詩「教室で子どもたちと音読したい詩」小学生と読みたい109編&中学生と読みたい19編

子どもたちと音読したい128編の詩・・・もしも、ミスがありましたら、ご容赦ください。


絵本「いちねんせい」谷川俊太郎・詩、和田誠・絵(小学館)より


くんぽんわん 谷川俊太郎


って 谷川俊太郎


たいこ 谷川俊太郎


カロンセのうた 谷川俊太郎


この絵本「いちねんせい」には、全部で22編の谷川俊太郎さんの詩が載っています。どの詩にも、和田誠さんのとても楽しい挿絵も書いてあります。つい買ってしまいました。お子さんといっしょに本書を直接読まれることをオススメします。


次の詩は、ACジャパンのCMにも使われました。


こだまでしょうか     金子みすゞ


「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。


「ばか」っていうと
「ばか」っていう。


「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。


そうして、あとで
さみしくなって、


「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。


こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。


 「金子みすゞ童謡全集」より

次の詩は、ただ音読するだけで、1人ひとりがそれぞれに味わえます。


教室はまちがうところだ
              まきた・しんじ


教室はまちがうところだ

(この1行で始まる約70行という長い詩です)
(授業で黙っている子の思いを代弁をしてくれる詩だと言えます)
(黙っている子に共感しつつ、発言することを応援する詩でもあります)
(子どもたちの勇気と優しさを後押ししてくれる詩だと言えるでしょう)
(次の1行が、約70行の詩のしめくくりです)


そんな教室 つくろうやあ


同タイトルの絵本(蒔田晋治:作・子どもの未来社)は、詩と挿絵がハーモニーを奏でています。1985年まで静岡県の小中学校教員をされていたそうです。長いので、まず担任が音読する時に、子どもたちには各自の好きなところ(いくつでもOK)に印(マーカー)をつけてもらいました。それから、みんなでいっしょに音読しました。この絵本を購入して改めて思います・・・本書を直接読まれることをオススメします。


次の詩は、小学校1年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


あかるい おひさま     くどうなおこ


あかるい おひさま
あいうえお
いいもの みつけた
あいうえお
うたに あわせて
あいうえお
えに かきたいな
あいうえお
おやすみなさい
あいうえお


次の詩は、小学校1年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


ほした ふとん   てづかしょうぞう 


ほした ふとんは
日なたの におい。
ふわり ほかほか
ひかりの こどもが
いるみたい。
ほした ふとんは
日なたの におい。
ふわり ほかほか
ぼくは 大の字
いい きもち。


次の詩は、小学校1年生の教科書(学校図書)にのっていた詩です。


おちば     よだ じゅんいち


おちば、おちば、
きの はっぱ。
やまの こざるが ひろったら、
おもちゃの おかねに するかしら。
ならのき、かしのき、
きの はっぱ。
もりの こりすが ひろったら、
でんしゃの きっぷに するかしら。
おちば、おちば、
はっぱっぱ。


次の詩は、小学校1年生の教科書(日本書籍)にのっていた詩です。


いるか     たにかわしゅんたろう


いるかいるか
いないかいるか
いないいないいるか
いつならいるか
よるならいるか
またきてみるか


いるかいないか
いないかいるか
いるいるいるか
いっぱいいるか
ねているいるか
ゆめみているか


次の詩は、小学校2年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


ガラスのかお   みつい ふたばこ


おやおや こまった
ないちゃうよ。
おふろの ガラスに
かいた かお。
みんな なみだを
ながしちゃう。
わらった かおまで
ないてるよ。
おふろの ガラスに かいた かお、
みんな そろって ないてるよ。


次の詩は、小学校2年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


たべもの   なかえ としお


もこもこ さといも
ほこほこ さつまいも
はりはり だいこん
ぱりぱり たくあん
ぽりぽり きゅうり
かりかり らっきょう
つるつる うどん
くるんくるん こんにゃく
しこしこ たこ
しゃきしゃき はくさい
こりこり こうめ
ぷりんぷりんの とまと
ぴんぴんした たい
あつあつの ふろふきだいこん
ほかほかの ごはん


次の詩は、小学校2年生の教科書(学校図書)にのっていた詩です。


ピーマン   くどうなおこ


ペンキ ぬりたて
きを つけろ
パンパン 
はたけの たいこだぞ
耳に あてれば
小さな たねが
ひそひそばなしの
さいちゅうだ


次の詩は、小学校2年生の教科書(日本書籍)にのっていた詩です。


わらべうた・はないちもんめ


ふるさと もとめて
花いちもんめ
もんめ もんめ
花いちもんめ
○○ちゃん とりたい
花いちもんめ
かって うれしい
花いちもんめ
まけて くやしい
花いちもんめ


わらべうた・ずいずいずっころばし


ずいずい ずっころばし
ごまみそずい
ちゃつぼに おわれて トッピンシャン
ぬけた~ら ドンドコショ
たわらの ねずみが こめ くって チュウ
チュウ チュウ チュウ
おとさんが よんでも
おかさんが よんでも
いきっこ な~しよ
いどの まわりで おちゃわん かいたの
だあれ


次の詩は、小学校2年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


海がみんな  イギリスの わらべうた
           きじま はじめ ・ やく


海が みんな ひとつの 海に なったら
その 海は どんなに 大きいだろうな!
木が みんな ひとつの 木に なったら
その 木は どんなに 大きいだろうな!
おのが みんな ひとつの おのに なったら
その おのは どんなに 大きいだろうな!
人が みんな ひとりの 人に なったら
その 人は どんなに 大きいだろうな!
それで その 大きい 人が
その 大きい おので
その 大きい 木を きり
その 大きい 海に たおしたら
どんなに 大きい
ばちゃんと いう 音が するかなあ!


