「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑥【授業づくりのキーワード】【基礎&ジャンプの課題】【信頼関係を生み出す授業】【指導案】

授業(先生と子ども)のキーワード=「百聞は一見にしかず」


2010年秋・2012~2014秋:滋賀県立彦根西高校の公開授業


2011年秋:滋賀県大津市立志賀中学校の公開授業


2011年秋:愛知県小牧市立米野小学校の公開授業


2012年冬:滋賀県大津市立粟津中学校の公開授業


2012年冬:滋賀県立草津高校の公開授業


2012年秋・2013冬:三重県伊賀市立河合小学校の公開授業


2013年秋:三重県四日市市立浜田小学校の公開授業


2014~2015:滋賀県大津市・彦根市、大阪府茨木市の小学校


「学びの共同体」実践校(小中高)公開授業の参加者の先生方としゃべっていて共通していると感じたことがありました。それは、授業中の私語をなくしたい、授業を成立させたい、どの子も安心して学べる学級づくりをしたい、いじめなどの問題行動をなくしたい、不登校をなくしたい、多様な発達障害に対応したい、などでした。こういう切実な現状を背負って参加しておられる先生方がほとんどでした。それらの願いに応えてくれる取り組みこそ、学校ぐるみで「学びの共同体」の実践に挑戦することだと、各校(小中高)の授業を参観して強く思いました。


授業が変わり、クラスの子どもたちが変容するのは、まず、教師自身が、子どもへの向き合い方(聴き方・話し方)に、発想の転換をはかること以外にはないということが、ここ2年間、「学びの共同体」実践校(小中高)の公開授業を参観して、つくづく感じたことです。それも、くり返しになりますが、とにかく学校ぐるみで取り組むということが大切だと思いました。


「教え合い」から「学び合い」への発想の転換
2010年から2012年にかけて、「学びの共同体」実践校である愛知県小牧市立米野小学校、滋賀県大津市立志賀中学校、滋賀県大津市立粟津中学校、滋賀県立彦根西高校、滋賀県立草津高校、三重県伊賀市立河合小学校の6校の公開授業研で参観した授業から、これはどの学校でも取り入れることができたらいいなあ、と感じたことを、改めて紹介させてください。


☆「わからないこと」を「わからない」と言える教室


滋賀県立彦根西高校では、まず、聴き合う関係づくりを大事にしようと、どの教師も意識しているのを感じました。つまり、教師自身が【子どもの発言(つぶやきも含めて)を切らずに、受けとめて、つなげていこう】という姿勢で授業に臨んでいる先生方でした。そして、【発言している子どもの顔から視線をはずさない先生たち】でした。子どもの発言の時、【子どもに背を向けて板書する教師は、いなかった】ということです。


ですから先生方の表情も【子どもを見る視線が険しくなく、温かいまなざしで柔らかかった】のが印象的です。これなら、子どもたちも友だちの発言に耳を傾けたくなるでしょうし、子ども自身も安心して発言しやすくなるでしょう。当然、教師たちの声も、しっとりとしていて、聞きやすかったです。何と表現すればいいか・・決して早口ではなく、大声でもなく、自然に子どもへ語りかけて、


「こらっ静かにせい!」と言う【教師の高飛車な怒鳴り声が消えた学校】でした。


(佐藤学先生は、『子どもの発言の時、授業者はまず、周りの子どもたちに目を向けて、それから発言している子の目を見て、その視線を決してはずさないようにすると、徐々に聞ける子が増えていく・・』と書いておられます)


それらを毎日積み重ねることで(決して平坦な道のりではなかったはずです)。「先生、ここどうするの?」「先生、これ、なんて読むの?」と、質問することを自然にできる子どもたちと、それを決してバカにしない教室の空気、が生まれていました。そんな空気感(雰囲気)を全教職員で育ててきたのでしょう。授業の内容に、子どもたちの気持ちが向かっていることを、肌で感じました。


次は、グループ学習を、うまいこと取り入れておられたことです。中学生でも高校生でも1グループ4人以下でした。たいていなら個人作業でやらせてしまいがちなプリント・ワークなどの作業を、見た目にはグループ学習のような机の配置で、子どもにさせていました。(小学校低学年だけはペアがよい)。これが、佐藤学先生の言う『個人作業の共同化』ということなのでしょう。グループで机を向かい合わせますが、目的は話し合いではなく、個人作業をしながら、困ったらグループ内で子ども同士が聞き合うことでした。「これ、なんて読むん?」「これ、どういう意味?」「ここどうするん?」などと、読み方、言葉の意味、問題文の解き方などを、同じグループの仲間へ自然体で聞きながら、子どもたちは個人作業を進めていました。関係のないおしゃべりに流されることなく、です。もちろん、彦根西高校では、どの授業者も、机間支援をこまめにしておられました。


☆「個人学習」を「協同化」できる教室


大津市立志賀中学校は、学びの共同体における『協同的な学び』を校内研究に取り、入れられて、2年目と伺いました。中学2年生の授業(2クラス)から、どの学校でも取り入れてほしいと感じたことを紹介します。


中2社会(地理)、先生は、黒板の左側の「課題」の所に「瀬戸内工業地域の発展とその後の変化をみよう」と板書されました。導入の課題です。それを、生徒たちはじっと見ています。私語はありません。先生が資料集の開けるページを指示され、小さな作業プリントを配られました。生徒たちは、資料集をサッと開け、プリントをササッと配り、たいへん集中している空気が伝わってきました。生徒たちが、資料集を見ながら、作業プリントをする前に、先生が言われました。


わからん人は、周りの人に聞こう」そして、机間支援をしながら、生徒みんなに言われました。


わかりにくかったら、周りの人と相談して


( )を埋められてない人は、隣の人に聞きなさいね」                        


あちらこちらで、隣の生徒に聞く姿が見られました。そして、ほぼ、作業ができたと判断された先生はクラス全体で、プリントの( )を生徒たちに、どんどん聞いていかれました。その際、大きな写真を黒板のまん中に貼って、コンビナートの話もされました。みんな写真を見て、先生の話を聞いています。生徒の集中力がこれだけ持続しているということは、それだけ、【ふだんから自分の意見に、先生が耳を傾けてくれていると、生徒たちが実感している】からだろうなと思いました。これは、学びの共同体実践校で、とても大事にされていることと聞きます。逆に、強引に押さえつけて授業をしていたら、これだけ先生の話にも写真にも、生徒たちが長く集中してくれることはないでしょう。


