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昨秋、久しぶりに出会った学生時代の友人(逸材)から薦められていた本を、この冬に、ようやく読むことができました。教育経済学者の中室牧子・慶應義塾大学総合政策学部准教授の著書『「学力」の経済学』です。就学前保育教育や学校教育に携わる方は、自らの視野を広げるという観点からも、直接読まれることをぜひオススメします。


なんせ、初版2015年6月18日から5ヶ月未満に第12刷発行(増刷)という、傑出した教育経済学書(アメリカにおける科学的な検証により、教育にいつ投資すべきかを明らかにした内容をまとめた経済書=すぐれた教育実践家個人の経験や勘ではなく、科学的な実験~追跡調査に基づいた教育書)なのです。とっくに、文部科学省もベネッセ教育総合研究所も注目している・・とも聞きました(ベネッセの発信にも期待)。


さて、肝心の本書『「学力」の経済学』(中室牧子・著)の目次を見ますと、


第1章 他人の“成功体験”はわが子にも活かせるのか?


第2章 子どもを“ご褒美”で釣ってはいけないのか?


第3章 “勉強”はそんなに大切なのか?


第4章 “少人数学級”には効果があるのか?


第5章 “いい先生”とはどんな先生なのか?


という構成になっています。凡才の私ですので何度も読み返しながら、その中から「なるほど!」と共感・納得したところを中心に、ふれてみたいと思います。


その1つ目ですが、本書18ページの中ほどに、


『この法律(落ちこぼれ防止法)の中で、実に111回も用いられている象徴的な言葉があります。それが「科学的な根拠に基づく」というフレーズです。この法律によって米国の教育政策は大きく舵を切ることを余儀なくされました。(中略)科学的根拠に基づく教育政策とは、「どういう教育が成功する子どもを育てるのか」ということを科学的に明らかにしようとする試みです。』


と書いてあります。アメリカの経済学者や心理学者による、実験~追跡調査など、さまざまな科学的根拠を示した事実(学ぶべきところ)に関する中室先生の解説は、後ほど紹介しますが、そういう科学的根拠に基づく教育政策や教育論議が、日本では不十分だったのをご指摘くださったことに感謝します(反省です)。ただ、アメリカの「落ちこぼれ防止法」自体は失敗に終わり、アメリカでは新たな模索が始まっています。その概要については、以下の記事で紹介していますので、よかったら、ご覧ください。


「ボクの点が悪いせいで学校がなくなるの?」アメリカ合衆国からの貴重なアドバイス

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898366/

2つ目は、本書32~39ページに、


『ご褒美が子どもの出席や学力にどのような因果関係を持つかについて、精力的に研究を行っているのが、ジョン・ベイツ・クラーク賞の受賞者でもある、ハーバード大学のフライヤー教授です。(中略)学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。(中略)ここから得られる極めて重要な教訓は、ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだということです。』


と書いてあることです。「なるほど!」と思いました。フライヤー教授の検証に基づくご意見には、私も賛同いたします。


3つ目は、本書49~51ページに、


『コロンビア大学のミューラー教授らは、ある公立学校の生徒を対象にして「ほめ方」に関する実験を行いました。(中略)子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げるのが重要です。そうすることによって、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られる知見です。』


と書いてあることです。このように、わかりやすくまとめてくださった中室先生には感謝します。本書を薦めてくれた私の友人の言葉を借りれば、


『能力をほめても子どもは伸びない、努力をほめると子どもは伸びる。


生活の中で、手伝いや自分で自分のことをする場面などで、


「早くできるように、がんばったね」


「重くても、よくガマンして運んだね」


「イヤなことなのに、しんぼう強く全部やり通せたね」


「ママの言うことを聞いて、最後まですることができるのは、すごいことだね」


「自分のことを全部するって、なかなかできないことなんだよ。よくやったね」


こんな、ほめ方をすることでしょうか・・・』


これらが、アメリカでは科学的な根拠に基づいて、既に明らかにされていたのです。


4つ目は、本書73~77ページに書いてある、


『教育にはいつ投資すべきか』で、『1992年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のベッカー教授が提唱(以下略)』と、具体的に紹介されていることと、


78~82ページに書いてある、


『幼児教育の重要性』で、『シカゴ大学のヘックマン教授(2000年ノーベル経済学賞)らの研究業績(以下略)』を紹介されていることです。私は、ここで初めて「ペリー幼稚園プログラム」を知りました。その内容は、ぜひ本書をお読みください。


今の日本に必要なのは、ただ待機児童を解消するだけでなく、投資すべき就学前保育教育とは具体的に何かを明らかにし(アメリカでは既に明らかにされていますが)、それに見合った子育て支援施策を行うことでしょう。それを解く鍵は「ペリー幼稚園プログラム」の中にあることを、中室先生は86~89ページで指摘されています。


話はそれますが、前述の保育園の待機児童を解消するには定員増のための保育士確保も必須でしょう。ところが、保育士全般(若手~中堅)で、クラス担任になることを望まない傾向が見られます(人件費削減のしわ寄せとして、担任の仕事量が多すぎるから)。それだけの職責に比例した待遇改善もせず、担任の仕事量負担も軽減しないまま、エラい人が公約に掲げる待機児童解消は「絵に描いた餅」と言わざるを得ません。そうならないためにも、中室先生のご指摘は、幼稚園教育はもちろん、保育園・認定こども園における保育内容を吟味するためにも、採択に値すると思いました。