次の詩は、小学校3年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


夕日がせなかをおしてくる   さかた ひろお


夕日がせなかを おしてくる
まっかなうでで おしてくる
あるくぼくらの うしろから
でっかい声で よびかける
さよなら さよなら
さよなら きみたち
ばんごはんが まってるぞ
あしたの朝 ねすごすな
夕日がせなかを おしてくる
そんなにおすな あわてるな
ぐるりふりむき たいように
ぼくらもまけず どなるんだ
さよなら さよなら
さよなら たいよう
ばんごはんが まってるぞ
あしたの朝 ねすごすな


次の詩は、小学校3年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


ことば遊び歌   谷川しゅんたろう


 ののはな


はなののののはな
はなのななあに
なずななのはな
なもないのばな


 ことこ


このこのこのこ
どこのここのこ
このこのこののこ
たけのこきれぬ
そのこのそのそ
そこのけそのこ
そのこのそのおの
きのこもきれぬ


次の詩は、小学校3年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


すいれんのはっぱ    うら かずお


すいれんの まるいはっぱが
さっきから
そこだけ 波もんをたてている。


さては、いたずらふなっこめ
はっぱのじくを かじっているな。


風もないのに おかしいと
ぼくが見てるの しらないな。


まてよ、それとも四、五ひきで
わっしょわっしょと やってんのかな。


まるいはっぱが 顔しかめ
いやいやしてるの しらないな。


どこも明るい まっぴるま
すいれんの
はっぱのひとつが ゆれている。


次の詩は、小学校3年生の教科書(学校図書)にのっていた詩です。


こわれたすいどう  谷川しゅんたろう


こわれたすいどう
ピッタン テトン テッタン ピン
いくらしめてもとまらない
よるになっても
ピッタン テトン テッタン ピン


こわれたすいどう
ピッタン テトン テッタン ピン
だあれもいないおふろばで
あさになっても
ピッタン テトン テッタン ピン


次の詩は、小学校3年生の教科書(日本書籍)にのっていた詩です。


つけものの おもし    まど みちお


つけものの おもしは
あれは なに してるんだ


あそんでるようで
はたらいてるようで


おこってるようで
わらってるようで


すわってるようで
ねころんでるようで


ねぼけてるようで
りきんでるようで


こっちむきのようで
あっちむきのようで


おじいのようで
おばあのようで


つけものの おもしは
あれは なんだ


次の詩は、小学校3年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


もじさがしのうた  きしだえりこ


あかさたなはまやらわ
はなさがす
わらべうた
さわやかな
やまのあさ


いきしちにひみいりい
みんなして
ひまなひに
いぎりすの
ちずをみる


うくすつぬふむゆるう
ふゆもすぐ
むつかるこ
うるさくて
いぬふるえ


えけせてねへめえれえ
めがさめて
せんねんめ
えれきひけ
やねのうえ


おこそとのほもよろお(を)
このごろの
ほしのよる
こそどろも
おとそのむ


次の詩は、小学校4年生の教科書(4年上・平成4年・大阪書籍)にのっていた詩です。


うち 知ってんねん        島田陽子


あの子 かなわんねん


かくれてて おどかしやるし


そうじは なまけやるし


わるさばっかし しやんねん


そやけど


よわい子ォには やさしいねん


うち 知ってんねん



あの子 かなわんねん


うちのくつ かくしやるし


ノートは のぞきやるし


わるさばっかし しやんねん


そやけど


ほかの子ォには せえへんねん


うち 知ってんねん



そやねん


うちのこと かまいたいねん


うち 知ってんねん



次の詩は、小学校4年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


かぼちゃのつるが    原田 直友


かぼちゃのつるが
はい上がり はい上がり
葉をひろげ 葉をひろげ
はい上がり 葉をひろげ
細い先は 竹をしっかりにぎって
屋根の上に はい上がり
短くなった竹の上に はい上がり
小さなその先たんは いっせいに赤子のような手を開いて
ああ 今 空をつかもうとしている


次の詩は、小学校4年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


石ころ  まど みちお


石ころ けったら
ころころ ころげて
ちょこんと とまって ぼくを 見た
— もっと けってと いうように


もいちど けったら
ころころ ころげて
それから ぽかんと 空を見た
— 雲が 行くよと いうように


そうかい 石ころ
きみも むかしは
天まで とどいた 岩山だったか
— 雲を ぼうしに かぶってね


石ころ だまって
やっぱり ぽかんと
あかるい あかるい 空を 見てる
— 星が 見えると いうように


次の詩は、小学校4年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


かきの実   よだじゅんいち


つゆがしもに変わり、
しもは朝ごとに白くなる。


村のかきの実は、赤くうれ、
赤く、赤くうれ、
低いえだから、だんだんへっていく。


空は一日、青くすみ、
青く、青くすみ、
からすのむれが、
ごまをまいたように飛ぶ。


そんな日が続き、
同じような日が続き、
こずえに残されたかきの実、一つ。


実は赤く光り、
赤く、赤く光り、
冬が来た信号のように、
村でいちばん早く朝日をあびる。


次の詩は、小学校4年生の教科書(学校図書)にのっていた詩です。


にぎりこぶし  村野 四郎


    
悲しいときや苦しいとき、
ぼくはいつも
こぶしを かたくにぎりしめる。
すると、苦しみや悲しみは、
みんな ぼくからにげてゆく。


勉強で なきたくなったとき、
ぼくはぐっと
こぶしを かたくにぎりしめる。
すると、本の字が はっきり見えてくる。


また、北風がビュービューふいて
ぼくをいじめるとき、
ぼくはむねをはり、
ぐっと、こぶしをにぎりしめる。
すると、風のやつ、
急に道ばたの木へ にげ帰り
えだを、ガサガサ くやしそうに
ゆすっているんだ。


次の詩は、小学校4年生の教科書(光村図書・学校図書・日本書籍)にのっていた詩です。今ものっていると思います。


春の歌     草野 心平
    
     かえるは、冬のあいだは土の中にいて、春になると
     地上にでてきます。そのはじめての日のうた。


ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。
みずはつるつる。
かぜはそよそよ。
ケルルン クック。
ああ いいにおいだ。
ケルルン クック。
ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。
ケルルン クック。
ケルルン クック。


