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今どきの子どもたちが「人間関係から自分を守る方法」その3

1月28日(金)は、「はみ出すって、勇気いるし」でした。高校3年生男子(千葉)は、高2の秋、黒髪の内側だけ緑色に染めていたと書いてありました。


『「人と違うことをしたいけど、目立ちたくないんです」本当は全体を緑一色にしたかった。でも、皆に注目されると思うと、美容師に言えなかった。服装も髪形も自由な高校にあって、彼はおしゃれと評判だ。小学校に上がる頃から、買いたい服を自分で選んできた。古着もよく着る。多くが「一点モノ」で、人と重ならないところが気に入ってのことだ。ただし、着こなしはあくまでこぎれいに。試してみたいファッションでも、やや目立ちそうだとブレーキをかける。「だって時代的にも、人と違うことをやる若者っていないじゃないですか。派手なことをしない時代だから」時代、時代とたびたび言う。時代がどうあれ、やってみれば良さそうなものなのに。「インプットされたのかな」とふり返ったのは、30代の担当男性美容師の言葉だった。「今の若い子はみんな、落ち着いてるよね」1990年代は派手な髪の色が珍しくなかったし、原宿も今より個性的な若者があふれていたのに。そう批評され、確かに周りは似た格好ばかりだ、と受けとめたと言う。「それに、そんな中で目立つ格好をするのは勇気と情熱が必要だし」自分は同級生に「奇抜なことをするキャラ」だと思われていないのに、キャラを変えてまで注目を集め、悪い評価しかなかったら、恥ずかしさだけが残る。友だちとうまくやっていくには、冒険しないで合わせておいた方がいい、と言うのだ。「息苦しいですけどね」と苦笑する。「時代」という名の、大人による若者観と、同級生の中のキャラ。この二つの枠をはみ出せないことが、葛藤の背景にはあった。でも、本当は人と違う生き方をしたい。「みんな似たようなスーツのサラリーマンにはなりたくないなあ」とつぶやく。通学の電車で、ぶつかっただけで激高したり空席めがけて走ったりするサラリーマンに日々うんざりしていた。スーツという装いに感じていたのは大人たちの方の「息苦しさ」だった。春、大学生になる。今は誇れるものがないから、「勉強に打ち込んでみたい」髪は丸刈りにするつもりだ。』


1月29日(土)は、「キャラは鎧(よろい) 生き抜くため」でした。               


大学生作家が自分の高校時代をふり返っていました。


『高校の入学式の日のことは、はっきり覚えています。名簿の名前を見て「この子はきっとクラスのリーダーになるだろうな」と考えたり、容姿や制服の着こなしを見て「こいつは‥」と判断したり。自己紹介のあいさつも、悪い印象を与えないように、無難にこなそうとしましたね。みんな「最初が肝心」と思っていました。僕は、学校では元気で明るいキャラを演じてみました。当時から小説を読むのも書くのも好きでしたが、周りには本好きはいません。だから、そうした面を気づかれないようにしていました。活発に動くキャラの方が、学校生活を過ごすには便利だと考えていたのです。でも、今は逆に本好きな面を武器にしてキャラをつくっています。僕が通う文化構想学部の学生は作家や俳優になりたい子ばかり。読んでない本も「読んでいる」と言わなければ、というふうに、逆の作り方をしないといけないんです。子どもにとって、「素」のままの過ごすことがラクだとは思えません。素を出していったって、それが嫌われてしまったら他にすべがないじゃないですか。キャラをつくっていけば、たとえそれが否定されたとしても、「もう一つある」と思えるからラクなんです。「本当の自分はちがう」と盛んにアピールする子もいました。いつもは明るいけど、けっこう考え込むたちなんだ、って。二層あると思わせたがっていましたね。一方のキャラが傷つけられても、もう一方が残っている。そういう保険をかけていた気がします。学校生活を楽しく過ごせるなら、キャラをつくっても全然かまわないと思います。子どもが自分を装っていることに気づき、親や大人が不本意に思うこともあるでしょう。しかし、ギリギリのバランスで成立しているのが子どもの世界。大人は首を突っ込まずに見守ってほしい、と考えている子が多いはずです。』


なるほど、キャラは、鎧(よろい)なのですか。人間関係を構築する「すべ」を知らない子どもたちは、いつも人間関係に気づかい、自分をよそおうことで、自分のこころとからだを守ろうと必死なんだということが、すごく伝わってきました。シリーズをとおして、肉食系女子と草食系男子という表現のことも、なんとなくですけど少しだけ理解できた部分もあります。保険をかけてつき合うということは‥。保険をかけられないピュアな子は‥。


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http://sg2takaboo.exblog.jp/24898220/
                                                                                                               



by takaboo-54p125 | 2011-02-03 05:41 | 子育て支援