2013年 09月 14日
宮崎駿監督が子どもたちへ伝えたい「この世は生きるに値する」を私たち大人はどう受けとめるか
宮崎駿監督のアニメに私がカルチャーショックを受けたのは、1978年(S53年)4~10月にNHKで放送された「未来少年コナン」でした。当時、大学浪人で京都の予備校へ通っていた私を支えてくれた作品だと言えます。
その後、宮崎駿監督の映画化されたアニメは総て、レンタルビデオを借りたり、テレビ放映されたのを録画したり、特に手元に置いておきたいのは購入したりして、くり返し視聴しました。何度観ても、飽きないというか、感動してしまうからでした。宮崎アニメは、私にとって、何か壁にぶつかり、ふっと思った時に、ビデオやDVDで何度も観る‥そんな作品群だったのです。
もちろん、原案・脚本・場面設定・原画・美術設定・画面構成などを担当された「パンダコパンダ(東宝)」の2作品も観ました。余談になりますが、とても驚いたのは、お若い頃には「わんわん忠臣蔵(わくわくしました)」の動画や、「長靴をはいた猫(あこがれました)」の原画を担当されたり、TVアニメでは、「ムーミン」第23話の原画、「アルプスの少女ハイジ」全話の画面構成-画面構成、「フランダースの犬」第15話の原画、「母をたずねて三千里」全話の場面設定-レイアウト、「赤毛のアン」の場面設定-画面構成なども担当されていたことです(こうして、アニメーターとしての腕を磨いていかれたのでしょう)。
その宮崎駿監督が「風立ちぬ」の試写会(6月)で、
「自分が作った作品を観て、泣いたのは初めてです」
みたいな発言をされた時は、「えっ、なんでかな?」ぐらいに思っていました。そうしたら、「風立ちぬ」公開中の2013年(平成25年)9月6日、宮崎駿監督ご自身が記者会見で、長編アニメーション監督の引退を表明されました(私は、宮崎駿監督の最後の長編アニメ「風立ちぬ」だけは、映画館で観たいと思いました)。
それで、私は生まれて初めて宮崎アニメを映画館へ観に行きました。ストーリーから監督の伝えたいことを感じながら(勝手に解釈するだけですが)、忘れたくない情景描写に目をこらしながら、登場人物の声や飛行機の音(なんとボイスパーカッション)に耳をすましながら、「風立ちぬ」を観ました。すると、かつてビデオやDVDで観た「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」のさまざまな場面が、時々浮かんできました。
それは、風そのものであったり、美しい自然風景であったり、登場人物の眠る姿、食べる姿、働く姿などの、精一杯生きる人々の姿であったりしました。初めて映画館で観た「風たちぬ」は、宮崎アニメをずっと家のテレビ画面で視聴し続けてきた私にとって、そんな走馬燈のような映画でもありました。
テレビの宮崎駿監督特集では、アニメ作品のどのタイトルにも「の」が必ず入っていることが指摘されていました。ところが、「風立ちぬ」には、「の」が入っていません。そこにも宮崎駿監督の思いが込められているのでしょうか。この作品は、ものづくりの専門家として「美しい飛行機をつくりたい」と純粋に思う主人公の願いどおりには、なかなかいかない、切ない物語であるとも、私は思いました。そんな主人公が設計を成し遂げた飛行機の戦闘シーンがないことからも、地球環境を含めて、平和な世界を願う監督のお人柄を感じました。
さて、宮崎駿監督は記者会見で、数々のアニメ映画製作を通じて、子どもたちに伝えたかったことを、端的に表現されていました。
「この世は生きるに値する」
どのアニメ作品でも、登場人物たちの、眠って、食べて、働いて、喜怒哀楽と共に懸命に生きる姿が、生き生きと表現されていました。
たしかに、宮崎監督は、子どもたちには「この世は生きるに値する」ことを伝えたかったのでしょう。
それは、同時に、私たち大人に対し、全作品を通じて、
「子どもたちが『この世は生きるに値する』と心底から思える・・・
そんな世の中にしていますか?(身近な所でできることはないですか?)、
そんな社会になっていますか?(自分にできることを探しませんか?)、
そんな地球だと言えるでしょうか?(地球の悲鳴が聞こえますか?)」
と、いろんな角度から問いかけておられるような気がしてなりません。
地球的規模で考えて、地域の身近なところで、自分ができることをやっていくことが、
「生きるに値するこの世」
の実現に近づく道なのかな・・たとえ小さな1歩でも。
おおざっぱなくくり方をして申し訳ないのですが、「風たちぬ」以外の作品を思い浮かべると、
「ナウシカ」や「ラピュタ」では、科学の進歩=自然破壊の矛盾とどう向き合うべきかを、
「トトロ」では、自然の中でたくましく生きることのすばらしさを、
「魔女宅」や「紅の豚」では、純粋で真っ直ぐな生き方の値打ちを、
「もののけ姫」では、自然と共生することの大切さを、
「千と千尋」では、誠実に生きる勇気を、
「ハウル」や「ポニョ」では、子どもも若者も高齢者も溌剌と生きることの尊さを、
わかりやすく具体的に教えてもらったようにも思います。
宮崎駿監督、生きる力がわいてくる、数々の珠玉のアニメーション作品を、世に送り出してくださって、有り難うございました。
とりわけ「未来少年コナン」や「ナウシカ」で描かれる壊滅的な地球にしないことが、視聴した世代の責任だと痛感しております。
それは、テロ-戦争と原発-核兵器とオゾン層破壊-地球温暖化の3つを、なんとしてでも無くし阻止すること‥のような気がします。
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