さらに5つ目ですが、本書90~94ページに、


『重要な非認知能力:「自制心」』と、『重要な非認知能力:「やり抜く力」』が、『人生を成功に導くうえで重要だと考えられている』と記し、「自制心」と「やり抜く力」を育てるのが幼児教育で重要であることの、科学的な根拠を示されました。


文字や数などを理解したり操作したりするIQなどの認知能力に対して、非認知能力には、自分を信じてやり抜こうとする自己肯定感、やる気があって意欲的に取り組む力、少々イヤでもやり抜くねばり強さ・忍耐力、集団生活のルールを守りながら人と協力できる協調性・社会性・コミュニケーション能力、怒りや欲望を自らコントロールできる自制心、考えたり工夫することがイヤじゃない創造力などがあります。


自制心」を育てることについては、本書90ページで、


『「マシュマロ実験」と呼ばれる有名な研究があります。コロンビア大学の心理学者であるミシェル教授は(以下略)』というふうに、4歳児の「マシュマロ実験」~四半世紀を越える(大人になってからの)追跡調査という科学的根拠に基づいて、幼児教育で「自制心」を育てることが重要であると、教育現場へ提案されています。


やり抜く力」を育てることについては、本書94ページで、


『スタンフォード大学の心理学者であるドゥエック教授は、この力を伸ばすためには「心の持ちよう」が大切であると主張しています。ドゥエック教授らの研究によれば、「しなやかな心」を持つ、つまり「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ということを信じる子どもは、「やり抜く力」が強いことがわかっています。(以下略)』というふうに、「やり抜く力」の元を育てることが重要であると、親や教師へ提案されています。


6つ目は、本書103ページに、


『米国で実施された実験として有名なのは、「史上もっとも重要な調査」との呼び声が高いスタープロジェクトでしょう。(中略)日本では、「少人数学級」というと、35人学級を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、米国では少人数学級というと、20人以下のことを指すのが普通です。』


と書いてあります。このページの図21「学力と学級規模の関係」を見ると、35人学級と40人学級では学力に大きな違いはありませんが(←これを財務省が示したのなら、都合のよいデータだけ使うのはズルくないですか。文部科学省は、こっちのデータも示して反論し予算獲得につなげてほしいものです→)、学級規模が30人、25人、20人、15人と減るにつれて、学力は格段に向上していました。


7つ目は、本書114~126ページに、限られた教育予算の中で数十億円も使う「全国学力・学習状況調査」の意味合いや、順位の公表に関する見解が書いてあることです。『「学力テスト」に一喜一憂してはいけない』など、私も読みながら、「なるほど!」と共感しました(これは一読の価値があります)。


8つ目は、本書146~147ページに、


『ハーバード大学のチェティ教授らの研究グループ(中略)。ある子どもを、他の子どもや集団と比較するのではなく、過去のその子自身と比較して昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生こそが、「いい先生」なのです。(以下略)』と書いてあることです。私も同感ですが、私の単なる直感と違って、中室先生は常に「科学的根拠」に基づいて事実を明らかになさっていますので、ただただ頭が下がります。ここまで読んで1つ気づきました。免許のいる多くの職業(医師免許など)がある中で、なぜ教員だけ免許状更新講習をH21年から導入したのか、科学的には疑問かつ不可解だということです。


少々脱線してすみません。以上、本書における「科学的根拠に基づいた」事実のまとめも、前述の友人の言葉を借りてみましょう。彼の言葉は、全部で◎6つあります。


子どもが幼稚園で質の高い教育を受けるかどうかは、将来、社会的に成功するかどうかを左右する。


質の高い教育とは、子どものIQなどの認知能力ではなく、子どもの非認知能力が育っていく教育プログラムのこと。


非認知能力とは、社会性、忍耐力、自制心、意欲、創造性などがあるが、その中でも「意欲(やり抜く力)」と「自制心」が大切。


◎意欲は、ほめ方によって育ち「その子の能力」をほめる(「頭がいいね」等)と意欲が下がり、「苦労したこと、がんばった姿」をほめると意欲が育つ。


◎自制心は1才~3才までに親から共感的な眼差し(自発性を大切にした対応)でみてもらったり対応してもらうことで育つ。


学校の成績や社会的な成功を左右するのは、IQ(認知力)よりも「やり抜く力」「自制心」(非認知能力)の影響の方が、大きい。


以下は、自制心を育てる3才児までの子育てにかかわる関連ページです。


「愛着形成」①親子ではぐくむ絆づくり【ママを受け入れられる子になる愛着の感性の育て方】+ママの思いを代弁する詩・0~3才児の育児

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898093/

このように、大人になって以降の人生の歩み方まで、3才までの育児・子育てが左右することが、アメリカでは経済学者や心理学者の研究グループの、長期にわたる検証によって明らかにされていました。研究グループだからこそ成し遂げられた成果です。それでは最後に、中室先生が著書の58・60ページに、ズバリ書いておられるひと言2つで、本記事を締めくくりたいと思います。その下は、今どきの「お手軽なもの」の1例の紹介です。


