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「たった一つの約束①みんな笑顔でいるために」から学ぶ

2012年8月22日(水)朝日新聞31面に「いま子どもたちは」シリーズで「たった一つの約束①みんな笑顔でいるために」という記事が載っていたので、紹介させてください。


『大阪市立南住吉大空小学校では、休み時間になると校長室の白い引き戸の前に子どもが列をつくる。
自分がされていやなことは、人にしない、言わない
という約束を破ったら、自己申告に来る決まりなのだ。
「校長先生」
と勢い込んで走っていく子もいれば、もじもじと下を向いて服をいじっている子も。でも、木村泰子校長の返事はいつも同じ。
「どうしましたか?」
もともと体育の先生。いつも背筋がピッと伸びている。
2年生のTは坊主頭できかん気。でも今日は涙を浮かべている。
「休み時間に、Fさんのほっぺを思い切り殴りました。謝ろうとしたんだけど、『もうええ、校長先生に言ってくる』って言われた」
木村校長が淡々と聞く。
「誰が悪いの?Fさん?」
「自分です」
「約束を守れへんかったら、どうするの?」
「校長先生のところへ行く」
「Tは自分から来ましたか?」
「いいえ。Fさんに言われてきました」
「じゃあ、巻き戻し」
くるくると指を回した。
校長室には叱られに来るのではない。間違ったところからやり直すために来るのだ。Tは一度校長室を出て、再び入ってきた。
「殴る前にどうしたらよかった?」
「・・・・・がまんする」
「がまんできひんから、殴ったんやろ?」
「・・・・・いやなことはいやって言います」
結論が出たところで木村校長は念を押す。
「どんなことがあっても、人は殴ったらあかん。相手が死ぬ時あんねんで」
Tはギュッと目をつぶって頭を下げると
「失礼しましたっ」
と出て行った。納得した証しだ。納得していない時、子どもたちは黙って出て行くという。
子ども同士が解決の糸口をつかむときもある。AがIの足を踏んだと言って1年生の2人が入ってきた。Iはべそべそ泣いている。
「体育の時間に足踏まれたのがいややった」
ふーん。木村校長は一瞬困った顔をする。
「Aは?」
「私は、自分がIの足を踏んだことを知らんかってん」
言い訳やうそではなさそうだ。
「じゃあ、I、言ってあげて。痛くていややったって。その場で『痛いねん』ってすぐ言ったら、Aに怒ってる時間が少しですんだね。はい、どうぞ」
校長がパンと手をたたくと、Aは
「足踏んでごめんね」
Iは
「怒っててごめんね」
手をつないで出て行った。約束は、気持ちを言うのが上手でない子の通訳の役割も果たす
233人の小さな学校の小さな約束は、木村校長が考えた。
学校の標語は「夢」「希望」など大きな理想を掲げがちだ。それに比べて、大空小の約束は「自分がされていやなことを人にしない」。なんだか後ろ向きだ。
でも、すべての子がいやな思いをせず、居場所を見つけられるようにするには、この約束が一番だと思ったの」(中略)
約束は、子どもたちの隠れた傷もあぶり出す。友だちを殴る子は、誰かに殴られている。暴言を吐く子は、暴言に囲まれて生活している。開き直りの向こうに傷ついている姿が見える
「大空小の約束は何のためにありますか?」
月曜の全校集会で、木村校長は子どもたちに問いかけた。次々と手が挙がる。
「自分のため」
「命を守るため」
「人に優しくするため」
「いやなことを言う自分を直すため」
めっちゃ簡単な約束。でもなかなか守れない。大人も子どもも悩みながら、約束と毎日向き合っている。みんな笑顔で、今日も学校に来るために。』
『◎大阪市立南住吉大空小学校のたった一つの約束
・自分がされていやなことは、人にしない、言わない
◎約束を守るために必要な四つの力
・人を大切にする力
・自分の考えを持つ力
・自分を表現する力
・チャレンジする力

以上です。日々、子ども同士のトラブルに対処しながら苦慮されている先生方に共通する悩みに応えるヒントにつながるかも知れない、ひとすじの糸口を見せてもらえたような気がしますが、いかがでしょうか。

関連ページ
「たった一つの約束③秘密の言葉は『大丈夫?』」から学ぶ
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子どもと信頼関係をつくる、子どもとの「信頼関係」を取り戻す

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898595/




by takaboo-54p125 | 2013-02-16 05:17 | 保育・教育