パパママ育児Q&A「抱きぐせ」はつけてもいいの?

抱きぐせ


松田道雄ドクターが著書「育児の百科」(岩波書店)の中で、「抱きぐせ」について書いておられ、なるほどと思ったので、紹介します。


『赤ちゃんが泣くのには、いろいろの理由がある。空腹で泣くのが一番多い。排泄物でぬれて気持ちわるくなったため泣くと思われる場合もある。腸の中にガスがたまって、不快を感じて泣くと思われる場合もある。乳を飲ませて、まだそれほど時間がたっていないのに泣いたら、母親は赤ちゃんのオムツがよごれていないかどうかを調べる。それもきれいだとわかった時、泣いている赤ちゃんをどうするかで、母親は迷う。だが迷うことはない。空腹でもなく、オムツがぬれているのでもないのに泣く子は、抱いてほしがっているのだ。泣くのをそのままにしておくと、「泣きぐせ」がついてしまう。そうなると3ヶ月をすぎても、よく泣く。


泣くたびに抱くことにすると、抱きぐせがついて、下に寝なくなりはしないかという心配がある。お年寄りは、よく、だきぐせをつけると、あとで困るよと忠告する。アパートで親子3人ぐらしをする時、赤ちゃんを抱いてばかりいなくてはならないようになったら、家の仕事ができなくなる。そう思うと、泣いている赤ちゃんを抱き上げずに、そのままにしておく。たしかに、4~5分泣いて、泣きやむ子もある。


また、ちょっと抱き上げてやると、すぐ泣きやみ、2~3分抱いていると、そのまま眠って、下におろしても、もう泣かないということもある。抱き上げると腸の中のガスの位置が変わって、気持ちよくなったのかも知れぬ。


また、泣いたのを抱き上げて戸外をひとまわりしていたら、気持ちよさそうになり、今度は寝かせてもきげんよく、泣かぬということもある。


抱き上げるということで、赤ちゃんが気持ちよくなり、生活が平和になるのなら、泣かなくても1日のうちに何度か抱いてやりたい。また、抱かれて、からだをしゃんとさせることが、この時期の赤ちゃんの運動の一種である。だきぐせは悪であるという思想で、授乳の時以外は、赤ちゃんを絶対に抱いてやらないというのは、まちがいだ。泣くことは赤ちゃんの唯一のコミュニケーションの手段だ。これが無視されるようになると、赤ちゃんは合図としてでなく、 怒りとして泣くようになる。


抱かれるというのは、赤ちゃんにとって気持ちのいいことなのだから、赤ちゃんは抱かれるとよろこぶ。しかし、どの赤ちゃんも、抱かれてばかりいたがるものではない。抱いたから、必ず抱きぐせがつくというものではない。しかし、中には、どうしても抱かれていたい赤ちゃんがいる。下に置くと、火がついたように泣く。抱き上げても、すぐには泣きやまない。ゆすってあちこち歩いて、やっと泣きやむ。少しおさまったと思って下に置くと、また泣き出す。


それは、生まれつきよく泣く子だ。こんな子を、抱きぐせをつけまいと思って、抱かないで泣かせておくと、ヘルニアになることもある。あまり泣いて近所から抗議が出て、抱くということになる。よく泣く子と、あまり泣かぬ子とが、生まれつきあるのだ。


感受性の強い子は、他の子どもが感じない程度のしげきを不快と感じるのだろう。また、表現欲のはげしい子は、自分の不快を大声で泣くことで示したいのだろう。泣かぬ子はいくら抱いても、抱きぐせはつかないし、泣く子は、抱かざるをえない。しかし、抱かないと泣きやまぬ赤ちゃんは、育児上の失敗でそうなったのではない。抱きぐせをおそれて、赤ちゃんを外気にあてることを忘れてはならぬ。


よく実家へ連れて行ってから抱きぐせがついたとこぼす団地の母親がある。それは赤ちゃんが外気浴をすることの楽しさを発見し、楽しい人生を要求し始めたのだ。団地のアパートで寝てばかりいるのは、母親には好都合だろうが、赤ちゃんには、不都合なのだ。』


以上です。松田ドクターは、「泣くのを母親に無視されて抱いてもらえないと、赤ちゃんは抱いてほしいという合図ではなく、怒りとして泣く」と書いておられます。怒りとして泣くのを、さらに無視されて、抱いてもらえないと、赤ちゃんは最後には、泣くのをあきらめてしまいます。こうなったら、赤ちゃんは母親とのコミュニケーションをとろうとしなくなります。そうなると赤ちゃんは、人から学ぶことそのものができなくなるのです。それは、心の成長が偏ってしまうことになるとも言えるでしょう。怒りの泣きすらあきらめるのは、とてもヤバイ、大ピンチな状態です。だから、「抱きぐせ」はつけていい、と言うか、つけた方がいいくらいです。赤ちゃんの目を見て笑顔で語りかけながら、いっぱいいっぱい抱っこしてあげてください。あせらず、ゆったりと、おおらかに!

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by takaboo-54p125 | 2012-02-26 05:39 | 育児・子育て