人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「中1ギャップ」教師ができる7か条【先生、そんな言い方しないで】【コミュニケーションを大事にする事例】「高校の卒業式」で大切なこと

2010年夏休みに中学校(大規模校)の校内研修会に呼んでいただいて、模擬授業の提案はしてみたのですが、

「中学校の先生方の日々のご苦労に応える内容とは言えない」という気持ちが残りました。

むしろ「教師は授業の始まりのチャイムを教室で聞こう」という取り組みを、

大規模校の先生方が実践しておられることに感動しました。

教師の姿(生徒に手本を示すこと)で生徒を指導する教師集団に心から敬意を表します。


そんな時に、たまたま図書館で

「中1ギャップ ー中学校生活になじむ指導のポイントー」(学事出版)

という本を見つけました。

北海道の小学校と中学校、東京の特別支援学校の3人の先生の共著です。

つまみ食い(ごめんなさい)みたいな紹介をしますが、

本当は、本書を直接お読みくださることをオススメいたします。

校区研などで、小中の先生が論議する時の参考にしていただけたら、幸いです。


小学6年生の担任へお願いしたいこと(10のポイント)(生活面を中心に)
・進学の不安を取り除くためにできることは何かを常に考えてやってほしい。
・中学1年生の1年間の流れや、大きな行事について見通しを持たせてほしい。
・友だち同士で問題解決する力を育ててほしい。(担任がいつも教室にいるわけではない)
・板書を書き写すスピードを速くしてほしい。(量が格段に増えるので速さが求められる)
・週に1度は外遊びをする習慣を定着させてほしい。(特に女子は激減する)
・ユーモアのセンスをみがいてやってほしい。(苦しい場面をのりきる知惠になる)
・寒暖に合わせて、衣類の調整ができるようにしてほしい。
・場に応じたあいさつができるようにしてほしい。
・身のまわりの整理整とんができるようにしてほしい。
・九九やローマ字、漢字、定規の操作、視写など、学習の基本を定着させてほしい。
【この10個は、できるできないはともかく、担任が意識することは大切です】


中学1年生の担任へお願いしたいこと(10のポイント)
・小学校の行事を見に来てほしい。(運動会などでの6年生の動き)
・小学校最高学年での経験を生かしてほしい。(引き継ぎで聞いてほしい)
・知り合える機会を多く創出してほしい。(4月の出会いの演出)
・多様な発言の場を確保してほしい。(グループ学習など)
・学び方を指導してほしい。(予習の具体例をいろいろ、テスト勉強の具体例もいろいろ)
・具体的例示も示しながら授業も行ってほしい。(とりわけ数学は抽象度が増すから)
・小学校で身につけた技能に着目してほしい。(小の国算ノートで、そこそこわかる)
・子どものよさの情報交流を活発に行ってほしい。(教科担任どうしで)
・力関係のシステムを発動させない指導を意識してほしい。(給食など目の届きにくい所)
・人間関係の様々な枠組みを取り入れてほしい。(小学校は子どもの組み合わせが多様)
【不安と緊張の中学校生活になじむために、学年担任団で意識したいことです】


特別な支援が必要な子どものために全教師にお願いしたいこと
・わかりやすい情報提供こそ、コミュニケーションを成り立たせる。
・いつ、どこ、だれ、なに、の情報をわかりやすく示してあげてほしい。
・行動を分析する目を鍛えよう。(共感的に発想して、今までの常識を疑おう)
・支援の情報を得て活用することに、いつも注意をはらおう。(知らなければ調べよう)
・「特性」と「こだわり」の活用が改善への近道と考えよう。
・過敏性への配慮をすること。(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚過敏の子がいる可能性大)
・過去の苦しい記憶を思い出させないような支援をしよう。
・音声情報よりも視覚情報を活用しよう。
・「耐えさせること」に絶対の価値を置いた指導は排除しよう。

(その場面での子どもの苦しい気持ちを、教師が言語化・代弁しながら、他の場所に移動させよう)
・保護者や同僚と情報を共有しよう。
【「つらかったね。ほっとする所へ行くよ」という共感的な声かけと場所移動、