次の詩は、小学校5年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


われは草なり 高見 順


われは草なり 伸びんとす
伸びられるとき 伸びんとす
伸びられぬ日は 伸びぬなり
伸びられる日は 伸びるなり


われは草なり 緑なり
全身すべて 緑なり 
毎年かわらず 緑なり
緑のおのれに あきぬなり


われは草なり 緑なり
緑の深さを願うなり


ああ 生きる日の 美しき
ああ 生きる日の 楽しさよ
われは草なり 生きんとす
草のいのちを 生きんとす


次の詩は、小学校5年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


雨       山田 今次


あめ あめ あめ あめ
あめ あめ あめ あめ
あめは ぼくらを ざんざか たたく
ざんざか ざんざか
ざんざか ざんざか
あめは ざんざん ざかざか ざかざか
ほったてごやを ねらって たたく
ぼくらの くらしを びしびし たたく
さびが ざりざり はげてる やねを
やすむ ことなく しきりに たたく
ふる ふる ふる ふる 
ふる ふる ふる ふる 
あめは ざんざん ざかざん ざかざん
ざかざん ざかざん
ざんざん ざかざか
つぎから つぎへと ざかざか ざかざか
みみにも むねにも しみこむ ほどに
ぼくらの くらしを かこんで たたく


次の詩は、小学校5年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


雑草のうた  鶴岡 千代子


せっかく 花を さかせても
せっかく 葉っぱを ひろげても
ふりむいていく 人はない


   それでも平気さ みんなして
   むんむん草むら つくってく


どんなに のどが かわいても
どんなに ほこりを かぶっても
水など くれる 人はない


   それでも平気さ 上むいて
   のびたいほうだい のびていく


オオバコ ハコベ ヒメジョオン
ちゃんと 名前が ついてても
よびかけてくる 人はない


   それでも平気さ いつだって
   きらきらしながら 生きていく


次の詩は、小学校5年生の教科書(学校図書)にのっていた詩です。


山頂から   小野十三郎


山にのぼると
海は天まであがってくる。
下の方で しずかに
かっこうがないている。
風にふかれて高いところにたつと
だれでもしぜんに世界の広さを考える。
ぼくは手を口にあてて
なにか下の方に向かって叫びたくなる。
五月の山は
ぎらぎらと明るくまぶしい。
きみは山頂よりも上に
青い大きな弧をえがく
水平線を見たことがあるか。    


次の詩は、小学校5年生の教科書(日本書籍)にのっていた詩です。


雲     山村 暮鳥


おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平の方までゆくんか


次の詩は、小学校6年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です。


支度 黒田 三郎


何の匂いでしょう
これは


これは
春の匂い
真新しい着地の匂い
真新しいかわの匂い
新しいものの
新しい匂い
匂いのなかに
希望も ゆめも
幸福も うっとりと
うかんでいるようです


ごったがえす 人いきれのなかで
だけどちょっぴり 気がかりです
心の支度は 
どうでしょう
もうできましたか


次の詩は、小学校6年生の教科書(教育出版)にのっていた詩です。


虫けら    大関 松三郎


一くわ
どっしんとおろしてひっくり返した土の中から
もぞもぞと いろんな虫けらが出てくる
土の中にかくれていて
あんきにくらしていた虫けらが
おれの一くわで たちまち大さわぎだ
おまえは くそ虫といわれ
おまえは みみずといわれ
おまえは へっこき虫といわれ
おまえは げじげじといわれ
おまえは ありごといわれ
おまえらは 虫けらといわれ
おれは 人間といわれ
おれは 百しょうといわれ
おれは くわを持って 土を耕さねばならん
おれは おまえたちのうちをこわさねばならん
おれは おまえたちの 大しょうでもないし 敵でもないが
おれは おまえたちを けちらかしたり 殺したりする
おれは こまった
おれは くわを立てて考える


だが虫けらよ
やっぱりおれは土を耕さんばならんでや
おまえらを けちらかしていかんばならんでや
なあ
虫けらや 虫けらや


次の詩は、小学校6年生の教科書(東京書籍)にのっていた詩です。


けれども大地は   新川和江


秋が たえまなく木の葉を降らせて
ものがたりしている


遠い森で 谷間で
公園で 窓のすぐ外で


そのものがたりに 
人びとは耳をかたむけはするが
とてもいちどきには
聞きとることも 読みとることもできない


けれども大地は のこらずすっかり
おしまいまで聞いてやって
母親のようにいちばんあとでやすむ


次の詩は、小学校6年生の教科書(光村図書)にのっていた詩です(今ものっているかな)。


生きる  谷川 俊太郎


生きているということ いまいきているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっとあるメロディを思い出すということ
くしゃみすること あなたと手をつなぐこと


生きているということ いま生きているということ
それはミニスカート それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス それはピカソ
それはアルプス すべての美しいものに出会うということ
そして かくされた悪を注意深くこばむこと


生きているということ いま生きているということ
泣けるということ 笑えるということ
怒れるということ 自由ということ


生きているということ いま生きているということ
いま遠くで犬がほえるということ
いま地球がまわっているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いま いまが過ぎてゆくこと


生きているということ いま生きているということ
鳥ははばたくということ 海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ あなたの手のぬくみ
いのちということ


次の詩は、小学校6年生の教科書(光村図書・教育出版・東京書籍・学校図書・日本書籍)にのっていた俳句です。


菜の花や月は東に日は西に        与謝 蕪村万


五月雨をあつめて早し最上川       松尾 芭蕉


万緑の中や吾子の歯生えそむる      中村草田男


日焼け顔見合いてうまし氷水       水原秋桜子


赤とんぼ筑波に雲もなかりけり      正岡 子規


赤い椿白い椿と落ちにけり        河東碧梧桐


雪とけて村いっぱいの子どもかな     小林 一茶


スケートのひもむすぶ間もはやりつつ   山口 誓子



次の詩からは、小学校の教科書には載っていなかった詩になります。


雑草        北川 冬彦


雑草が


あたり構わず


延び放題に延びている。


この景色は胸のすく思いだ。


人に踏まれたりしていたが


いつの間にか


人の膝を没するほどに伸びている。


ところによっては


人の姿さえ見失うほど


深いところがある。


この景色は胸のすく思いだ。
                                
伸びはびこれるときは


どしどし延び拡がるがいい。


そして見栄えはしなくとも


豊かな花をどっさりと咲かせることだ。



美しくあるく   八木 重吉


こどもが


せっせっ せっせっとあるく


すこし きたならしくあるく


そのくせ


ときどき ちらっと美しくなる



こども         山村暮鳥


ぼさぼさの


生垣の上で


牡丹でもさいているのかと


おもったら


まあ、こどもが


わらっていたんだよう



次の詩は、私が小学校高学年の頃(S45~46年)に小学校で習った詩です。たしか教科書にのっていた記憶があります。今でも暗唱できます。味わい深い冬の詩です。家族の絆を味わえる詩でもあります。しみじみ読み味わってみてください。


