2015年 07月 25日
「ごんぎつね」ごんの兵十への思いを問いたい場面と発問(小学4年国語)
国語の物語文教材において、登場人物の心情を問うことは少なくないと思います。
ところが、私は最初の転任後、ほとんど心情を問うことをしなくなりました。
その代わり、登場人物の表情・言動の変化、登場人物の仕草の細やかな様子、それに関わる情景描写を問うことが、
私の授業スタイルになっていました(まあ、ひねくれ者でした)。
2013年6月19日(水)朝日新聞20(教育)面に「ごんの気持ち 伝わった」という記事が載っていました。
〈南吉オリジナル版テキスト作成〉
〈(前略)オリジナル原稿に光を当てようと、私立立命館小学校(京都市)の岩下修教諭が、絵入りのテキストをつくった。〉
という一文が記事の前文の後半にありました。
〈(前略)
「赤い鳥」掲載の「ごん狐」と、自筆原稿の「権狐」の、ラストシーンも載っていました。
〈「ごん狐」(「赤い鳥」に掲載された作品)〉
〈ごんは、ばたりとたほれました。
〈「権狐」(新美南吉の自筆原稿)〉
〈権狐は、ばったり倒れました。
びっくり仰天の〈新聞記事〉の紹介(抜粋)は、以上です。
ごんの心情を、最も問いたい場面
この記事を読んだ時、私は石井順治先生の講演(昨年冬2013年2月15日)を思い出しました。
『ごんぎつね【三の場面】
『兵十が、赤い井戸のところで、麦をといでいました。
ここのところは、ごんの思いをしっかりと、子どもたちに聞くのが大切です。
そこで、ごんの真意を受けとめた子どもたちは、次の行(教科書の7行目)
『ごんは物置のそばをはなれて、向うへいきかけますと、どこかで、いわしを売る声がします。
からは、ごんの気持ちを追求するのではなく、ごんの姿を描き合う場面になります。
以上、三重県伊賀市立河合小学校:公開授業研で石井先生が講演された時に、少しふれてくださった部分の紹介です。
せつないごんの思い・姿を、読み味わいましょう
子どもたちが、全文をていねいに読んで、個人学習で、気になる箇所に線を引いてから、
そもそも、何の見返りも求めない「償い」って、1,2回はできても、そうそう長続きするものではありません。
「へえ、こいつはつまらないな」
と思うところで、子どもたちも、どうやら「償い」だけではないことに気づきます。
「わかってほしかった」
と言うかも知れません。
「どこの文から、そう思うの?」
と問い返してみることで、
「なるほど、その文から、そう読むこともできるのか」
じゃあ、「償い」以外の何なのかを考えるための発問例を少し挙げてみます。
「うなぎの時のごんと、いわしの時のごん、では、どんなことが違うかな」
「兵十に次々と物を届ける、ごんの届け方には、どんな違いが出てくるかな」
「お念仏がすむまで井戸のそばでしゃがんで待って、二人のあとをついて行ったごんは、どんな話を聞きたかったのかな」
子どもたちが、ごんの求めている願いを、少しでも感じ取ってくれたら、と思って、以上の発問を、ない知恵をしぼって、ひねり出してみました。
ごんの
「つぐない=おれのせいで・・兵十のために・・してあげたい」
が、いつの間に
「つながり=兵十のために・・兵十を求めて・・認めてほしい」
に変わったのか、それとも【三の場面】から両方の思いがあったのか、教師の解釈を子どもに押しつけるわけにはいきません。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」とつぶやく、孤独なごんの胸中、
岩下先生が指摘されている「自分と同じように孤独な兵十につながりを求め続けた思い」に少しでもふれながら、
人と人とのつながりが希薄になってきた現代社会だからこそ、
なお、記事の最後には、その南吉オリジナル版テキストを、立命館小学HPのNEWS一覧からダウンロードできることも書いてありました。
(この記事は、EDUPEDIAへ2013年7月5日に投稿した内容です。
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