2017年 01月 03日
学校・園で「自分を出したがる子&自分を出せない子」の共通点→たった一つの約束「大丈夫?」自己決定を促す「どうしたい?」+困った子は困っている子
はみ出す子もいます。
固まっている子もいます。
すべての子どもには個人差がありますから、親や担任が、書いてあるとおりの姿じゃないからと言って、動揺したり、落ち込んだり、あせったりしてはいけませんよ。そうなると、指示・命令が増えてしまいます。
どうか、ゆったりと関わってあげましょう。
そうすると、子どもの内なる力が、じわじわと芽生え、やがては花を開き、実をつける時が、きっと来ますから。
ところが、親や担任が動揺したり、落ち込んだり、あせって過保護になったり、また、逆に、めんどくさがったりして放任していると、子どもの自尊感情が下がっていきます(どうせ自分はダメや…と投げやりになります)。
その子は、なぜ自分の気持ち(言葉・行動)ばかりアピールするのでしょう?
子どもが親に話を聞いてほしい時、スマホでLINEやオンラインゲームをしながら生返事をしている親子の姿を思い浮かべましょう。
それは、子どもは今、聞いてほしいのに、親は子どもの目を見ないで、適当に返事をしている姿です。
本当は自分の気持ちを親にじっくりと聞いてもらったあとに、親から言葉を返してもらいたいのです。
親子の会話がしたいのです。
でも、親がそうしてくれないので、子どもの心は全く満たされません。
それが日々、積み重なってくると、子どもは仕方がないから、代わりに学校・園で、
「先生、聞いて聞いて」
の連発になってしまうことになります。
周囲の子どもたちのことなんか、お構いなしという状態です。
その子は、なぜ自分の気持ち(言葉・行動)をぜんぜん出せないのでしょう?
親が熱心に、指示や注意ばかりを、子どもに言い続けている親子の姿を思い浮かべましょう。
それは、親から、常に評価(よい子・ダメな子)をされているというプレッシャーを感じている子どもは、「よい子ストレス」が受けまくっている姿です。
そうなると、心もがんじがらめになってしまいます。
それが日々、積み重なってくると、子どもは「間違ってはいけない」という思いにしばられて、自由な自己表現ができなくなります。
先生や友だちに声をかけてもらっても、心の身動きがとれなくなってしまっている状態です。
学校・園で、自分を出したがる子と、自分を出せない子の、共通点
どちらの子どもにも共通する点があります。
それは、「親子で、お互いの言葉に耳を傾け合うという本当の意味での会話・対話ができていない」ということです。
その場合の親は、わざとではなく、無意識で、それぞれ両極端な子育てをしてしまっているケースがほとんどです。
たいてい、親自身が子どもの頃、そういう子育てをされてきたと言えるでしょう。
私も、そうかもしれません。
それでは、親はどうすればいいのでしょうか
それでも、わが子の姿を見て、アレッと思ったら、まずは、自分が信頼できる人(学校・園の先生、子育て支援センター、保健センターなどなど)に相談することが、わが子の、すこやかな成長のために大切です。
保育園・幼稚園・学校で、自分を出したがる子も、自分を出せない子も、「親が変われば、子も変わる」というのは確かです。
そして、子育ては、気づいた時が、スタートなのですから、あせらずに、もらったアドバイスの中で、自分にできそうなことから始めてみましょう。
オススメを3つばかり・・・。
子どもにお手伝いを頼んで、「ありがとう」「助かったよ」と言うこと。
子どもと、目と目を合わせて、笑顔で話を聞いてあげたり、話したりすること。
お手伝いで、親にほめられ、親の役に立ち、親に必要とされる体験をしてほしいから。
子どもと、何か(食事づくり・食事の片づけ・おやつづくり・掃除・散歩など)をいっしょにしながら、世間話もしつつ、さり気なく
「あなたが私の子どもであることがうれしいよ」というメッセージを伝えること。
泣かされたり、意地悪されてきた時は、
「あなたはね、友だちからバカにされるような子どもじゃないよ。あなたはね、決してダメな子じゃないからね。私の自慢の子だよ」と、抱きしめてやること。
いかがでしょうか。
どうか、わが子を、今まで以上に、頼りにしてやってください。
「たった一つの約束①みんな笑顔でいるために」
2012年8月22日(水)朝日新聞31面に「いま子どもたちは」シリーズで「たった一つの約束①みんな笑顔でいるために」という記事が載っていたので、紹介させてください。
『大阪市立南住吉大空小学校では、休み時間になると校長室の白い引き戸の前に子どもが列をつくる。
「校長先生」と勢い込んで走っていく子もいれば、もじもじと下を向いて服をいじっている子も。
2年生のTは坊主頭できかん気。
木村校長が淡々と聞く。
校長室には叱られに来るのではない。
結論が出たところで木村校長は念を押す。
子ども同士が解決の糸口をつかむときもある。
ふーん。木村校長は一瞬困った顔をする。
「じゃあ、I、言ってあげて。痛くていややったって。その場で『痛いねん』ってすぐ言ったら、Aに怒ってる時間が少しですんだね」はい、どうぞ。校長がパンと手をたたくと、Aは「足踏んでごめんね」。
233人の小さな学校の小さな約束は、木村校長が考えた。学校の標語は「夢」「希望」など大きな理想を掲げがちだ。
約束は、子どもたちの隠れた傷もあぶり出す。
「大空小の約束は何のためにありますか?」月曜の全校集会で、木村校長は子どもたちに問いかけた。
めっちゃ簡単な約束。
以上です。