 冬の夜道                  津村信夫


冬の夜道を 一人の男が帰ってゆく


はげしい仕事をする人だ


その疲れきった足どりが そっくり それを表している


月夜であった


小砂利をふんで やがて 一軒の家の前に 立ちどまった


それから ゆっくり格子戸を開けた


「お帰りなさい」


土間に灯がもれて 女の人の声がした


すると それに続いて


どこか 部屋のすみから


一つの小さな声が言った


また一つ


また一つ別の小さな声がさけんだ


「お帰りなさい」



冬の夜道は 月が出て ずいぶんと明るかった


それにもまして


ゆきずりの私の心には


明るい一本のろうそくが 燃えていた        


かつて、小学校の高学年を担任すると、必ず「冬の夜道」を子どもたちと読み味わいました。この詩の授業を、7回はしたでしょうか。それは、子どもたちに、将来、大人になった時の自分の「家族」を豊かにイメージするきっかけにしてほしかったからです。


まず、音読をしたら、意味のわからない言葉をどうにかします。「足どり」「小砂利」「「格子戸」「土間」「灯」「ゆきずり」などを、子どもたちは言うでしょう。どうにか意味がわかったところで、音読を入れます。


最初に問いたいのは、1人の男の行動の裏側にあるものです。


「この男の人は、疲れていたから、ゆっくり開けたのかなあ?」


と聞いてみたいです。子どもたちが「はげしい仕事」「疲れきった足どり」「そっくり」「やがて」「立ちどまった」「それから ゆっくり」などから、男の人の姿・状況を思い浮かべつつ、男の人の家族への温かさにまで思いをはせてくれたらいいなあ・・と思います。ある年には、「家族に、疲れきった顔を見せると心配させるので、一度立ちどまってから、深呼吸して、ゆっくり開けた」と語る子もいました。


次に問いたいのが、男の人を迎える家族の姿です。


「この家は何人家族なのかなあ?」


と聞いてみたいです。「女の人」「1つの小さな声」「言った」「また1つ また1つ」「別の小さな声」「さけんだ」などから、迎えたのは、3人か4人か意見が分かれるでしょう。その中で、迎えた時の家の中の様子や、男の人にかけた言葉も出てくればいいなあ・・と思います。別の年には、「小さな声が言ったのは低学年ぐらいの子で、小さな声がさけんだのは、3才ぐらいの双子で、3人の子どもがお父さんの帰りがうれしくて飛びついた」と語る子もいました。


最後に問いたいのは、ゆきずりの作者の姿です。


「ゆきずりの私には、家で誰が待っているのかなあ?」


と聞いてみたいです。「それにもまして」「ゆきずり」「私の心」「明るい」「1本のろうそく」「燃えていた」などから、思い思いに、作者も男と同じような家族がいる、作者は家族のいない1人暮らし、などを語ってくれたらいいなあ・・と思います。また別の年には、「『月の明るさ』と『ろうそくの明るさ』の違い(冷たい・温かい)から、1人ぼっちの作者だから心に灯った『ぬくもり』を、北風で消したくないほど大切にしたかった」と語る子もいました。


そして、もう1度音読しながら、この温かい家族と、心を温められた作者の情景をイメージしてくれたらいいなあ・・と思います。自分も大人になったら、こんな家族をつくりたいなという、子どもたちが描けるモデルの1つに、この詩がなってくれたらなあ・・と心から願いつつ・・。


実際には、こちらの思うようには、なかなか、子どもたちは描いてくれないものですが・・。どこと、どこで、グループ学習を取り入れたらいかは、迷うところです。今の時代の、ほとんどの子どもたちは「土間」も「格子戸」も知りませんから、1校時45分でやり終える自信も、ちょっとありません。でも、ステキな詩であることは確かです。


とにかく情景を思い浮かべてほしいので「男の人はどうして立ちどまったの?」「男の人はなぜ、ゆっくり開けたの?」「この家族を見た作者の気持ちは?」「明るい1本のろうそくって、作者が言いたかったことは何?」というような問いかけは、したくありませんでした。詩という文学作品を読み味わうとは、そういうことではないと思うからです。あくまでも情景をより豊かに思い描き、イメージすることを主にした授業を展開したいものです。そうする中で子どもたちが自ら、自然体で心情にもふれてくれるのではないでしょうか。


次の歌は、岐阜県中津川市の笠木透さんの作詞で、
高石友也&ザ・ナターシャー・セブンが
かつてレコード(LP)の中に収録した歌です。
詩を読む感じで、音読するだけでも楽しいですよ。
おすすめの笠木透さんの歌「あいうえおとも・おともだち」は、「親子で音読したい詩」で紹介しています。


なーむ なーめん なーらん     かさぎ とおる


ナガスクジラに なりたいな


ナガスクジラに なりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


ナツミカンに なりたいな


ナツミカンに なりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


ナマケモノに なりたいな


ナマケモノに なりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


ナベヤキウドンになりたいな


ナベヤキウドンになりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


ナトリウムになりたいな


ナトリウムになりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


ナガレボシになりたいな


ナガレボシになりたいな


なーれ なれなれ 


なーれん なっと


なーむ なーれん なーらん


なーむ なーれん なーらん



新美南吉と言えば、小学校の教科書の「ごんぎつね」「手ぶくろを買いに」や「花のき村と盗人たち」「あめだま」などの、すぐれた童話を書いた児童文学作家であり、詩人でもありました。「ごんぎつね」が19才の時の作品というのも驚きですが、音読してみたい詩もいくつかあります。新美南吉は元教師でもありました。詩「みち」を紹介します。


