2012年 08月 25日
子どもと信頼関係を築くために大事にしたい教師の関わり方とは
【しっとりと落ち着いた教室の温かさ・安心感を生み出すため】
どの学級にも個別支援を要する子が複数いるので、特別支援教育とは全学年・全学級で進める教育だと心がけておられる担任が多いと思います。この個別支援を認め合える(できる・できないで級友を見ない寛容さのある)学級の仲間に育てることが、どの子の自尊感情も低くならない(自分をダメな子だと思わない)分岐点ですので、温かさのあるお手本を子どもたちに見せることが大事になるでしょう。この記事も、そういう意味があります。
私たち教師は、よく次のような言い方を、ついつい子どもたちにしてしまいます。
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
などです。どちらも、子どもには、イメージしにくい言葉です。
年令が小さいほど、どうしていいかわからない、あいまいな言葉だと言えます。ですから、大声で、
「しっかりして」「ちゃんとして」「うるさい」「まだか」「はやく」「おそい」
などと、どなるより『できて当然のこと』でも、
「みんな、すわろうね・・・おっ、早くすわれたね」
「教科書の何ページを開けてね・・・うん、開けたね」
「シーッ!お話するのをやめようね・・・静かになった。嬉しいな」
「A君のお話を聞いてあげよ・・・聞いてもらえると嬉しいよね」
「Bさんの意見、聞いてあげよ・・・Bさんの気持ちわかるよね」
「先生のお話を聞いてね・・・聞いてくれてありがとうね」
「みんな2列に並んでね・・・すごく早く並べた。気持ちいいな」(いずれも笑顔で)など、
子どもに、こうしてほしいという具体的な言い方で、イメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん、子どもが受けとめてくれたら、必ず子どもの目を見て具体的にほます。継続すると、しかる〔注意する〕回数が徐々に減ります。そして、教師が笑顔でいると教室に「安心できる空気」「心地よい雰囲気」が広がっていきます。それは、子どもの心に伝わります。楽しい空気は人〔担任〕から人〔子どもたち〕へ伝染するのです。
また、「ダメ!」「やめい!」「あかん!」「何してんの!」「さっき言ったやろ!」などと言ってしまう、否定的な指示語も、緊急時以外は、やさしく、しっとりと、
「どうしたん?」「何があったの?」「この頃、みんなと、どうや?」
「こういう時は、AかBをすると、うまくいくと先生は思うけど、どっちがいい?」
「そういう時は、先に△△してみるとよいと先生は思うけど、どう思う?」
というふうに、心配の中身、ダメの中身、選択肢などを、具体的に伝えるほうが、元気のない子も、失敗した子も、素直に受け入れやすい言葉がけです。
×授業中できるだけ減らしたい教師の言葉(大声、どなり声、指示・命令ばかりする声)
「こらっ!」「静かに!」「わかった人?」「できた人?」「他にない?」
◎授業中できるだけ増やしたい教師の言葉(柔らかな声、大きくない声、ゆったりした声)
「困っていることはないか?」「まだ書き終わってない人、手をあげて教えてね」
(「できた人?」より、苦手な子どもも安心できます)
「先生にも聴かせてほしいな」「先生も聴きたいなぁ」
(「分かった人?」より、自信のない子どもが発言しやすい聞き方です)
「クラスのみんなに聴いてほしいこと、ないかぁ?」
(「発表して」より、発言を迷っている子どもも言いたくなる聞き方です)
「グループで話し合って、気づいたこと、聴かせて」
(「発表して」より、班のまとめより、個人の気づきを聴いてみましょう)
「わからない所は、隣の人、前後の人に聞いてごらん」
(困ったら遠慮せず「教えて」「ここ、どうするの?」と言える教室・子どもに育てたい)
「わかりにくかったら、周りの人と相談してね」
(聞かれたら気軽に教えてあげる教室の空気もつくりたいので)
「A君の意見は、みんなが考えつかなかったものやね」
(たとえ的外れな発言でも決して切り捨てないことです)
「Bさんの言いたいのは、たぶんこうだと言える人、いるかな?」
(「他にない?」より、子どもが発言につまって、言えなくなった時に救われます)
「C君の言いたいことの続きがうかんだ人、いるかな?」
(「他にない?」より、子どもが上手に言えず、モゴモゴ発言・単語発言をした時こそ)
【子どもの学びをさまたげてしまう教師の言葉】
(過敏な子は耳をふさぎ落ち着いて座っていられなくなり、挙手した子から「ちぇっ、先に言われてしまった」と言われる、そんな「ハイハイ発言」を増やしてしまう教師の言葉です。それは、子ども同士の発言をつながないから、「言いっぱなし」になってしまい、「聴き合う」ことができにくくなり、結果として「伝え合う関係づくり」ができなくなります。
×「他にない?」(直前の発言を切り捨て、羅列の意見発表会にしてしまう)
×「わかった人?」(こう言われると、子どもは「わからない」と言えなくなる)
×「できた人?」(できていない子が受けるプレッシャーを考えてますか?)
例えば、授業中、子どもたちを、例えば板書(絵本)に集中させたかったら、
「みんな、黒板の文が(絵本が)見えるか?」
と聞くと、最初から見ている子だけが「はい」と返事をして、見ていない子は知らん顔のままです。でも、
「黒板の文が(絵本が)見えてへん子は、いないかなぁ?」
と聞くと、黒板(絵本)を見ている子らが、見ていない子にも声をかけてくれます。
そして、「いっしょに見よ」という温かい誘いかけをしてくれた時に教師が喜ぶと、板書(絵本)を見てくれる子が増えます。
また、私たち教師は、よく次のような言い方を、ついつい子どもたちにしてしまいます。
「鉛筆や消しゴムを筆箱に入れて机に入れなさい」
「しっかりしなさい。ちゃんとしなさい」
などです。前者は、指示内容が多すぎで、後者は、子どもにはイメージしにくい難解な言葉です。
年令が小さいほど、どうしていいかわからない、あいまいな言葉だと言えます。ですから、
「鉛筆と消しゴムを筆箱に入れよう」(ほめる)→「筆箱を机に入れよう」(ほめる)
と、指示内容を1つずつ小分けして言ってあげましょう。
2年生の算数、ものさしでノートに12cm7mmの長さの直線を引く学習の場合はどうでしょう。
ノートの上にものさしを置いたら、あえて1つずつ言ってあげましょう。
「端っこの0cmの所がスタートやから、小さい印 . をつけよう」
「次に、0cmの印 . からスタートして、12cmの所に小さい印 . をつけよう」
「そして、12cmの印 . からスタートして、7mmの所にゴールの印 | をつけよう」
「じゃあ、ノートの上に置いたものさしを3つの印 . . | に合わせてね」
(もっとわかりやすい言い方があれば◎なので、先生方ご自身でお試しください)
「ものさしを、左手でぎゅっと押さえよう」(左利きなら、右手でぎゅっと)
「次に、鉛筆で . . |をつなぐ線を、やさしくスーッと引こう。やさしくね」
「鉛筆の先っぽを、ものさしにくっつけると、まっすぐな線が引けるよ」
こんな感じでしょうか。
まずは、次の2つの☆について、自分をふり返ってみませんか。
基本に戻る「担任2つのふり返り」という意味で…。
☆子どもを『ほめる』ということは、子どもを評価するということではありません。
子どものがんばり、成長を見つけて、教師の喜びを伝えていくということです。
☆子どもを『しかる』ということは、子どもに腹を立てるということではありません。
子どもが、自分も他人も大切にできるように、1つずつ、教えていくということです。
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