「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い』『お手軽なものに効果はない


スマホを乳幼児にさわらせるのは、○か×か
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898566/

関連ページ
「サイレント・ベビー~小1プロブレム」【家庭での小1プロブレム対策】[「学力」の経済学](中室牧子・著)が解き明かす2つの柱【子どもを勇気づける親の言葉】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898163/


by takaboo-54p125 | 2016-02-14 05:02 |

図書館で見つけた本です。「集中して本を聴く子を育てる」「集中して絵を見る力をつける」など16の方法が、読み聞かせによく使われる本を例にして、説明してありました。
「じごくのそうべえ」「アベコさん」「桃太郎」「にじいろのさかな」「100万回生きたねこ」「やねうら」「おじいさんの小さな庭」「からすたろう・ミロとまほうのいし」「あらしのよるに」「泣いた赤おに」「海のやくそく」などでした。
これらのお話のストーリーが全部のっているのではなくて、読み聞かせを応用して、これらのお話のどの場面で、どう活用するかが書かれています。「じごくのそうべえ」「泣いた赤おに」は、私もよく教育集会所で読み聞かせをしました。この2つのお話は、子どもたちに何度も読んでほしいとせがまれましたので、なるほど、こういう工夫もあるのかと思いました。


その中で、詩も載っていたので紹介させてください。


かく            川崎洋


あたまをかくのは ぼくのくせ
わきばらかくのは ちんぱんじー
いびきをかくのは とうさんで
おかかをかくのは かあさんだ
てがみをかくのは ねえさんで
ふででかくのは おじいさん
まごのてでかくのは おばあさん
へいにかくのは らくがきで
しかられべそかく いたずらっこ
あせをかくのは うんどうかい
おむすびさんかく のりしかく
おんがくかくのは さっきょくか
けしきをかくのは えかきさん
つちをかくのは にわとりで
ゆきをかくのは ゆきかきで
みずをかくのは ひらおよぎ
まるをかくのは せんせいで
ばつをかくのも せんせいだ


こんこんこな雪ふる朝に   三好達治


はやく           藤富保男


他にも、谷川俊太郎さんの詩「ハヒフペポ」、まど・みちおさんの詩「さくら」など、魅力的な17編の詩が載っていました。ステキな本書を直接読まれることをオススメします。


by takaboo-54p125 | 2015-06-13 05:08 |

よく、子どもには親が「毅然とした態度で・・」と聞きますが、「毅然とした態度」とは、どんな親の姿を言うのでしょうか?。誤解や勘違いをしないでほしいのは、親子の愛着形成・信頼関係という土台が築けているなら、「毅然とした態度」が子どもの「安心」や「勇気」につながるのかも知れません。そこらへんを含めて、「1分間パパ」スペンサー・ジョンソン:著、小林薫:訳(ダイヤモンド社)は、「わが子をどうほめ、どう叱り、どう導くか」について、とてもわかりやすく書いてある本だと思います。スペンサー・ジョンソン医学博士と言えば、360万部のベストセラー「チーズはどこへ消えた?」(扶桑社)の著者・・アメリカの心理学者です。私は、「毅然とした態度」の有り様(ありよう)を教えてもらったような気がします。


その、「1分間パパ」の30~31ページには、【〈1分間で叱る法〉のポイント】が載っていましたので、紹介させてください。( )は私の補足です。しかし、それよりも、本書を直接読まれることをオススメします。


【〈1分間で叱る法〉のポイント】


◎子どもたちの行動や態度が認められるものでないときには、必ず叱るつもりであると、前もって言っておく。私(親)に対しても、偽りなく正直に打ち明けるように、子どもにもすすめておく。


前半


◎その場をとらえて、ただちに叱る。


◎子どものやったことを「具体的」に告げる。


◎子どものやったことについて(親の私が)どう「感じているか」を、はっきりとした、とり違えようのない言葉で子どもに伝える。(私はこう思った)


◎私(親)の気持ちを子どもに「感じさせる」ため、わずか数秒間、しかし(子どもには)長く思える不愉快な沈黙の時間を置く。


後半


◎気持ちを静めてから、子どもの味方であることをわからせるように、子どもに「触れる」。


◎子どもに対して、やった行為自体が良くないのであって、子ども自身のことは良い子だと(親の私が)思っている、ということを知らせてやる。


◎子どもに「おまえのことが大好きだ。たいせつに思っている」と言って抱きしめる。叱り終わったら、それで「すべて終わり」にする。そのことは二度とむし返さない。(ただ、相手に謝る必要がある場合もある)


◎その日、時間を置いてから、子どものほうから言いたいことがあったら何でも聞いてやる。


◎私(親)にとって、愛情を持って子どもを叱るのには「1分」しかかからないが、子どもにとっては「生涯」の利益になるということを、よく自覚しておく。(以上は、子どもが親の話を理解できる発達段階[話のやりとりができる]になっている場合です)