みち      にいみ なんきち


みちは かきねに そっていく。


おほりや はたけにも そっていく。


さかなら たらたら おりていく。


おかなら うねうね のぼっていく。


森や林は ぬけていく。


小川やみぞは またいでく。


子どもが なわとび していても。


牛が ながなが ねていても。


いたちが ついと よぎっても。


かすみが とおくを かくしても。


みちは けっして とまらない。


みちは けっして まよわない。


そして どこかへ いっちまう。


どこかへ みちは いっちまう。



新美南吉は、めったにとれないクジラで、小さな島の暮らしがすべて支えていたことを、12行で(6文で)表現しました。


島          新美 南吉


島で、ある朝、


クジラがとれた。


どこのうちでも、


クジラを食べた。


ひげは、うなりに、


売られていった。


りらら、あぶらは、


ランプで燃えた。


クジラの話が、


どこでもされた。


島は、小さな、


まずしい村だ。



「熊に聞こえたのがアイヌのような声」というところに、新美南吉のしなやかで豊かな感受性を感じます。


熊      新美 南吉


熊は月夜に声きいた。


どこか遠くでよんでいた。


熊はむくりと起きてきた。


おりの鉄棒ひえていた。


熊は耳をばすましてた。


アイヌのような声だった。


熊は故郷を思ってた。


落葉松林を思ってた。


熊はおおんとほえてみた。


どこか遠くで、


こだました。



私は単純にも、「ちびまる子ちゃん」のまる子と友蔵じいさんの2人を浮かべてしまいました。


雲        山村 暮鳥


丘の上で


としよりと


こどもと


うっとりと雲を


ながめている



私は単純にも、「もののけ姫」で、エボシがシシ神をねらい、それをアシタカがじゃまをする場面の、シシ神そのものを浮かべてしまいました。


鹿       村野 四郎


鹿は 森のはずれの


夕日の中に じっと立っていた


彼は知っていた


小さい額がねらわれているのを


けれども 彼に


どうすることが出来ただろう


彼は すんなり立って


村の方を見ていた


生きる時間が黄金のように光る


彼の すみ家である


大きい森の夜を 背景にして



この歌も、岐阜県中津川市の笠木透さん(「フィールド・フォーク」グループのリーダーをしておられたとか)が作詞された歌です。やっぱり高石友也&ザ・ナターシャー・セブンのレコード(LP)で聞きました。上品とは言えませんが、朝の歌としてクラス全員で歌うと、メッチャ楽しい空気で1日をスタートできたのは確かです。「へのちから」のメロディーは歌いやすい「ジングルベル」です。


へのちから        笠木透


いもくえば へがでるよ
パンツがやぶれる へのちから
プッ プッ プップクプー プップクプクプクプー
こらえても おさえても とまらない                                   プッ プッ プップクプー プップクプクプクプー
こらえても おさえても とまらない


まめくえば へがでるよ
ズボンがはじける へのちから
ピッ ピッ ピッピキピー ピッピキピキピキピー
こらえても おさえても とまらない                                   ピッ ピッ ピッピキピー ピッピキピキピキピー
こらえても おさえても とまらない


ふろにはいれば へがでるよ
おゆがこぼれる へのちから
ボッ ボッ ボッボコボー ボッボコボコボコボー
こらえても おさえても とまらない
ボッ ボッ ボッボコボー ボッボコボコボコボー
こらえても おさえても とまらない~い~いいい!


「おならは誰かてする。プロの選手も、アイドルも、みんなするんや。恥ずかしいないんやで」
という担任の力のこもった演説でしめくくりました。そこで、わざとおならをする子もいました(大物です。みんなで拍手です)。テニスの松岡修造さんみたいな熱血派の先生は、演説でいいでしょう。理論派の先生は、「おならは『お鳴らし』を省略した言葉です。欧米ではおならよりゲップの方が失礼なのです」と「うんちく」(学問・知識のたくわえ)を披露しましょう。でも、さわやか派の先生は、次の詩で、さわやかにしめくくってもいいと思います。ページ「親子で音読したい詩」にのせてある詩です。


おならうた  たにかわしゅんたろう


いもくって ぶ
くりくって ぼ
すかして へ
ごめんよ ば
おふろで ぽ
こっそり す
あわてて ぷ


ふたりで ぴょ


おならこそ、どの国でも通じる「世界共通語」なのであります。ここまでこだわる理由、それは授業中、おならをしてしまった子を助けるためなのです。

まどみちおさんも詩の中で、そのことを言っておられます。


おならは えらい        まど みちお


次の詩は、リズム感があって、音読するのが楽しくなります。「あいうえお・・」系の詩の特長ですね。


あいうえおはようもりのあさ   もり けん


次の詩を読むと、ボールペンが書けない時に、持つ角度を変えたり、ゆっくり書いたりして、工夫するところも、赤ちゃんの育児と似ているなあと感じます。


ボールペンのボール       さくら ももこ


次の詩は、NHK教育テレビに出てくるニャッキを思い出してしまいました。


みみずのたいそう        かんざわ としこ


次の詩は、木と人間が比べられているみたいです。


               かわさき ひろし


次の詩は、発声練習にも、母音を意識させたい時にも、使えます。


あいうえお           あらい たけこ


次の詩は、1人ひとりの花を咲かせてあげたくなります。


はながさいた          まど みちお


次の詩は、子どもたちの朝の気持ちでもあるのです。


ひみつ             たにかわ しゅんたろう


次の詩は、となりのトトロの「さんぽ」の値打ちに気づかせてくれます。


あるけあるけ          つるみ まさお


次の詩は、あなたは1人じゃないよ、と雨が言っているみたいです。


あめのうた           つるみ まさお


次の詩は、とても楽しく発声練習ができます。


ことばのけいこ         よだ じゅんいち


次の詩は、みんなで音読して、春が来たよろこびをかみしめたい詩です。


おがわのはる          あおと かいち


次の詩は、運動会シーズンの始まりに、ぜひ音読したい詩です。


びりのきもち          さかた ひろお


次の詩は、トイレの話をする時に、みんなで音読したい詩です。


うんこ             たにかわ しゅんたろう


次の詩は、敬老の日の前に、みんなで音読したい詩です。


ねたきりのおばあちゃん     はたなか けいいち


次の詩は、音読しながら、体も動かしたくなります。


ぽいぽい・たいそう     こいぬけんきち(くどうなおこ)


