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子どもと向き合う5月の教室「『失敗は成功の元』の体験を共有させる」

立ち直りへの支援が自立をうながす


 学校・園でも家庭でも、知識にしろ技術(スキル)にしろ、子どもが獲得した量や正確さ、レベルの高さが最も評価されがちで、「ミスの少ない人間」を育てることに力が入る傾向にあります。
過程(プロセス)が大切だと言うものの、結果・成果が全てというのが今の社会です。
せめて校・園では、「失敗から立ち直ることの支援」に重点を置きたいですね。


「失敗は成功のもと」の体験を共有させること


 小学校低学年の国語の音読です。
挙手したA君、硬くなり読めません。
周りの子は
「早く」とせかします。先生は
「手を挙げたの、えらいね。一人じゃ緊張するもんなぁ」とA君に微笑みながら
「なあ、みんな」と周囲にも同意を求めました。周りの子も
「わたしも緊張するわぁ」「ぼくもや」
と相づちを打ちました。
温かい雰囲気になりました。
これでほっと安心できたA君は、次の先生の問いに挙手して指名され、今度は大きな声で答えました。
まだ、新卒3年目の先生でした(びっくり)。


 以上、立ち直りへの支援が自立をうながす実践の紹介でした。
この先生は、A君が挙手した意欲を
「えらいね」と認め、読めなかったことは
「緊張するもんなぁ」と支えながら、
「なあ、みんな」と周囲にも共有させて、再度A君を指名して自信→自立(自己決定)をうながしたのです。


みんなの前でうまくしゃべれない子のために


 みんなの前で話すのが苦手な子は、
「うまく言えなかったら・・・」「笑われたら・・・」
と思っています。
過去にけなされたり、否定された経験があるのでしょう。
4~5月は、そのこわばりをほぐしてあげる時期です。
間違わない子は一人もいない、間違うことは賢くなるために大切、間違うことは勉強のよい材料等々、担任から日々具体的に発信します。


 ボソッと単語で発言したり、モゴモゴ言っちゃう子だって、気持ち(思い)はいっぱいあるはずです。
だから、それをみんなに予想させて、その子の代弁をしてもらうのです。
「○○君が言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」                              
「○○さんが言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかなぁ?」                                  

というふうに、ボソボソ発言・モゴモゴ発言は、つまずきとして流すのではなく、みんなの発言をつないでいく貴重な出発点として評価してあげるとよいのではないでしょうか。
こういう担任の姿が毎日毎時間見られるクラスでは、安心して発言しやすい空気が教室全体に生まれてきます。
さらに、
「ちぇっ、先に言われてしもうた」
というつぶやきが減り、みんながお互いの発言を聞き合おうとするムードが教室中に広がってくるから、担任の『ひと言』って大きいですね。

関連ページ
子どもと向き合う6月の教室「はみ出しそうな子を授業に巻き込む~カリカリしている子には」
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898372/


by takaboo-54p125 | 2012-04-29 05:04 | 保育・教育