また、「1分間パパ」の65~66ページには、【〈1分間でほめる法〉のポイント】が載っていましたので、紹介させてください。( )は私の補足です。


【〈1分間でほめる法〉のポイント】


◎私(親)の気持ちを良くするようなことを子どもたちがしたときには、それをほめるつもりだと前もって言っておく(ほめるのを忘れない断固たる決意が必要)。


◎子どもが何か良いことをしているところを見逃さない。


◎何が良かったかを「具体的」に話してやる。


◎そのことでどんなに私(親)の「気持ちが良くなったか」(親の私がうれしかったか)、なぜそのことで気持ち良く感じるのかを、子どもに言う。


◎数秒間、話すのをやめる。この沈黙によって、子どもたちにも気持ちの良さを「感じとらせる」。


◎大好きだ、大事に思っている、ということを子どもたちに言う。


◎ほめ終わったら抱きしめてやる。少なくとも、軽く子どもに触れる(頭・肩・ほほをなでる)ぐらいはして、心にかけていることを知らせてやる。


◎ほめ方は短くやさしく、言い終わったら、それでおしまい。


◎子どもをほめるにはたった「1分」しかかからない。だが、子どもが自分自身に対して持った良い感じ(自尊感情・自己肯定感)は「生涯」にわたってつづく、ということをよく認識しておく。


◎これは、子どもにとって良いだけでなく、私(親)にとっても良いことである。私(親)自身がじつに良い気分なのだから。


載っていた【〈1分間で叱る法〉のポイント】【〈1分間でほめる法〉のポイント】の紹介は以上ですが、それらのポイントに関わるエピソードや事例は、「1分間パパ」の本の中でくわしく書いてあります。ですから、上記の「しかるポイント」「ほめるポイント」を正しく理解する(自分に都合よく解釈しない)ためには、本書を直接読まれることをオススメします。


【おまけ】親を、担任に置き換えたら、学校・園でも生かせるかなと思います。その際、抱きしめたり、頭や肩に触れるのは女の先生だけの特権です。男の先生は子ども(女子)と信頼関係を築けていても、ハイタッチぐらいでしょうね(まだ信頼関係を築けていなかったら、ノータッチです)。信頼関係があれば、子ども(女子)が握手を求めてきた場合は応じてもいいとは思いますが、こちらから握手を求めるのは私なら控えます(万が一、セクハラだと誤解されないために)。


by takaboo-54p125 | 2015-05-16 05:02 |

「万引きはしたらあかん」と子どもたちが感じてくれるために


チューインガムひとつ   3年 村井安子


せんせい おこらんとって
せんせい おこらんとってね
わたし ものすごくわるいことをした


わたし おみせやさんの
チューインガムとってん
一年生の子とふたりで
チューインガムとってしもてん
すぐ みつかってしもた
きっと かみさんが
おばさんにしらせたんや
わたし ものもいわれへん
からだが おもちゃみたいに
カタカタふるえるねん
わたしが一年生の子に
「とり」いうてん
一年生の子が
「あんたもとり」いうたけど
わたしはみつかったらいややから
いややいうた


一年生の子がとった


でも わたしがわるい
その子の百ばいも千ばいもわるい
わるい
わるい
わるい
わたしがわるい
おかあちゃんに
みつからへんとおもとったのに
やっぱり すぐ みつかった
あんなこわいおかあちゃんのかお
見たことない
あんなかなしそうなおかあちゃんのかお
見たことない
しぬくらいたたかれて
「こんな子 うちの子とちがう 出ていき」
おかあちゃんはなきながら
そないいうねん


わたし ひとりで出ていってん
いつもいくこうえんにいったら
よその国へいったみたいな気がしたよ せんせい
どこかへ いってしまお とおもた
でも なんぼあるいても
どこへもいくところあらへん
なんぼ かんがえても
あしばっかりふるえて
なんにも かんがえられへん
おそうに うちへかえって
さかなみたいにおかあちゃんにあやまってん
けど おかあちゃんは
わたしのかおを見て ないてばかりいる
わたしは どうして
あんなわるいことしてんやろ


もう二日もたっているのに
おかあちゃんは
まだ さみしそうにないている
せんせい どないしよう


(「灰谷健次郎 子どもに教わったこと」角川文庫より)
この詩(日記)を、「子どもに教わったこと」と謙虚に受けとめておられる灰谷健次郎さんの、しなやかであったかい心には、頭が下がります。本書を直接読まれることをオススメします。

関連ページ
教材【日記の授業:指導案】【万引き・おもらし・お手伝い】【聞かせたい5話】【詩・冬の夜道:指導案・発問】【中学・職場体験授業:指導案】【発声練習:朝の会】【ごんぎつね:発問】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898472/
 


by takaboo-54p125 | 2015-03-21 05:11 |

 わけ合えば    相田みつを


うばい合えば足らぬ
わけ合えばあまる
うばい合えばあらそい
わけ合えばやすらぎ


うばい合えばにくしみ
わけ合えばよろこび
うばい合えば不満
わけ合えば感謝


うばい合えば戦争
わけ合えば平和
うばい合えば地獄
わけ合えば極楽



いのち        相田みつを


あのね
自分にとって
一番大切なものは
自分のいのちなんだよ
だから
すべての他人の
いのちが
みんな大切なんだよ



 傍観者         相田みつを


うん
そうだよ
そうだよ
そうだとも
くちだけ
うごかしている
傍観者に
なにがわかる



 外灯というのは    相田みつを


外灯というのは
人のためにつけるんだよ

わたしはどれだけ
外灯をつけられる
だろうか



 こころ              相田みつを


のどがかわいているときに
きれいな谷川の水をのむと
ほっとします。
こころのかわいているときにやさしい、あたたかいことばを
かけられるとほっとします。
ほっとするのは、
むずかしい理屈や理論では
ありません。
こころですね。