そんな時でした。1人の生徒がおでこに小さなシールらしきものを貼っていたこと(休み時間に貼ったようです)に、他の生徒が気づきました。それで、教室中が、                                                      
「見せて」「こっち向いて」と、ざわつきました。いわゆる、授業の脱線です。先生は、落ち着いたもので、                                                      
ほう、△△君には、こういうキャラもあったんかと反応して生徒の視線を先生のほうへ向けてから、指を口にあてて、                                           
シーッと言って、教室を静かにさせました。
「こらっ」というひと言は、一度もありませんでした。こういう柔らかな姿勢が、まさに協同的な学びを取り入れる学校における、先生方の姿なのでしょう。お見事!と思いました。


子どもの声に耳を傾ける教師の元でしか、聴ける子どもは育ちません」という、石井先生の言葉を思い出しました。


中2国語「枕草子」、冒頭「春はあけぼの」のところの読み方と意味について、プリントを使ってのグループ学習が始まっていました。「先生、これ、なんて読むん?」先生、これ、どういう意味?」と聞く生徒に対して、先生はグループの人に聞いてごらんと、おだやかに返しておられました。こちらのクラスは、和やいだ柔らかな空気に包まれていました。どのグループも、読み方と意味を、プリントに書き込んでいるのですが、笑顔が多くて楽しそうでした。


各グループでしゃべっているので、1つのグループのそばに張り付きました。そうしないと、1人ひとりの発言が聞き取れないからです。そのグループは男女2人ずつではなく、女子が1人だけで男子の方が多いグループでした。会話に、よ~く耳を傾けていると、おおよそ次のようなやりとりがありました。
「『やうやう』って?」→「ようよう」
「『山ぎわ』って何?」→「山の線かな」
「波線の所は何書くん?」→「(説明)」→「ありがとう」
「『雲の細く』って?」→「雲が細く、ということやろ」
「これって何?」→「(説明)」→「知ってたん」
「えへへ」→「真剣にやれよ」
「『をかし』っておもしろいのか?」→「そうやなあ」
「つきづきしって?」→「につかわしいとか、ふさわしいのとちゃう」
「1か所見せて」→「まちがってるかもわからんで」
と、聞く方も、答える方も、まことに自然体なのです。男女でも遠慮なく聞き合っていました。このグループは、プリントが早く終わったので、各自が暗唱の練習をしていました。朗々と暗唱する子もいれば、たどたどしく暗唱する子もいます。でも、決してバカにしない空気なので、どの子も安心して練習していました。このように【安心して学べる空気感を教室に生み出すこと】、これも、学びの共同体実践校で大切にしておられることのひとつと聞きます。


学校ぐるみで【先生方が同じ方向を向いて取り組むこと】が、いかに【教室の空気を変容させるため】に重要か、いい勉強をさせてもらいました。生徒の「活動(作業)」には、グループによる「個人学習の協同化」を取り入れることで、「協同」の話し合いのベースが、大津市立志賀中学校では築かれていました。どのクラスも、ギスギスした空気にならないための、先生方のチームワークを感じました。


☆「聴くこと」「つなぐこと」を大事にする教室


愛知県小牧市立米野小学校は取り組んで6年目と伺いました。学年5クラス・全校児童数900名を越える大規模校です。2,3,4年生(3クラス)の国語の授業から、どの学校でも取り入れられたら・・と感じたことを紹介します。


2年生の「三枚のおふだ」、便所に行くふりをして逃げようとする小僧と、それを阻止しようと、あれこれ講じるヤマンバのやりとりを話し合っているところでした。どの子もいっしょうけんめい説明しようとし、それをみんながいっしょうけんめい聴こうとしていました。先生が、
このヤマンバは親切なの?」と問いかけた時は、各グループで子どもたちが顔を寄せ合って真剣に相談している空気に教室がつつまれていました。そして、1人の子が、


「小僧にばれてるって、ヤマンバは気づいてない」と言うと、
「わかった」と数人がつぶやきました。そして、別の子が、
「◎◎さんの聞いて、わかったんだけど、ヤマンバは油断して・・・」と言うと、 
「わかった」と多くの子が口々に反応しました。このように、1人の発言が周囲にひびき、次の子の発言につながっていく、そんな2年生の教室でした。最後の音読は、多くの子が読みたがりましたが、先生に、
誰のを聞きたい?」と問われると、
「◎◎くんの」と言える2年生でもありました。


3年生の「三年とうげ」、4人グループで話し合って、先生が、                     
さあ、どんなことを話し合ったのか、聞かせてくれる?」                     
と言われ、挙手(「ハイハイ」と言う子はいない)した子どもを指名されました。全てが聞き取れたわけではありませんが、子どもたちの発言はおおよそ次のようなものでした。
「48ページの△△のところで・・・」
「◎◎さんと同じ所で、意見はちがって・・・」
「◎◎ちゃんのに似ていて・・・」
「△△のところだけど・・・」
「◎◎さんが言ってたんだけど・・・」
友だちの発言を実によく聴いて、それを受けた発言をする3年生でした。


4年生の「ごんぎつね」、音読は役割読み(3人)でした。どの子も読みたそうにしていました。その後の1人読みは、気持ちを込めて、情感たっぷりに読んでいる声が教室に響いていました。先生の問いかけが印象的でした。


みんなに聴いてほしいことある?」
お互いに聴き合うことができているからこそ、言える問いですよね。子どもたちは、       
「『つまらないな』のところで・・・」
「今、◎◎さんが言ったんだけど・・・」
「それ、△△と書いてあるので・・・」
「△ページにもあるんだけど・・・」
と、聴いてほしい意見の羅列ではなく、発言がつながっていました。当然、発言している子の顔を自然な感じで見ている4年生の子どもたちでした。