教師が「そのままでいいんだよ」というOKサインを出してあげることで、

パニックになりそうな局面を、うまく避ける行動が徐々に身につくそうです】』


すでに取り組んでおられる点も数多くあるかも知れませんが、本の紹介は以上です。

改めて、本書を直接お読みくださることをオススメいたします。

小中が連携するために、論議のたたき台になります。

以下は、この夏休みに中学校の校内研修会に持参いたしました資料の一部です。

使えるところが一つでもあれば、ご活用ください。


中1ギャップ:学級づくり(生活指導・学習指導)のベース7箇条


① 朝の健康観察で生徒の心の様子を見抜こう
 朝の健康観察でクラス担任が一番大切にしなければならないことは、生徒一人ひとりと目と目を合わせてみることです。

目を合わさない生徒は要注意です。

生徒のまなざし、表情、仕草、返事、声の状態等、毎朝どの生徒にも目と目を合わせてみるのを続けていると、
その子が心から元気に出席しているのか?
その子がイライラした心で出席しているのか?沈んだ心で仕方なく出席しているのか?
今日の気になる状況の子はこの子とあの子というふうに、一瞬で感じるようになります。 

そうなれば、その日、声かけを意識的にしてやらなあかん子がカウントできます。

気になる子には、そっと声をかけます。

それで、家で何かあったことを背負ったまま登校してきたことがわかれば、保護者への対応が必要か教師間で相談できます。

部活の朝練や、朝の教室などであった生徒同士のトラブルを引きずっていれば、話を聞いてあげて、対処することもできます。

教師は忙しい仕事ですから、後手に回るより、先手必勝です。

つまり、朝の健康観察こそ、積極的な生徒指導のシンプルな実践なのです。


② どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる
 4月、「どの先生も同じ思いで、同じこと言わはる」「先生たちは口先だけちゃう」
と生徒たちに思わせることが、生徒指導上いちばん大事なことかも知れません。とりわけ、
『学習に必要のない物を持ってきてよいかどうかの○×は、全教師が一致結束すること』
『完全下校時刻を守らせることの徹底は、一人の顧問も勝手に例外をつくらないこと』
この二つがおろそか(見て見ぬふり)になると、持ち物や時間を守らない生徒が増えます。

部活終了時刻は、体育館、グランド、武道館など、それぞれの場所で、隣同士の部活の顧問が、お互いに声をかけ、

全教師が徹底して時間を守る手本を生徒たちに示しましょう。


③ 授業の導入だけは教師間で交流しよう
 ただでさえ忙しい職員室ですから、最低限、日々の授業の導入だけでも教師間で交流しましょう。

毎日の授業の導入の善し悪し(出来・不出来)の積み重ねが、学級づくりを左右します。

生徒が食いついてくるような導入、生徒の瞳が輝くような導入を、日頃から同学年部や同教科の教師間で交流し、

導入の『引き出し』をたくさん共有している教師集団になってほしいと思います。

もちろん、あの手この手を使っても、なかなか学習に集中できない生徒は、決して少なくありません。
「A君、こっち向いて」→「うれしいな。向いててや」
「Bさん、教科書出して。○ページ開けて」→「すばやいな。えらいぞ」
「C君、ノートに書くんやで」→「できるやん。かしこいなぁ」
このような当たり前のことが出来ていない生徒にこそ、
『こまめに指示を出して→ほめること』(豆つぶのようなスモールステップ)のくり返しを、4月から6月まであきらめずに粘り強く続けてみてください。

勝手気ままに立ち歩く生徒らとのガマン比べになりますが、3か月やり通したらクラスは、きっと落ち着きます。


④「失敗は成功のもと」の体験を共有させること
 国語の音読です。挙手したA君、硬くなり読めません。

周りの子は「早く」とせかします。

先生は「手を挙げたの、えらいね。一人じゃ緊張するもんなぁ」とA君に微笑みながら「なあ、みんな」と周囲にも同意を求めました。

周りの子も「わたしも緊張するわぁ」「ぼくもや」と相づちを打ちました。温かい雰囲気になりました。

これでほっと安心できたA君は、次の先生の問いに挙手して指名され、今度は大きな声で答えました。
 以上、立ち直りへの支援が自立をうながす実践の紹介でした。

この先生は、A君が挙手した意欲を「えらいね」と認め、

読めなかったことは「緊張するもんなぁ」と支えながら、

「なあ、みんな」と周囲にも共有させて、再度A君を指名して自立をうながしたのです。

ちょっとした配慮・気配りで毎日できる実践です。


⑤ みんなの前でうまくしゃべれない子のために
 みんなの前で話すのが苦手な子は、「うまく言えなかったら…」「笑われたら…」と思っています。

過去にけなされたり、否定された経験があるのでしょう。

4~5月は、そのこわばりをほぐしてあげる時期です。

間違わない子は一人もいない、間違うことは賢くなるために大切などなど、教師から日々具体的に発信します。
 ボソッと単語で発言したり、モゴモゴ言っちゃう子だって、気持ち(思い)はいっぱいあるはずです。