 本気                相田みつを


なんでもいいから
本気でやってごらん
本気でやれば
たのしいから
本気でやれば
つかれないから
つかれても
つかれが
さわやかだから



七転八倒(七転八起じゃありません)相田みつを


つまずいたり
ころんだり
するほうが
自然なんだな
人間だもの



 見えないところで       相田みつを


土の中の
水道管
高いビルの
下の下水
大事なものは
表に出ない



 枯れたすすき           相田みつを


枯れた
すすきが
まだ美しい
いのちいっぱい
一生けんめい
生きてきた
からだ


「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」相田みつを(ダイヤモンド社)、「育てたように子は育つ」相田みつを(小学館)を直接読まれることをオススメします。相田みつをさんが、人の命より大事なものは、この世に何1つないのですと、損得ぬきで最も大切なことを、ズバリ言っておられます。

関連ページ
詩【親子で読みたい詩】【谷川俊太郎さんの詩】【親が読んでほしい絵本】【相田みつをさんの詩】【子どもの本屋さん推薦の本】(詩45編)
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898098/


by takaboo-54p125 | 2014-11-08 05:11 |

第五話 「縁を生かす」


『その先生が五年生の担任になった時、
一人、服装が不潔でだらしなく、
どうしても好きになれない少年がいた。
中間記録に先生は
少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。


ある時、少年の一年生からの記録が目に止まった。
「朗らかで、友だちが好きで、人にも親切。
勉強もよくでき、将来が楽しみ」
とある。
間違いだ。他の子の記録にちがいない。
先生はそう思った。


二年生になると
「母親が病気で世話をしなければならず、
時々遅刻する」
と書かれていた。
三年生では
「母親の病気が悪くなり、疲れていて、
教室で居眠りする」
三年生の後半の記録には
「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」
とあり、
四年生になると
「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」


先生の胸に激しい痛みが走った。
だめと決めつけていた子が突然、
深い悲しみを生き抜いている生身の人間として
自分の前に立ち現れてきたのだ。
先生にとって目を開かれた瞬間であった。


放課後、先生は少年に声をかけた。
「先生は夕方まで教室で仕事をするから、
あなたも勉強していかない?
わからないところは教えてあげるから」
少年は初めて笑顔を見せた。
それから毎日、
少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。
授業で少年が初めて手をあげた時、
先生に大きな喜びがわき起こった。
少年は自信を持ち始めていた。


クリスマスの午後だった。
少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。
あとで開けてみると、香水の瓶だった。
亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。
先生はその一滴をつけ、
夕暮れに少年の家を訪ねた。
雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、
気がつくと飛んできて、
先生の胸に顔を埋めて叫んだ。
「ああ、お母さんの匂い!
きょうはすてきなクリスマスだ」


六年生では先生は少年の担任ではなくなった。
卒業の時、
先生に少年から一枚のカードが届いた。
「先生は僕のお母さんのようです。
いままで出会った中で一番すばらしい先生でした」


それから六年。またカードが届いた。
「明日は高校の卒業式です。
僕は五年生で先生に担当してもらって、
とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって
医学部に進学することができます」


十年を経て、またカードがきた。
そこには先生と出会えたことへの感謝と
父親に叩かれた体験があるから
患者の痛みがわかる医者になれると記され、
こう締めくくられていた。
「僕はよく五年生の時の先生を思い出します。
あのままだめになってしまう僕を
救ってくださった先生を、神様のように感じます。
大人になり、医者になった僕にとって
最高の先生は、
五年生の時に担任してくださった先生です」


そして一年。
届いたカードは結婚式の招待状だった。
「母の席に座ってください」
と一行、書き添えられていた。』


「『致知』連載にご登場の鈴木秀子先生に教わった話である。
たった一年間の担任の先生との縁。
その縁に少年は無限の光を見出し、
それを拠り所として、それからの人生を生きた。・・(中略)・・
大事なのは、与えられた縁をどう生かすかである。」


と、著者の藤尾秀昭さんは、しめくくっておられました。「心に響く小さな5つの物語」、本書を直接読まれることをオススメします。本書の挿絵を描かれた片岡鶴太郎さんが


「涙が止まりませんでした」


と書いておられる実話が五話、載っています。そんな本書を直接読まれることをオススメします。


by takaboo-54p125 | 2014-02-01 05:25 |

『教育フォーラム「いじめ」への取り組み』(明治図書)の紹介
第1巻『教育にとって「いじめ」とは何か』
第2巻『「いじめ」に学校はどう取り組むか』
第3巻『「いじめ」と教師の意識変革の課題』
第4巻『「いじめ」指導のテキスト教材の開発』
坂本昇一聖徳大学教授・編(当時:文部省「いじめ対策緊急会議」主査)