次の詩は、ほんまに率直な力強い詩です。


練習問題            さかた ひろお


次の詩は、花の気持ちを代弁しているのでしょうか。


のはらでさきたい        くぼた しょうぞう


次の詩を読むと、自分には関係ないとは思えなくなります。


地球のいのち          かどくら さとし


次の詩には、法則が3つも、かくされています。


年めぐり            さかた ひろお


次の詩は、ついつい、うなずいてしまいます。


大すき             こいずみ しゅうじ


次の詩には、日本語の音のおもしろさがつまっています。


それから            まど みちお


次の詩は、日本語の美しさに気づかせてくれます。


ことば             かわさき ひろし


次の詩は、やわらか頭で音読しましょう。


であるとあるで         谷川 俊太郎


次の詩は、やさしかった祖父を思い出させてくれます。


あいづち            きたはら むねかず


次の詩は、イマジネーションがメッチャ柔軟です。


わかれのことば         さかた ひろお

次の詩は、さすが天下の台所!?と思いました。


あいうえおおさか くいだおれ  しまだ ようこ


以上、「教室で読みたい詩12ヶ月」水内喜久雄・編著(民衆社)より      


この本には、たくさんの詩がのっています。3巻あります。まさに珠玉の詩集です。ぜひとも直接読まれることをオススメします。




あいうえおうた     谷川俊太郎


いついまいかいや!   谷川俊太郎


以上、谷川俊太郎少年詩集『どきん』」詩の散歩道シリーズ(理論社)より


卓越した詩集です。本書を読まれることをオススメします。


2012年8月25日(土)朝日新聞「天声人語」に、まど・みちおさん作詞の童謡が紹介されていました。この詩を2007年に英訳されたアーサー・ビナードさんというアメリカ人の詩人がおられます。どちらが白か黒かじゃなくて、やぎさんたちが、自己主張だけでなく、傾聴できるようになり、お互いに尊重し合える間柄になってほしいと、心から願いつつ、日本語・英語の両方を紹介させてください。長年、相互が心温まる交流を地道に積み重ねてこられたのですから・・。


やぎさん ゆうびん    まど みちお


しろやぎさんから おてがみ ついた
くろやぎさんたら よまずに たべた
しかたがないので おてがみ かいた
さっきの おてがみ
ごようじ なあに


くろやぎさんから おてがみ ついた
しろやぎさんたら よまずに たべた
しかたがないので おてがみ かいた
さっきの おてがみ
ごようじ なあに


この詩「やぎさん ゆうびん」は英訳されていました。


Goat Mail      Mado Michio


The White Goat sent a letter to the Black Goat.
The Black Goat ate it up before he’d read it.
Then, `Hmmm,` he thought, `Better write a letter`
Dear White Goat,
What was in that
Letter you wrote?


The Black Goat sent a letter to the White Goat.
The White Goat ate it up before he’d read it.
Then, `Hmmm,` he thought, `Better write a letter`
Dear Black Goat,
What was in that
Letter you wrote?


「日本の名詩、英語でおどる」アーサー・ビナード編(みすず書房)より
他にも、山村暮鳥の「雲」、高村光太郎の「道程」など、40編の詩が英訳されていましたので、本書を直接読まれることをオススメします。


まど・みちおさんの詩は、童謡になっている詩が多いですね。「いのちのうた まど・みちお詩集」ハルキ文庫には、「やぎさん ゆうびん」を含めて、童謡が5つも載っていました。本書を直接読まれることをオススメします。


ぞうさん        まど・みちお


ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
 そうよ
 かあさんも ながいのよ


ぞうさん
ぞうさん
だあれが すきなの
 あのね
 かあさんが しきなのよ


 ふしぎなポケット    まど・みちお


ポケットの なかには
ビスケットが ひとつ
ポケットを たたくと
ビスケットは ふたつ


もひとつ たたくと
ビスケットは みっつ
たたいて みるたび
ビスケットは ふえる


そんな ふしぎな
ポケットが ほしい
そんな ふしぎな
ポケットが ほしい


 一ねんせいになったら  まど・みちお


一ねんせいに なったら
一ねんせいに なったら
ともだち ひゃくにん できるかな
ひゃくにんで たべたいな
ふじさんの うえで おにぎりを
ぱっくん ぱっくん ぱっくんと


一ねんせいに なったら
一ねんせいに なったら
ともだち ひゃくにん できるかな
ひゃくにんで たべたいな
にっぽんじゅうを ひとまわり
どっしん どっしん どっしんと


一ねんせいに なったら
一ねんせいに なったら
ともだち ひゃくにん できるかな
ひゃくにんで わらいたい
せかいじゅうを ふるわせて
わっはは わっはは わっはっは


 ドロップスのうた   まど・みちお


むかし なきむしかみさまが
あさやけ みて ないて
ゆうやけ みて ないて
まっかな なみだが ぽろん ぽろん
きいろい なみだが ぽろん ぽろん
それが せかいじゅうに ちらばって
いまでは ドロップス
 こどもが なめます ぺろん ぺろん
 おとなが なめます ぺろん ぺろん


むかし なきむしかみさまが
かなしくても ないて
うれしくても ないて
すっぱい なみだが ぽろん ぽろん
あまい なみだが ぽろん ぽろん
それが せかいじゅうに ちらばって
いまでは ドロップス
 こどもが たべます ちゅるん ちゅるん
 おとなが たべます ちゅるん ちゅるん 


この「いのちのうた まど・みちお詩集」の最後に、「私のまどさんファイル」という谷川俊太郎さんのエッセイが載っていました。その中で、谷川さんがまどさんへ贈る詩を書いておられました。


百歳のお祝いに書いた詩
 まどさんね・・・・・・     谷川俊太郎


「いのちのうた まど・みちお詩集」(ハルキ文庫)には、まど・みちおさんの詩が135編も収録されているので、直接読まれることをオススメします。


なお、2014年2月28日に、まどみちおさんが104才でご逝去された時、谷川俊太郎さんの次のコメントを新聞で読みました。


「こんなにやさしい言葉で、


こんなに少ない言葉で、


こんなに深いことを書く詩人は、


世界でまどさんただ一人だ」




 こども   山村暮鳥


おや、こどもの声がする


家のこどもの泣き声だよ


ほんとに


あんまり


のどかなので


どこか


とおいとおい


おとぎの国からでも伝わってくるように聞こえる


いい声だよ


ほんとに



 西瓜(すいか)の詩   山村暮鳥


農家のまひるは


ひっそりと西瓜のるすばんだ


でっかいやつがごろんと一つ


ざしきのまん中にころがっている


おい、泥棒がへえるぞ


わたしが西瓜だったら


どうしてふきださずにいられたろう


(以前、朝自習の視写や、音読に使った山村暮鳥の2つの詩です。出典不明で、申し訳ありません。)


