を取り上げ、かかわりが始まります。・・お礼の気持ちを届けます。他者を気遣う感受性と想像力、他者が自分に与えてくれるものを受けとめて差異を問い、対話することからつながりが生まれてくるのです。そして、その場に立ち会った人が連携の可能性に気づいていきます」
「ルイ・アラゴンの『教育とは共に希望を語ること、学ぶとは胸に誠実を刻むこと』という言葉は新たな園づくり、学校づくりを考える支えになるでしょう。それは、園や学校を拓く連携を考える人たちにとって、常に求められる姿勢です」


そして、園児にも小学生にもそれぞれ「恵み」をもたらす実践事例(幼稚園・小学校)が、いくつも紹介されていました。直接、本書をお読みくださることをおすすめします。(図書館で見つけました)


私は本書を読んで、幼小連携の4つの原則に、その中でも、とりわけ「互恵性」と「名づけ合う関係性」のある幼小連携の実践に、取り組む価値を強く感じました。例えば、小学生がしてあげたことを、4才児は遊びに生かし、5才児はそっくり真似をし、「ありがとう」と言われることで、小学生は、園児のためにしてあげてよかったと感じる、そんな心の交流が生まれる実践です。また、「△△くん」と「□□ちゃん」がペアで関わることで、年下の子への思いやりと、年上へのあこがれのモデルが生まれ、それが入学後、異年令の人間関係の継続性につながっていくような実践と言えばいいでしょうか。


幼稚園でも保育園でも、卒園して小学校へ入学していきます。その時の、「小1プロブレム」とも言われる段差を、いろいろな角度からスモール・ステップとして乗り越えるために、幼稚園や保育園から小学校に対して、「互恵性」と「名づけ合う関係性」のある幼小連携(保小連携)を提案(要望)されてもいいのではないでしょうか。それは、小学校にとっても恵みのある、ありがたい提案だと思うのですけどねぇ。

関連ページ
幼小連携②東京都の幼稚園・小学校の【「共にやってよかった」と思える実践】秋田喜代美先生の助言+【保護者が園を選ぶポイント】「引き継ぎ」で忘れてはならないこと
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898315/


by takaboo-54p125 | 2011-08-02 05:44 | 保育・教育