2012年 09月 09日
子どもと向き合う9月の教室「交流学級って何だ」&「担任のひと言①②③④⑤⑥⑦⑧」
「ぼくの教室は二つあるで」と思ってくれた時が本物の交流学級になれた時です。
運動会の取り組みも!
「まだ本物じゃない交流学級」では・・・
5年生の「まだ本物じゃない交流学級」における、給食の時でした。
校内放送で、特別支援学級の先生とC君(5年生)から、特別支援学級で飼い始めたインコの名前を募集したら、全校で150人以上の子が応募してくれたことに対するお礼と、インコの名前が決まったことの報告がありました。
C君も決まった名前をがんばって発表していました。
5年生の担任の先生は、特別支援学級前廊下に貼り出してある一覧を見に行きました。
応募した子をほめてあげようと思ったからです。
ところが、交流学級である自分のクラスの子の名前を、1人も見つけることはできませんでした。
がっかりすると同時に、それは自らの学級づくりのせいであることを痛感しました。
子どもたちの様子を見守ることに・・
帰りの会になりました。
今日の反省の時です。
D君が手を挙げて、C君の方を向き、
「同じ組やのに、インコの名前を書かなくて、ごめんなさい」
と言いました。
担任も、
「D君、よく気づいてくれたね。C君、ごめんな」
と言いました。
E君は日記に書いてきてくれました。
『6月6日 「ぼくがわるかったこと」
C君の教室でかっているインコの名前を全校で紙に書くのを、5−2はC君がいるのに、だれも書かなかった。
ぼくはC君にゴメンと思ったから、きょう食がおわって昼休み、C君に
「インコの名前書かなくてゴメン」
と言った。C君は
「いいって」
と言ってくれた。ぼくは(ごめん)と思いながら遊びました。 5年 E男』
E君は、その日にあやまりに行ってくれていたのです。
帰りの会では、D君があやまってくれたのです。
そして、その日の日記に書いていたのはE君も含めて12人でした(30人のうち)。
この人数を多いと思いますか?少ないと思いますか?担任は少ないと思いました。
「もう本物になれた交流学級」では・・・
次は、6年生の「もう本物になれた交流学級」における、帰りの会でした。
『5月13日 「F君」
私の左にF君がいた。
そして、次はおぼろ月夜の歌です。
「なのはーなばたけーに・・・」
と歌っていると、横のF君を見ると私の方を見て、私の口が動いているので、F君もうまいこと動かしているのです。
だから私はF君のために前よりもいっそう大きな口で歌った。
それがきいたのか、それに答えてくれたような気がした。
F君もそうやって、人のを見て覚えてきたのかなあと思いました。 6年 G子』
F君のために、いっそう大きな口を開けて歌ったG子の心、純粋に美しいと思った担任はG子の了解をとって、帰りの会で、この日記を読みました。
みんなは、
「F君、すごいやん」
と、F君に大拍手です。
F君はうれしそうでした。
みんなは、G子にも拍手をしました。
F君は、その頃から、みんなと歌えるようになりました。
運動会の学年の取り組みも、できるかぎり特別支援学級の子どもたちのことまで考えた内容でありたいものです。
安心感あふれる2学期にするための
担任の「ひと言」(1)~(8)
子ども1人ひとりの安心感が深まる時間と空間にするため、担任が大事にしたいこと
ステップ(1)
子ども一人ひとりの、その時その時の気持ちをまず受けとめることから関わることを、基本としましょう。
「~がくやしかったんやね」「~がつらかったんやね」
と担任が代弁してくれ、自分の気持ちをわかってもらえたと感じた時、子どもは担任の語りかけにも耳を傾けるようになります。
ステップ(2)
子ども一人ひとりの自尊感情を高める関わり方を大切にしましょう。
「あなたがこの教室にいてくれてうれしいよ」「きみが今日来てくれたことがうれしいで」
をベースにして、日々、子どもが自分は大事な存在だと思ってもらっているんだと感じられるようなメッセージを伝えることを、くり返します。(思っているだけでは伝わらない)
ステップ(3)
スモールステップを与えて、ほめることを、授業中も給食中も掃除中も、いつも意識的に取り組みましょう。「~を手伝って」「~をしてごらん」「~をたすけて」
→やりきらせる(ちょっとやろうとしてくれても)→
「ありがとう」「すごいやん」「助かったわぁ」
の積み重ねによって、子どもの中に自信と意欲がじわじわと生まれてきます。
ステップ(4)
子どもたちの瞳が輝くような、活動の導入をひと工夫しましょう。
「今日はね、こんなことをやるよ」
1人ひとりの目を見ながら、表情豊かに柔らかな口調で、静かに語りかけます。
「~君、教科書とノート開けてね」→「素早いやん」
「~さん、こっち見てね」→「うれしいな」
「さあ、書いてごらん」→「よい姿勢で書くねぇ」
などと、できて当然のことであっても、そう思わずに、ほめ言葉をかけながらです。
ステップ(5)
自分を大切にするための最小限のルール(先生方で共通理解)は、その都度伝えましょう。
「ここまではOK」「これ以上はダメ」
という、どっしりと、ぶれない姿勢を示します。
それが授業中なら、その子には、
「あなたが大好きだから言うよ」、
クラスのみんなには(これは必ず)、
「~君一人に言っているんじゃない。きみたち全員に言っているんだよ」
と言い添えながら伝えることで、教室の仲間意識(クラスの一体感)を高めます。
自分には関係ない(他人事だ)と思う子をつくらないためにも。
ステップ(6)
何故この子はこんな言動をするのだろう、何がこの子をそうさせるのだろうということを語り合い、今のこの子をどう観たらいいのかを、教師集団で共有しながら関わりましょう。
子どもの課題を、担任一人で抱え込まないことです(ヘルプも求めていいのです)。
もちろん、その子がステキな面を見せてくれたら、
「こんなことしてくれたんですよ」「こんなこと言ってくれました」
と喜びも分かち合う教師集団でありたいものです。
ステップ(7)
家庭との連携については、まず、保護者に
「うちの子のことを大事に思ってくれてはる」
と感じてもらえるような信頼関係をつくりましょう。
「~君はメッチャやんちゃですね。大好きですねん」
「~さんは~こんな優しい子なんですよ」
「~君は、こんなええとこあるんですよ。今日ね~」
などという『ひと言』を伝えることなしに、課題や要望だけを伝えても、保護者との心の距離は縮まりません。
もちろん、その『ひと言』が本音じゃなければ、保護者の心には響きません。
ステップ(8)
その子が本来持っている力を出したくなる、人的環境づくりをしましょう。
・朝の出会いを大切に。笑顔ですてきな「おはよう」を。
・子どもと掃除・給食・遊びを共にしながら、気軽な世間話を。
・担任の失敗談・ズッコケ経験話を明るく語ってあげよう。
・子どもと共に野菜や花を育てる活動を、毎日少しずつでいいから楽しもう。
・気になる子にこそ、何かを頼んで、「ありがとう」をその都度言おう。
・帰りの会、日記の返事、連絡帳、電話、退勤時のちょこっと訪宅などで、その日に、自分では気づいてない、その子のキラリと光る姿を、具体的に伝える労力を惜しまない。(気になる子ほど)
担任にとっては、忙しい学期始めです。でも、担任のちょっとした「ひと言」が、子ども1人ひとりにとって、2学期へのモチベーションを左右する、でっかい「ひと言」になるはずです。(チャンス!)
関連記事
子どもと向き合う9月の教室「運動会・体育大会の後、クラスに落ち着きを取り戻すには」意識したい10項目
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898407/