今回、参観したのは、2,3,4年生の3クラスでしたが、共通していたことがいくつもあります。例えば、どの教室も柔らかでしっとりした空気に包まれ、参観者の私も居心地がよかったこと。また、どの子も学習の中身に気持ちが向いているので、私語がなかったこと。さらに、友だちの発言を聴こうとするので、45分間、集中力が持続していたこと。下学年ほど、子どもって、授業にたいくつしてくると、頭がゆらゆら動き出すものですが、そういう子がいないのでびっくりしました。


「学び合い」「グループ学習」「おしゃべりの克服」
佐藤学先生は、上記のことについて、次のように述べておられます。


『学び合う関係と、教え合う関係は全く違います。
「できた人、教えてあげて」これが教え合う関係です。
わからない人、聞くんだよこれが学び合う関係です。
教え合う関係だと、「なぜ教えてくれないの」という受け身の姿勢をつくります。自分で支援・助言・アドバイスを求める子を育てましょう。よい方法は、写してもいいよと言ってあげることです。心配する先生もいるでしょうが、大丈夫です。わからない時には周囲の子に聞くようになります。これが学び合いの始まりです。』


『男女混合4人グループ。グループ学習は、仲よしグループで組まないようにします。グループ学習は、学びから逃げたい子も参加せざるを得ません。4人だと、うまくつながれ、5人以上だと、お客さんになる子、離れる子が出ます。男子と女子の仲がいい状態をつくれば、いろんな問題を越えて、励まし合ってくれます。よく考えている女子を、ややぬけた男子が上手に支えます。逆に幼稚な男子を、しっかりした女子が支えます。』


『おしゃべりが多い教室は、まず先生がおしゃべりです。教師はどこまで行くかという着地点を考えないことです。目の前の子どもの発言・気持ちに無頓着になるからです。創造的な教師は、始まりを大切にします。どの子も、始まりは取り組んでいるので、そこで、教師が簡潔に課題を出せるかどうかが、授業全体の流れを左右することになります。』


子どもの話を聴ける教師の元で、聴ける子どもが育つ
三重県の元小学校長である石井順治先生は、現場の実践家としてこう述べておられます。


『子どもの話を聞ける教師のもとでしか、聞ける子どもたちは育ちません。今、多くの学校で、多くの担任が、これまでの習慣「ハンドサイン」「聞く態度」「声の大きさ」の形式主義をやめるにつれて、子どもたちも、形式主義から脱却してきました』


『教え合う関係は一方的な関係です。「お節介」の関係と言えます。                 
それに対して、学び合う関係は「さりげない優しさ」の関係です。学び合う関係のコミュニケーションは、
「ねえ、ここどうするの?」
という、わからない子からの問いかけによって成立します。わからない子が問いかけない限り、わかっている子はあえて教えようとはしません。しかし、いったん求められると誠実に応答します。この「さりげない優しさ」で結ばれた学び合う関係が、協同的な学びの基礎となります。担任もくり返します。
わからない人はいつまでも1人で考え込まないで隣の人に聞くんだよと!


『グループ活動の中で、「先生、先生」と、仲間に問いかける前に教師に質問する子がいます。そういう場面では、その子の質問に直接答えるのではなく、「隣の人に聞いてごらん」と、子ども同士をつなぐ声かけをしましょう。』


『教師が「わかった?」と聞くのはよくありますが、これをしている限り、子どもらは、「わからない」とは言えません。
「できた人?」「わかった人?」という言葉も、早く正しいやり方を理解させたいという教師側の思いから出るものです。そこでは、学びは生まれません。それに対して、
困っていることは?」
という呼びかけ、これこそ、「わからなさ」から出発するための呼びかけです』


わからないこと、困っていることは宝物。それをみんなで考えよう            
と呼びかける教師がいて、初めて、
ここがわからないんやね」「こういうふうに考えたんやね
と、「わからなさ」に寄り添って、ともに考えてくれる仲間が育ちます。


そのためには、教師のぶれない態度が、とても大切です。                      
○○さんのお話、この教室のみんなで聴かなあかんなぁ


○○君が言いたいこと、どういうことか、みんなもしっかり受けとめような


友だちの話をよく聴くと、いろんなことがわかってくるねぇ」 


先生にもみんなにも、こんなにしっかり聴いてもらうと、うれしいよねなどという言葉を、積極的に投げかけることが必要な時もあります。』


『多くの子どもに発言しようという機運がようやくにして生まれてきたなら、それまでの教師のリボイス(子どもの発言のくり返し)を少しずつ控え、


今の考え、もう一度だれか言ってくれる


その考え、どう思う?」


同じように考えた人がいたら、その考えきかせてほしいな


ちょっとちがうこと考えた人がいたら、どんな考えか聞かせてほしいななどと、他の子どもの発言を求める対応を増やしてみましょう。』


以上です。ですから、授業中、よくあることですが、うまく発言できない「モゴモゴ発言」や「単語発言」があった時や、挙手したのに緊張して、うまく言えずに黙ってしまう子がいた時も、


○○さんの言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかな?」


○○君の言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」と、子どもの発言(つぶやき・沈黙も含めて)を切り捨てないで、つないであげるといいのではないでしょうか。


実践校の先生方が子どもたちに「発表して」と言わずに、


先生に聴かせてほしいなみんなに聴いてほしいこと、ある?」と言っていたのも、子どもが発言したくなる、教師の「いざない方」であり、教師の「聴き方」(ワクワクしながら聴きたい気持ち)でもあると言えます。それは、どの子も「同じです」と言う習慣とは、「さようなら」できる転換点になるのでしょう。