「たった一つの約束③秘密の言葉は『大丈夫?』」
2012年8月24日(金)16面に「いま子どもたちは」シリーズの、「たった一つの約束③秘密の言葉は『大丈夫?』」という記事が載っていたので紹介させてください。
『(前半略)大空小では「障害児」という言葉を使わない。
木村校長はとぼけた。
以上です。
「いじめられているかどうかを決められるのは、いじめられている人だけ!遊びであろうと、なかろうと、いじめている側にも、指導に入る先生方にも、いじめの有無を判断する権利はない」
というような意味合いの言葉でした。
そして、最後は問いかけます「どうしたいの?」
「大丈夫?」と、子どもの思いに寄り添い、事情や気持ちをあれこれ聞いてあげて、子どもが私の思いを先生はわかってくれたと感じた(心が落ち着いた)ところで、問いかける言葉はひとつです。
このひと言があることで、子ども自身が考え、気づき、次のスモールステップ(自立への第1歩)へ踏み出せるのではないでしょうか。
「困った子」がいたら、それは「困っている子」なのです
困った行動をするということは、その子自身が困っているのです。
教師は直球ではなく【多彩な変化球】で対応しましょう。
気になる子どもに直球しか投げてこなかった教師に対して、もっと多彩な変化球があることを、とてもわかりやすく解説してくださっている本です。
子どもと教師がかみ合わず、結果として、荒れる子どもの心へ「火に油を注ぐ」こととなってしまう生徒指導から、発想の転換をはかるチャンスが数多く書いてある本だとも言えます。
「行動障害と非行のことがわかる本」小栗正幸・監修(講談社)
1,「困った行動には意味がある」では、「困った行動をするのは困っている子ども」、とあります。
2,「行為障害の背景にあるもの」では、具体的な場面が載っています。
4,「適切な支援の進め方」では、具体的な支援の仕方がいろいろ載っています。
さすがは、少年鑑別所長や医療少年院長などで、少年たちと真正面から向き合ってこられただけあって、めちゃくちゃ説得力があります。
生徒指導主任、いじめ対応教員、クラス担任の先生方、本書を直接読まれることをオススメします。
私は、図書館へ返却した後、購入して手元に置き、ずいぶん活用させてもらいました。
「どうしたの?」から「どうしたい?」までの過程を大事に
子どもが困った行動をするのは、その子自身が困っているサインだと受けとめたいですね。そのサインは1つでも、その裏側にはいろんな思いが詰まっているはずです。
寝不足、空腹感、疲れ、孤独感、イライラ、不満、怒り、後悔、自責、不安、投げやり、自暴自棄、迷い、救難信号などです。
だからこそ、「どうしたの?」から入ります。
その子のつぶやきを教師がくり返して言ってあげると、その続きをぽつんぽつんとつぶやいてくれるようになります。
その際、その子の課題を探ろうとしないことです(分析や評価はしません。助言もお説教も…です)。
あくまでも、その子を丸ごと受けとめようとする感覚で、心を込めて聴いてあげます。
そうすると、その子の中では、教師に自分の思いを受けとめてもらえて、もやもやしていた心が何となく落ち着いてきます。
思いを言葉にするうちに、気持ちが整理されてきて、ある瞬間、その子の表情に微妙な変化がフッと現れます。
それは、その子が自ら何かに気づくと言うか、その子自身の中に眠っていたであろう何らかの気持ちが湧いてきた証しだと思います。
その時にこそ、「どうしたい?」と問いかけます(したいとおりにさせるわけではありませんが)。
その問いかけが、その子なりの新たな1歩を踏み出すきっかけ(分岐点)になるのではないでしょうか。
そういう子どもと教師の具体的なやりとりが、その子のトゲトゲした心を洗い流し、
その子が次の1歩を踏み出そうとする勇気とパワーの源泉になるような気がしています。
の子が「聴いてもらえてよかった」と思ってくれたのなら、その子にとっての「はじめの1歩」になったと言えます。
事情にもよりますが、そこまでで約30分かかるかも…。
最後は、その子に自己決定を促したいのですが、1人で実行するのが不安でためらっているようなら
「先生に一緒にしてほしいこと(行ってほしい所)あるか?」
と問いかけてみてもいいかなと思いますが、いかがでしょうか。
くり返しになりますが、その子の抱える問題部分だけを取り出すのではなく、その子の気持ち丸ごとの現状を認めてあげようとすることです。
そうやって、自分の思いを聞き手の教師に温かく(手渡すような言葉がけで)受けとめてもらえたと実感できた子どもは、不安だったのが安心感になり
「今、思ったんやけど・・」
と自分で悩みの核心部分に気づき始めます。
そうした教師との温かい関係性が築かれる中で、子どもは確実に勇気づけられます。
こういった支援をおろそかにしない教師こそ、子どもにとって「存在感」のある教師なのでしょう。
この「存在感」が、教師の話を聴く子どもを育てる土台になります。
どの学級にも個別支援を要する子が複数いるので、特別支援教育とは全学年・全学級で進める教育だと心がけておられる担任が多いと思います。
まず、個別支援を認め合える(できる・できないで仲間を見ない寛容さのある)学級の仲間に育てることが、
どの子の自尊感情も低くならない(自分をダメな子だと思わないこと)の分岐点ですので、
温かさのあるお手本を教室で見せることが大事でしょう。
この記事も、そういう意味をこめています。
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