2017年 07月 08日
幼児の安心感タンクを満タンにするために必要な手間とは
以前、新聞に、育児・子育ての専門家の方々(臨床経験豊富な実践家)の見解が載っていました。
「大多数の赤ちゃんは、生まれてまもなく親に抱きとめられ、母親の胎内で感じていたであろう安心感がそのまま引き継がれる」
という、「赤ちゃんと母子関係をどう観るか」について書いてありました。
この見方は、確かに昭和の頃の赤ちゃんには、ぴったりあてはまります(私も同意見です)。
ところが、平成以降、大多数の赤ちゃんは、母親の胎内で感じるはずの「安心感(母親の心臓の鼓動、母親の話し声=母親が発する音)」を日々聞いて育つのを、じゃまされたままで、オギャーと生まれてくるようになったと、私たちは認めざるをえません。
そんな赤ちゃんを取り巻く状況が今、年々さらに加速されています。5年ちょっと前の、以下の記事も抜粋しながらふり返ってみましょう。
今の子どもたちの『ハンディキャップ』【母も子も守るための提案2つ】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898178/
『まず、胎児の耳に最も響く母胎に密着した音を、私は「母胎密着音」と呼びたいと思います。
お母さんの心音、お母さんの声などに加えて、お母さんが身につけるようになった物で、お母さんの声が赤ちゃんの耳に届くのをじゃまする電子音です。
つまり、携帯電話の着メロ着うた着信音と、音楽プレーヤー(ウォークマン、iPodなど)のイヤホン・ヘッドホンの音楽を「母胎密着音」だと考えます。(中略)
赤ちゃんが泣きました。 オッパイをあげたりオシメを替えても、全く泣きやみません。
「よしよし」と抱っこをして、あやすと、泣きやむどころか、背中をそらして抱っこを拒絶するような激しい泣き方をします。
そして母親がオロオロしているうちに、赤ちゃんは泣き疲れて眠ってしまい、母親もホッとします。 心を育てる育児は一歩も前進しません。
また、泣いていない時に、母親が顔をのぞきこんでも赤ちゃんはニコッともしません。
赤ちゃんが泣きやんでくれたり、目と目を合わせて笑ってくれるのが、母親の喜びなのにそれがありません。
これでは母親もだんだんイライラしてきます。 心が通い合いません。
そのうちに、育児に疲れ、そんなわが子が憎たらしくなってきて、しまいには愛せなくなってしまいます。(中略)
赤ちゃんが泣いたら「よしよし」と抱っこで安心して、ニコーッと笑顔になる関係を再構築する作業(それこそ地道な何百回何千回のくり返し)に、公的な育児支援の力を注ぐことこそが、積極的な虐待予防ではないでしょうか。(以下略)』
こうして今、不安(母親の声や心音を赤ちゃんが聞いて育つことの、じゃまをする電子音だらけ:スマホ着信音・音楽プレーヤーのイヤホン、クルマの振動音などの母胎環境)を感じたまま生まれてくるのが、大多数の赤ちゃんということになります。
ですから、くり返しになりますが、お母さんが抱っこしても、赤ちゃんは不安なまま‥、お母さんが「よしよし」とあやしても、赤ちゃんは不安を解消できません。
どの音が安心音かわからない赤ちゃんは混乱し、泣き疲れて眠るまでパニック‥。
これが朝から晩まで毎日くり返されるわけですから、さすがのお母さんも育児に疲れ果てます。
赤ちゃんが泣いても、赤ちゃんに向き合うことがストレスになり、しんどくて、ぐずる赤ちゃんをかまうより、ついついスマホをさわってしまうのです。
また、周りの冷たい視線をかわすために子育てアプリに頼ってしまうこともあるでしょう。
空腹・眠気・不快じゃないのに赤ちゃんが泣きやまない理由が、「心の拠り所の見つからない赤ちゃんが不安だから泣き続けているんだ」ということに、気づいているお母さんは、ほとんどいないと思われます(ママもパパも、バアバもジイジも、ひょっとすると疲労度100%超かも…)。
ですから、そんな、いっぱいいっぱいのお母さんを、私たち周囲の者は責めてはいけません。
今の育児は昔より「手間」がかかることを理解し、
ママの個々の悩みに共感的に応えつつ、
ママの努力・苦労を認めながら、
具体的な「手間」の代行をやりつつ、
そっと温かく支えてあげる「助っ人」
=支援者が求められています。
以下の記事が、今どきの育児・子育て(「手間」を協働する)支援を進める一助になれば、幸いです。
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