先生はボクの言葉をちゃんと聴いてくれているんや
東京都練馬区立豊玉南小学校の渡辺由美子校長はこう提起しておられます。


『子どもたちが積極的に発言している授業は、一見、活発に見えます。でも、子どもの発言が、相手の発言などお構いなしに、思いつきを言葉にしているだけのものと、授業者や他の子どもの発言を受けとめた上で言葉にしたものとでは、学習の深まり方は全く異なります。また、黙って聞いている子どもたちも、自分の問題として聞いていることもあれば、そうでないこともあります。ですから、お互いの学び合いの中で、子どもの学力を伸ばすためには、まずは、子どもに「聴き合う力」をつけることが前提になると思ったのです。


まずは教師が子どもの言葉を受けとめる(耳をすます・耳をかたむける)


では、自分を出したがる子と、自分を出せない子に対して、どうすれば「聴き合う力」をつけることができるのでしょう。まず、1年生の最初の段階から、教師が子どもの言葉を丁寧に受けとめ、認めてあげることが大切です。そうすることで、子どもたちは学校を「安心できる場所」「自分たちの居場所」として感じられるようになります。「聞いて聞いて」と求めてくる子どもたちは、入学当初、自分の欲求が通らなかった時、全身でふてくされた態度をとります。例えば、授業中、手を挙げたのに指名されないと、机に突っ伏して泣いたり、いすを蹴飛ばしたり・・・。


けれども、子どもが発言した時に、
そういう考え方があるんや
○○君の意見は、今まで他の人が考えつかなかったものやね
というように教師が子どもの言葉に耳を傾け、存在を認める発言をくり返すうちに、子どもは
「先生は自分の言葉をちゃんと聞いてくれているんや」という充足感を覚えるようになります。やがて授業中に指名されなくても、


「今日は聞いてもらえなかったけど、今度聞いてもらえればいいや」という余裕も生まれてきます。


一方、自分をうまく出せない子どもに対しては、ちょっとした行動に目を留めてほめてあげたり、あえて頼み事(スモールステップ)をして、
ありがとう。○○ちゃんのおかげで助かったよ
と言葉をかけたりします。そうして子どもの自信を引き出していくことで、やがて少しずつ自分から表現ができるようになっていくことでしょう。


聞いてもらえることに安心感を持った子どもは、
「先生は私にどんなことを言うだろう」
というように、話すことだけではなく、聞くことに対しても興味がわいてきます。こうして教師と一人ひとりの子どもの間に、「聴き合う」関係ができ上がっていくのです。』


以上、そうしたやり取り、例えば「発表して」と言わずに、
先生に聴かせてほしいな
みんなに聴いてほしいこと、ある?」
などをくり返していると、子どもたちから、「あ~あ、言われちゃった」「先に言われてしもうた」などと不平を言い、指名してもらえなかったことをくやしがるような発言も、自然と減ってくることでしょう。また、「出来た人?」「わかった人?」と聞くをやめて、「困っていることはない?」と問いかけていくことも同様に、子どもの画期的な変容をうながすことになることでしょう。これらを、幼稚園の先生方にも試みてもらいましたところ、子どもたちの反応が変わったという報告を園長先生からいただきました。


こうした協同的な学びを、学校ぐるみで取り入れる時に、ぶれない基本線として大事にしたいと私も共感した、その「ひと言」を、参観した「学びの共同体」実践校5校(小・中・高)の公開授業、そして、佐藤先生や、石井先生や、渡辺先生の文章から抜粋して紹介させていただきました。


☆「基礎の課題」「ジャンプの課題」のある授業づくり


大津市立粟津中学校は取り組んで7年目と伺いました。粟津中学校の研究テーマは「『学び合い』から理解を深める教室づくり」です。本時の展開の指導案の冊子をいただきました。授業をイメージするために、たいへん貴重な資料です。本時の展開における課題1は「基礎の課題」、課題2は「ジャンプの課題」と、どの指導案にも書いてありました。導入、まとめ、「学び合い」をどこでどう生かしたか等は省略して、前半の「基礎の課題」と後半の「ジャンプの課題」を紹介させてください。


2校時【1年国語】「慣用句」
「基礎の課題」
△体の部分を使った慣用表現について考える(プリント)いくつかの慣用句については、意味を想像させる。班で意見を交流させる。国語辞典で意味を確かめる。                                                          
「ジャンプの課題」
◎動物(生物)を使った慣用表現やその他のよく使う表現についても考える。


3校時【1年英語】「現在進行形 疑問文とその答え方」
「基礎の課題」
△現在進行形の疑問文とその答え方の確認
「ジャンプの課題」
◎現在進行形を使った文の間違い探しをグループで取り組む。 


3校時【2年家庭】「中学生のお弁当を発表しよう」
「基礎の課題」
△各グループの考えたお弁当について発表する。
「ジャンプの課題」
◎8つのお弁当の中から、これがいい!と思うお弁当を2つ選ぶ。上位に選ばれなかったお弁当を上位に上げるために出来る工夫をそれぞれのグループで考える。


4校時【1年保体】「柔道 前回り受け身を習得しよう」
「基礎の課題」
△前回り受け身をグループで練習する。
「ジャンプの課題」
◎跳び込み前回り受け身にチャレンジ。


4校時【1年保体】「ダンス」
「基礎の課題」
△課題ダンスをグループで選んだ曲に合わせて踊る。
「ジャンプの課題」
◎課題ダンスを曲のどの位置にいれるのかグループで話し合う。曲に合わせて創作ダンスをする。


4校時【1年社会】「縄文文化と弥生文化」
  ~縄文人と弥生人の顔の特徴の違いから日本人のルーツをさぐる~                                                    
「基礎の課題」
△次の顔の特徴は、縄文人・弥生人のどちらなのか2種類に分ける。                                                     
 顔、まゆ、目、鼻、くちびる、ひげ
△縄文人と弥生人の特徴から絵にしてみる。
「ジャンプの課題」
◎同じ日本人の祖先なのに、「縄文人と弥生人の顔の特徴は違うのか」を考えてみる。出た結論の交流。