だから、それをみんなに予想させて、その子の代弁をしてもらうのです。
「○○君が言いたいことの続きがうかんだ人、いるかなぁ?」
「○○さんが言いたいのは、たぶん、こういうことやと言える人、いるかなぁ?」
というふうに、ボソボソ発言・モゴモゴ発言は、つまずき(失敗)として流すのではなく、

みんなの発言をつないでいく貴重な出発点として評価してあげるとよいのではないでしょうか。

こういう教師の姿が毎日・毎時間見られるクラスでは、安心して発言しやすい空気が教室全体に生まれてきます。さらに、
「先に言われてしもうた」

というつぶやきが減り、みんながお互いの発言を聞き合おうとするムードが教室中に広がってくるから、教師の『ひと言』って大きいですね。


⑥ トラブルはその子とつながれる絶好のチャンスだ
 それでもトラブルは起こるものだと思っておきましょう。

トラブルが起こったら、その子とつながれる糸口だと思いましょう。その子の言い分をウーンと聞いてあげます。
「困ったねぇ」と言いながらも、安易に同調(他の子や他の教師への批判)はしません。

あれこれ言い訳をするうちに、その子のさびしさ・かなしさ・くやしさをチラッと見せてくれます。それを逃さず、
「きみのくやしい気持ち、よーくわかったで。ほんまにくやしかったんやね」
「そうか、つらかったんやねぇ。それで腹が立ったんやぁ」
と、その子の気持ちには共感(その子の思いをその場で代弁)したあげたいものです。
 そういう教師のひと言があるか、ないかによって、その後の教師の指導(語りこみ)がその生徒の心の中まで届くかどうかが決まります。 
 その前に、その生徒の背景(過去・現在)を教師が理解しているかどうか(その子とどうつながれたか)で、

教師の言葉のトーン(生徒にどう聞こえるか)が変わってきます。


⑦ 「テスト勉強の方法なんか、わからへんもん」
 帰りの会、連絡帳に宿題「テスト勉強」を書くD君(中学1年)がつぶやきました。
「どうせ、テスト勉強の方法なんか、わからへんもん」
次の日、学活の時間『すばらしい中学生になるために テスト勉強大作戦』プリントと、1週間のテスト勉強計画表を配りました。

中間テストの1週間前が来るまでに、もう一度テスト勉強の計画表づくりと、テスト勉強のいろんな方法を知って練習するためでした。

そのきっかけを、D君がくれたのです。
 計画表は作るのを楽しむつもりでやろう、色分けしてカラフルにしてもいい、

途中で計画だおれになったら、また新しい計画表を作ったらいい、という話をしました。

計画を立てるのが好きな子になってほしかったのです。 

テスト勉強の方法は三つ教えました。
毎日こつこつ勉強法(例:その日習ったページを音読するのを、毎日やってみよう)
くり返し勉強法(例:単語を書くのを何度もくり返すと、覚えるのが得意になるよ)
五感勉強法(例:声に出して読むと耳からも入るし、書くと目からも入り、二倍お得)
『継続は力なり』『くり返しも力なり』『目だけとちがうで!手も口も耳も力なり』です。
大事な所に線を引く、手で隠して試しテストをする、友達と質問合戦もしてもらいました。


すばらしい中学生になるために『三つの勉強法』大作戦


テスト勉強は、次の三つの勉強法をおすすめします。


五感勉強法
 『五感勉強法』とは、目、耳、口、頭、手を全部使う方が、どれかひとつを使うより、覚えやすいし、忘れにくいということです。
 見る(読む)、

聞く(自分の音読する声は耳から頭に入る)、

話す(音読するなど、声に出す)、

考える(問題をやってみる)、

さわる(手でペンを持って、ここだと思う所をノートに箇条書きする)など、

体の全ての器官を総動員してみましょう。
 声に出して音読したり、マーカーで大切だと思う所に線を引いたり、手でかくして言えるか試してみたり、大事だと思った所をノートに書き出したり、

いろいろやってみてください。
 「五感は力なり」「手も耳も口も力なり」です。


毎日コツコツ勉強法
『毎日コツコツ勉強法』とは、その日習った所を声に出して読むという復習も含め、最も大事な勉強法です。
 身について離れない力(実力)をつけるための、勉強のコツは、毎日コツコツ続けること以外にはなく、