はやく                     藤富保男


かく                 川崎洋


こんこんこな雪ふる朝に      三好達治


以上3編の出典は
「子どもが必ず本好きになる16の方法:実践アニマシオン」有元秀文・著(合同出版)
です。谷川俊太郎さんの詩「ハヒフペポ」、まど・みちおさんの詩「さくら」など、17編の詩が載っていました。本書を直接読まれることをオススメします。


かん字のうた           川崎洋


アンケートⅡ

おかあさんをなんとよびますか?  阪田寛夫


きのうのあしたはなんだっけ?   田辺宏明


「では」と「でも」        織田道代

むだばなし            中江俊夫

「みえる詩あそぶ詩きこえる詩」はせみつこ編(富山房)より


本書には、子どもと読みたい61編のいろんな詩人の詩が集められています。とてもステキな詩集です。本書を直接読まれることをオススメします。


きまりことば           阪田寛夫

へんなまち            島田陽子


言葉ふざけ            川崎 洋


日本語のおけいこ         谷川俊太郎


がぎぐげごの うた        まど・みちお


かんがえごと           こねずみしゅん  工藤直子


そうだ村の村長さん        阪田寛夫


「しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩」はせみつこ編(富山房)より


本書には、子どもと読みたい57編のいろんな詩人の詩が集められています。なんともステキな詩集です。本書を直接読まれることをオススメします。


根        まどみちお


「まど・みちお少年詩集 いいけしき 詩の散歩道」(理論社)より


この詩集には約70編の詩が載っているので、直接読まれることをオススメします。



金子みすゞの詩と言えば、「私と小鳥と鈴と」が最も多くの人に知られているのでしょうか。金子みすゞの詩集を読んでみました。「金子みすゞ童謡集」ハルキ文庫(ハルキ文庫には、まど・みちお詩集や谷川俊太郎詩集もあります。角川春樹事務所発行)です。100編の詩が収められていて、本書を直接読まれることをオススメします。私は、金子みすゞの詩から、自然を見つめる眼差しの優しさが、リズム感あふれる1行1行ににじみ出ていると感じました。5編だけ紹介させてください。わが子を1人残し、26才という若さでこの世を去った「童謡詩人の巨星」からの、心温まるメッセージを味わってみましょう。


「私と小鳥と鈴と」      金子みすゞ


私が両手をひろげても、


お空はちっとも飛べないが、


飛べる小鳥は私のように、


地面(じべた)を速くは走れない。




私がからだをゆすっても、


きれいな音は出ないけど、


あの鳴る鈴は私のように、


たくさんな唄(うた)は知らないよ。




鈴と、小鳥と、それから私、


みんなちがって、みんないい。



「土」           金子みすゞ


こッつん こッつん


打(ぶ)たれる土は


よい畠(はたけ)になって


よい麦生むよ。



朝から晩まで


踏(ふ)まれる土は


よい路(みち)になって


車を通すよ。



打(ぶ)たれぬ土は


踏(ふ)まれぬ土は


要(い)らない土か。



いえいえそれは


名のない草の


お宿をするよ。



「不思議」          金子みすゞ


私は不思議でたまらない、


黒い雲からふる雨が、


銀にひかっていることが。



私は不思議でたまらない、


青い桑(くわ)の葉たべている、


蚕(かいこ)が白くなることが。



私は不思議でたまらない、


たれもいじらぬ夕顔が、


ひとりでぱらりと開くのが。



私は不思議でたまらない、


誰にきいても笑ってて、


あたりまえだ、ということが。



「星とたんぽぽ」       金子みすゞ


青いお空の底ふかく、


海の小石のそのように、


夜がくるまで沈んでる、


昼のお星は眼にみえぬ。


  見えぬけれどもあるんだよ、


  見えぬものでもあるんだよ。



散ってすがれたたんぽぽの、


瓦(かわら)のすきに、だァまって、


春のくるまでかくれてる、


つよいその根は眼にみえぬ。


  見えぬけれどもあるんだよ、


  見えぬものでもあるんだよ。



「お日さん、雨さん」     金子みすゞ


ほこりのついた


芝草を


雨さん洗って


くれました。



洗ってぬれた


芝草を


お日さんほして


くれました。



こうして私が


ねころんで


空をみるのに


よいように。


以上、5編だけ紹介させてもらいました。「私と小鳥と鈴と」があまりにも有名ですが、それと同じぐらい私が心ひかれるのは「星とたんぽぽ」です。金子みすゞというたぐいまれな感性の輝きを放つ詩人の人柄にふれるには、本書の100編をひととおり直接読まれることをオススメします。



【今、中学生と一緒に読んでみたい詩】


いま始まる新しいいま     川崎 洋


心臓から送り出された新鮮な血液は
十数秒で全身をめぐる
わたしはさっきのわたしではない
そしてあなたも
わたしたちはいつも新しい


さなぎからかえったばかりの蝶が
生まれたばかりの陽炎の中で揺れる
あの花は
きのうはまだ蕾だった
海を渡ってきた新しい風がほら
踊りながら走ってくる
自然はいつも新しい


きのう知らなかったことを
きょう知る喜び
きのうは気づかなかったけど
きょう見えてくるものがある
日々新しくなる世界
古代史の一部がまた塗り替えられる
過去でさえ新しくなる


きょうも新しいめぐり合いがあり
まっさらの愛が
次々に生まれ
いま初めて歌われる歌がある
いつも いつも
新しいいのちを生きよう
いま始まる新しいいま


上の詩は、小学6年生の国語教科書(東京書籍・6年上)に載っている詩ですが、13~15才になった今は、どんな風に感じるか、中学生にも読み返してほしい詩です。きっと小6の頃とは、ちがった受けとめ方をしてくれるような気がします。


二度とない人生だから     坂村真民


二度とない人生だから
一輪の花にも
無限の愛を
そそいでゆこう
一羽の鳥の声にも
無心の耳を傾けてゆこう


二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも
ふみころさないように
こころしてゆこう
どんなにか
よろこぶことだろう