4校時【1年理科】「物質のすがたと状態変化」
「基礎の課題」
△氷・水・水蒸気の他に状態が変化するものを、身近な生活から見つけてみよう。                                             
△気体は温度が高い、固体は温度が低いというのは正しいのだろうか。                                                               
△液体の食塩、液体の窒素、液体の鉄、それぞれ何度くらいだろう。                                                         
「ジャンプの課題」
◎氷が水に浮くのはなぜだろう。
◎50gの氷が溶けると何gの水になるだろう。
◎エタノールの沸騰実験から、何がわかるだろう。


4校時【1年自立】「探そう・動こう」
「基礎の課題」
△日めくりカレンダーの置く位置をかえる。
・1メートルくらい離れたところに置く。
探してみよう。
まわりを見て探す。探し出したら、めくって破る。
・2メートルくらい離れたところに置く。
探して、見つかったら車いすで移動して、手に取る。
「ジャンプの課題」
◎視線から離れたところに置く。
辺りを見回して見つけ出す努力をする。
日めくりカレンダーの他にカラーボール、パソコン、カバンなど身近な物を探し出す。


5校時【1年数学】「平面の図形:作図」は研究授業(指定授業)でしたので、省略なしで本時の展開を紹介します。
導入
 基本的な作図の復習
(1)角を二等分しよう。           (個人)
課題1「基礎の課題
(2)∠AOB=90°となる線分OBを作図しよう。(グループ)
 →作図の確認
課題2「ジャンプの課題
(3)大阪環状線と琵琶湖線の線路を作図しよう。(グループ)
まとめ
(4)(3)の作図について意見交流をしよう。 (全体)
(5)各自で今日の復習をしよう        (個人)
☆「学び合い」をどこでどう生かしていくか
グループ内での学び合いを通して、1人では分からない問題に取り組むことができ、また、理解につながる。
◎「基礎の課題」90°の作図(垂線の作図)は、180°の二等分線を書けばよいことに気づく。
◎「ジャンプの課題」の作図は、既知の作図を組み合わせることでできることに気づく。


以上ですが、「ヒット授業開発!学び合いを生かす授業案を検討しよう」というページが各教科ごとに載っていました。その中から2教科(抜粋)を紹介します。


美術】のヒット授業案「ボックス・アート~想いを詰めた小宇宙~」全8時間                                                  
1,課題の把握と発想・構想(3時間)
2,製作(4,5時間)
3,鑑賞(0,5時間)
この授業の見どころ(学び合いをどう生かすかなど)
 製作過程において、互いの作品を鑑賞する中で、自分にはない楽しい発想や優れた工夫を発見し感じることができる。また、そのような発想や工夫を自分なりに消化し作品に生かすことができる。


技術】のヒット授業案「エネルギー変換 電気スタンドの製作」(本時の展開)                          
・前時の確認 基板に正しく抵抗器が取り付けられているかを確認する。                                                        
・はんだ付けの仕方を知る。
・はんだ付けをする。
・次の部品を取り付ける。
・後片付けをする。
この授業の見どころ(学び合いをどう生かすかなど)
 各班ごとに座って作業をする中で、道具の共有を含めて、正しい使い方、正しい部品の取り付け方を生徒間で確認、指摘し、全体として精度が上げられることを期待する。


以上です。粟津中学校の先生方は授業の入り方を大事にしておられると感じました。これは授業参観した者でないとわかりません。生徒たちに本時の教材とどう出会わすのかに、心を配っておられたと言いかえてもいいでしょう。それをうまく伝えられないので、せめて、このページを読んでくださっている先生方の授業づくりにおける、前半の「基礎の課題」と後半の「ジャンプの課題」をイメージする参考になるのでは、と思って紹介しました。


☆子どもと教師の信頼関係を構築する授業づくり


滋賀県立草津高校の公開授業を、2~4校時に参観させていただきました。草津高校は、今、全国の学校関係者が最も注目している「学びの共同体」の実践校です。


私は一昨年秋に、滋賀県立彦根西高校の公開授業を参観して以来、昨年秋に大津市立志賀中学校、小牧市立米野小学校、先週に大津市立粟津中学校、そして、先日2012年1月26日(木)に滋賀県立草津高校の公開授業を参観して、20クラス以上の小中高の授業を観せてもらいました。


そうして確かめたいと思うことがいくつも頭に浮かび、この日、草津高校1,2年生の授業を参観しながら、得心することができました。草津高校の授業は、とても落ち着いていて、余計なおしゃべりに流されることもなく、華美な服装などでアピールすることもなく、生徒たちは授業内容に食らいつき集中していました。(楽しそうな場面も)廊下ですれ違うと「こんにちは」と気持ちよく挨拶してくれる草津高校の生徒たちでもありました。


まず、授業者の先生方が、本時の目標は持ちつつ、決してあせらないで、教え込むことを急がず、本時における教材と子どもとの出会わせ方に心を配っておられたことが、共通していたことでした。ですから、先生方は生徒の反応に耳を傾けながら、生徒たちの「学び」を保障しようとされていたので、結果として、「ジャンプのある課題」を次回に持ち越す授業もありましたが、子どもの学びを置き去りにして指導案どおりにひた走る授業よりは、ずっといいと思いました。


また、今回の草津高校の各授業では、導入をシンプルにするように心がけておられました。前時の確かめや、本時の展開の見通しなど、導入の仕方はいろいろでしたが、時間は3分程度だったでしょうか。生徒が本時の内容にサッと向かえるように、意識的に導入を短くなさっておられたように思います。


コの字型の配置で、「基本の課題」の全体学習をして、3~4人グループ学習を取り入れ、またコの字型で「ジャンプのある課題」を投げかけられ、グループ学習に移る流れが比較的多かったように思います。それは時と場合によって流動的でいいのでしょうが、先生方の語りかけがゆったりしていて、生徒たちにとって聞きやすいなあと感じました。例えば、グループ学習に入る時、


先生は、もうしゃべらんからね。あなたたちで解決してね


自信がない時は、横(の生徒)、前(の生徒)、教えてもらうんやで


教科書と、お隣(の生徒)の力を借りましょうなどです。このように、生徒たちが同じグループの生徒に質問しやすい空気づくりを、絶えず、こまめにされていました。


そしてまた、グループ学習をしている間は、机間支援をなさっていました。例えば、


ボソボソと聞こえてくるよね」(生徒たちに、聞き合うことを勧めておられる)


