幼小連携「共に、やってよかった」と思えるための【4つの原則】東京都中央区立有馬幼稚園・小学校と秋田先生

「幼小連携のカリキュラムづくりと実践事例」執筆:東京都中央区立有馬幼稚園・小学校、執筆監修:秋田喜代美(東京大学)小学館、を読んで、なるほど!と思ったことを抜き出して紹介します。


実践に必要な「3つのD」を、秋田喜代美先生は、大事な活動とされました。                                    
◎実践をデザインすること。
◎心・記録にとどめるドキュメンティション。
◎対話し、語り合うダイアログ。


そして、連携をデザインする原則として、秋田先生は、4つあげておられます。


◎互恵性・・一方向的関係・・どうにかしたい・・向き合いの関係だけではなく、並んだり、混ざり合ったりと多様な関係が生じるように・・「思いやりが育つ、やる気がおこる」・・小学生の学びが広がり、園児の遊びが広がるようにと、「知」の部分についても‥教師が・・相手の園児や小学生にも恵みがあるように考えるという心の働きも生まれて・・


◎継続性・・互恵性と表裏一体・・多様な関係が生まれ・・意図的・・自然発生的・・日常化を図るためには継続が必要・・ある行事を一緒に行うためにはいつごろから、どのように行っていけば、子どもたち同士のためによりよくなるだろうか・・


◎名づけ合う関係性・・顔が見える関係の重視、できるだけ名前をわかりあえる交流や、共に名前をつけていく交流・・「△△くん」と「□□ちゃん」がかかわり、楽しみ合える関係・・名札・・ペア・・握手・・お礼の手紙‥親密な関係を作り出すことを学ぶ・・名づけが生まれることで共有感覚・・


◎物語り性・・思わぬハプニングや失敗・・次の展開をもたらすことも・・物語りは特定の場面だけではなく、起承転結がある・・子どもや出来事の見方には完結はなく常に進行形・・


有馬幼稚園における、各年齢ごとの基本的な考え方がのっていました。
3才児  3才児にとっては初めて親元を離れ、幼稚園という集団生活に入り、園生活の仕方を知ったり、いろいろな行事に参加したりする。このことが、「くらし」「社会」「文化」との出会いと考える。幼稚園での生活に慣れてきた2学期後半からは、行事としての出会い、4才児、5才児からの刺激が受けられる機会を計画的に入れていく。また、小学生との自然なふれあいもできるようにしていく。                        
4才児  幼稚園の生活の中で、なりたい自分のモデルとなる5才児の姿を見ることで、身近な「くらし」「社会」「文化」との出会いができるようにしていく。園外でもいろいろな行事を通して、身近な地域社会との出会いを意図的に設ける。加えて、小学生との自然なふれあいができるようにし、小学生側から生活科や総合的な学習などで学んだことの発表や、かかわる相手としてのアプローチがあった場合には、積極的に取り入れていくようにする。
5才児  年長としての生活が軌道に乗り始める2学期から、なりたい自分のモデルとなる小学生や、地域の人(特に同じ地域に暮らす保育園児)と出会う機会を設けていく。また、その場だけの交流やイベント的な活動にとどまるのではなく、1つの出会いが次の出会いへつながっていくような流れを持つプロジェクト型の活動になるように、年度の初めから段階的に出会い方や深まりや広がりが持てるようにしていく。


「幼稚園でおさえること」として、有馬小学校の教師へのアンケート調査結果を、有馬幼稚園が集約された3点。
◎人への信頼関係の基盤を培う。
(先生と遊ぶ→友だちと遊ぶ)教師への信頼を出発点にして、仲間との関係をつくる
3才児においては、教師とのつながりが重要なポイントになっています。幼児が初めて家庭の外の社会である幼稚園へ行き、そこで教師に信頼感を抱くことは、人間関係の基盤を培うことにつながります。幼児は、教師に信頼感を抱き、安心して遊び、生活を広げていきます。その中で、自分の力を発揮して自信もつけていくのです。
4,5才児の友だち関係にかかわる内容(抜粋)
4才児 いっしょに遊びたい友だちと遊ぶ中で、自分の気持ちを言葉で伝えたり、友だちの言動や動きを感じ取ったりしながら、遊ぶ楽しさを感じる。
5才児 みんなでする活動に喜んで参加し、つながりを感じながら、相手を意識したり、友だちに対応したりする動きを楽しんだりする。グループの中で1人ひとりが持ち味を発揮し、お互いの持ち味を生かしながら、遊びを進めていく楽しさを味わう。クラスの中で1人ひとりが生かされる喜びを感じるようになり、どの幼児も満足感を味わいながら自信を持って行動する。
◎基本的な生活習慣を身につける。
(あいさつ、食事、排泄、衣服の始末、かたづけ、集団で話を聞く)
◎五感をゆさぶる、体のいろいろな機能を使って発達を促す。
(視・聴・臭・味・触の感覚を総動員)身体のいろいろな機能を使う


「つなげる」ことから生まれる3方向の「つながり」として、秋田先生は、小学校の多様な学年とのつながり、保育園とのつながり、幼稚園内での年長・年中・年少のつながり、を指摘されています。


また、幼小連携のもたらすものとして、次のように示唆しておられます。                                  
「連携は、大きく仕組まれた出来事だけではありません。・・つぶやく子どもがいます。そこから小学校への期待や質問を取り上げ、かかわりが始まります。・・お礼の気持ちを届けます。他者を気遣う感受性と想像力、他者が自分に与えてくれるものを受けとめて差異を問い、対話することからつながりが生まれてくるのです。そして、その場に立ち会った人が連携の可能性に気づいていきます」
「ルイ・アラゴンの『教育とは共に希望を語ること、学ぶとは胸に誠実を刻むこと』という言葉は新たな園づくり、学校づくりを考える支えになるでしょう。それは、園や学校を拓く連携を考える人たちにとって、常に求められる姿勢です」


そして、園児にも小学生にもそれぞれ「恵み」をもたらす実践事例(幼稚園・小学校)が、いくつも紹介されていました。直接、本書をお読みくださることをおすすめします。(図書館で見つけました)


私は本書を読んで、幼小連携の4つの原則に、その中でも、とりわけ「互恵性」と「名づけ合う関係性」のある幼小連携の実践に、取り組む価値を強く感じました。例えば、小学生がしてあげたことを、4才児は遊びに生かし、5才児はそっくり真似をし、「ありがとう」と言われることで、小学生は、園児のためにしてあげてよかったと感じる、そんな心の交流が生まれる実践です。また、「△△くん」と「□□ちゃん」がペアで関わることで、年下の子への思いやりと、年上へのあこがれのモデルが生まれ、それが入学後、異年令の人間関係の継続性につながっていくような実践と言えばいいでしょうか。


幼稚園でも保育園でも、卒園して小学校へ入学していきます。その時の、「小1プロブレム」とも言われる段差を、いろいろな角度からスモール・ステップとして乗り越えるために、幼稚園や保育園から小学校に対して、「互恵性」と「名づけ合う関係性」のある幼小連携(保小連携)を提案(要望)されてもいいのではないでしょうか。それは、小学校にとっても恵みのある、ありがたい提案だと思うのですけどねぇ。

関連ページ
幼小連携②東京都の幼稚園・小学校の【「共にやってよかった」と思える実践】秋田喜代美先生の助言+【保護者が園を選ぶポイント】「引き継ぎ」で忘れてはならないこと
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898315/


by takaboo-54p125 | 2011-08-02 05:44 | 保育・教育