このことこそ、遠回りのように感じる人もいるでしょうが、一番の近道(王道)と言っても、言い過ぎではありません。
 全部覚えてしまおう、というくらいの気持ちでやりましょう。毎日、時間を決めて、短時間でもいいから続けることです。長時間だと、長続きしません。
 プロのスポーツ選手など、世の中で成功した人たちが、成功の秘訣を聞かれて、答える言葉で多いのが、「継続は力なり」なのです。


くり返し勉強法
 そして、最後の決め手が、『くり返し勉強法』です。
 テスト前の一夜漬け勉強では、本番で覚えていられる部分がどうしても少なくなってしまいます。
 ところが、同じことでも、くり返しくり返し覚えようと意識していると、だんだん覚えることに慣れてきて、そのうちに忘れにくくなるのです。
 不思議ですが、「くり返しも、また力なり」と言えます。


以上、『五感勉強法』『毎日コツコツ勉強法』『くり返し勉強法』の三つについて書きましたが、この三つの方法を組み合わせて、やってみてください。

自分に合う方法が見えてきますよ。

自分に合う方法が見つかれば、続けられるようになります。

そうすれば、きっと、じわじわと身について離れない力がついてくるでしょう。

今からチャレンジしていけば、相当な実力アップができるはずです。


おまけ(プラス5)
① 生徒への声かけは、わざと「こらっ」から入らないことを意識しましょう。

これができるようになると、教師としての器が「ひと回り」でっかくなります。

そういう先生を、生徒たちは尊敬して慕うようになります。

子どもは、自分らの話(気持ち)に耳を傾けてくれる先生の言うことは聞きます。


② 他のクラスの子のキラッと輝く瞬間をメモして、担任の机上へ→担任がその子をほめる『キラッと見つけ』の取り組みを職員室全体に広げましょう。

取り組んで成果を上げている小中学校も、けっこうあります。


③ うまく言えなかった発言や失敗発言を大事にする教師は、その子らの気持ちがへこまないように、その発言を生かして、授業をつないでいきます。

いわゆる「学びの共同体」の実践校(小中学校)で取り組んでいる「聴き合う空気感づくり」の授業スタイル(子どもへの向き合い方)です。
(7箇条の⑤でふれています)


④口数の少ない子には、その子が言った言葉をくり返してあげると、その子は、その次のことをポツリ「△△」と言ってくれることがあります。

それを、教師が「△△なんや」とくり返すと、またポツリと言ってくれ、会話がつながっていきます。


⑤子どもが急に荒れ始めたら、

「どうしたの?」「何かいやなことがあったの?」「何かいやなことをされたの?」

と声をかけ、理由がわかったら、その子の理由を代弁してあげます。

「~くやしかったんやなあ」「~腹も立つわなあ」という感じです。


『先生、そんな言い方しないでください』という声なき声に耳をすませば・・・


図書館で『先生、そんな言い方しないでください』(おーつるりーこ&はっぱ隊ジュニア・著)という本に、目がとまりました。

発行はユピキタ・スタジオ、発売はKTC中央出版です。

小4年~中学生~高2年の子どもたちの生の声と実体験を集約されたようです。

一部、紹介します。

・いつもの授業を大切にして!(授業参観や研究授業と同じレベルの授業は?)

・遅刻した生徒には、まず「何かあったか?」と気づかって!(いきなり頭ごなし?)

・前にいた学校(学年)の成績と比べて、ぼくらをけなさないで!(へこませたいの?)

・一部の生徒にウケるからって、生徒(特定の子)をからかわないで!(泣いてるかも?)

・生徒が用事を引き受けてくれたら「ありがとう」ぐらい言おう!(役に立ってないの?)

・採点ミスを生徒が言ってきたら、気持ちよく対応して!(見るより先に疑いの言葉?)

・「いじめられてる」と訴える生徒には、とにかく話を聞いてあげて!(「後で」なの?)

・部活の試合で負けても、生徒に感情をぶつけないで!(一番くやしいのは、先生なの?)

・生徒の呼び方には、差をつけないで!(嫌われてる?ひいき?誤解の元になるのでは?)

・「おまえのせいで」とは、どんな時でも言わないで!(ぼくってクラスの邪魔者?)

・上級生やこわい先生をダシにして、しからないで!(おどしているの?)