二度とない人生だから
一ぺんでも多く
便りをしよう
返事はかならず
書くことにしよう


二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう


二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう


二度とない人生だから
のぼる日しずむ日
まるい月かけてゆく月
四季それぞれの
星々の光にふれて
わがこころを
あらいきよめてゆこう


二度とない人生だから
戦争のない世の
実現に努力し
そういう詩を
一篇でも多く
作ってゆこう
わたしが死んだら
あとをついでくれる
若い人のために
この大願を
書きつづけてゆこう


今の中学生たちに読み味わってほしい詩を思い浮かべた時、ふと、上の詩を思い出しました。肩の力を抜いて、自然体で読み味わってほしい詩です。以下は、オススメしたい詩のタイトル・作者・出典などを並べてみました。

名乗るほどの者ではない    伊藤芳博


うそ             谷川俊太郎


上記の2編は「いま中学生と読みたい101の詩」木坂涼&水内喜久雄・編(民衆社)より


素晴らしい詩集です。本書を直接読まれることをオススメします。


昨日はどこにもありません   三好達治


「日本語を味わう名詩入門10」(あすなろ書房)より


昨日までの過ぎ去った総てのことを、今日を生きる自分にとってポジティブに生かそうと受けとめてほしいなと願いつつ、上の詩も扱ってみてはいかがでしょうか。揺れ動く思春期ですから・・。本書を直接読まれることをオススメします。


風             石川逸子


「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)より


生徒たちが、ハッとさせられる連が、上の詩の中には、きっとあるような気がします。ハッとしたこと、そのものが、何物にも代え難い「人生の羅針盤」になるかも知れません。本書を直接読まれることをオススメします。


ウソ            川崎洋


「日本の詩3」(小峰書店)より


ウソがいいとか、わるいとかじゃなくて、ウソの裏側にある、さまざまな気持ちに、思いをはせてほしいなあ、と思いつつ、本書を直接読まれることをオススメします。


激動するもの        高村光太郎


「日本の詩歌10」(中公文庫)より


これぞ、思春期の生徒たちの思いを代弁している詩ではないでしょうか。本書を直接読まれることをオススメします。


僕はまるでちがって     黒田三郎


「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)より


自分なんか「どうせ」ではなくて、自分にも可能性が「きっと」あると、どの生徒にも思ってほしくて・・。本書を直接読まれることをオススメします。


一個の人間         武者小路実篤


(「武者小路実篤詩集」の詩で、中学2年生の教科書に掲載されたことあり)
「教科書でおぼえた名詩」ネスコ編(文芸春秋)より


もう すんだとすれば    まど・みちお


がいらいごじてん      まど・みちお


へんてこりん        まど・みちお


どうしてだろうと      まど・みちお


「いのちのうた」まど・みちお詩集(ハルキ文庫:角川春樹事務所)より


生徒たちは、まどみちおさんの、この4つの詩の中で、どの詩を気に入ってくれるでしょか。聞いてみたい気がします。本書を直接読まれることをオススメします。 


次の詩は、「子どもと悪」河合隼雄・著(岩波書店)の裏表紙に載っている谷川俊太郎さんの詩です。


 (無題)         谷川俊太郎


まんびきはしたことないけど


わたしはひとのこころをぬすんだ


ぬすんだことにもきづかずに



へやにかぎはかけないけど


わたしはこころにかぎをかける


かぎのありかもわからずに



うそはついていないけど


わたしはほほえんでだまっている


ほんとのきもちをだれにもいわずに



いいこだから わたしはわるいこ



河合隼雄さんの本書のカバーのために、わざわざ谷川俊太郎さんから寄せられた詩なのです。上の詩の題名を、生徒たちに考えさせたいなあ、と思いつつ・・。


次の詩は、かつて中学校:国語のワークにのっていた詩です。四連のうち一連だけでも暗唱してみましょう。私は中学生の頃、四連全部を(勉強のためではなく、片思いの子を思って)暗唱して、今でも、いつでもどこでもスラスラ言えます。中学時代に暗唱してしまった詩は、40年たっても、覚えていられるのですね。それなら中学・高校時代に、もっと李白とか杜甫とか、いろんな詩を、また枕草子とか方丈記とか平家物語とか、いろんな古文を、暗唱しておけばよかった・・・。


初恋             島崎藤村


まだあげ初めし(あげそめし) 前がみの


りんごのもとに 見えしとき


前にさしたる 花ぐしの


花ある君と 思ひけり(おもいけり)


 

やさしく白き 手をのべて


りんごをわれに あたへしは(あたえしは)


うすくれないの 秋の実に


人こひ初めし(こいそめし) はじめなり



わがこころなき ためいきの


そのかみの毛に かかるとき


たのしき恋の さかずきを


君が情(なさけ)に くみしかな



りんごばたけの 樹(こ)の下に


おのづからなる 細道は


誰(た)がふみそめし かたみぞと


問ひたまふ(といたもう)こそ こひしけれ(こいしけれ)



おばあちゃん        谷川俊太郎


びっくりしたようにおおきくめをあけて


ぼくたちにはみえないものを


いっしょうけんめいみようとしている


なんだかこまっているようにもみえる


とってもあわてているようにもみえる


まえにはきがつかなかったたいせつなことに


たったいまきづいたのかもしれない


もしそうだったらみんなないたりしないで


しずかにしていればいいのに


でもてもあしもうごかせないし


くちもきけないから


どうしたいのかだれにもわからない


おこったようにいきだけをしている


じぶんでいきをしているのではなくて


むりやりだれかにむねをおされているみたい


そのとききゅうにそのいきがとまった


びっくりしたままのかおでおばあちゃんは


しんだ



ほこりの中       室生犀星


ある日通りをながめてゐたりしに


一列の楽隊の過ぎ行けり。


そのあとに群れたる子どもらつき行き


我が子の姿も打ち交じりたり、


かくて彼女はほこりの中を行き


自ら時の過ぐるを知らず、


そのにじの燃ゆるがごとき


たくましきほこりの中に成人す。


(全詩敬称略。いずれも以前、朝自習に視写をさせたり、音読させたりした詩です。出典がわからず、申し訳ありません)


関連ページ

詩【親子で読みたい詩】【谷川俊太郎さんの詩】【親が読んでほしい絵本】【相田みつをさんの詩】【子どもの本屋さん推薦の本】(詩45編)

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898098/


by takaboo-54p125 | 2016-11-03 12:08 | 子どもと詩