2013年 02月 23日
「たった一つの約束③秘密の言葉は『大丈夫?』」から学ぶ
2012年8月24日(金)16面に「いま子どもたちは」シリーズの、「たった一つの約束③秘密の言葉は『大丈夫?』」という記事が載っていたので、紹介させてください。
『4年生の・・転入生は、‥S。Kの後ろの席に座っている。(中略)
Kから見ると、Sは超マイペース。算数の時間に段ボールで恐竜を作り、時おり
「僕は大空小学校を引退しますっ」
と叫んで教室から出て行ってしまう。甲高い声がKの鼓膜に刺さる。終わりの会の時、
「S、小さい声でしゃべれ!」
と言った。拳で胸を2回たたかれた。すぐ校長室に行った。
「Sが僕のいやがることをした。たった一つの約束を破りました」
木村校長は「役割交換」をもちかけた。木村校長がK,KがSの役になって場面をやり直す。ハイ。木村先生は豹変する。にらみつけるような目。きつい声。
「小さい声でしゃべれ!」
言われたKはむっとした。
「KがSのことをほんまに思って注意したんなら殴られなかった。うるさいわ、って思って言うたからボコンボコンになったんちゃう?」
Kはいたく納得した。けど、どうしても聞きたいことがあった。
「先生、Sは障害があるんか。それやったら俺、がまんする」
大空小では「障害児」という言葉を使わない。
子どもは、相手を「自分と違う」と理解することから友だちになると考えているからだ。
障害のあるなしで分ければ、理解じゃなくて我慢になる。
我慢から友だち関係は始まらない。
木村校長はとぼけた。
「それはわからないなあ。でも、一つ秘密を教えたろ。」
額を寄せ、小さな声で続けた。
「KとSの日本語は少し違う。理解できなくて一番困っているのはSや」
さらに小さな声になった。
「Sにも一つだけ通じる言葉がある。『大丈夫?』。しばらくはそれ以外は言うたらあかん」
Kは大きくうなずいた。』
その後も連載は続きましたが、紹介は以上です。大阪市立大空小学校の木村泰子校長先生の印象的な言葉は
「いじめられているかどうかを決められるのは、いじめられている人だけ!
遊びであろうと、なかろうと、いじめている側にも、指導に入る先生方にも、いじめの有無を判断する権利はない」
というような意味合いの言葉でした。
それを魂の言葉として、命のメッセージとして、全校の子どもたちに伝え続けておられる木村校長先生には敬意を表したいと思います。
それは、全学年・全学級で取り組むのが「特別支援教育」であるというベースの上に、「人権教育」を位置づけておられる本気度を感じたからでもあります。
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