・「この問題は、できて当たり前」と、軽く流さないで!(できて喜べた子の気持ちは?)

・授業に遅れて来たら、まず理由を説明して!(そのひと言がなくて、尊敬できますか?)

・保健室に行きたいという生徒を疑わないで!(体や心がつらいのに、信用できないの?)

・生徒の質問に答えられなかったら、いつ答えるか約束して!(他の話でごまかすの?)

以上、パッと目についた言葉を抜き出してみました。

小学校上学年から高校生までと書いてありましたが、上記の15個のお願いのうち、13個は中学生たちからのお願いでした。

他山の石として、お互いに、わが身をふり返ってみましょう。

そして、ハッと、気づくことができた先生は、教師として成長していけるはずです。

子どもたちにとって、安心感と信頼感のある教師としても。

中1ギャップに、しなやかに対応していける教師としても。


6年生の3学期に取り組めることとしては、

校長・教頭・教務・養護教諭・同学年担任など、できるだけ学級担任以外の教師にも授業をしてもらうことでしょうか。

中学校の教科担任制の予行演習みたいな日が、1日でもつくれたらいいなぁと思います。

年度初めに「高学年の担任同士で交換授業をしてみよう」と提案された校長先生もおられました。

中1ギャップ対策として、なかなかおもしろい試みでした。

関学大アメフト部主将の工夫

2014年12月14日(日)、甲子園ボウル(アメリカンフットボール全日本大学選手権決勝)で関西学院大学が4連覇を果たしました。

アメフトと言えば、試合中、コーチがタブレット端末でデータ分析しながら指示を出すことを、最も早くから採り入れてきたスポーツという印象があります。

昨今では、バレーボールの国際試合でも、全日本の監督がタブレットを常時携帯している姿をよく見ます。

これも大事です。

そういうIT時代になっている今日(こんにち)、関学大アメフト部主将が実践していた「日常生活における工夫」は、

ついつい便利で楽なほうへ流されがちな私たちも、学ぶべきところが多いなあ(4連覇するわけです)、と感心したので紹介させてください。


各大学の運動部はもちろん、各高校の部活内の連絡でもメールやLINEを使っているところが増えてきた中で、

関学大アメフト部主将は、部内の連絡にLINEなどをできるだけ使わないで、

「部室の掲示板に張り出す」という昔ながらの連絡方法を実践していたとのことです。

主将は「こういう積み重ねが大事・・1人ひとりが指示待ちにならずに自ら進んで動ける、そんな自主性のあるアメフト部を目指した」そうです。

関学大アメフト部内では、まず部員同士の会話が増えたでしょうね。

200人を越える関学大アメフト部を束ねるには、LINEで連絡をしたほうが便利で(楽で)手っ取り早いのは十分承知の上で、

あえて意図的に「部室の掲示板に張り出す」ことを選択したのが、主将の言葉から伝わってきます。

どんなに練習を積み重ねても、試合では想定外のことが起こるので、

その場で瞬時に状況判断して、各自とっさの対応ができるアメフト集団になってほしい、という主将の願いを込めた「部室の掲示板」には考えさせられました。


私たちを取り巻く自然や社会の状況は、ある日、突発的に変わる可能性が、以前より格段に大きくなってきました。

だからこそ、デジタル的なコミュニケーション手段(LINE,メール等)の上に安住せず、

常日頃から「対話によるコミュニケーション」を身近な人と取り合うことの大切さを、お若い関学大アメフト部主将から教えてもらった気がいたします。

主将の言う「想定外の時に、とっさの対応ができる」って、まさに危機管理対応そのものです。

その土台として、まずは家族・近所同士で、お互いの顔を見ながらあいさつ・言葉を交わす習慣を面倒と思わずに、

私自身が心がけるようにしたいと、つくづく思いました。

関学大アメフト部主将さん、ありがとうございます。

東海大仰星高ラグビー部の監督さんのひと言

2016年1月17日(日)朝日新聞18面に「強い結束 3冠つかんだ仰星」という記事がありました。

そこには、2015高校ラグビーで3冠を達成した東海大仰星高校ラグビー部のY監督の言葉が載っていました。

記事全文を読まれることをオススメしますが、記事の概略を紹介させてください。


『希望者は必ず入部させ、部員全てが同じグラウンドで共に練習する(中略)。

練習では、先発組とベンチ入りできない部員を決して区分けしない。

高校の約100人、付属中の約50人を合わせた約150人が一緒にグラウンドに立ち、同じ練習メニューをこなす(中略)。