かつて、市内の小中学校生徒指導主任会の研修で、大阪府高槻市の小学校教諭だった園田雅春先生を招いて話をお聞きする機会がありました。その時、園田先生が話された印象的な実践例の載っているのが、第4巻でした。すぐに買って、職場で紹介したのを覚えています。あいまいな記憶ですが、園田先生は、今はたしか大阪教育大学教授で附属小校長をなさっているような気がします。1996年刊行の本ですが、第4巻の小学校「あの3週間」、中学校「何度までなら許されるか」などは、今でも充分に使える教材だと思います。


さて、その 第4巻『「いじめ」指導のテキスト教材の開発』は、今も手元にあります。みなさんも本書を直接読まれることをオススメします。
目次から、その概要を紹介したいと思います。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの次が「テキスト教材の開発」です。


Ⅳ小学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発


1小学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発
①教師は何をなすべきか ②「いじめ」の授業の分類                                        
③「いじめ」の授業教材例④「いじめ」の授業:新授業案

                                        
絵本『わたしのいもうと』を滑走路に
①グルグルと循環する「いじめ」②《つられ現象》が正義をつぶす                                                  
③教材と事実を結びつける授業 ④正義の組織化が緊急課題

                                          
3いじめのテキスト「あの3週間」
①はじめに②いじめ指導テキスト「あの3週間」③授業の構想④授業記録


Ⅴ中学校「いじめ」指導のテキスト教材の開発


1身近な事例をテキストにしての道徳の授業
①帰りの会での出来事
◎授業資料「何度までなら許されるのか」


②クオリティー・サークルによるいじめ問題の解決
◎授業資料「アドバイスをください」


2『私たちは、自分と同じように相手を大切にしながら、自主性をもって生きなければ』
①本テキストA~Cの満たすべき条件とねらい
②テキストA:「人間関係を深めるグループ・エンカウンターの方法」を基にして                                   
③テキストB:「アメリカの小学校の児童規則(私の願い)」を基にして                                        
④テキストC:「いじめられている君へ」を基にして


目次ⅣとⅤの紹介は、以上です。本書を直接読まれることをオススメします。絵本『わたしのいもうと』は、いじめ防止の一助になる切実な内容でした。学校で数冊購入してもらい、各クラスで読み聞かせをしてもらったような記憶があります。作り話ではなく、実話であることが、子どもたちの心をゆさぶる、と書いてありました。


絵本『わたしのいもうと』の実践例ものっていました。


説明:この話は、作者の松谷みよ子さんがもらった手紙を元にした、本当のお話です。


問い1:お医者さんに診られるまで、何日もの間、妹はどうして誰にも言わなかったのでしょう?


問い2:転校してきた妹と同じクラスになった子らは、妹のことをどう覚えているでしょうか?


問い3:妹は、クラスの子らのことを、どう覚えているでしょう?


問い4:あなたが妹と同じクラスなら、何ができますか?


この授業に対して、こういう発問はいらない!絵本を読み聞かせ、感じたことを書かせて、それを交流するだけで、子どもたちの心は揺さぶられる、それほどズッシリくる絵本教材だという意見ものっていました。


私には、小学校「あの3週間」、中学校「何度までなら許されるか」が、自分なりに授業をイメージしやすい教材だと言えます。もちろん、このような教材も、クラスの実態に合わせたタイムリーな活用が大切でしょう。


小学校あの3週間」はおおよそ次のような話でした。
『級友を無視しようと言い始めた「私」が、しばらくたつと、立場が逆になり、3週間、クラスの女子から無視される輪が広がり、母にも先生にも言えず、頭痛など身体症状も出始め、隣のクラスの幼なじみに打ち明けたところ、幼なじみの説得により2人で先生に話した。』
というプリントを、担任が範読した後の主発問。
問い1:このケースをどう思いますか。


問い2:「私」が先生やお母さんに黙っていたのは、なぜでしょう。


問い3:反省しなければいけないのは「私」ですか。誰でしょう。 


問い4:あなたなら、この「私」のために何をしてあげられるか、書きましょう。


中学校何度までなら許されるか」はおおよそ次のような話でした。                                                  
『帰りの会で、先生が進路希望票を配布し、提出期限も説明した。A子さんが質問した。
「先生、この紙は、いつ持って来たらいいのですか」
教室は笑い声につつまれた。ふだんからA子さんは、話を聞き漏らすことが多いからだ。                                                  
男子が口々に言い始めた。
B「こら、何、言うてるねん。ちゃんと説明聞けやぁ」
C「ほんまや。どこに耳つけてるねん」                     
D「寝ぼけてんのかぁ。いっつも、同じ失敗してるやんけ」                                         
E「こんなアホには、つける薬なんか、あらへんでぇ」
教室には、また笑い声が響いた。A子さんは、笑って?ごまかした。』                                         
というプリントを、担任が範読した後の主発問。


問い1:B・C・D・Eの4人の発言で、誰の言葉までなら許されると思いますか。


問い2:もし自分がB・C・D・Eの順で言われたら、イヤなのは誰の言葉からですか。                                           
(問い1・問い2で、B・C・D・Eから選んで挙手させ、問い1・問い2で、挙手数の違いと理由に気づかせる。問い1と問い2の挙手数は一致せず、問い1には甘く、問い2にはシビアな結果が出るであろうと予測される)                                                                        
問い3:言われた人の耐える力にも大きな差があることがわかりましたか。あなたなら、A子さんに何と言ってあげたいですか。4人には何と言ってあげたいですか。それぞれ書いてみましょう。