それ、隣の人に聞いてごらん」(その生徒の背中を押してあげるように)


これも、あと2分でいけるよね」(生徒たちの集中力を高めるため)


などです。びっくりしたのは、机間支援の時に、先生方がしゃがんで、イスに座っている生徒と同じ高さの目線で、声をかけたり、聞いたり、ヒントを言ったりされていたことです。これって小学校低学年だけの専売特許ではないんだな、高校生にとっても、とても安心できるんだなと、改めて感心しました。


さらに、先生方は生徒たちの表情をよく見つめ、つぶやきを拾い、言葉をかけなくても、生徒の発言にうなずいたり、生徒とアイコンタクトをとったり、まさに、先生方は豊かな「表情の七変化」「目は口ほどに物を言う」で生徒たちに向き合っておられました。グループ学習でも、例えば、ちょっと距離のある位置から、1人の生徒に言葉は言わずに、豊かな表情で「グループの子らに、それを言え言え」とそそのかす合図を送っておられる姿は、茶目っ気たっぷりで印象的でした。先生方ご自身の表情をよーく観ていると、生徒たちがどんな反応をしてくれるだろう、生徒たちがどこに気づいてくれるだろう、ということを内心ワクワクしておられるような気がしました。


こうして、私なりに得心したことをふり返ってみると、草津高校の先生方がチャレンジされていることは、小手先の授業のノウハウやテクニックではなく、生徒たちの声に耳をすましながら、生徒たちとの信頼関係を授業の中で構築しようとされているのではないか、ということでした。聴き合う関係づくりによってのみ実現する「対話し合えるコミュニケーション力の育成」であるとも言えます。そして、教師と生徒の間に生まれた信頼関係は、授業の空気として、生徒同士の信頼関係も醸し出していくのだということがひしひしと伝わってきました。ですから、草津高校全体の雰囲気が、参観者にも、しっとりと感じられたのでしょうね。言い忘れてはいけないこと・・校長・教頭・教務・研究主任のチームワークがあってこそ可能になる「学校ぐるみの取り組み」だということです。それにしても、校長先生の熱意には頭が下がりました。


以上、この日の草津高校をはじめ授業参観させてもらった5校の「学びの共同体」実践校は、こういったことを日々、大事にしつつ、授業づくりの中で、実はさり気なく積極的な生徒指導もしておられるのだと感じました。当初はご苦労も多々あったと思われますが、なんとかしたいという先生方があきらめなかったこと・・それは、佐藤学先生の言葉を借りれば、
学ぶことをあきらめない子どもは、くずれない


数学者の故・森毅(つよし)さんの言葉を借りるならば、


学びは人間関係の中に成立します」 


ムダを省いて答えを出そうという、効率主義の教育ではだめですということではないでしょうか。各小中学校や高校でも、ぜひ草津高校や彦根西高校、大津市の粟津中学校や志賀中学校、小牧市の米野小学校における学校ぐるみの実践を取り入れてほしいと、願ってやみません。教師の負担軽減の工夫を、学校ぐるみですることができれば、必ずや、取り入れられるはずです。後追い指導のしんどさの蓄積と疲弊から脱却し、温かい仲間づくりのできる授業づくりへ、同時に同僚性の再構築による学校づくりへ、180°転換することができた5校の小・中・高のように・・きっと。


石井順治先生が「東海国語教育を学ぶ会」HPの「学びのたより」2012年10月6日号の7ページから10ページにかけて、【「ケア」の心が授業づくりの基盤】を、わかりやすく書いておられます。これなくしては、「協同的な学び」の「グループ学習」も「ジャンプのある課題」も「つなぐ・交わる・戻す」も形だけに終わり、失敗に帰することが、よくわかります。私もそうですが、授業づくり・学級づくりがなかなか思うように深まらない理由を知りたい先生方は、直接「学びのたより」10月号(P7~10)を読まれること、オススメします。


学校現場の先生方は日々お忙しいことと思いますが、それでも自らの発想の転換になると思って、ぜひとも時間を捻出して、公開授業研に行かれることを、おすすめします。私は、できるだけ全学年授業公開の学校へ行くことを心がけています。全学年の普段着の授業からは、研究授業とはまた違う、多様なことが自分のペースで学べるからです。自分の凝り固まっていたもの(子どもとの向き合い方、コミュニケーションのとり方)にハッと気づける機会が、そして、そんな自分をしなやかに変えるラッキーなビッグ・チャンスがもらえます。


三重県伊賀市立河合小学校の学習指導案(本時)


2012年10月19日(金)は、校長先生のご厚意で、三重県伊賀市立河合小学校3校時の授業を、石井順治先生と一緒に6クラス参観させてもらったことは先週20日(土)に載せました(時間の都合で4,5校時は参観できず)。


さて、国語の物語文教材では、その場面における登場人物の様子をより豊かに思い描くことによって、初めて登場人物の心情に迫れると、私は考えます。場面の状況や、登場人物の言動・仕草・表情などをイメージできなければ、登場人物の気持ちはわからないと思うからです。その観点から、河合小の国語科(光村図書):物語文の学習指導案(本時の場面)に注目してみました。


1年生の国語「くじらぐも」は、いただいた学習指導案を私が紛失してしまったので、残念ながら書けません。


2年生:国語「お手紙」


全12時間の「手紙が来ないので投げやりになっているがまくんと、早く手紙が着かないかと待ちながら、がまくんの気持ちを引き立てようとするかえるくん」の場面(1/2)です。


『大切にしたい会話として、「まっているの、あきあきしたよ」「そんなことあるものかい」「お手紙をくれる人なんているとは思えないよ」「ばからしいこと、言うなよ」「だれもお手紙なんかくれなかったんだぜ」が挙げられていました。そして、発問に関わって、