Y監督は


「今の子は携帯電話などを使ったコミュニケーションに親しんでいる。

しかしそれだけで、お互いを知った気にならないようにしたい。

顔を合わせる環境を大事にしたい」。(後略)。』


Y監督が「顔を合わせる環境を大事にしたい」と思っておられることを、100人を越える部員全員による同じメニューをこなす日々の練習方法、

という具体的な「顔を合わせる環境」で実践されているところに、大きな意味があると思いました。


「顔を合わせる環境を大事にする」のを具体化することは、部活動だけでなく、

保育・教育や、育児・子育て、職場や地域など、現代社会のあらゆる場面で生かさなければと、改めて考えさせられました。

Y監督、すばらしいヒントを、ありがとうございます。


高校の卒業式で基本的に大切にしてほしい3つのこと


もうすぐ卒業式のシーズンです。

わが子の中学高校の卒業式には、計4回出席いたしました。

それぞれの学校が工夫しておられるなあと感心もしました。

例えば、卒業生入退場曲の演奏をしてくれる吹奏楽部のみなさんが、保護者受付開始前からいろいろな曲をずっと演奏してくれたので、

その演奏に聴き入って小一時間を過ごせました。

ところが、高校によっては旧態依然とした卒業式の形も一部で踏襲されていました。

それが伝統なら、なおさら、基本的に大切にしてほしいことは、例年通りではなく改善すべき点として、提案させていただきますので、

次年度に向けてご検討くだされば幸いです。


まず、卒業生・来賓・先生方に配っておられた「式次第・式歌」を、保護者にも受付で渡していただきたいと思いました。

中学校では必ず、保護者も「式次第・式歌」を渡してもらいました。

「一同起立」の時は保護者も一緒に式歌を歌うからです。

高校では「式次第・式歌」を、保護者にも配る高校と配らない高校がありました。

来賓・教職員に配るなら、保護者にも配るのがエチケットではないでしょうか?


次に、学校長「式辞」ですが、来賓への謝辞や保護者へのお祝いの言葉は簡潔に済ませ、

卒業生への「はなむけの言葉」を大事にしてくださるのはありがたいことです。

しかし、会場の前日準備をしてくれて、当日も参加してくれた在校生:2年生の生徒たちに対して、「ねぎらいの言葉」を忘れないようにしてほしいと思います。

それこそ、2年生たちにとって次年度へのモチベーションになるわけですから、言わないのは、もったいないと思いませんか?


そして、司会進行の言葉ですが、あくまでも主役は生徒ですから、「生徒、職員、起立」と言ってほしいところです。

中学校でも、「生徒、職員、起立」と言っておられました。

それなのに高校で、司会の先生が「職員、生徒、起立」と言っていたのを聞いた時は、社会のマナーとして如何なものかと感じました。

「教師の常識=社会の非常識」と、かつて私も指摘されたことがあるので、ご自身の勤務校をふり返ってみませんか?


基本的なお願いは、ここまでです。

無理難題は申していないと思うのですが・・。

以下は、「答辞」の新しい形の提案です。


さて、「送辞」と「答辞」については、学校によって、考え方も違うのでしょう。

ただ、ある高校では、「答辞」を卒業生代表1名ではなく、各クラス代表1名ずつが、言う内容を分担して語りかけていたのが、今でも印象に残っています。

「後輩たちへ」「共に卒業する仲間たちへ」「保護者へ、地域の方々へ」「先生方へ、母校へ」「これから進む道へ、将来の自分へ」

というふうに、5~6名が分担して語ってくれたのが、私たち保護者の心にも響きました。

「答辞」代表が1名だと、自分個人の高校生活をふり返る内容が中心になりがちです(そうならざるを得ません)。

その点、さきほどの高校の「各クラス代表による分担方式の答辞」は、卒業生はもちろん、全出席者にとって、たいへん「聴き応え」があります。

このやり方は、ぜひ各高校でも採り入れてくださるといいなと、ふと思いました。


関連ページ


教育相談「始めの4歩」で決まります【 保護者と信頼関係を築く初期対応】【相談を受ける時の原則】【いじめ防止八策】【引き継ぎの鉄則】

http://sg2takaboo.exblog.jp/24898108/


子どもと信頼関係をつくる、子どもとの「信頼関係」を取り戻す【子どもの心に届く担任の言葉①~⑤】
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898595/


by takaboo-54p125 | 2010-09-29 05:07 | 保育・教育