2012年 06月 17日
子どもと向き合う7月の教室「通信簿は親子の励みになるものにしよう」
通信簿を見て思わず涙を流すお母さん・・・
親子の励みになる通信簿を渡すのが担任の役目です
初任者の担任が個別懇談で保護者に通信簿を渡しました。D君のお母さんです。
D君のお母さんは通信簿を開き、無言・・そしてうつ向いて、ハラハラと涙をこぼされました。
「先生、うちの子には、よい所は一つもなかったのでしょうか?」
確かにD君は学習面でも「努力しよう」のつかない教科はありませんでした。
生活面でも目立たない子でした。
通信簿にもそれがはっきりと出ていて、せめて一つぐらいは・・というお母さんの願いはかなわなかったのです。
担任は、お母さんの悲しそうな涙に驚き、とっさにフォローする言葉、D君をほめる言葉を言いましたが、言葉はその場で消えていきます。
通信簿はずっと消えません。ずっと残ります。
お母さんは早々に帰って行かれました。
担任は正直に、ありのままを通信簿に表したのです。
間違った評価はしていないのでしょう。
しかし、あまりにも配慮することが足りなかったのです。
それは、D君もお母さんも、その通信簿を見て、
「なぁ、D男。次はがんばろな」
「うん、お母さん。ぼく、今度はがんばるわぁ」
という親子の会話に結びつく内容が、一つもなかったからです。
つまり、来学期への意欲喚起をうながすのが、通信簿の大切な役割だということを担任は忘れていました。
テストの点数がよくなかった子だって、たった一つでいいから、よかった所を伝える『親子が元気の出てくる通信簿』でなければ、通信簿をもらう値打ちがないということなのです。
以来、その担任は、所見の言葉に心を込めるようになりました。
学習面と生活面の具体的な点を書き、最後に、その子を丸ごと(ざくっと)捉えた言葉を書くようになりました。いつも、親子が元気の出てくるような所見の結びを心がけたのです。
たとえば、
「ていねいにじっくりとやれば、力を出すことができます。」
「ねばり強く取り組むぞという気持ちでやれば、よい結果がどんどん出せる子です。」
「あせらず落ち着いてやれば、きっと力を発揮できます。」
「こつこつと真面目に取り組んだことが、徐々によい結果につながってきました。」
「やればできるんだという自信を、いつも持ってほしいと思います。」
関連ページ
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