どちらの事例の、お話も、発問も、多少ですけどアレンジして、変えてあります。


園や、学校の低学年の子どもたちに読み聞かせをする絵本なら、偕成社から内田麟太郎・作、降矢なな・絵の「ともだちや」シリーズが、子どもたちも友だちを大切にしたくなる絵本だと思います。「ともだちや」「ともだちくるかな」「あしたもともだち」「ごめんねともだち」「「ともだちひきとりや」「おれたち、ともだち」など、シリーズになっています。以前、私が小学校教員の頃、地元の学童で保護者向けの話を頼まれました。お茶だけという約束でしたが、菓子箱をくださいました。困りました(公務員でしたから)。それで、その金額に見合うものとして、この絵本シリーズを買いました。お返しに持って行ったら、この、きつねが主人公の絵本の内容は大好評でした。オススメの絵本です。小学校・上学年~中学校でも、読み聞かせに耐えうる絵本は、先ほどの「いじめ」指導のテキスト教材で紹介されていた「わたしのいもうと」が、心にズシンとくるので、内容を確かめてから活用されるといいでしょう。


ただ教師自身が、いじめのとらえ方で、勘違いしてはいけないことがあります。それは、いじめを受けている子が「つらく」「苦しく」「やめてほしい」と感じることは、総てイジメだということです。相手側が意図的なのはもちろん、おもしろ半分でも、何げない遊び感覚でも、全部イジメなのです。相手側(おそらく複数)の言いぶんに左右されず、その子を「守る」ことを最優先にします。「先生たちが絶対に守るからね」というメッセージ(非常事態宣言)を、必ず有言実行できる体制で、です。


by takaboo-54p125 | 2013-10-26 05:04 |

「てぶくろをかいに」「ごんぎつね」などの作品で有名な新美南吉(私が最も好きなお話は「あめだま」)の絵本「にひきのかえる」を読みました。こういう仲直りもあるのか・・と、あったかい気持ちにさせてもらえました。新美南吉絵本大賞にも選ばれたそうです。


他には「でんでんむしのかなしみ」「おじいさんのランプ」も読みました。「あかいろうそく」「かにのしょうばい」などは、まだ読んでいませんが、いつかは読んでみたいと思っています。


なお、「にひきのかえる」本文は、次のHPで、紹介されていました。読み聞かせにもオススメのお話です。


新美南吉 にひきのかえる 青空文庫


http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/4718_13223.html


by takaboo-54p125 | 2013-06-22 05:02 |

「これから昔話を語る人へ 語り手入門」松本なお子・著(小澤昔ばなし研究所)を、図書館で見つけました。
第2章には、「耳から聞くことの意味」が書いてありました。
第4章には、「語り手と聞き手に合ったお話を選ぶ」が書いてありました。
第5章には、「お話の覚え方」が書いてありました。
第6章には、「お話の語り方」が書いてありました。
第2章の5、『「語り(ストーリーテリング)と「読み聞かせ」の違い』を紹介します。


『・・「語り(ストーリーテリング)」は文字通り「お話(ストーリー)を語る」ことです。お話は事前にすっかり覚えて、語るときは本やテキストを手に持ちません。楽器や小道具を使うこともしません。お話だけを語ります。一方、「読み聞かせ」は、絵本を手に持ち、絵を聞き手に見せながら、読み手が文章を読みます。読み聞かせを生かす絵本の選び方や読み方、本の持ち方、ページのめくり方などが要求されます。お話を語る人を「語り手」とか「ストーリーテラー」と呼びます。・・語るお話の多くは昔話です。・・昔話には、「人生いかに生きるべきか」「世の中とはどういうものか」という先人から子どもたちへのメッセージが込められているのです。・・』言わば、語り手と聞き手がお話の世界を分かち合う一体感が、語り聞かせにはあるようにも思います。


第4章の5、『聞き手の年齢に合ったお話』に例が載っていました。


3~4才「大きなかぶ」「おいしいおかゆ」「金色トサカのおんどり」「ホットケーキ」
5~6才「ちいちゃいちいちゃい」「「ついでにペロリ」「ねずみのすもう」「「鳥のみじさ」「ブドーリネク」「ミアッカどん」
7~9才「かしこいモリー」「北風をたずねていった男の子」「「アリョーヌシカとイワーヌシカ」「アナンシと五」「七羽のカラス」「馬方やまんば」「仙人のおしえ」
10才以上「いばら姫」「ガチョウ番の娘」「3枚の鳥の羽」「くもの化けもの」「えんまさまの失敗」「ムカデの使い」
中学生「忠実なヨハネス」「カエルの王様」「師番の赤馬」「頭の大きな男の話」』


引用・参考文献一覧に、私の知っている昔話も載っていました。


『「王様の耳はロバの耳」「オオカミと7匹の子ヤギ」「白雪姫」「大工と鬼六」「「寝太郎」「ねことねずみ」「ねずみのすもう」「にんじん、ごぼう、だいこん」「3枚のおふだ」「3びきのやぎのガラガラドン」「3びきの子ブタ」』などです。


