2014年 08月 23日
問題行動を起こした子が「気づく=行動で表す」支援で、悪者のレッテル貼り(他人事のふり)のない教室に
問題行動(暴力・暴言)が起こったら、
まず、直後なら、
「しちゃいけないこと」
という事実だけを伝え、落ち着くのを待ちます。
落ち着いたら、「どうしたの?」
その子の失敗ととらえ、
その子が失敗から立ち直るために、
その子がしたこと、言ったことを聞きます。
何をしたのが失敗だったか、
なぜしちゃいけなかったかに、
その子が気づき、反省はしてほしい、
相手がいるなら心からわびてほしい、
しかし、大きな心の傷として残らぬよう、
その子を支え、助けるために聞くのです。
その子を袋小路に追いつめるのではありません。
「こういうことが、くやしかったのかな?」
と、その子なりの理由を代弁してあげるのもいいでしょう。
先生は、ぼく(わたし)の気持ちはわかってくれはった、と感じてほしいからです。
・
聴き取り方はどうしましょう?
例えば、
「昼休みのことを教えて」
→(やりとりがあって)→
「その時、ちょっとまずかったなと思うことはないか?」
圧迫感のある対面座りより、
並んで座る方がしゃべりやすいかも知れません。
なかなか言えない時は、
こちらの情報(周囲で見ていた子らからの情報)を少しずつ出して、
事実かどうかを確認しながら、
言いやすくしてあげます。
ただし、もし、言いわけ(責任転嫁)をした時に、こちらがうなずくと、
先生に許してもらえた、という誤解を与えるので、こちらも気をつけます。
ほぼ正しい事実を言ってくれたら、
「どこが悪かったと思う?」
「今、どんな気持ち?」
と、やっぱり問いたいですね。そして、言います。
「先生は、きみが正直に言ってくれたことがうれしい。」
・
しかり方はどうしましょう?
でも、やってしまった事実については、
「これから、あなたのしたことをしかりますよ」
と宣言してから、しかります。
子どもの「お遊びモード」を「しかられモード」に切り替えます。
「これをしたこと(言ったこと)は、すごく残念で、かなしいな」
と、しかります。
大声で怒鳴らないけど、本気でしかります。
その子のことを思って、本気でしかります。
ただし、
「悪い子やな」
「君はダメやな」
「はずかしくないのか」
と、人格をなじったり、けなしたり、とがめたりするのではありません。
先生の怒りの感情を「その子」にぶつけることは、「しかる」とは言いません。
・
前向きな支援はどうしましょう?
「この失敗をどう取り返すか、一緒に考えような」(1歩目に気づく)
「これからどうすれば充実した学校生活が過ごせるか、一緒に考えような」(目標に気づく)
と言えるところまで、たどり着きたいものです。
沈黙が長引きそうなら、プラスイメージのメモ(選択肢)を書いて渡すのもいいでしょう。
その子が心底わびること(傷ついた相手の子の気持ち)の気づいたら、
「どうしたい?」
と問いかけます。その後は、
「一人でできるか?」
「どんなことを助けてほしい?」
「先生にも、一緒に行ってほしいか?」
などと、ケース・バイ・ケースでしょうか。
また、もしも、クラス全体への事後指導で、クラス目標を掲げるのなら、例えば、
「勝手に友だちの物を取らない」
のような否定形ではなく、
「友だちの物を借りる時は、友だちに使っていいかを聞く」
のように前向きなクラス目標のほうが、望ましいと言えるでしょう。
基本的に、みんなのいない所で、以上のやりとりをして、目標に向けての支援に入ります。
・
しかし、どうしても、みんなのいる所で、しからなければならない場合は、
「A君、きみのことが大切だし、きみが自分を大事にしてほしいから、しかるよ」
「みんな聞いて。Bさん、1人に言ってるのじゃないで。全員に言っているんだよ」
と、人ごとだから自分には関係ない、という空気にならないようにします。
クラスに1人の「悪者」がいるという、「レッテル貼り」をしないためです。
クラスみんなが考えなくちゃいけないことだと、どの子にも感じてほしいからです。傍観者だった子には、自分にも関係あるんだと感じてほしいからです。そうして、「他人事」という空気・雰囲気を一掃して「仲間づくり」にもつなげます(決して、連帯責任のムードをつくるのではありません)。
こうして、クラスに前向きな雰囲気をかもし出すことを意識しながら、子ども同士の安心・信頼・きずなを取り戻すことに目を向けたいものです。「言うは易し、行うは難し。千里の道も一歩から」になりますが、
「子どもの声(つぶやき、気持ち)を聴こうとする教師の元でしか、教師の話を聴く子どもは育たない」
ということだけは、授業中でも、生活場面でも、肝に銘じたいですね。
関連記事
困った行動をする子は自分自身が困っている子→「存在感」のある教師は「どうしたの?」から「どうしたい?」までの過程を大事にします
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898475/