2013年 03月 22日
子どもが家事を手伝うことにはトリプル効果があると気づける教材
家族の役割 神奈川県Yさん(15歳)
私の両親は、二人とも働いています。それで家では家事を家族みんなで分担しています。お父さんもお母さんも、私も妹も、みんなそれぞれ家族の中での自分の役割をもっています。
私の今の役割は、朝ごはん・夕ごはんの洗い物と、週に1回は洗濯物です。小学生の頃からずっと続いています。私はいつもいやだなあと思っていました。中学に入ってからは部活もあるし、塾もあるし、そのうえ家事までやらなくてはいけないので毎日毎日とっても大変でイヤでした。やりたくないと言いながらも、やらなくてはいけないことだと頭ではわかっていたので、余計にイライラしてしまうのです。しかも、やりたくないことを全て後まわしにしてしまうので泣きながらお皿を洗っていた覚えがあります。
ずっと前のことですが、強く印象に残った出来事があります。私の当番だった洗い物を父がやってくれていたとき、私は「ありがとう」と言いました。テストで良い点を取っても、賞状をもらっても、あまりほめてくれなかった父が、たったそれだけのことをすごくほめてくれたのです。私はなぜだか不思議に思って、それが強く印象に残ったのです。
この前、母に「どうして私や妹に家事をやらせるの?」とたずねてみました。すると母は「忙しいから手伝ってもらいたい、仕事を覚えてもらいたい、というのもあるけど、家事をやっている人じゃないとわからないことがたくさんあるからだよ」と言いました。ご飯を作ってもらって、洗濯も掃除も洗い物もやってもらって、それが普通だと思ってはいけないと。洗い物をやってくれた人に、洗濯をしてくれる人に、「ありがとう」と言いました。人がお弁当を「まずい」と言って残したのを見て、作るのは大変なのに、と思いました。ご飯を食べて「おいしい」と言えるようになりました。もしも私が何の手伝いもしていなかったならば、あたりまえのこととして、一つひとつの物事に感謝できなかったと思います。その話を聞いた時、父がほめてくれた意味がやっとわかったような気がしました。
「家族」という社会集団の中で、私たちはいろいろな役割をもっています。その役割をはたすことが、家族の力にも自分の成長にもつながっているんだなと思いました。そして、あらためて家族というものが自分にとって大切なものなんだと感じました。
(やさしさ・ふれあい:啓発資料2013,2[JAグループ滋賀]思わず心があったまる話 第8集作品より)
これは、中3か高1の女子生徒の書いた作文です。JAから定期的にわが家へも配られる啓発冊子に載っていました。
この作文を教材として扱うとしたら、子どもたちに問うてみたいことがあります。それは、お父さんの「ほめ言葉」が書いていないからです。「お父さんは私に何と言ってほめてくれたのかな?」もう一つ聞いてみたいのは、「家のお手伝いを続けると、どんないいことがあるのかな?」今、思いつくのは、この2つですが、先生方なら、どんな発問をされますか?トリプル効果というのは、次の言葉と重ね合わせてみると、わかります。
チョークを作っている工場で、知的障害者を積極的に雇用している日本理化学工業の大山泰弘会長の言葉『導師は 人間の究極の幸せは、 人に愛されること、 人にほめられること、 人の役に立つこと、 人から必要とされること、 の四つと言われました。 働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのだ。 私は、その愛までも得られると思う。 大山泰弘』
この作文を読んで、大山会長の言葉を思い出し、まさに家事の手伝いにも当てはまることがわかりました。
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