「気持ちの通じ合い」が子どもの【ことば】を育て、「楽しみに待つ心、ガマンする心」もはぐくみます

ことばの遅れた子どもたちについて、「子どもの心を育てる」増井美代子・中台憲子・豊田晴子 共著(日本言語障害児教育研究会編:学苑社)に書いてあった内容が、私も納得・共感できたので、紹介させてください。本書を直接読まれることをオススメします。


まず、ことばの遅れた子どもたちの幼少期に共通する、泣かない、手がかからない、抱きぐせ・添い寝ができない、人見知り・あと追いをしない、視線が合わない、呼んでもふり向かない、まねをしない、指さしをしない、落ち着きなく動き回る、しつけができない等について、わかりやすく説明してありました。


これら乳児期の気になることと、ことばの遅れの関係性について、「問題のとらえ方」として、44ページに、次のとおり書いてありました。


『ことばの遅れた子どもたちの場合は、その原動力となる「泣く」ということが乏しかったり、「せわをされる→きげんがなおる」という過程が起こりにくかったりして、順調に育っている子どもに比べて、「泣く→せわをされる→きげんがなおる」という母子のやりとりが、質的にも量的にも豊かに行われにくいと考えられます。とすると、そのやりとりを通じて自然に育ってくる、子ども側の母親に対する信頼感や愛着心や一体感も十分育ちにくく、母親の側のもその子どもの育児に対する自信が育ちにくくなります。


ふつう子どもは、その愛着心や信頼感や一体感のようなものを通じて、母親を安全基地のようにしながら、ことばや日常生活習慣をみようみまねで覚えてゆくと考えられるのに、そのもとになる愛着心や信頼感や一体感が十分育たず、子どもの中での安全基地としての母親の存在が確固たるものとして育たないとすると、自ずとお母さんをお手本として身につけるしつけやことばも覚えにくくなります。』


これらは、共同作業所に通う私の二男が幼かった頃にも、みごとに当てはまります。


そして、子どものことばを育てるためにも、そんな乳幼児を安心させる(愛着心や信頼感や一体感を育てる)具体例として、72~74ページに、次のとおり書いてありました。


たとえば、子どもと同じへやに、できればお母さんと子ども2人きりでいます。子どもが勝手にへやから出てあぶないところへ行ってしまわないように、へやの中もあぶなくないように、あらかじめ整えておきます。そして、お母さんは、床にすわりこんだり、あるいはふとんでも敷いて横になっています。居眠りをしているとか、本を見ているとか、少しぼんやりした感じでいるのがよいと思います。子どもの方をジロジロ見たり、子どもの動きを目で追ったり、呼びかけたり、誘いかけたりしてはいけません。できるだけじっとしているのです。子どもが自分からお母さんの方に近寄ってくるのを待つのです。


子どもはたぶん、最初はミニカーを並べていたり、へやの中をウロウロしたり、とびまわったり、ゴロゴロ寝ころんだり、勝手なことをしているでしょう。何をしていても、とがめたりしないでください。やたらにほめたりもしないことです。じっとしつづけるのです。そのためにあぶなくだけはないように、あらかじめへやを整えておいたはずなのですから。


しばらくすると、子どもはだんだんお母さんに近寄ってきたり、ちょっと背中にさわったり、ひざにきたり、また勝手なことをしたり、また寄ってきたりするでしょう。そうなるのに、数分しかかからない子もいるでしょうし、何十分もかかる子もいるでしょうし、何日間もかかる子もいると思います。一般には、それまでの時間を少しでも短くしたいと思ったら、途中で立ち上がったり、呼びかけたり、ジロジロ見たり、見つめたりしないことが大切です。子どもが、そばに寄ってきたからといってパッとつかまえようとしたり、声をかけて誘ったり、じっと見ていたりしないことです。


お母さんがじっとしていて、子どもを見たり呼びかけたりしないでいると、ミニカーを並べたり、ウロウロしながら、子どもは少しずつお母さんを観察し始めます。観察していると、「じっとしているからだいじょうぶそうだ」という気がして、ちょっと近づいたりさわってみたりするのでしょう。それでもじっとしていると、だんだん安心の度合が 高まってきて、ひざにのってきたり、背中に寄りかかってきたり、おんぶしてきたりするのです。だから、子どもが試している間はじゅうぶん試させてあげてください。


安心しきってそばにくっついているようになった時、はじめて慎重に、子どものからだにさわって、さすったり、抱いたり、おんぶしてみたらいいのです。そうすると、また子どもが、身をかわして避けるようでしたら、こちらから手を出す時期はまだ来ていないのです。安心しきっていないわけですから、すぐ手はひっこめて、もとのようにじっとしていてください。顔を見るのも、呼びかけるのも、同じように慎重にやってください。


そうやって、子どもの方でじゅうぶん観察し、確かめながら、お母さんにくっついてくるようになれば、あとはそれを全面的に受け入れてあげさえすればいいのです。もうお母さんは、こわい存在ではなくて便りになる人に変わったわけですから、甘えたり、しがみついて助けを求めてくる子どもを、なぐさめたり守ったりしてあげることができるというわけです。


こうして、子どもがお母さんを安心基地だと受けとめたら、密着育児・愛着行動(アイコンタクト抱っこ、抱きぐせ・添い寝・あと追い、目を合わせて笑う、呼んだらふり向くことなど)へのチャレンジが可能になったということです。そして、指さしができるようになったり、お母さんのまねをするうちに、少しずつ言葉も出るようになるのでしょうね。ことばの出るのが遅い子どもには、これぐらい手間をかけてあげること(密着抱っこ・呼吸援助抱っこ等)が必要だと言えるでしょう。赤ちゃんを取り巻く音環境が騒々しい今の時代だからこそ、なのです。


子どもの言葉が育つということは、単に語彙の数が増え、ただ、伝える技術が育つことではないでしょう。むしろ、どんなことより、お母さんとの「気持ちの通じ合い」そのものが育つことであり、本人の生活(お母さんとのやりとり)に「心地よい、意味ある世界があふれ出す」ことだと思います。そうした、母子相互作用(愛着行動をうながす愛着形成)に合わせて、安心基地感覚の中でイメージ」する力が育つことによって、「近い未来を楽しみに待てる心が育つ」とともに、「ガマンするのをできる心も育つのではないでしょうか。そうやって、その子にとって価値のある「言葉(互いの思いを伝え合うことば)」が増えていくのかなと、知的障害のあるわが子を20年間見てきて実感しています。以下は関連記事です。


不安な(落ち着かない)子どもを「ほっこり」安心させる工夫あれ
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898502/


by takaboo-54p125 | 2014-05-10 05:01 | 育児・子育て