私が好きな昔話は、くり返しが3回あるお話です。「たべられたヤマンバ(3枚のおふだ)」も、「やぎさんふとってデンガラドンのドン(3びきのやぎのガラガラドン)」も、「ブレーメンの音楽隊」も、大好きです。本書でも、「子どもの心の安定した成長にとって非常に重要な意味を持っている」「未知なるものへの好奇心と、既知なるものとの再会の喜びのバランス」というふうに、「3回のくり返し」の価値が書いてありました。必要なくり返しを省かないで、できるだけ同じ言葉でくり返すことの大切さも書いてありました。そんなお話の展開を予測しながら、ワクワク楽しんでいる子どもたちの瞳や表情はキラキラ輝いています。
本書を直接読まれることをオススメします。


by takaboo-54p125 | 2013-05-18 05:14 |

2012年12月22日から始めた「あったかさは連鎖する」シリーズの5回目(ラスト)です。医師である著者・鎌田實(みのる)さんが「あとがきにかえて」で、次のように書いておられます。抜粋しながら紹介させてください。


『5年間、ずっと気になっているパレスチナ人がいた。小さな新聞記事を読んでから、いつか会いたいと思い続けてきた人。イスラエル兵に殺された息子の臓器を、敵国の病気の子どもたちを救うために差し出したお父さん。彼の行動や想いを絵本にしたい。・・もともと、どちらかの国を一方的に責める本は書きたくなかった。・・世界中の人に、アハメドを失った悲しみを横に置いて敵国の病気の子どもたちを助けたイスマイル父さんのことを知ってもらいたい。心臓を提供してくれたイスマイルさん一家のことを、もう1つの家族として大切にし、「大人になったら自分もパレスチナの子どもの命を救い、平和の橋を架ける人間になりたい」と語るイスラエルの少女、サマハちゃんの言葉を聞いてもらいたい。・・イスマイル父さんが息子の心臓を提供してくれたことから始まった、やさしさのリレー。この「きっかけ」を忘れないために、ぼくは絵本をつくった。・・いろんな国の人たちに読んでもらいたくて、英文をつけることにした。・・紛争の絶えない憎しみの大地で見つけた希望の言葉「にもかかわらず」をキーワードにした絵本を読んだ人たちが、新しい波を起こしてくれることを祈っている。』


絵本「アハメドくんの いのちのリレー」の話のあらすじを紹介します。


『難民キャンプに住む12才のアハメド君が、狙撃兵に頭を撃たれて亡くなりました。主治医(イスラエル人)から臓器移植(提供する側は移植相手〔国籍・民族・宗教〕を選べない)の提案を受け、悩んだイスマイル父さん(パレスチナ人)は、みんなに相談し、考えぬいて、すべての臓器を提供することを決断しました。心臓、肺、肝臓、腎臓がイスラエル国籍の子どもたちに移植されました。そのことを新聞で知った鎌田さんは、自分の息子が殺された、にもかかわらず、病気の子どもたちを助けようとしたイスマイル父さんに会いたくなりました。手を尽くして、5年後、イスマイル父さん、主治医、アハメド君の心臓を移植してもらったイスラエルのサマハちゃん一家に会いに行きました。イスマイル父さんが言いました。
「臓器提供は、平和の実現を望む私たちパレスチナ人のシグナルだと思ってほしい」と。
心臓をもらったアハメド君の写真を飾っている家に住む、17才になったサマハちゃんが言いました。
「医学部を受験します。医師になって、たくさんのいのちを救いたい。イスラエルとパレスチナの平和のために働きたい」と。』


鎌田さんが、ここまで世界中を行動する原点(出発点)も書いてありました。
『ぼくの父は、貧乏と、妻が重い心臓病という2つの困難をかかえていた。にもかかわらず、それを横に置いた。捨てられて行き場のないぼく(1才)をひろってくれた。
にもかかわらず」って生き方は、かっこいい。「にもかかわらず」ができるのが、人間のすごさなんだ。「にもかかわらず」には力がある。・・イスマイル父さんがおこなった「にもかかわらず」そこから、アハメド君のいのちのバトンが走り出した。平和のバトン、やさしさのバトンだ。・・』と。また、


『37才の時、パスポートをつくるために戸籍を取り寄せるまで、父と母の本当の子どもじゃないなんて思ってもみなかった。‥2人にひろわれたおかげで、ぼくのいのちはつながった。
いのちのバトンは、いろんなところで、いろんなカタチでおこなわれている。アラビアの砂漠への旅は、そのことを確認するための旅でもあった。』とも。そして、


この愛の物語を、ぼくは絵本というバトンに変えて、世界のみんなにつなげたい。・・いのちのリレー。・・信じている』と締めくくってありました。本書を直接読まれることをオススメします。


これで、12月から始めた「あったかさは連鎖する」シリーズ(5回)は終わりますが、これらの実話が、あなたから誰か(家族・友人・同僚・子どもたちなど)へのバトン・リレー「あったかさの連鎖」になったら、アンドレイ君やヤヨイさんやエレーナ母さんも、アハメド君やサマハちゃんやイスマイル父さんも、竹下和男校長先生も、鎌田實Drも、山形県の学校のS先生も、きっとうれしいやろなと思います・・私も^^。

関連ページ
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by takaboo-54p125 | 2013-01-17 05:19 |