「がまくんが、手紙をもらうことをあきらめているようで、あきらめきれないでいるがまくんの様子を想像させたい」』


と、前半の学習について書いておられました。そして、


『子どもたちの中には、がまくんのことをわがままだというように思う子もいると考えられる。そんな意見が出たときは、音読を入れて「ぼくのゆうびんうけは、空っぽさ」の会話を思い出させたい』


という留意点も書いてありました。そして、後半、大切にしたい会話として、


『大切にしたい会話として、「もうちょっとまってみたら」「ひょっとしてだれかが」「きょうは、だれかがきみにお手紙くれるかもしれないよ」が挙げられていました。そして、発問に関わって、


「かえるくんが、やさしくがまくんに接している様子や手紙が届くのを今か今かと待っている様子や気持ちを読み描かせたい」』


と、後半の学習について書いておられました。


3年生:国語「ちいちゃんのかげおくり」


全14時間の「四人で『かげおくり』をする家族とちいちゃんの様子」の場面(2/3)です。前半(P,4L,1~P,5L,12)の音読の後、


『「ね、今、みんなでやってみましょうよ」と言った言葉から、お母さんのどんな姿が思い浮かぶのか、想像したことを聴き合わせたい。「今」「みんな」という言葉を大事にしながら、考えさせたい』


と、前半の学習について書いておられました。そして、後半(P,6L,1~P7,L,12)の音読の後、


『空に上がったかげぼうしを見たときのみんなの様子を、会話文をもとに想像させたい。「記念写真」だと言ったお父さん、お母さんの思いについて、考えた発言があれば、ふくらませていきたい』


と、後半の学習について書いておられました。心を一つにして「かげおくり」をしようとしている四人の様子を思い浮かべることを大切にされていました。


4年生:国語「ごんぎつね」


全16時間の「兵十の様子や漁を見て、いたずらをするごん」の場面(2/3)です。本時の場面(P,7L,9~P,9L,9)を音読します。そして、


『子どもに考えさせたい主な文として、


・「円いはぎの葉が1まい、大きなほくろみたいにへばりついていました」と「円いはぎの葉」が顔の横についているのも構わずに魚を獲っている兵十の様子を思い描かせたい。


・「ちょいと、いたずらがしたくなった」気持ちは、雨があがり、ようやく外に出られたごんの様子を考えながら思い描けるようにしたい。


・「ごんは、びっくりして飛び上がりました」「一生けんめいににげていきました」この時のごんの様子を考えさせたい。


・「あなの外の草の葉の上にのせておきました」という文から、うなぎを食べたかったのではなく、兵十と関わり合いたかったというごんの思いを考えさせたい。そのために・・・』


と、ごんや兵十の様子、周囲の情景を思い描くことを大切にされていました。


5年生:国語「大造じいさんとガン」


全13時間の「おとり作戦」の場面(3/3)です。本時の場面(P,114L,8P117,L,7)を音読します。そして、


『大切にしたい表現として、


・大造じいさんは再びじゅうを下ろしてしまいました。


・残雪の目には、人間もハヤブサもありませんでした。ただ、救わねばならぬ仲間の姿があるだけでした。


・ただの鳥に対しているような気がしませんでした。』


の、3つをあげておられました。そして、


『きっかけとなる発言が出た時には、グループでの聴き合いの時間をつくる。深く考えさせたいときには、音読にもどす。』


など、グループ学習のタイミング、音読を入れるタイミングを大切にされていました。


6年生:国語「やまなし」


全7時間の「十二月」の場面(2/2)です。本時の場面(P,108,L,7~P,112L,12)を音読します。そして、


『大事にしたい言葉として、


・ラムネのびんの月光


・波が青白い火を燃やしたり消したり


・トブン


・子どもらのかには首をすくめて


・ぽかぽか流れていくやまなし


・かげ法師がおどるようにして


・水はサラサラ鳴り


・月光のにじがもかもか集まりました』


の、8つをあげておられました。そして、


『・十二月の谷川の様子やかにの兄弟の様子を五月と比べながら思い描かせる。(冬の夜、透き通る冷たい水、兄弟たちの会話)』


『・かわせみがおそってきた時と、やまなしが落ちてきた時のちがいを通して、谷川に広がる世界を読み描かせる。(いなくなった魚と、流れていくやまなし。あたりに広がるにおいと、後日の楽しみ)』


など、比喩表現や擬声語・擬態語に着目しながら読み味わうことを大切にされていました。考えを深められない時は、音読にもどる、とのことです。


「聴き合い、学び合う」授業づくり=「聴き合い学び合える仲間」


三重県四日市市立浜田小学校は、学年3クラス規模の小学校です。これを中規模校と言うならば、昨年は小規模校と言える三重県伊賀市立河合小学校の公開授業を、一昨年は大規模校と言える愛知県小牧市立米野小学校の公開授業を、それぞれ参観しておりますので、念願の中規模校でもありました。河合小でも米野小でも、着実な成果を見せてもらいましたので、今回もワクワクしていました。


研修(研究)主題の説明が書いてある文章の冒頭にこう書いてありました。


『「聴き合い、学び合う」授業づくりに取り組んで4年目になります。』


全教職員が一致団結して、学校ぐるみで取り組むことの重要性を、参観して感じました。


また、次の一文もありました。


『この3年間、「学び合い」に取り組んできた中で子どもたちの姿が、少しずつではありますが、確かに変容してきました。1冊のノートをのぞき込んで、顔を寄せ合いながら互いの考えを聴き合う姿、「ここまで考えたんだけど、この後が分からないから教えて。」と、みんなに問いかける姿、友だちの考えをうなずきながらじっと聴く姿、何度も何度も失敗をくりかえし、それでも「もう一回やってみようよ。」と挑戦し続ける姿・・・など、子どもたちが互いに寄り添い、学び合っている姿を、多くの授業で見ることができました。』


この控えめな一文の裏側には、先生方のご苦労がぎっしり詰まっているのだろうなと思いました。受付した後、参観者控え室で、この文章を読みながら、これらの姿を自分の目と耳で確かめたいと思いました。2時間目も3時間目も、各10クラスずつ授業公開されますから、さて、どうしようと迷いました。


それで、自分が知っている教材の授業から参観しようと思い、まず、国語「モチモチの木」の授業をしている教室に入りました。担任の先生が、本時の場面「豆太はみた」を、各自で音読するように指示されたであろうことは、記憶に残っていません。と言うのも、自分のペースで自由に音読を始めた約30名の子どもたちの姿に、私の目は釘付けにされてしまったからです。うまく書き表せないのですが、まるで、心を込めて歌っているかのような、各自が音読する姿がありました。それは決して、教え込んだ画一的な表現ではなく、1人ひとりの内面から湧き上がってきた表情・眼差し・声でありました。言いかえるなら、子どもそれぞれの個性や読み(読解)、子ども同士の聴き合える関係性、子どもと先生の温かい関係性などが、つむぎ合い相互作用しながら、いっそう豊かな音読として、私たち参観者の心をも揺さぶったとも言えるでしょう。私は、子どもたちの自由音読で感銘を受けたのは初めてでした。これを全身全霊で自らの魂を込めた音読と言えばいいのでしょうか。


さらに、グループ学習では、3~4人が顔を寄せ合いながら、互いの考えを聴き合う姿がありました。そして、クラス全体で意見を出し合う場面では、発言している子の顔をクラスの子らがじっと見つめていました。1人の発言に、子どもたちが共感する(どよめく)場面も見せてもらいました。友だちの発言内容によって、子どもたちはうなずいたり、つぶやいたりするなど、聴き合っているからこその空気が充満している授業でした。担任の先生が終始にこやかな柔らかい表情で、静かにゆったりと問いかけながら、語る時も聴く時も子どもたちの顔から視線をはずさず、子どもと子どもの発言をつなごうとされている姿は、何ともあったかい、ええ雰囲気を醸し出しておられました。そこには、担任の先生が普段から大事になさっていること、それを学校ぐるみで積み重ねてこられたことの一端が垣間見られたような気がしました。それほど、子どもたちが「聴き合い学び合える仲間」に育っている浜田小学校でした。


「話を聴ける子どもは、子どもの話を聴ける教師の元で育つ」


大津市立真野北小学校は、学校ぐるみで「協同的な学び・聴き合う学び」に取り組まれて2年目だと伺いました。


授業が始まると、子どもたちの学習を見守る同校の先生方の温かな眼差しと、子どもたちの発言に耳を傾ける(耳をすます)先生方の姿がありました。


具体的なご様子をいくつか・・。


発言する子どもの顔を見つめながら、うんうんとうなずく先生方がおられました。


そして、他の子どもたちを絶えず見回しながら、その反応(表情の変化・つぶやき)を見逃さない先生方がおられました。


子どもがグループで話し合う場面では、そばにしゃがんで(同じ目線の高さで)、にこにこしながら子どもの発言を聴く先生方がおられました。


とにかく、まるで自分が担任みたいに、心底うれしそうなご様子で参観されている先生方がおられたのです。


同校の先生方は、このクラスの子どもたち1人ひとりのことを実によく知っておられる様子で、「全校の子どもたちを全校の先生方で育てる学校ぐるみの取り組み」とは、こういう懐の深いお姿にも表れるのだなあと感じ入りました。


日々のそういう先生方のお姿があればこそ、子どもたちも不安から解放されて「ぼくがわたしが安心して学べる学校」だと実感できるのではないでしょうか。


その後の研究協議会(子どもがどこで学んだか、自分は何を学んだか等)には、個人的な時間の都合で参加できずに残念でした。


受付でいただいた冊子は、シンプルで読みやすい指導案(やたらと分厚い指導案よりずっとよい=教師の負担軽減のひとつ)の次に、校内研究について、わかりやすく書いてありましたが、その中から2つ紹介させてください。


1つは、「グループ学びと班学習の違い」です。


グループ学び


>△互いの考えを聴き合うことが第一。


>△すべての子どもの考えを聴こうと意識する


>△一人ひとりが自分の考えを聴いてもらう。


>△考えをまとめたり、ある特定の考えに絞ったりしようとしない。


>△互いの考えを聴き合い、すり合わせることにより、一人ひとりが自分の考えに磨きをかけて深めていくことを目的とする。


班学習


>△必ずしも全員の考えを聴かなければととらえるわけではない。


>△雄弁な子どもがことばの大半を独占することもある。


>△班としての考えを見つけ出すことを目的にしていた。


>△班の誰かが班の考えとして発言することがほとんど。


>△考えをまとめようとする。


もう1つは、「教師の意識を変える!」です。


>①多弁を慎む


>◎教師がすぐにしゃべってしまう習性を克服する。


>(例)○子どもが語ったことに対して、他の子どもが反応する前に、その子のことばを繰り返して言ってしまう。


>○子どもの考えを十分きかずに説明してしまう。


>○教師の都合のよい方向に誘導してしまう。


>◎間(ま)が必要。



>②発言優先主義から抜け出す


>◎発言を促す指導がいけないというわけではない。


>◎発言を増やすために聴くのではない。


>◎聴きたい、聴くことがおもしろい、聴いてみんなで考えていきたいという意識を教師が率先してつくり出す。


>(例)○「発表してください」→「聴かせてくれる?」


>              「聴く」意識を強くする



>③聴き上手な教師


>◎話しやすい雰囲気=信頼感


>○「先生はどんなことでもちゃんと聴いてくれる」


>○「多少ずれていても、間違っていても、ちゃんと向き合ってくれる」


>○「ことば足らずで話しても、意味づけをしてくれる」


>◎ほめる


>○「~さんの~という考えを聴いて○○さんはこんな疑問を感じたんだね。その疑問いいねえ!」


以上、なるほど!ですよね。


関連ページ


「協同的な学び合い(聴き合う学び)」⑦市内の全小・中学校で取り組む【目的は荒れの解決→学力も向上】【若い先生を育てる学校】

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898331/




by takaboo-54p125 | 2012-01-30 04:34 | 保育・教育